スクールカウンセラーになるには?必要な資格を詳しく解説、社会人はほぼ無理です

教室で女生徒と話しあうカウンセラー

民間の心理系検定試験ではスクールカウンセラーに応募すらできません

将来スクールカウンセラーになりたいんですけど、どんな資格が必要ですか?

こんな質問を最近よくネット上で見かけます。社会人や大学生、高卒者だけではなく、どうやら中学生や高校生にも多いようです。

スクールカウンセラーになるには下記のいずれかの資格が必要です。

  • 精神科医
  • 公認心理師
  • 臨床心理士(民間資格)

精神科医になるには医学部で6年間勉強します。

公認心理師・臨床心理士になるには大学と大学院で計6年心理学について勉強して受験資格を得て、その後試験に合格しなければなりません。

それではじめてスクールカウンセラーに応募できます。

ユーキャンやキャリカレ、JADP、諒設計アーキテクトラーニングなどの通信講座で勉強して合格してもスクールカウンセラーに応募すらできません。

採用されることはまずありません。ご注意ください。

民間の心理カウンセラーの検定試験程度ではスクールカウンセラーにはなれません!

参考:公認心理師とは臨床心理士とは

目次

スクールカウンセラーになりたいという動機はさまざま

スクールカウンセラーっていう仕事は意外と人気があるようですね。知りませんでした。これが時代の流れというものなのでしょうか。

スクールカウンセラーになりたいと思う動機はさまざまです。

中には、現在うつ病や不登校の境遇にあり、自分が悩んだ分、大人になったらスクールカウンセラーになって今度は自分が悩んでいる子を支えたいという純粋な動機を持っている中学生もいます。

大学生や社会人になってから、なんとなくカウンセラー的な業務に憧れをもって就職先の一つとして考える人もいます。

けれど、ちょっと待ってください。

現実はそんなに簡単にスクールカウンセラーにはなれません。

夢を語るのは自由ですけど、思いつきでカウンセラーなどという仕事には就けないんです。

公認心理師・臨床心理士になるにはいずれも大学院まで進学して6年以上心理学について専門の勉強をしなければなりません。

大学院ということは修士か博士課程です。

精神科医であれば医学部で6年間勉強します。

世の中には民間の心理カウンセラー資格が氾濫

身振りをまじえて話す男性カウンセラー


ユーキャン、キャリカレ、日本能力開発推進協会 (JADP)、諒設計アーキテクトラーニング・・・こういった民間団体が心理系の検定試験をいくつも開催しています。

一例を上げると・・・

メンタル心理カウンセラー、上級心理カウンセラー、心理カウンセリング、メンタル心理アドバイザー、メンタル士心理カウンセラー、チャイルドカウンセラー、自己肯定感アップカウンセラー、家族療法カウンセラー、行動心理士、産業心理カウンセラー、うつ病アドバイザーなどなど。

まだまだいっぱいあります。次から次へと雨後の竹の子のように出てきます。

どれも30,000~60,000円程度する通信講座の受講が条件で、2~4か月ほどの勉強で合格できます。

多くは、まぁ、率直に申し上げて営利目的の単なる民間の検定試験です。資格商法的な講座も目立ちます。

どれも「資格」と銘打っていますが、単なる「検定試験」にすぎません。「無資格者」と同じ扱いです。

中には、「2か月ほどの勉強でプロの知識が身に付き、スクールカウンセラーとして働ける」みたいな宣伝文句で受講生を募集している講座もありますが、信じてはいけません。

心理系の検定試験を開催している通信講座の会社は、概ね「スクールカウンセラーになるために、特定の資格は定められていません」とうたって受講生を勧誘しています。

けれど、それは間違いです。

無資格でスクールカウンセラーになれるとしたら、大学で心理学を教えている教授や助教授、あるいは経験の長い教師、既に5年程度相談業務の従事している方などに限られます。

民間の心理系検定試験では応募すらできません。

社会人がスクールカウンセラーになるには、大学+大学院で計6年間心理学について勉強しなければなりません

現実的に・・・無理です。諦めてください。

全国の小・中学校にスクールカウンセラーの配置が進む。

全国の小・中学校にスクールカウンセラーを置くようになったは平成7年度(1995年)からです。

最初の年は全国で154校ですから各県で数校程度の配置です。その後、文部科学省指導の下で配置される学校は年々増えていきました。

現在も中学校を中心に全校配置が進んでいます。今後は、小学校と高等学校への配置も進むでしょう。

参考:スクールカウンセラーについて|文部科学省

では一体、どういった資格を持っていて、あるいは経験があればスクールカウンセラーに応募できるのでしょうか?スクールカウンセラーとして働けるのでしょうか?

その条件は下記の通り各自治体の募集要項で細かく定められています。

 スクールカウンセラーの募集要項を見れば一目瞭然

泣いている小学生と話す男性カウンセラー

スクールカウンセラーの募集は、各学校で行うのではなく都道府県と政令指定市によって行われます。

募集要項(応募資格)は県や市によって微妙に違いますが、概ね似た内容です。

募集要項について詳しく調べたいのであれば、yahooやgoogleで「スクールカウンセラー 募集要項」と入力して検索すればほぼ全ての自治体の募集要項が見られます。

埼玉県、群馬県、千葉市(政令指定都市)の例が以下です。

※なお、東京都および東京都の行政区は令和5年度に既にスクールカウンセラーの配備が完了しているようで、特別支援学校で募集を行っているようでした(2024年3月22日現在)。

スクールカウンセラー募集 埼玉県の場合

「令和6年度埼玉県スクールカウンセラーの募集について」の内容を見ると、下記のいずれかに該当すれば応募資格があると明記されています。

  • ア 公認心理師
  • イ 臨床心理士
  • ウ 精神科医

その他、大学の教授、既に相談業務の経験を有する者(一定年数以上)、医師等の例外はありますが、概ね上記の3資格のいずれかを有している人じゃないと応募できません。

つまり、繰り返し申し上げますが、ユーキャンやキャリカレなどの通信講座で心理系の民間資格を取得しても、応募すらできないということです。

「勤務条件等(予定)」の項目には労働時間や報酬についても書いてあるので、将来スクールカウンセラーになりたい人は是非参考にしてください。

スクールカウンセラー募集 神奈川県の場合

続いて神奈川県について調べてみます。

「令和6年度神奈川県教育委員会スクールカウンセラー採用候補者選考募集案内」(令和5年9月29日(金))締切の内容を見ると、応募資格を下記のように掲げています。

  • 公認心理師
  • 臨床心理士
  • 精神科医

募集人数50名程度となっています。

東京都内はほぼ配備が済んでいるため、現在は周辺の自治体でスクールカウンセラーの配置が進められているようです。

参考:令和6年度神奈川県教育委員会スクールカウンセラー採用候補者選考募集案内(pdf)

任用期間は令和6年4月5日(金)~令和7年3月21日(金)までです。報酬については1時間あたり5,000円です。

スクールカウンセラー募集 千葉市の場合

千葉市では、令和6年度に向けてスクールカウンセラーを募集しています。募集人数は予算次第となっていますが、令和5年度は80名を採用しています。

応募資格としては、やはり公認心理師か臨床心理士、精神科医、心理学に関連する学部・学科の教授、准教授または講師(常時勤務をしている者)などに限定しています。

もちろん民間の心理系検定試験では応募すらできません。

勤務条件、採用方法なども詳しく書いてあるので参考にしてください。

スクールカウンセラーになるには何を勉強すればいいのか?

では、中学生・高校生が、将来スクールカウンセラーになるために、将来に向けて今何をすればいいのか?

答えははっきりしています。

将来医学部へ進学するか、あるいは少しでもレベルの高い大学の心理系学部へ進学できるよう学校の勉強に精を出してください。

中学生であれば、まずは進学高校へ行けるよう学校の勉強に精を出してください。

精神科医になるには、医学部へ進学して6年間勉強しなければなりません。もちろん医師の国家試験もあります。

公認心理師・臨床心理士になるには、大学の心理系学部で4年間勉強して、その後大学院(修士あるいは博士課程)で2年以上専門の研究をします。

それでようやく受験資格を得て、その後試験に合格しなければなりません。

つまり、スクールカウンセラーになりたいのであれば、精神科医、公認心理師、臨床心理士のいずれかの資格を取得する必要があります。現実的には国家資格でもある公認心理師がおすすめです。

社会人がスクールカウンセラーになるには

では、社会人がスクールカウンセラーになるにはどうしたら良いのか?

結論を申し上げますと、まず無理です。諦めてください。

これから大学へ入り直して大学院まで進む覚悟があればスクールカウンセラーになれるかもしれません。

通信制大学+通信制大学院で学ぶという手段もありますが、現実的にはかなり困難です。

※その根拠については通信制大学・大学院は想像以上に厳しいをご覧ください。

無理そうであれば諦めてください。

スクールカウンセラーって思いつきでできる仕事じゃないんです。

中学生・高校生が民間の心理系資格の講座を受講しても、あまり意味はありません。もちろんそれは社会人や大学生でも同じです。

※臨床心理士は民間資格ですが、歴史も古く非常に公共性の高い資格として国家資格に準ずる扱いです。

心理学を学ぶには長い時間を要します。2か月程度じゃ無理

心理学は人間の心の理解であり、理解するには長い地道な研究の積み重ねが必要です。

通信講座で数か月(2~4か月程度)勉強しただけでは、心理学についての知識は身に付きません。

表面的な興味本位の理解では間違いを生じやすく、時には有害な行為の元になります。

短期間でプロののカウンセラーになれるなどと通信講座を宣伝するのは、あまりにも無責任な気もします。

民間の心理系の検定試験は、全てが詐欺だとか資格商法だなどと言っているのではありません。

知識ゼロの初心者が心理学について勉強するには多少効率がよいかもしれませんけど・・・

ただし、スクールカウンセラーにはなれませんのでご注意を!

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