- 更新
- 資格・検定の紹介
消費生活アドバイザーという民間の検定試験をご存知でしょうか?
なんとこの消費生活アドバイザー、民間資格であるにも関わらず試験に合格すると国家資格でもある消費生活相談員資格まで得られるんです!
こんな民間資格もあるんですね。一体どんな背景があるんでしょうか。
もくじ
消費生活アドバイザーとは昭和55年に始まった民間の検定試験
まず、この「消費生活アドバイザー」という名称、職業の種類ではありません。一般財団法人日本産業協会が登録商標した資格の名称です。
そのため、勝手に消費生活アドバイザーと名乗ったり名刺に印刷はできません。
消費生活アドバイザーの試験は、昭和55年(1980年)に始まったといいますから、そこそこの歴史があります。
主な業務は、企業での窓口対応やコールセンターでの電話対応
消費生活アドバイザーの主な業務内容は、企業での消費者対応窓口やコールセンターでの相談業務です。対象になるのはその企業の顧客です。
特に個人を相手にする企業では、顧客からのクレームが耐えません。顧客数に比例してクレームの数は増えます。
最近は理不尽な要求を突きつけてくるクレーマーも多いようです。けれど放っておくワケにもいきません。SNSなんかで根も葉もない悪い評判なんか書かれて拡散したら企業のイメージダウンにもつながります。
そんな顧客からのクレームに火に油を注がないように、法律的な知識を備えて対応にあたるのが消費生活アドバイザーの役割なんです。
試験の実施団体が国家資格の登録試験機関に認定される
平成28年4月26日に、この試験を主催する日本産業協会は消費生活相談員資格試験の登録試験機関になりました。
消費生活相談員資格とは、内閣府の外局である消費者庁が試験を実施する国家資格です。登録試験機関とは、本来日本国政府が実施する試験を代行できる団体です。
つまり、日本産業協会が国家試験を実施できるようになったんです。
これに伴って消費生活アドバイザーの試験に合格した者は国家資格でもある消費生活相談員資格も同時に取得できるようになりました。
下記は2016年4月、登録試験機関の登録通知書交付式にて河野太郎内閣府特命担当大臣(当時)より登録通知書を受けとる森田富治郎日本産業協会会長です。
こんな制度があったんですね、知りませんでした。
消費生活アドバイザーと消費生活相談員資格を比較
そこで気になるのが、消費生活アドバイザーと消費生活相談員資格の両資格の違いです。
まず、難易度としては、どちらもほぼ同じくらいです。合格率20~24%ほど、合格までの学習期間は半年程度です。
ともに受験生は毎年1,000人前後で、どちらかと言うとマイナーな資格です。
次に、2つの資格はどれくらい役立つのか・・・ここが一番気になるところです。
どちらも持っていても役立つ資格とまでは言えない
まぁ、ハッキリ言うと、どちらも役立つ資格とまでは言えません。
消費生活アドバイザーは前述の通り民間企業で働く従業員向けの資格です。就職や転職が有利にはなりませんし、この資格がないとできない業務はありません。
受験生のほぼ80%の人が現在の業務で活かすために資格を取得しています。金融・生命保険のコールセンターなどに勤務している人が受験します。
一方、消費生活相談員資格は全国の自治体が運営する消費生活センターで働くために必須の資格です。
消費生活相談員も同様に、相談や苦情を受け付けます。だたし、対象は顧客ではなく一般の市民・消費者です。
商品やサービスなどの苦情や問合せなどについて消費者から相談を受け付け、公正な立場で処理にあたります。
現実的にどうかと言うと、消費生活相談員の求人数は全国的に見ても極端に少なく、資格を持っていても就職や転職に結びつけるのは難しいです。
採用されても身分は臨時や非常勤の職員なので、待遇は決して良いとは言えません。
消費生活アドバイザーは資格の維持費がかかるので要らなくなるかも
2つの資格を持っていれば、就職や転職の可能性は若干広がるでしょうけど、そもそも目的が多少ずれているので相乗効果は期待できません。
あえて言うと、国家資格の消費生活相談員資格は更新費用もかからないので、持っていて損はないようです。
消費生活アドバイザーは登録料も高いですし、5年毎の更新費用も安くないです。
一旦両方の資格を取得して、消費生活アドバイザーは維持費も高いので更新しない・・・そんな人が増えるのは想像に難くないです。
国家資格欲しさで消費生活アドバイザーの試験を受験する人が爆発的に増えることもなさそうです。