国家資格化でどう変わる?日本語教師が抱える現場の実態と課題

黒板にチョークで書く女性教師

日本語教師という職業・資格をご存じでしょうか?

その名称の通り、外国人(留学生)に日本語を教える仕事です。

令和6年度よりようやく日本語教師の国家資格が誕生しましたが、それまでは国の基準を満たす民間資格(養成講座420時間修了など)の保有が、留学生を受け入れる「告示校」で教えるための必須要件でした。

令和6年4月からは「登録日本語教員」という国家資格制度がスタートし、今後はより厳格な管理が進むとされています。

しかし、民間のプライベートレッスンや一部の教室では現在も無資格で教えることが可能であり、業界全体の就労環境や資格のあり方には長い間、課題が指摘されてきました。

「日本で働けば稼げるから」と騙されて日本へやってくる外国人留学生が多く、日本で待っているのは「現代の奴隷労働」です。

そこには少なからず日本語教師が絡んでいます。

たまたま読んだ人間使い捨て国家(明石 順平著)で「日本語教師の役割」について書かれていたので紹介します。興味深い内容です。

目次

かつては参入ハードルが低かった日本語教師の民間資格

建設現場の外国人労働者

日本語教師は定年退職した元会社員や主婦に人気です。

教師って言えば聞こえ(世間体)がいいですからね。定年退職後に家でブラブラしているよりも、外国人に日本語を教えているって言えばなんとなくご近所にもカッコがつきます。

人に何かを教え、国際貢献にもつながる仕事として憧れを持たれる職業です。

かつて、国家資格化前の民間資格ルートは、合格率の低い国家試験などを経なくても、指定の日本語教師養成講座(420時間)を修了すれば要件を満たせる仕組みでした。

受験による選別がないため「時間と費用さえ確保できれば参入しやすい資格」という側面があり、これが参入ハードルの低さや質のバラつきにつながっていると指摘されてきました。

なお、当時は養成講座のほか「日本語教育能力検定試験への合格」などのルートもありましたが、当時は統一された国家資格が存在しなかったため、業界全体として標準的な品質管理が難しかったという背景があります。

2024年4月に「登録日本語教員」として国家資格化されましたが、既存の有資格者が全員自動的に移行できるわけではなく、経過措置講習や試験などの対応が求められています。

あるいは、少し難易度は高くなりますが日本語教育能力検定試験に合格しても日本語教師として認められます。

2024年4月に日本語教師は国家資格化されましたが、すべての日本語教師が登録日本語教員(国家資格)に自動昇格できるわけではありません。

コンビニ・建設現場などで見かける外国人労働者の驚きの実態

工場で働く外国人労働者

で、前置きはこれくらいにして・・・

最近は日本中のいたるところで外国人労働者を見かけます。

ホントここ数年多いですよね、いっぱいいます。コロナ渦で一時期は減ったような気もしますけど。

介護施設、建設現場、清掃現場、飲食店、コンビニ、カラオケ店、自動車修理工場、食品加工工場、レタス畑、ぶどう畑、遊園地、動物園・・・いたる所で外国人労働者を目にします。

特に、首都圏をはじめとした都会では、飲み屋、カラオケ、コンビニなど、店員がほとんど外国人みたいな店もあります。

建設現場の労働者全員が外国人労働者なんて現場も珍しくありません。

日本って外国人労働者の受け入れが厳しく制限されていたはずなんですけど、いつの間にか多くの外国人が働きに来ています。

その多くはベトナムをはじめとした日本よりも貧しい東南アジアの国の若者達です。

騙されて借金を背負って来日する東南アジアの若者達

驚くことに、実態は騙されて日本に来ている若者が非常に多いということです。

送り出す国側に仲介役となるブローカーがいて「日本へ行けば月に20~30万円稼げる」とウソをついて留学生を募集します。

あくまでも留学生という形です。単純作業の労働者ではありません。

本当にそれくらい稼げれば発展途上国の人達にとっては大金です。少しでも生活が楽になればと留学生募集に応募することになります。

もちろん日本へはタダでは行けません。渡航費、ブローカーへの手数料、日本語学校の授業料などイロイロとお金を請求されます。

金額としては150~200万円ほどになるケースもあるようです。

もちろんそんな大金なんて持っていません。親戚縁者友人知人などいろんなところから借金をしてなんとか必死の思いでお金をかき集めます。

そして、念願叶って「日本語を学ぶ留学生」として日本へやってきます。

働くのはついでであってあくまでも日本語を学ぶ留学生という形です。もちろんこれは建前ですけど。

日本で待っているのは過酷な長時間労働

その後日本で待っているのは、「現代の奴隷労働」と呼ばれるほど過酷で搾取されるだけの長時間労働です。

借金が残っているので辞めたくても辞められない、そんな状況で彼らは働き続けます。

そもそも留学生のアルバイトは「週28時間以内」という法的制限があります。

しかし、莫大な借金を返すために制限を超えて働かざるを得ず、結果として不法就労(資格外活動違反)のリスクを負わされたまま過酷な環境で働き続けるケースが後を絶ちません。

コンビニで接客している若い外国人にはそんな背景があったんですね・・・

そう言われてみれば、笑顔もどことなくぎこちないような・・・そう感じるのは私だけでしょうか。

一部のビジネス構造に組み込まれてしまう日本語教師の苦悩

実は「現代の奴隷労働」と言われる外国人労働者の実態の裏では日本語学校と就業先が結託していると言われています。

制度上(建前上)あくまでも日本語を学ぶ「留学生」として来日していますから、大学や専門学校、あるいは日本語学校などへ通わなければなりません。

そこで受け皿になっているのが日本各地にある民間の日本語学校です。

もちろん日本語学校だって営利目的の民間企業です。タダでは教えません。

留学生は「日本語学校の授業料」が必要となります。

働いて得るはずの賃金は、一部の悪質な仲介業者や学校において、不当な手数料や学費名目の搾取構造が存在することが問題視されています。

日本語学校で日本語を教えるのはもちろん日本語教師です。

もちろん、多くの日本語教師は「日本を嫌いになってほしくない」「言葉の壁をなくしてあげたい」という純粋な善意や情熱を持って教壇に立っています。

地域のボランティア教室などで活動する人々は、むしろ外国人の生活を支える存在です。

しかし、一部の悪質な日本語学校やブローカーが主導する「ピンハネの構造」の中で、現場の教師たちが知らないうちに、過酷な環境で働く留学生を繋ぎ止めるための「歯車」として利用されてしまっている側面があるのは否めません。

ちなみに、留学生は過酷な労働で疲れて、授業中は寝ている者も多いとか・・・

外国人受け入れ制度(技能実習など)に潜む構造的な闇

人間使い捨て国家』では、主に日本におけるブラック企業問題や労働環境の課題について解説しています。

外国人労働者に関する記述はその一部ですが、留学生と受け入れ側の実態について鋭く触れられています。

また、本書では留学生の問題にとどまらず、1993年に始まった「技能実習制度」など、日本の外国人労働者受け入れ制度全体に潜む構造的な課題についても指摘しています。

表向きは国際貢献を掲げながら、実質的には労働力不足を補う目的で運用され、過去には風評被害や不適切な説明によって福島原発の除染作業に従事させられていたケースが発覚するなど、大きな社会問題となりました。

※「留学生」と「技能実習生」は別の制度ですが、甘い言葉で誘惑され借金を背負って来日し、過酷な環境に縛られる構造問題は共通しています(※技能実習制度は今後「育成就労制度」へ移行予定)。

過去には学費が払えず留学生が700人失踪した事件も

2019年に明るみになった東京福祉大学で留学生700人が失踪した事件の背景にはこういった事情があるんです。

おそらく仕事が辛くて逃げ出したんでしょう。

実際には700人どころか1600人以上行方不明になったとも言われています。

※その後の調査で、約1万2千人の留学生を受け入れ、うち1610人が所在不明、700人が退学、178人が除籍になっていた事実が判明。

参照:留学生1600人不明 東京福祉大に受け入れ停止指導 | 日本経済新聞(2019年6月11日)

もちろんこの本に書かれている内容が全てだとは思いませんけど、ちょっと生々しい内容です。

日本の快適な労働環境で働いて、しっかり稼いで日本語も習得する外国人もいることを信じたいです。

「日本語教師の資格と取ろう!」なんて日本語教師養成講座の生徒募集のチラシをよく見かけます。SNSなどにも広告をよく見かけます。けれど、こんな現実が隠れているんですね。

日本語教師養成講座の受講料は数十万円かかることも多く、SNSやチラシなどで広く募集されています。

しかし、国家資格を取得すればすぐに安定した職業に就けると安易に期待して受講すると、実際の求人条件や現場の環境とのギャップに戸惑う人も少なくありません。

留学生側だけでなく、日本人の学び手側にとっても、資格の価値や業界の実態をしっかりと見極める目が必要だと言えます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次