前回に引き続きまして、「企業が求める資格ランキングトップ10」についてツッコんでみたいと思います。
前回のブログ:「企業が求める資格ランキング」は本当?採用現場の実態と注意点
一級建築士が2位とか、宅地建物取引士が3位とか、そのあたりもツッコミどころ満載なんですけどね。
なんといっても、1位の簿記2級に続いて怪しいのは第4位の公認会計士です。

参考:公認会計士とは
公認会計士の業務は、大企業の外部監査

公認会計士の主な業務は企業の監査です。
かつては、東芝やオリンパス、カネボウなどの粉飾決算が世間を賑わせました。
本当は赤字の決算であるにもかかわらず、株主や世間を欺いて黒字の決算を作り上げたんです。
そういった不正がないよう、企業が作成した財務諸表(決算書のこと)が適正であるかどうかを第三者の立場からチェックするのが公認会計士の仕事です。
つまり、企業ぐるみの詐欺行為がないよう、第三者として外部からチェックするのが公認会計士の社会的な責任です。
企業が公認会計士を直接雇用する狙いとは?
第三者として外部の監査法人がチェックするワケですから、企業が公認会計士を直接採用したからといって、その人に自社の「外部監査」をしてもらうことはできません。
それは、自社の社員がチェックしても、対外的な効力はゼロだからです。
もちろん近年では、大企業を中心に「内部監査」や「CFO候補」「コンプライアンス」としてインハウス会計士を直接雇用するニーズ自体は高まっています。
雇用すれば「内部統制に力を入れている会社」としてPRもできますし、経理部門の幹部として大活躍してくれるでしょう。
では、なぜ企業がそこまでの高待遇で公認会計士を直接雇うのか?
実は、外部監査のためではなく、「上場(IPO)の準備」「M&A(企業の買収・合併)」「国際会計基準(IFRS)への対応」といった、極めてハイレベルな社内プロジェクトを引っ張ってもらうためです。
つまり、監査される側(企業)の「最強のディフェンダー」として迎え入れているわけです。
公認会計士の監査が必要になるのは一部の大企業のみ
しかも、監査が必要になるのは、資本金5億円以上または負債の合計金額が200億円以上の「大会社」です。
世の中の会社はほとんどが中小企業です。
一部の大企業や成長ベンチャーでは、社内プロジェクト(例:株式上場、M&Aなど)のために内部の公認会計士が必要かもしれませんが、圧倒的多数を占める中小企業においては、社内に公認会計士を雇う必要性も余裕もありません。
それを、企業が求める資格ランキングトップ10の第4位なんて・・・どう考えてもありえません。
企業が求める資格の4位が公認会計士であるのであれば、圧倒的に数も多い中小企業で必要となる税理士が第3位以上になるはずです。
ハローワークで公認会計士の求人を探してみました
では、実際に公認会計士の求人がどれくらいあるのかをハローワークインターネットサービスで検索してみました。
まず、条件を入れずに単純に求人数だけを調べます。都会だけに偏らないよう、就業場所を東京都と長野県にして検索すると、全求人は約10万件ありました。
その中から、公認会計士の資格を指定して求人情報を再検索します。
すると・・・なんとたったの22件しかありませんでした。
10万件のうち22件です。 しかも、そのうち6件は資格予備校の講師としての求人でした。
一般企業が求める求人は、実質16件程度と極めて少ないことがわかります。
もちろん、公認会計士のような超高年収の専門職は、ハローワークではなく民間の一流転職エージェント(ビズリーチなど)でクローズドに募集されるのが一般的です。
それを差し引いても、このハローワークでの少なさは「一般的な市場でのリアルな需要の狭さ」を物語っています。
求人数が極めて少ないにも関わらず第4位って、やっぱり変でしょ!
一部の上層マーケットでしか動かないような特殊な資格(しかも求人数の絶対数がこれだけ少ない資格)が、「企業が求める資格ランキング」の第4位に食い込んでくるなんて、どう考えても変ですよね。
ランキングや統計調査っていうのは、一体何を根拠にしているのでしょうか?
調査手法(回答者の主観アンケートなど)と、実際の求人市場の「実効求人数」には大きくかけ離れている感は拭えません。
一般のビジネスパーソンが参考にすべき求人実態とは完全にかけ離れています。
こうした「知名度」や「イメージ」が先行したランキングを鵜呑みにせず、実際の求人データや自分の目指す業界で本当に必要とされているかという実態を見極めることが大切です。

