近年、地域の防災力を高める目的で注目されている民間資格「防災士」。 耳にしたことがある人もきっと多いと思います。
「助けられる人から助ける人へ」をスローガンに、多くの自治体が取得を推奨し、公費(税金)による受講費用の補助制度を設けています。
しかし、その一方で「資格の運営体制」や「公金投入の妥当性」について、疑問の声が上がっていることも事実です。
この記事では、防災士資格の仕組みや費用、運営団体の背景について客観的な視点から考察します。
いろいろ調べてみると、驚きの実態が!
関連ページ:防災士とは
多くの自治体が防災士育成に公費を投入する背景

防災士は国家資格ではなく、特定非営利活動法人(NPO法人)日本防災士機構が認証する民間資格です。
現在、全国で500を超える自治体が資格取得のための補助金・助成金制度を導入しており、自治体主催の講座も頻繁に開催されています。
参照:助成制度自治体一覧
その背景には、東日本大震災以降、地域の自主防災組織や避難所運営における「リーダー層の育成」が急務とされている点があります。
防災に関わる民間資格は、防災管理士、防災コーディネーター、地区防災計画インストラクターなどいくつか存在します。
では、なぜそのひとつにすぎない防災士に対して、なぜこれほど多くの自治体が公費を投じて支援を行うのでしょうか。
不思議に思いませんか?
特定の民間資格に対してのみ公的なバックアップが集中している現状に対し、疑問視する意見も存在します。
運営団体(日本防災士機構)の役員構成と天下り批判

公費投入に疑問が投げかけられる大きな理由の一つが、資格を主催する「日本防災士機構」の役員構成です。
同機構の公表資料(役員名簿)を確認すると、会長や理事をはじめとする要職に、警察庁、総務省、消防庁、内閣府などの省庁OB(元官僚)が多数名を連ねていることがわかります。
元警察庁長官からはじまって、元内閣官房副長官、元消防庁長官、元内閣官房副長官、元国土庁事務次官、元消防庁次長、元内閣府政策統括官、・・・元官僚の名がいっぱい並びます。
総務省関連のOBが中心ですが、元国土庁のOBもいますね。これはかつて防災行政が国土庁にあった名残でしょうか。
2001年に防災行政は内閣府に移管してますから、それで内閣府OBも多いんでしょうね。消防庁は総務省の外局ですから消防庁OBもたくさんいます。
さらに、日本防災士機構だけではなく、下部組織としても出てくる「日本消防協会」にも総務省・消防庁OBがいます。
参照:組織概要 – 日本消防協会について | 公益財団法人 日本消防協会
※「役員等名簿」をご覧ください。
このような構成から、一部では「元官僚の受け皿(天下り構造)になっているのではないか」「自治体からの受講料や公費が結果としてこれらの団体の維持に使われているのではないか」といった厳しい批判(天下り批判)がなされることがあります。
自治体と中央省庁・関連団体との強い関係性が、資格推進のバックボーンになっているという指摘も少なくありません。
防災士資格は取得する価値があるのか?
自治体は税金を使って養成講座を開催して、防災士資格の受験生を増やします。その対象は一般市民であり役所の職員などです。
では、一般の市民や社会人が防災士を取得するメリットはどこにあるのでしょうか。
コスト面の実態
一般人が講習費用、受講料、試験料、登録料などを合わせると、取得までに合計で約6万円程度の費用がかかります(自治体の補助金が出ない場合)。
自治体の補助金(助成金)を利用する場合、取得費用の自己負担額は0円(全額補助)から半額程度(1万〜3万円前後)になるケースが一般的です。
キャリア・就職への影響
防災士は業務独占資格(その資格がないとできない仕事)ではないため、一般的な就職や転職において直接的なアピールポイントや有利な条件になるケースは少ないのが実状です。
養成研修講座を受講すれば比較的容易に合格できます。
さらに、消防設備士のような国家資格と違って、特別な業務ができるわけでもない民間資格です。
履歴書に書いて就職・転職が有利になるとは考えない方がいいでしょう。
現場での実用性
地域の防災活動や避難所訓練などで知識を活かす場面はありますが、有事の際に特別な法的権限が与えられるわけではありません。
そのため、「高額な費用に見合う実用性があるのか」という点については評価が分かれています。
まとめ

地域の防災意識を高め、有志の知識向上を図るという取り組み自体は非常に重要です。
しかし、特定の民間資格に対して多額の自治体予算(税金)が投入されている現状や、運営団体の役員構成を踏まえると、その使途や透明性については今後も冷静な検証が必要と言えるでしょう。

