現在、看護学校(大学あるいは専門学校)に在学中で、就活・就職を控えて「何か有利になるような資格を取得したい」と考えている学生さんは多いのではないでしょうか?
まず、結論を申し上げますと、基本的には就職が有利になるような資格は存在しません。
特に民間資格など論外です。
「有利になる」って言ってるのは概ね通信講座の宣伝です。受講生を集めたいだけです。
就職につながるのは学校での成績です。
病院側としては、日頃学校で真面目に勉強を続けてきた学生を採用したいんです。
まずは在学中の成績が一番重要です。
学校での成績が良ければ就職は有利です。くだらない民間資格など病院は一切評価しません。
病院によってもちろん給与・待遇は違う
看護師が就職する病院は、大規模な公的病院(公立病院)から小規模な民間病院まで様々です。
病院によって給与などの待遇が違うのは当然です。
看護師として同じ業務に就くのであれば、誰しも条件面で優遇される病院へ行きたいと考えるでしょう。
仮に月に基本給が¥5,000円違っても、3年後・5年後では手当て・ボーナスも基本給換算ですのでかなり差がでるはずです。
一般的には大きな病院や国立大学、公立病院、公立大学などは給与もよく、身分なども補償されていると言われています。
(※もちろん例外もあります。関東の有名私立大学病院では給料待遇が悪いという理由で大量に看護師が退職希望を出した例もあります)
そこで、他の学生と差をつけるために、少しでも自分が有利になる方法はと考えるワケです。
そのひとつが民間資格です。
食生活アドバイザー、医療事務、生活リズムアドバイザー、ファイナンシャルプランナー(FP)、心理カウンセラーなどです。
残念ながら、そんな短期間で誰でも取得できるような民間資格、履歴書に書いても評価の対象にはなりません!
※FPは一応技能検定です。
病院が重視するのは学生の成績や日頃の態度など
新卒予定の学生であれば看護学校に限らず誰しも「卒業見込み」という身分で就活を行います。
看護師の国家試験は2月ですから、新卒の看護学校は「卒業見込み」に加えてさらに「看護師試験合格見込み」という不安定な身分で就活を行うことになります。
採用する病院側としては、その学生が卒業できて本当に看護師免許が取れるかどうかも重視します。
そして、就職後も真面目に働いてくれそうな学生を採用します。
後から問題を起こすような看護師を採用したくないということです。
これはどんな企業・団体でも同じですけど。
病院は、在学中の成績をとても重視する
当然ですが、人気の病院は求人倍率が高くなります。
日頃の素行も学校での成績も問題なさそうな一般的な看護学生なら、大きな苦労もせずに人気の病院へ就職がすんなり決まることが多いです。
大学であれ専門学校であれ、在学中の成績はじっくりと見られます。
3年制の専門学校なら2年までの成績を評価します。
成績内容(小児看護実習:優・母性看護実習:可…など)はもちろん大きく影響します。
※成績順位についてはそれほど神経質にならなくても大丈夫なようです。
多くの大学でGPA制度を導入していますが、優秀なGPAを修めていれば学校推薦が貰えるのでほとんど就活することもありません。
※GPA:「Grade Point Average」の略で、大学の成績を簡単に数値化したもの。
大学・専門学校では病院への推薦枠がありますが、成績や授業態度の悪い学生を推薦すると翌年以降の推薦枠に影響するので成績の悪い生徒は推薦しません。
つまり、大学でも専門学校でも就職を有利にしたいのであれば、検定試験や民間資格よりも看護学校での成績と出席日数を上げるような日頃の努力が必要なんです。
学校での成績が悪ければ就活すらできない
学校での成績が悪ければ、最悪の場合学校は卒業見込みを出しません。
採用する側としても卒業見込みを提出できない看護学生など採用しません。
一定以上の成績を修めていないと就活すらできないということです。
マレに、「学校が卒業見込みを出してくれないので就活ができず困っている」なんて看護学生の書き込みをネット上で見ますが、おそらく本人の責任でしょう。
専門学校などでは、「当校卒業生の国家試験通過率98%!」とパンフレットで謳っていたりします。
これは、優秀な学生しか国家試験を受けさせない!つまり、卒業見込みがもらえるほど勉強した優秀な看護学生しか就活ができないということです。
看護師は病院を選ばなければ就職率100%とも言われていますが、もちろん日頃から勉強しないと卒業も就職活動もできません。
民間資格のPRを兼ねたサイトを信じてはいけない!
在学中の成績もあまりパッとしない、決して真面目に勉強していたワケでもない看護学生が少しでも人気の(つまり待遇がいい)病院へ就職したくて、何か手はないかと考えるのが「民間資格」です。
ネット上にもそういった情報は溢れています。
「看護学生の就活が有利になるおすすめ資格!」などと無責任に民間資格を紹介しているサイトが少なからず存在します。
食生活アドバイザー?医療事務?ITパスポート?MOS?日商簿記?認知症介助士?医療環境アドバイザー?チャイルドカウンセラー?
ホントそんなのいくつ持っていて履歴書に書いてもスルーです!
就活が有利になるというのは、単なる通信講座の受講生集めのPRです。
そういった短期間で誰でも取得できる程度の民間資格など、医療の現場では資格とはみなしません。
つまり、就活が有利になるおすすめの資格などないんです。
特にこれから看護を学ぶために看護学生になる方!まずは学校での勉強です。入学してから一生懸命勉強してください!
成績が悪いと就職できないですよ!
まぁ、持っておいた方がよいのは自動車免許ですね。
訪問看護がこの先増えるでしょうから、自動車免許は必須かもしれません。
あとは外国語も少しくらいできたらいいでしょう。
サークルや部活動、ボランティア活動なども二の次
看護学生によっては、「サークルや部活、アルバイトを全くしていないけど就活に影響はないか?」と心配される方もいます。
こちらも心配には及びません。
サークル活動やアルバイトの経験よりも、まずは日頃の勉強をしっかりすることが求められます。
「ボランティア活動を続けてきたけど、就活は有利になるのか?」
これも残念ですけど、考えているほど有利にはなりません。
学校の成績も良くて、推薦枠がもらえそうな学生であれば多少学校側が評価するかもしれません。
しかしその程度です。
看護学生の場合、学外活動を気にするよりも、正規のカリキュラムにある看護実習を全うする方が何倍も重要です。
高校生であれば少しでも偏差値の高い大学へ進学してください
現在中高生で将来看護師を目指しているのであれば、少しでも偏差値の高い大学(できたら国公立大)を目指してください。
これが良い病院・人気の病院へ就職するための正しい手段です。
就活時に病院側が重視するのは、出身大学・学生時代の成績・アピール度(エントリーシートや面接時)、筆記試験、小論文などです。
それぞれに採用基準の点数がつけられていて、それに基づいて学生を評価します。
例えば、出身大学は全体の何点、学生時代の成績は全体の何点などというようにです。
もちろん、そこには民間資格など評価の対象に入っていません。
面接ではあまり差は生じない
面接ではあまり差は生じません。
どの学生も自分を良く見せようと努力してますし、数回程度の面接で人間性など分からないからです。
筆記試験や小論文などは偏差値の高い大学の学生がやはり有利です。
学歴フィルターにかけて大卒しか採用しない病院もあります。
それに加えて出身大学によって加点します。偏差値の高い大学出身者が有利になるのは当然です。
看護学生が病院を選ぶのと同じで、病院だって学生を選びます。
学力や成績が悪い学生は、学力のある成績の良い学生に筆記試験や小論文でも負けます。
就職試験において他の学校の学生より優れていないと判断された場合不合格になります。
誰でも取得できる程度の民間資格では、そういった学力の差は補えません。