「ダブルライセンス」っていう言葉、資格取得を目指す人であればよく耳にしますよね。
ダブル受験、Wライセンス・・・文字通り2つあるいは2つ以上、つまり複数の資格を持つことを意味します。
管理業務主任者とマンション管理士のダブル受験が人気のようです。
けれど、本当に1年でダブル合格を狙えるんでしょうか?
2年かけてダブル合格を狙うのが現実的です。
1年で管理業務主任者とマンション管理士ともに合格できる人はかなり少数です。
1年めは管理業務主任者に合格して、翌年は5問免除でマンション管理士を受験するのが理想的な作戦です。
関連資格:管理業務主任者とは、マンション管理士とは
管理業務主任者とマンション管理士のダブル受験が人気な理由
ダブル受験つまりダブルライセンスとして複数の資格取得を目指す理由は、資格の相乗効果を狙うという点です。
1つよりも2つ以上の資格を持っていた方が役に立つであろうという考え方です。
2001年にマンション管理士と管理業務主任者の2つの国家資格が新しく登場しました。
この2つは試験科目・出題範囲の多くが共通しており、類似する国家資格として知られています。
しかも試験日も近いことからダブル受験に挑戦する受験生が大勢います。
マンション管理士の試験は例年11月下旬、管理業務主任者は12月初旬です。
相乗効果というよりも、どうせなら一緒に取ってしまおうという考え方のようです。
本屋さんへ行くと、管理業務主任者とマンション管理士が一緒になったテキストや問題集をよく見かけます。
資格予備校や通信講座も「イッキにダブル合格」なんて宣伝して、最初からダブルで合格を目指す講座を開催しています。
1年でダブルライセンスが難しい理由
合格率は20%と9%、ともに難しい
けれど、前述の通り1年でダブルライセンスというのは現実的にはかなり難しいようです。
では、なぜ1年でダブル合格が難しいのか、根拠を説明します。
管理業務主任者の合格率は毎年20%ほどです。
仮に、管理業務主任者もマンション管理士もともに合格率20%台ならまだダブルライセンスも十分可能です。
ところが、マンション管理士の合格率は9%ほどです。管理業務主任者よりもさらに難しくなります。
合格率20%と9%ですから、難易度としては両試験はともに「難しい~難関」の部類に入ると言ってもいいでしょう。
管理業務主任者試験の合格者は、マンション管理士試験科目のうち「マンション管理の適正化の推進に関する法律の問題(5問)」が免除されます。
逆に、マンション管理士合格者も同様に管理業務主任者試験を受験する際には5問が免除になります。
1年でダブルライセンスとなると、11月下旬と12月初旬の両試験にともに合格しなければなりません。
この場合5問免除の制度は利用できません。
先に試験が実施されるマンション管理士の合格発表は翌年1月で合格発表が管理業務主任者の試験に間に合わないからです。
マンション管理士は管理業務主任者と比べても難しいので、マンション管理士に合格できる実力があれば、おそらく管理業務主任者は高得点で合格できるでしょう。
税金関係などはマンション管理士では出題がないので、試験後にその部分をプラスして管理業務主任者に向けて勉強をすれば十分合格点を取れるはずです。
マンション管理士が想像以上に難関
ところが、先に行われるマンション管理士の試験が想像以上に難関です。
合格率はずっと8~9%台で、難関の宅地建物取引士(合格率16%)よりもさらにさらに難関なんです。
参考:宅地建物取引士とは
そして、この合格率「9%」という数字にはさらに隠れた事実が存在します。
マンション管理士の受験生の中には、管理業務主任者に合格して5点免除を利用する受験生が大勢います。
つまり、5問免除という大きなアドバンテージを持って、さらに管理業務主任者試験に合格した実力も備えた受験生が大勢いるということです。
さらに申し上げますと、既に宅建士・行政書士・建築士などの有資格者がダブルライセンスを狙って大勢受験します。
そんな状況の中での合格率9%です。
もちろん、9%の合格者の中には2回め3年めの受験生も多くいます。
ダブル合格どころか、最初の受験でマンション管理士に合格すること自体難しいんです。
実際に、マンション管理士に合格する人は勉強時間に1~2年以上費やしています。
まず最初の1年でマンション管理士に合格することさえ難しいのに、さらに同年でダブルライセンスというのは超マレな存在です。
100人の受験生のうち1人、多くても3人くらいでしょう。
今では、難易度が若干低い管理業務主任者にまずは合格して、5問免除の特権を利用して少し有利な状態を作って翌年マンション管理士に挑戦する人がほとんどです。
実際にダブルライセンス達成者の多くは2年以上かけて合格にこぎつけています。
資格予備校の中には、管理業務主任者をまず取得して翌年は5問免除でマンション管理士を取得する作戦を当初より提案するところもあるようです。
もっとも、これには長く通ってくれた方が予備校も儲かるという理由がありますけどね・・・抜け目がないです。
最初から2年計画で試験にのぞむのが現実的
2つの試験は学習する範囲が重複した部分が多いからと言っても、出題の内容や問われる論点には若干の違いがあります。
全く別物の試験とまでは言いませんが、やはり試験としては違う内容です。
類似の試験を繰り返すのとはワケが違います。
両試験を一度に受験するのはなかなかハイリスクです。
「あわよくばダブルライセンス」どころか、両方とも失敗なんて最悪な結果になりかねません。
管理業務主任者+マンション管理士に限らず、他の資格でもダブルライセンスを狙うのであれば最初から無理せず長期的に考えましょう。
ダブルライセンスを狙うのであれば、多くの場合はじめから2つの試験を2年かけて段階的に狙う「2か年計画」が現実的です。
その方が結果的に早くダブルライセンスにつながります。
「二兎を追う者は一兎をも得ず」「急がば回れ」です。
人気のダブルライセンスは他にも
ダブルライセンスの例はたくさんあります。
代表例としては以下です。
- 行政書士+(社会保険労務士 or 司法書士 or 土地家屋調査士 or 宅建士)
- 司法書士+土地家屋調査士
- 税理士+社会保険労務士
例えば、司法書士と土地家屋調査士を持っていれば登記の業務が一人で全てできます。
一人で利益を独占できれば機会損失の防止につながります。
実際に、この2つの資格を一つの看板に掲げた事務所をよく見かけます。
行政書士+社会保険労務士、行政書士+司法書士の組み合わせも業務の幅が広がるので、有望なダブルライセンスです。
他の例は、ダブルライセンス(複数資格)でさらに効果アップ!にて多く掲載しているので参考にしてください。