種類 | 難易度 | 合格率 |
民間資格 | 易しい | 73% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
誰でも受験可 | ~2万円 | 1か月程度 |
- 難易度・勉強時間は事前知識によりかなり違います。
- 全国の求人数は、ハローワークの求人情報を基に2023年5月24日に集計。
講座受講料 | - |
受験料 | 4,950円 |
その他費用 | 入会金:11,000円 年会費:6,600円 |
- 2023年5月現在、全て税込みの金額です。
- 入会は任意ですが、遺言執行士と名乗るには入会しなければなりません。
遺言執行者の業務を行うために必要となる知識の習得をめざす民間の検定試験です。
合格しても民間資格ですから特別にできる業務はありません。遺言執行士の業務は「専門家への仲介役」です。相続の専門家になって独立したり、それで仕事をして収入を得るのも難しいでしょう。
履歴書に書いても就職や転職は有利になりません。
遺言執行士とは

遺言執行者としての業務をするのが目的
遺言執行士とは、遺言書作成のお手伝いから遺言執行完了までの業務をサポートすることを目的とした民間の検定試験です。
遺言者(被相続人)が亡くなると、遺言書に遺言執行者(遺言執行人)が指定されている場合、遺言執行者が遺言書に記載された内容を実現する手続きを進めます。
遺言執行者は、相続財産目録を作成したり、金融機関での預金解約手続き、不動産名義変更手続きなど、遺言の内容を実現するために必要な行為をする権限を持ちます。
この遺言執行者の業務を仕事として継続して行うために必要とする知識を学習するのが遺言執行士の検定試験です。
参考:一般社団法人日本遺言執行士協会 | 思いを繋ぐ遺言執行士協会のホームページです。
誰でも遺言執行者になれる!
遺言書に書かれた内容通りに遺産の分割手続きなどを進めるのが遺言執行者ですが、基本的には遺言書によって遺言執行者は指定されます。
実は、この遺言執行者ですが誰でもなれます。特別な資格はいりません。
つまり、遺言執行士の民間資格を持っていても持っていなくても遺言執行者になれます(※未成年者、破産者などを除く)。
役に立つ資格なのか?
民間資格じゃできることも限られる
遺言執行士と言っても民間の検定試験です。法律で定められた特別な業務は存在しません。
では、遺言執行士は何ができるのかと言えば、それは専門家への橋渡し役です。遺言執行士が遺言執行者に指定されたとしてもそれは同じです。
相続が始まると、遺言執行者は遺言書に記載されている通りに正確・迅速に相続業務を執行しなければなりません。そのためには高度な知識や技能を必要とします。
遺言執行者は、遺言書に書かれた相続人(亡くなった人)の意思を実現するために本来司法書士にしか認められていない不動産の登記手続(名義変更)の申請ができます。さらに、預貯金の払戻請求をする権限も認められています。
しかし、多くのケースでは、不動産の名義変更や相続税の申告については専門的な知識や資格を必要とするため、遺言執行者は司法書士や税理士へ業務を依頼します。
遺言執行者が弁護士や司法書士、税理士であれば、遺言執行者自身が相続業務を進められますが、そうでなければ遺言執行者ができる業務には限界があるということです。
同様に、遺言執行士が弁護士や司法書士、税理士であれば、遺言執行士自身が相続業務を進められますが、そうでなければ遺産分割を完結させるための懸案事項をとりまとめて各専門家(国家資格の有資格者)へと業務を取り次ぐ(依頼する)までです。
これは無資格者でもできる仕事です。遺言執行士の資格を持っていても持っていなくても誰でもできます。
怪しい民間資格が多い分野、要注意
相続に関する民間資格は多数存在します。
例えば、相続アドバイザー、相続診断士、相続検定、相続士、相続鑑定士、相続カウンセラー、相続プランナー、相続コーディネーター、相続マイスター、相続対策専門士、相続支援コンサルタント・・・などです。まだまだたくさんあります。
これに、1級、2級、初級、上級、マイスターなどのランクを付けたら一体どれくらいになるのか?!
これらは全て民間の検定試験です。難易度は異なりますが概ね1か月程度で合格できるモノばかりです。
この程度では基本的な知識が身に付くかもしれませんが、専門的な知識は身につきません。
中には、特定の通信講座を受講させるのが最初から狙いの怪しい民間資格も存在します。登録料、入会金、年会費、更新料を目的とした民間資格も存在します。
何か目的があれば取得する価値もありそうですが、そうでなければお金と時間の無駄になります。
※全てが怪しい民間資格と言っているワケではありません。まともな民間資格も存在します。
将来性について徹底研究
この民間資格の活かし方
全くの素人が遺言執行士の民間資格を取得したからと言って、簡単に遺言執行者にはなれません。
ある銀行の調査によると、亡くなる前に遺言書を作成する人の割合は、相続税の支払いが必要なケースであっても10%ほどだと言うことです。
現状、日本ではほとんどの人は遺言書を残さずに亡くなります。「縁起でもない」ということで先延ばしにする人もいれば突然亡くなる人もいます。遺言書があっても発見されなかったり、法律的に有効じゃない遺言書を残す人もいます。
つまり、遺言執行者の需要は、よほど資産があって相続人も一定数以上見込まれる用意周到な資産家くらいに限られています。
そういった資産家が遺言書を残す際に、誰を遺言執行者として指定するのかと言えば、生前から付き合いのある弁護士や税理士などです。あるいは不動産登記の専門家でもある司法書士などです。
弁護士でもない、司法書士でもない、税理士でもない、行政書士でもない、土地家屋調査士でもない人が、遺言執行士の民間の検定試験に合格したところで遺言執行者に選任されるのは難しいでしょう。
遺言執行士になるには
遺言執行士になるには、試験主催者でもある一般社団法人日本遺言執行士協会が作成した受験用テキストと練習問題で勉強するのがいいでしょう。
無料配布しているので希望する人は主催者ホームページより請求できます。
合格するためには、高額な通信講座や試験対策講座の受講が必須だったりする民間資格が多い中、遺言執行士は極めて良心的です。
試験の合格率は73%です(主催者発表の累計合格率)。※データが古いのが気になります。
参考:(平成31年1月31日時点)遺言執行士試験の合格率を公表いたします一般社団法人日本遺言執行士協会 | 一般社団法人日本遺言執行士協会
遺言執行士試験の無料体験問題がホームページに掲載されているので参考までに解いてみましたが、民法の学習経験がある人であれば1か月ほど勉強すれば合格できるはずです。
遺言執行士試験に合格すると合格証書が発行されます。
しかし、これだけでは遺言執行士と名乗ったり名刺に印刷して活動できません。
試験に合格した人が、遺言執行士クラブへ入会登録を行うと遺言執行士資格者証が発行され、遺言執行士と名乗って活動を行うことができるようになります。
その後も年会費が必要となります(希望者のみ)。
受験料など取得までの費用が安い分、入会金と年会費で協会の利益を出す仕組みです。
試験情報
試験日
随時実施
お申し込み
随時受け付け
受験資格
受験制限はなく、どなたでも受験できます。
試験会場
任意の場所(オンライン受験)
受験料
4,950円(税込み、2023年5月現在)
試験内容
民法(相続法)を中心に27問、相続税法に関する問題3問
※全30問、90分。四肢択一式
合格基準
21問(70%)以上正解で合格
主催者情報
試験に関する詳しい情報は資格取得について | 一般社団法人日本遺言執行士協会をご覧ください。
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