カウンセリングする男性

 

前回、取得に更新にお金がかかる資格として認知症ケア専門士を紹介しましたが、もっともっとお金がかかる民間資格があるので紹介します。

 

それは、産業カウンセラーという民間資格です。

 

その名の通り企業などで、主に従業員に対してカウンセリングを行うのを目的とした専門性の高い資格です。

 

取得する費用はざっと33万円以上!それだけではなく、年会費や更新料も必要となります!

 

参考:産業カウンセラーとは

 

もくじ

かつては公共性の高い民間資格だった産業カウンセラー

 

そもそも心理系のカウンセラー資格には国家資格がなく、2018年に公認心理師が誕生するまでは精神科医以外は全て民間の資格(検定試験)でした。

 

民間のカウンセラーの資格というと臨床心理士が有名です。この資格は、文部科学省がスクールカウンセラーになるための資格要件としているため、公共性が極めて高いです。

 

参考:臨床心理士とは

 

臨床心理士の資格は、大学院まで進んで心理学を学ぶ必要があるのでハードルはかなり高めです。

 

一方で、産業カウンセラーは学歴要件などありません。ハードルは低めです。しかも、かつては旧労働省が認定していた技能審査として認定されていた公共性の高い資格でした。

 

しかし、2001年に技能審査から除外されました。以降、完全な民間資格に降格したワケです。

 

資格を取得するのも更新するのもエラく高い費用がかかる!

 

で、この産業カウンセラーですが、取得するのも資格を更新するのもエラく高いんです。

 

以下は全て2022年9月現在の金額です。

 

まずは受験資格を得るために、日本産業カウンセラー協会が開催する養成講座(通信講座)を受講しなければなりません。

 

  • e-Learningの6か月コース:297,000円(税込)

 

この講義は、大学や大学院で心理学を学んだ人であれば必要ないですが、それ以外のほとんどの人は受講しなければなりません。

 

内容としてはインターネットを利用したWeb講義、理解度確認テスト、対面での講義、面接実習などです。面接実習では実際に相手の話をしっかりと聞く「傾聴」のロールプレイングもします。

 

専門の機関での実習がほぼ毎週ありますから、内容はそれなりに充実しています。約30万円の費用は決して高い金額ではないかもしれません。妥当な金額とも言えます。

 

受験料もこれがまた高い!登録料も費用がかかる

 

そして、無事受講を修了したら、次は本試験に臨みます。

 

まず受験料、これが高い(と思う)!

 

  • 学科試験:10,800円(税込)
  • 実技試験:21,600円(税込)

 

合計32,400円なり!

 

合格したら、さらに資格登録料として7,000円必要です。

 

登録料って、国家資格ならまだしも民間資格には必要ないですよね。法律の裏付けもありませんし。

 

ここまで、講義の受講から試験挑戦、合格後の登録まで入れるとざっと336,400円が必要です!(297,000円+32,400円+7,000円=336,400円!)

 

さらに年会費、更新料も必要!

 

しかし、それだけでは終わりません。

 

なんと!驚くことに

 

  • 年会費として10,000円

 

もちろん毎年です。

 

さらに、資格更新もやっぱり必要です。5年毎の更新です。

 

  • 更新料として3,000円

 

更新料は良心的です。この3,000円がとっても安く感じられますね。

 

更新までの間、何もしなくてよいワケではなく、一度登録したら次に更新するまで5年間の間に日本産業カウンセラー協会が定める30ポイント分の講座や研修に出席しなければなりません。もちろん有料です。

 

この講座や研修については調べ出すとキリがないので、興味のある人は金額など調べてみてください。

 

いやぁ、マジで高いですね。

 

費用が高くても仕事がすぐに見つかればいいんですけど・・・

 

産業カウンセラーのテキスト

 

これだけ投資して、すぐに仕事もすぐ見つかればいいんですけどね。カウンセラーの仕事に憧れて藁をもすがる思いで受講する人もいます。

 

ところが現実はそうもいきません。心理系の民間資格は臨床心理士を除いて一般的にほとんど役に立ちません。

 

臨床心理士でさえ多くの人はバイトや非常勤などです。絶望的に産業カウンセラーの資格を活かせる仕事は見つからないでしょう。

 

産業カウンセラーは歴史もあって知名度もある(あった)資格です。しかし現実は仕事に結びつきません。

 

「なんとなくカッコいいから持っているだけ」という人がほとんどです。

 

教育訓練給付金制度などを利用すればいくらか安く済ませられますけど、それでも受講料の20%=58,320円程度のキャッシュバックです。劇的に安くなるとまでは言えません。

 

いずれにせよ受講料、受験料、資格更新の費用は安い金額ではないです。

 

自己啓発や趣味の延長と考えた方が良さそうです

 

とは言うものの、講義の内容はしっかりしていますし、専門家が指導する実技のロールプレイは貴重な体験です。

 

1か月程度の通信教育ですぐに取得できる怪しい心理系の民間資格とはワケが違います。

 

産業カウンセラーの資格は、既に大企業で人事部門の責任者になっている人や、専門的にカウンセリングの学習をしたい人にはいいかもしれません。

 

しかし、それ以外の人であれば、自己啓発や趣味の領域に近い資格だと考えた方が良さそうです。

 

取得しても更新までする必要はないでしょう。

 

関連記事:民間の心理カウンセラーの資格は怪しい講座でいっぱい!

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