臨床心理士はオワコン?公認心理師との違いや将来性を徹底解説

| 種類 | 難易度 | 合格率 |
| 民間資格 | 難関 | 75% |
| 受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
| 学歴要件その他 | 300万円~ | 6年以上 |
| 活かし方 | 全国の求人数 | おすすめ度 |
| 就職・転職 | 1,894件 |
- 臨床心理士になるには大学院へ進学しなければなりません。
- 全国の求人数は、ハローワークの情報を基に2026年4月27日に集計。
国家資格である「公認心理師」の誕生により、心理職を取り巻く環境は大きく変化しています。
しかし、臨床心理士が無意味になったわけではありません。
教育や私設相談の現場では臨床心理士の深い専門性が引き続き評価されており、現在は「公認心理師とのダブルライセンス」を目指すのが主流となっています。
臨床心理士とは

話しを聞くのが中心の仕事
臨床心理士とは、カウンセリングを通してクライエント(相談者)が抱える困難や生きづらさを軽減し、その人らしい生活を送れるよう心理的に支援するための民間資格です。
「心の病」が原因で身体の異変や生活上の問題が生じた人たちを、心理学的な手法を通して支援・サポートする専門職です。つまり対象は「人の心」と言えるでしょう。
具体的には、対話(カウンセリング)を通して面接・観察・心理テストなどを行い、心理学的な専門手法(遊戯療法・箱庭療法・家族療法など)を用いて、クライエントが抱える困難や生きづらさを軽減し、その人らしい生活を送れるよう心理的に支援します。
基本は患者との1対1のカウンセリングです。とにかく「話を聞く」のが中心の仕事とも言えます。
より良いアドバイスをするアドバイザーではありません。患者の抱えている悩み・心配事・不安を取り除いて解決するのが目的ではありません。
話を聞いているううちに、話をしている患者本人が自分の言葉から何かを気づくのを助けるのがカウンセリングの目的でもあります。物事の解決は本人がするのが一番効果的だということです。
その解決に寄り添うのが臨床心理士です。
臨床心理士は医者ではないので、精神科医のように治療のための投薬は行えません。
あくまでもカウンセリングによる改善を目指します。
現代社会では子どもからお年寄りまで、多くの人が「心の病」にかかっています。1億総ストレス社会などと称されることもあります。
その原因は様々です。
激化する競争社会・管理社会によるストレス・パワハラ・セクハラ・対人関係によるストレス、高齢化社会による孤独・健康への不安、子どもの成長期における歪んだ心の発達などが考えられます。
自殺者20,320人(令和6年度)、うつ病等の患者100万人以上、いじめ件数68万件以上(令和4〜5年度分調査)、完全ひきこもり146万人(令和4年内閣府推計)、小中の不登校者数約35.4万人(令和6年度調査)など、聞いてあまり気持ちの良い数字ではありませんね。
参考:令和6年中における自殺の状況|厚生労働省自殺対策推進室(pdf)
臨床心理士は現代社会の縁の下の力持ち
世間では臨床心理士の活躍が伝わってくる機会はあまり多くはありませんが、実は現代社会の縁の下の力持ち的存在で最も社会で必要とされている職業の一つとも言えます。
臨床心理士には高度な専門知識とカウンセリングの経験が必要になります。
患者と向き合い、信頼を得るためには、人間性や感情に左右されない人格なども必要になります。
職場は、病院の心療内科や精神科、障害児福祉施設・老人福祉施設といった福祉施設、家庭裁判所や児童相談所、少年院・少年鑑別所・刑務所などと幅広いのが特徴です。
中学校、高等学校に配置されているスクールカウンセラーになるための基本的な資格であり、産業カウンセラーとして企業内でも必要とされています。
臨床心理士になるためには、大学卒業後に日本臨床心理士資格認定協会が指定する大学院に進学しなければなりません。
卒業後に一定の条件を経て試験に合格することが必須条件です。
臨床心理士は人気の高い資格です。男性女性を問わず人気の職業なので、大学院の競争率はとても高く狭き門です。
取得後も5年ごとに更新審査があり、厳しいプロ意識と高いレベルを常に求められます。
臨床心理士は民間資格、公認心理師は国家資格という決定的な違い
臨床心理士について語る上でどうしても避けて通れないのが公認心理師の存在です。
この記事を読んでいる人の多くは公認心理師についても意識していることでしょう。
臨床心理士と公認心理師の関係や、今後について予想も交えて解説します。
臨床心理士は日本臨床心理士資格認定協会という民間団体が認定している民間の資格です。
1988年に誕生し既に3万人以上の臨床心理士が誕生しています。
一方、公認心理師は公認心理師法という国の法律に基づく国家資格です。
2015年9月9日に法案が成立し、第1回国家試験が2018年(平成30年)に実施されました。
合格発表が同年11月30日ですから、それ以降に公認心理師が初めて誕生しました。
関連資格:公認心理師とは
公認心理師が誕生した経緯と背景
日本では様々な医療専門職の国家資格が存在します。
例えば、看護師、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士などです。
しかし、心理職といわれる医療の分野に従事するための国家資格は存在しませんでした。
一方で、民間の心理職関連の資格は多数存在します。臨床心理士、認定心理士などです。
その中でも臨床心理士は知名度・難易度ともに高く、民間資格とはいえ文部科学省の任用規程により全国の教育機関に派遣されるスクールカウンセラーの資格要件となっています。
参照:スクールカウンセラー等活用事業に関するQ&A|文部科学省
臨床心理士は医学系学会が認定する臨床専門医資格のひとつです。
日本看護協会が認定する専門看護師資格などのメディカルスタッフの資格要件としても掲げられています。
そのほか、防衛省職員の技官として、陸上・海上・航空の各自衛隊の衛生隊などに臨床心理士が配属されています。
国境なき医師団では、心理士として採用する際の応募条件に臨床心理士の資格をあげています。
以上のことからも臨床心理士は民間資格でありながら、非常に公共性の高い資格であることがわかります。
該当する国家資格がなかったことが大きな理由の1つと言えるでしょう。
そこで、公的に認める質の高い専門職として国家資格が必要であると叫ばれるようになったわけです。
臨床心理士をそのまま国家資格に格上げするなどという噂もありましたが、利害関係者の意見がまとまらず公認心理師が誕生する運びとなりました。
臨床心理士と公認心理師との違いは?業務内容と法的位置づけ
臨床心理士と公認心理師は、どちらもカウンセリングや心理査定などを通じてクライエントを支援する専門職であり、基本的な業務内容に大きな違いはありません。
主な違いは「資格の種別」と「法的枠組み」にあります。
臨床心理士は民間の認定資格であり、1対1の深い心理療法(個別カウンセリング等)の専門性を重視しています。
一方、公認心理師は2017年に施行された公認心理師法に基づく国家資格であり、多職種連携や地域支援などの法的連携に強みを持っています。
なお、公認心理師は「名称独占資格」であり、有資格者でなければできない「業務独占資格」ではありません。そのため、国家資格が誕生したからといって臨床心理士が直ちに排除されるわけではありません。
医療や福祉の現場では配置基準として公認心理師が重視される場面が増えていますが、学校現場(スクールカウンセラー)や私設相談室などでは、これまでの豊富な実績から臨床心理士のニーズも根強く残っています。
現場ごとの役割に応じた強みを発揮するため、現在は両方の資格を取得する「ダブルライセンス」が主流となっています。
役に立つ資格なのか?

将来性と現状の課題
臨床心理士は、大量に有資格者が存在(30,000名以上)しますが、臨床心理士を募集している病院や施設などはものすごく少ないのが現状です。
求人の多くは非常勤の契約社員やパートが多く、複数のカウンセリングルームやスクールカウンセラーを掛け持ちして生計を立てているケースも一般的です。
大学院修了という高い学歴とコストが必要な割には、初期のキャリアにおいて経済的な安定を得るまでに時間がかかる傾向があるため、「経済的に厳しい」と言われる側面があるのは事実です。
一方で、国家資格「公認心理師」が誕生したことで、心理職を取り巻く環境も大きく変化しています。
障害児入所施設などの福祉施設や医療機関における「心理担当職員」の配置基準や、医療診療報酬(保険点数)の要件において、国家資格である公認心理師が指定・優遇されるケースが増加しています。
しかし、だからといって臨床心理士の仕事が完全に失われるわけではありません。
公認心理師は有資格者以外を排除する「業務独占資格」ではなく「名称独占資格」です。
また、文部科学省の補助事業であるスクールカウンセラー配置事業などでは、公認心理師が要件に加わったものの、医師の指示を直接前提としない学校現場や私設相談領域では、長年の歴史と深い相談実績を持つ臨床心理士の専門性が今なお強く求められています。
したがって、当面の間はそれぞれの強みを活かしながら臨床心理士と公認心理師が現場で共存する状態が続くと見られます。
これからの心理職を目指すのであれば、どちらか一方を選ぶのではなく、双方を取得する「ダブルライセンス」を目指すのが現在のスタンダードであり、最も確実なキャリアパスと言えます。
取得するなら「ダブルライセンス」が現実的な選択
公認心理師の開設に伴う経過措置期間などを経て、現在では多くの臨床心理士が公認心理師も取得しています。
また、現在の心理系大学院の多くは双方の受験資格に対応したカリキュラムを提供しているため、これから心理職を目指す学生も両方の同時取得を目指すのが一般的になっています。
資格取得後の初期キャリアや収入面には一定の難しさがあるものの、法的な位置づけを持つ「公認心理師」と、臨床心理療法の深いカリキュラムに基づく「臨床心理士」の双方が補い合う関係にあります。
これからの心理職を目指すのであれば、どちらか一方のみに絞るのではなく、両方の資格を保持する「ダブルライセンス」を目指すのが最も確実で実用的なキャリアパスと言えるでしょう。
将来性について徹底研究

臨床心理士の就職の実態について
新卒や実績の浅い段階では、医療機関などの常勤(正社員)ポスト枠が限られているため、スクールカウンセラーや各種相談機関の非常勤(パート・契約)を複数掛け持ちしながらキャリアをスタートさせるケースが少なくありません。
そのため、初期の経済的な安定を得るまでは一定の下積み期間が必要とされる厳しい現実があります。
心理の専門職として安定した実績を上げるためには、実習体制や就職実績が充実している指定大学院を選び、在学中から実習先や学会でのネットワーク(繋がり)を築いておくことが大切になります。
参考:臨床心理士になるには l 一般社団法人 日本臨床心理士会
臨床心理士の年収・収入について
臨床心理士の収入や雇用形態は、勤務先の領域(医療・教育・福祉・産業など)や実務経験、常勤・非常勤の違いによって大きく異なります。
一般社団法人日本臨床心理士会が過去に実施した動向調査などを参考にすると、雇用形態は「常勤のみ」が約半数(約48%)を占める一方で、「非常勤のみ」の割合も4割以上(約45%)にのぼります。
※「第7回臨床心理士会の動向調査」は以前は一般でもネット上で閲覧できましたが、現在はできません。
年収帯としては200万円〜500万円未満の層が主流となっていますが、勤務条件や担当するコマ数(コマ給・時給制)によって個人差が非常に大きいのが特徴です。
特にキャリアの初期段階においては、大学や病院、スクールカウンセラーなどを週数日ずつ掛け持ち(複数勤務)して経験を積むケースも少なくありません。
非常勤雇用が中心の時期は、契約更新の変動や初期の収入面で不安を感じやすい側面があるのも事実です。
一方で、実績や経験を重ねて病院や公的機関の常勤ポストに就いた場合や、産業保健分野(企業内カウンセラー)、私設心理相談での需要を確立した場合は、比較的安定した収入を得ている専門職も多く存在します。
高い専門性が求められる職種だからこそ、自身の目指す領域と雇用形態を見極めた長期的なキャリア設計が重要となります。
社会人からのキャリアチェンジ・再挑戦は可能?
心理職の分野では、他業種で社会人経験を積んだ後に大学院へ進学し、臨床心理士や公認心理師を目指す方も少なくありません。
一般企業の勤務経験や多様な人生経験(キャリアの転機、子育て、対人関係の葛藤など)は、カウンセリングにおいてクライエントの悩みに共感し、深い理解を示すうえで大きな強みとなります。
実際に、社会人入試枠や夜間・通いやすい日程を設けている指定大学院も存在し、社会人からの再挑戦ルートは確立されています。
ただし、社会人が心理職を目指す際には、あらかじめ理解しておくべき現実的なステップもあります。
大学院への進学には時間的・経済的なコストがかかるほか、資格取得直後はスクールカウンセラーや各種機関での非常勤勤務から実績を積み上げるケースも多いため、初期キャリアにおける収入や働き方の見通しを立てておくことが重要です。
新卒者に比べて主体的な情報収集や在学中からのネットワーク作り(実習先や学会での繋がり)が必要となりますが、自身の社会人経験という強みを生かした領域(産業心理、企業内カウンセラー、私設相談など)を見出すことで、年齢にかかわらず第一線で活躍している専門職は数多く存在します。
臨床心理士になるには
臨床心理士になるには?大学院進学が必須のルートと受験資格
臨床心理士になるには、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が実施する「資格審査(筆記・面接)」に合格する必要があります。
試験を受けるためには、まず以下のいずれかの受験資格を満たさなければなりません。
- 日本臨床心理士資格認定協会が指定する大学院(1種または2種)の課程を修了した者
- 臨床心理士養成に関する専門職大学院を修了した者
- 医師免許取得者で、必要な心理臨床経験2年以上を有する者
- 諸外国で指定大学院と同等以上の教育歴および必要な心理臨床経験2年以上を有する者
心理系大学院の入試とルートの現実
大学時代の学部・学科は問われませんが、大学院入試では専門知識(心理学)と外国語(英語)、さらに研究計画書の提出が厳しく求められます。
そのため、他学部や社会人から目指す場合は、まず通信制大学の3年次に編入するなどして基礎知識を身に付けてから大学院を受験するルートが一般的です。
かつてに比べて指定大学院の校数は増えたものの、国家資格「公認心理師」とのダブルライセンスを目指す受験生が増加しており、入試は現在も高倍率の難関が続いています。
📌 社会人からの挑戦と注意点
社会人入試や夜間・通信制大学院を開設する大学も登場し、挑戦の選択肢は広がっています。
ただし、通信制大学院は「すでに医療や福祉、教育の現場で実務経験がある人」を対象にしているケースが多く、一般の未経験者にとっては入学のハードルが非常に高いのが現状です。
さらに、週末のスクーリング(面接授業)への出席も必須となるため、働きながら目指す場合は長期的な計画と徹底した対策が不可欠です。
テキスト・問題集・参考書
おすすめ参考書
心理学の基礎をじっくり学ぶために最適な本です。図解も多く、心理学実験のコラムも豊富なため、心理学に興味のある方にはよい内容です。
説明が分かりやすくて、あまり心理学の知識がなくても理解できます。
当サイト運営者もこの本を図書館で借りて読んでみましたが、とても分かりやすかったです。
一つ一つの実験結果など、文字だけではなかなか理解ができないところをイラストと図解で解説しているので、イメージしながら興味深く読めます。
しかも、実験の内容がとても単純明快なので、心理学について全く事前の知識などなくても理解できます。
乳児や動物の行動パターンなどが実験結果としてところどころに出てきますが、解説が詳しく書かれていて興味深い内容になっています。
| 種類 | 評価 |
| 参考書 |
※公認心理師について書かれていますが、臨床心理士と共通する内容となっています。
2018年に第1回目の国家試験が実施された公認心理師、心理学系では初めての国家資格です。この新しい資格の役割や、なるための方法、合格後の活躍の場などについて多岐に渡って紹介しています。
漫画と文章でわかりやすくまとまっていて、そもそも公認心理師はどんな仕事をするだろうっていうところを知りたい人向けの本です。特に、将来カウンセラーの仕事に就きたいと思っている中高生向けです。
短時間で読めますが、少し情報不足のところもあります。まずは公認心理師などの心理カウンセラーという職業について知りたい人にはおすすめです。
| 種類 | 評価 |
| 入門書 |
試験情報
日程・出題内容・合格基準・その他
試験日
1次試験:10月初旬
2次試験:11月下旬
お申し込み
7月初旬~9月初旬
受験資格
所定の学歴(指定の大学院卒)が必要です。
試験会場
東京都
受験料
資格審査料:30,000円
※受験申請書類の請求料:1,500円、登録する際には5万円必要です。
試験内容
筆記試験・面接試験がおこなわれます。
【1次試験:筆記】
多肢選択方式試験:100題のマークシートによる解答(2時間30分)
論文記述試験:定められた字数の範囲内で論述する(1時間30分)
- 臨床心理査定
- 臨床心理面接
- 臨床心理的地域援助
- それらの研究調査
臨床心理士に関する倫理・法律等の基礎知識および基本的な姿勢や態度にかかわる設問も出題されます。
「論文記述試験」は、心理臨床に関する1題のテーマについて、所定の解答用紙に1,001字以上1,200字以内の範囲内で論述記載することが求められます。
【2次試験:面接】
2名の面接委員による「口述面接試験」で、受験者を個別に時間指定して実施されます。 単に専門知識や技術の習得度を確認するだけでなく、臨床心理士としての基本的な姿勢や態度、専門家として最低限備えておくべき人間関係能力の実際が問われます。
※2次試験は、1次試験合格者のみに実施します。
合格基準
合格点等は非公開です。
主催者情報
試験に関する詳しい情報は資格審査の実施|公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会をご覧ください。
