【防災士】2日間の講習で98%の人が合格できる程度の民間資格に価値はあるの?
種類 | 難易度 | 合格率 |
民間資格 | 易しい | 98% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
誰でも受験可 | 5~10万円 | 1週間程度 |
活かし方 | 全国の求人数 | おすすめ度 |
自己満足 | 5件 |
- 全国の求人数は、ハローワークの情報を基に2023年12月9日に集計。
講座受講料 | 53,900円(税込)~ |
受験料 | 3,000円 |
認証登録料 | 5,000円 |
※合格率は2009年(平成21年)12月23日の毎日新聞(東京朝刊)によりますが概ね90%以上です。
※金額は2023年12月現在です。養成研修を実施する団体によって違います。実施自治体による助成金制度もあります。
総務省の天下り団体への利益供与のために自治体が多額の税金を投与し続ける民間の検定試験です。資格でもなんでもないです。
お金さえ払えば誰でも2日間の講習で合格できる程度の民間資格で合格率は98%です。就職や転職に役立たないだけでなく防災の知識も身に付かず取得する意味はありません。
取得する意味もメリットもない民間資格です。企業も評価しません。お金と時間の無駄です。受講はおすすめしません。
防災士とは
防災について学ぶ民間の検定試験
防災士とは、防災に対する意識と一定の意識・知識・技能を持っていることを日本防災士機構が認証する民間資格(検定試験)です。
防災士になるための学習・講習会を通して、地震や水害、火山噴火、土砂災害などの災害現場において、いかにすれば防災力を高める活動ができるのかを学びます。
例えば、いざ災害が発生した際に、誰よりも早く適切な行動をとって、いかにして自分自身や家族、近隣の人を守るかという意識・知識・技能などです。
主催者サイト:日本防災士機構|防災士資格の認定、防災士制度の推進
取得する意味はほぼない
防災士は民間資格です。
指定された2日間の講習と90%以上の合格率の試験に合格すれば誰でも合格可能です。
習得する知識は防災に関する基本的な内容にすぎません。あくまでも個人的に防災の知識を身につけるのが目的です。資格を取らなくても防災知識は身に付けられます。
地域で消防防災のリーダーの役割が求められているのは消防団(員)です。
消防団(員)については『消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律』で規定されていて、平常時・非常時を問わずその地域に密着し、住民の安心と安全を守るという重要な役割を担います。
参照:消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律(平成二十五年法律第百十号)
防災士には、いざという時に国や自治体が求めるような役割はありません。
避難誘導や救助活動、避難所の監督を行うなどもってのほかです。つまり災害現場では必要のない民間資格だということです。
防災士の活動は、自分の意思でおこなう地域のボランティアに限定されます。
天下り団体と自治体が癒着して合格者を増やし続ける
防災士の民間資格を運営するNPO法人日本防災士機構は、単なる民間の団体です。
つまり、防災士と言っても法的根拠に基づく公的な資格でなく、民間の団体が認定する検定試験にすぎません。
しかし、全国62の都道府県や市区町村では、税金を使って防災士養成研修講座を開催して防災士資格取得を市民に推進しています。全国45の大学(2023年)で防災士養成事業を実施しています。助成金を出す自治体もあります。
もちろん税金を使って・・・
そして、膨らみ続けた防災士の数は、ナント全国で23万人以上!
では、なぜ単なる民間資格に税金を投入してまで市民に防災士の取得をすすめるのか・・・?
その理由は、日本防災士機構というNPO法人が総務省の天下り団体だからです。
※この件については後ほどさらに詳しく解説しているので是非ご一読ください。
役に立つ資格なのか?
合格しても知識を活かせる機会は少ない
防災士って名前がカッコいいですから、合格すれば話しのネタにはなるかもしれません。
しかし、お金さえ払って養成研修講座を受ければ誰でも合格できる民間資格です。履歴書に書いても就職・転職は有利にはなりません。
就職を控えた大学生や高校生の中には防災士の資格を取得する学生もいますが、防災について興味があるくらいのアピールにしかなりません。もちろん消防の採用試験には全く影響ないです。
さらに、職場で役に立つ機会もほとんどないでしょう。
職場で活かしたいのであれば、国家資格でもある防火管理者や防災管理者の方が断然必要性は高いといえます。消防法という法律の規定により、会社の規模に応じてどちらかを選任しなければならないからです。
防災士は、災害現場では権限とか義務などというものは一切なく責任なども当然ないです。おそらく意見を言う機会も与えられないでしょう。
現場にいる人に指示を出したり、積極的に人命救助に参加する機会などもありません。
地域防災の担い手になれる?
防災士に「防災士とは何?」と聞くと、判を押したように「地域防災の担い手」と返ってきます。
では一体、地域防災のために何ができるのか?
防災士には前述の通り「公的な権限や義務」は認められていません。
権限や義務がないというよりも、「管理ができない」「必要性が薄い」からです。
例えば、建物を建てる際は、建築基準法や消防法で「設置する消防設備の基準」が詳しく定められています。建物の消防設備を工事・点検をする際に必要となるのが消防設備士の国家資格です。
つまり、消防設備士には「公的な権限や義務」が認められています。
本来は消防署の職員が現地へ赴いて行うべき公的な業務(建築審査や設備の設置審査)を、国家資格の有資格者に行わせて、それによって公務員の負担を減らしているワケわけです。
防災士に法律的にも権限が認められていないので、補助的なお手伝いくらいは可能でしょう。
消化器を並べたり雑巾で拭いたり・・・
防災士の民間資格を取得して、積極的に地域の防災活動に参加することは可能です。完全に否定するものでもありません。
けれど、自腹で講座を受講してまでわざわざ取得するのはどうかと思います。
助成金の援助を受けて取得するなんて論外です。
防災士を取得するメリット
ただ、学習を通して防災についての知識は多少なりとも身に付くので、職場や地域等で減災と社会の防災力向上のための活動を行える機会はあります。
ただし、ボランティアとしてです。
簡単な防災準備に関するアドバイスができる程度です。地域の防災訓練で、「防災士」と背中に文字が入ったジャンバーを誇らしげに着てお手伝に参加することも可能です。
防災・防犯関連の住宅リフォーム会社の営業の方が、名刺に「防災士」と印刷しておけば役に立つかもしれません。ビル管理会社や警備会社の社員も持っていると役に立つかもしれません。
いずれにせよ、防災士取得の学習をきっかけとして防災関連の知識やスキルを高めようというのならともかく、防災士に合格しました、資格持ってますじゃ全く価値がありません。
将来性について徹底研究
なぜ自治体が防災士取得を奨励するのか!?
※ここからは、なぜ税金を投入してまで防災士を増やしているのかを根拠を交えて解説します。
平成7年に発生した阪神・淡路大震災をきっかけに、日本経団連が、地域の防災力の強化を国に働きかけて発足したのが日本防災士機構というNPO法人になります。
大規模災害の場合、行政機関も被災して機能しなくなるため、あらかじめ地域の防災リーダーを育成しておいて、いざという時に役立てようというのが発足の目的でした。
官民あげて民間の防災士の必要性を叫んだわけです。
その後平成15年に全国で216名の防災士が誕生し、以降受験生も増え続け、令和4年には23万人以上が防災士の称号を得ています。
23万人ですよ!尋常ではない数字です(※2022年10月末現在では、なんと238,765人が累計で認証!)。
地方自治体のなかには、防災士資格取得を推進しているところが少なくないです。資格取得に助成金を出す自治体もあります。地方自治体が主催する防災士の講習会であれば格安で受講できます。
参照:防災士養成研修実施機関一覧
参照:自治体による資格取得への助成
防災に関する民間資格は他にも、災害ボランティアコーディネーター、災害防災アドバイザーなどがあります。
しかし、自治体が半ば公認するかたちで取得を推進しているのは防災士だけです。
それはどうしてでしょうか?防災士の資格は、ほかの民間資格に比べて認知度や信頼度が高いからでしょうか?
なぜ一民間団体だけを公然と税金を投入してまでバックアップするのでしょうか?
その理由は簡単です。
日本防災士機構というNPO法人が総務省の天下り団体だからです。
この団体の役員名簿を見ると一目瞭然です。
ズラリと総務省や内閣府、消防庁のOBが名を連ねています。消防庁は総務省の外局ですから実質的に総務省の役人と同じです。
情報元:組織・役員|日本防災士機構
地方自治体は総務省の支配下にあるようなものですから総務省の意向には逆らえません。総務省OBが知事や市長を務める自治体であればなおさらです。
こういったお金の使い方に否定的な河村たかし氏が市長を務める名古屋市では、積極的に補助金(防災士資格取得費用の助成)の交付などは行っていないようです。
上記を見ると、概ね元公務員・元官僚が市長を務める自治体は防災士養成に熱心なようです。
総務省の管轄下にあるテレビ局(NHK・民放各社)は、間違っても防災士の実態についての報道なんてできません。
それどころかマスコミは防災士を持ち上げるだけ持ち上げています。
郵政局が民営化される前の話しですが、地域への貢献活動の一環として全国特定郵便局の局長が防災士の資格をこぞって取得した(取らされた)時期がありました。
その後目立った活動をおこなった実績もなく、民営化後は全局長が防災士の資格を取得するという話しは聞かなくなってしまいました。
総務省は日本郵政グループを指導・監督してますからね。国民のために防災士の資格を取れ!という名の下に、実は天下り団体のために防災士の資格を取らせるのは簡単なことです。
税金を投与できるワケとは
いくら天下り団体とはいえ日本防災士機構は一民間団代にすぎません。
民間資格に税金で助成金を投与するにはそれなりの名分が必要になります。議会の承認も必要です。
ではなぜ単なる民間資格の講習会に税金を投与できるのか???
実は、こと防災・減災に関する助成となると市民や議会の了承を得やすいんです。
役人が音頭を取って防災士普及に全力をあげているというワケです。
受験生が増え、登録者が増えれば当然ですが日本防災士機構の収入も増えます。
防災士とは、発足した理由は立派ですが、とんでもない集金マシーンとしての役割を果たしているんですね、驚きました。
日本防災士機構が開催する講習会をお金を払って受け、その後お金を払って試験を受け、合格したらお金を払って団体に登録を受けなければ防災士として名乗れません。
全てにお金が必要になります。営利団体が実施する金儲けの手段にすぎないということです。
税金を投与しているワリには実績もほとんど皆無
では、これまで防災士が災害時にどれくらい活動の実績を残したのか、災害時以外でも何か減災や防災に関して社会貢献の実績があるのかを調べてみました。
日本防災士機構のサイトを見ると防災士の活動報告が掲載されています。詳しく読んでみました。
国や多くの地方自治体が税金を注ぎ込んでまで防災士の資格取得を奨励しているくらいですから、さぞ活発で華々しい活動実績があるのかと思いきや、ほとんど目立った実績が上がっているワケでもないようです。
中には個人で起震車(地震の揺れを体験できる機械をつんだ車両)を購入して、さまざまな地域や事業所を回って震度7を体験してもらっている人もいるようです。
しかし、これはあくまでも個人の活動であって、日本防災士機構としての活動ではありません。
上記サイトを読んでみると中には笑えるような活動記録もあります。
それは大分県の例です。いかにして防災士の数を増やすかといことばかり熱心になっているようです。
活動の結果、大分県の防災士が6,000人を超えたということを自慢気に報告しています。
参考:大分県|日本防災士機構|防災士資格の認定、防災士制度の推進
これを活動記録といってよいのかどうか疑問です。
頑張って天下り団体に上納金を納めてます!と言ってるようにしか思えません。
こういうのを天下り団体の意向を「忖度」すると言うんでしょうね。
防災士ならではの、この資格を活かすような防災や減災の活動事例があれば少しは防災士の意義も見いだせるんでしょうけど…。
防災士は法律的な根拠がある公的資格ではないです。簡単な講習及と終了試験で誰でも合格できます。所詮その程度の民間の検定試験です。
学習する内容も中途半端で役に立たない
何度も繰り返し説明していますが、防災士は国家資格でないため、特別な権限など一切ありません。
災害現場において指導的な役割を果たすのは全く期待されていません。
学習する内容も本当の防災という意味では、全く役に立たないような初歩的なことばかりです。
防災士資格を取得するには、消防署や日本赤十字社などが主催する救急救命講習を受講して応急手当や救急手当などの技術を習得しなければなりません。
しかし内容としては初歩の心肺蘇生法とAEDの扱い方くらいで、大規模災害のときにはあまり役に立ちません。
形だけではなく真剣に防災ボランティアについて考えているのであれば、自治体が行っている防災ボランティア養成講習会とか、災害ボランティア講習会、又は日本赤十字社の災害ボランティア養成講習会のほうが費用も安く本格的です。
参考:赤十字救急法救急員とは
数日間の講習会で心臓マッサージとか、ケガ人の搬送、三角巾の使い方なども学習できます。
お住まいの地域の消防署でも、一般の方を対象に普通救命講習会などは頻繁に開催されているはずです。
講習会の内容を見ると3時間ですから、本格的な救急救命ではなく初級の救命講習会です。
街中のいたる所に設置してあるAEDの利用方法も学べます。しかも無料です。いざというときに役立つこともありますし、災害・防災ボランティアについて考えるキッカケとしては充分です。
可能であれば防火管理者や防災管理者、消防設備士等の資格を取得された方が得策です。こちらの方が社会人になったときに職場で求められる知識です。
雨雲の動きを予測して、水害、土砂災害などに備えたいのであれば、気象予報士の学習も役に立ちます。
防災士になるには
養成研修講座の受講必須!
防災士の資格を取得するには、一般的な方法と自治体が開催する講習会に参加する方法があります。その他には消防・警察OBの特例制度があります。
一般的な取得方法を簡単に説明します。
ステップ1:日本防災士機構が定めた防災士養成研修講座を受講する(費用49,000円)
ステップ2:講座受講後、資格取得試験を受験し合格する(受験料3,000円)
ステップ3:自治体、日本赤十字社等が開催する救急救命講習を受け終了する
以上の3ステップを修了した人が、日本防災士機構へ登録申請をして(申請料:5,000円)、防災士と名乗れるようになります。
防災士になるのは超簡単です。合格率90%以上ですからよほどのことがない限り全員合格できます。
不合格になるのは名前の記入漏れとか、白紙で提出する以外考えられません。講習会を居眠りせず我慢して聞いていさえすれば合格できます。
つまり、お金さえ払えばよほどのことがない限り誰でも合格できる検定試験です。難易度を気にするレベルでもありません。
必要な費用の総額は以下のようになります(2023年12月現在)。
防災士研修講座受講料 | 50,728円 |
---|---|
消費税 | 5,072(10%) |
防災士資格取得試験受験料 | 3,000円 |
防災士資格認証登録料 | 5,000円 |
総 額 | 63,800円 |
詳しくはこちらをご覧ください:防災士研修センター
防災士になるには、一般的には日本防災士機構が認証する研修機関にて2日間で12講座(1講座60分)以上を受講し、研修レポートを提出し履修するのが条件になります。
講座受講後に防災士資格取得試験を受験し、合格すれば第一段階終了です。もし不合格の場合でも再試験が可能です。
講習会と筆記試験の後は、実技講習を受講しなければなりません。
実技講習とは、全国の自治体、地域消防署、日本赤十字社等の公的機関が主催する「救急救命講習」(心肺蘇生法やAEDを含む3時間以上の内容)です。
その後、日本防災士機構へ登録申請をして登録が完了すれば名実ともに防災士になります。名刺に「防災士」と印刷して活動できます。登録とは、簡単に言えば名簿に記載してもらうことです。
名簿に登録するだけで5,000円…何か意味があるのでしょうか?
テキスト・問題集・参考書
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くだらない防災士の資格よりもよっぽど役立ちますよ!本当にそう思います。
種類 | 評価 |
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講習情報
日程・受講資格・内容・その他
開催日
防災士研修センター、研修認証自治体などによります。
お申し込み
防災士研修センター、研修認証自治体などによります。
受講資格
特に無し。お金さえ払えばどなたでも受講できます。
講習会場
主催者にお問い合わせください。
講習会の内容
防災士研修講座は、2日間にわたって行われます。2日間で60分以上の講座を12講座受講します。
主な内容は、以下のとおりです。
- いのちを自分で守る:防災士の役割、災害発生時の対応など
- 地域における活動:地域の防災活動、行政の平時の防災対策と災害時の対応、避難所の開設・運営など
- 災害発生の仕組み:自身、津波、火山噴火、風水害、土砂災害の発生メカニズムなど
- 災害に関する情報:気象予報、気象警報・注意報、災害報道、ハザードマップなど
- 減災や危機管理の新たな方法:危機管理の基本概念、企業の防災活動、地域協力など
- 命を守る方法:応急手当、救命手当の基礎知識など
筆記試験は、研修講座2日目の最後に筆記試験を実施。
形式:選択(三者択一)
内容:30問
出題範囲:教材(防災士教本の記載内容全て)
時間:50分間
合格基準
講習受講後の筆記試験において7割(21問)以上に正答すると合格
主催者情報
試験に関する詳しい情報は防災士になるには|日本防災士機構をご覧ください。