自宅などで開業して心理カウンセラーの仕事をしたいと思っている人が多いようです。
しかも誰でも簡単に取得できるような民間の資格で。
例えば、ユーキャン、キャリカレ、JADP、諒設計アーキテクトラーニングなんかがやってる検定試験です。
はたして現実はどうなんでしょうか?
民間のカウンセラー資格程度で開業しても客なんて来ません。つまり儲かりません。
甘い、甘い!考え甘すぎ~
短期間で取得できる民間の心理系検定試験などそもそも相手にされません。開業するなんて言ったら周囲に笑われます。
え?やってみないと分からない?!イヤイヤ、そんなの火を見るよりも明らかですよ!
カウンセラーの仕事をするのであれば最低でも下記の資格が必要です。
- 精神科医(国家資格)
- 公認心理師(国家資格)
- 臨床心理士(民間資格)
仮に持っている人であれば自宅で起業なんて考えすら起きませんけどね。
怪しいナゾの心理系民間資格が世の中にはいっぱい!
人の深層心理を読んでカウンセリングによって悩みを解決する・・・
悩める人を笑顔に導く仕事、しかも人の役に立てる仕事。本当であればカッコいいですよね!
ところで、世の中には怪しいだけの心理系の検定試験(民間資格)がたくさんあります。
メンタル心理カウンセラー、メンタルケアカウンセラー、メンタルヘルスカウンセラー、ケアストレスカウンセラー、メンタル総合心理カウンセラー、メンタル心理ヘルスカウンセラー、上級心理カウンセラー、メンタルケア心理士、認定臨床心理療法士、青少年ケアストレスカウンセラー、行動心理士、ポジティブ心理学実践インストラクター、自己肯定感アップカウンセラー、臨床発達心理士、交流分析士、学会認定カウンセラー、応用心理士、チャイルドカウンセラー・・・?
まだまだいっぱいあります。まさに魑魅魍魎、奇々怪々・・・ホント見てるだけで笑っちゃいます。
ポジティブ心理学実践インストラクターって何モン?
とりあえず「頑張れ~」って言い続けるのでしょうか?
いっぱいありますけど、どれもどんぐりの背比べ・・・決してレベルは高くありません。
もちろん開業したって誰も来やしません。
開業して客が来るとしたら常識的に考えて精神科医くらいです。
心理カウンセラーを目指す主な理由
心理カウンセラーを目指す人の理由は様々ですが、多いのが下記のような理由です。
- 周囲に心の病を患っている人が多いから助けたい
- うつ病患者の少しでも役に立ちたい
- 自分が同じような経験をしたので役に立ちたい
カウンセラーは立場上、患者さんから見たら「先生」です。
上から目線的な立場で仕事ができるというのも魅力の1つだと思います。
1億総うつ社会と言われるほど心の病を患っている人は多くいます。
これからもうつ病などの患者が増えそうだから需要がありそうと将来性を考える人もいます。
まぁ、理由はどうであれ、人の役に立ちたいというのは立派な動機かもしれません。
無資格でも心理カウンセラーと名乗ってOK
実は、カウンセラーとして仕事をするのに特に資格はいりません。
それで、誰でも簡単に開業できると考えているのではないでしょうか。
もちろん心理カウンセラーと名乗って、お金をもらっても何ら違法ではありません。
つまり、占いの相談料みたいなモノです。
世の中には、離婚カウンセラーとか、恋愛カウンセラーなんていう人もいますが、特に資格があって独立開業しているわけではありません。
多くは占い師みたいな感覚で主にネットを使って副業程度に活動しています。
心理カウンセラーになるための条件は相当厳しい
心理カウンセラーの活躍する場所は、例えば学校や職場などです。
文部科学省の方針で、小中高校にスクールカウンセラーを配置する事業も進められています。
全国の小中高ですから相当な数です。それだけ需要は間違いなくあります。
そこで、インターネットハローワークで「カウンセラー」に関わる仕事を探してみると、下記のような内容の求人がいくつか見つかります。
- 小中高校のスクールカウンセラー
- カウンセリングセンターのカウンセラー
- 小児患者のカウンセリング及び心理検査、生活支援
- 児童養護施設に入所する児童の心理療法を行う仕事
- 思春期デイケア勤務・各種心理検査
探すと意外と多くあります。
しかし、応募の条件が相当に厳しい!
生徒の人生を左右しかねない重大な任務です。
当然ですが誰でもできるワケじゃありません。
求人の内容には、応募資格が細かく記されています。
例えば、小中校のスクールカウンセラーになるための資格要件について、文部化は下記のように述べています。
Q3.スクールカウンセラー(SC)の選考に当たり、必要な資格はありますか。
A3.スクールカウンセラー等活用事業実施要領においては、SCの選考に当たり、以下の
資格等を求めています。参考:スクールカウンセラー等活用事業に関するQ&A|文部科学省初等中等教育局児童生徒課(pdf)
- 公認心理師
- 公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会の認定に係る臨床心理士
- 精神科医
- 児童生徒の心理に関して高度に専門的な知識及び経験を有し、学校教育法第1条に規定する大学の学長、副学長、学部長、教授、准教授、講師(常時勤務をする者に限る)又は助教の職にある者又はあった者
- 都道府県又は指定都市が上記の各者と同等以上の知識及び経験を有すると認めた者
つまり、簡単に言うと、公認心理師か臨床心理士か医者、あるいは大学の心理学部の教授・助教授じゃないと心理カウンセラーには採用されません。
⑤の条件は、大学や短大の心理学部を卒業し、その後概ね5年以上教育現場での相談業務が必要です。
全国どの自治体でもカウンセラーの募集については上記のような資格要件である場合がほとんどです。
つまり、スクールカウンセラーになるには民間資格ではありますが臨床心理士、あるいは国家資格である公認心理師であることがほぼ条件となっています。
無資格者でスクールカウンセラーになれる可能性があるとしたら、心理学系の学部を卒業した人(認定心理士)くらいです。
短期間で取得できる民間の心理カウンセラー資格では話しにならない
残念ですが、数か月の通信講座で取得した程度の心理カウンセラー資格ではカウンセラーとして採用されることはありません。
自治体が募集するスクールカウンセラーには応募すらできません。
通信講座で数か月独学で勉強して、添削課題を提出して、自宅で試験を受けて合格した!などという程度の資格では、応募条件にすら該当しません。
履歴書に書いて応募したら、「募集要項をよく読めよ!」って笑われれる可能性すらあります。
民間のカウンセラー資格を持っているからといって採用する学校や病院、会社などはまずありません。
つまり世間一般的には民間の心理カウンセラー資格程度では「カウンセラー」として認められていないということです。
実際は、専門家でも仕事が少ないという厳しい現実
心理医療、心理職、心理カウンセラーのプロとして働きたいのであれば、臨床心理士か公認心理師にならなければなりません。
とは言え簡単にはなれません。例えば臨床心理士になるには、大学4年とさらにその上の大学院へ進学して2年間、つまり6年間は心理学の勉強が必要です。
大学院卒ですから、修士か博士課程です。
長い長い道のりです。これくらい勉強しないとカウンセラー業務は難しいということです。
しかし、心理系の学部は人気が高く臨床心理士は世の中に多くいます。
臨床心理士の数のワリには正規の職員の募集が少なく、非常勤や臨時の仕事をしている臨床心理士も多くいます。
カウンセラーの仕事をあきらめる人も少なからずいます。
専門の過程で心理学を学んだ専門家でも心理カウンセラーの仕事を見つけるのは難しいということです。
民間の通信講座で短期間勉強しただけの「なんちゃってカウンセラー」ではほとんど不可能だといえます。
自宅でカウンセラーとして開業しても誰も来ませんよ
一般的に、誰でもうつと思われる症状が現れたら、まず相談に行くのは精神科医です。
医者に話しをして、そこで手っ取り早く薬を処方してもらうのがほとんどだと思います。
通院あるいは症状によっては入院するでしょう。
そこで臨床心理士などの専門のカウンセラーの相談を受けたり、理学療法士や作業療法士とレクリエーションなどの軽作業をする場合もあります。
よほどのことがない限り個人で開業している心理カウンセラーのところへは誰も相談に行きません。
ましてや、通信講座で数か月勉強して開業している程度であれば誰も相談なんかしません。
ボランティアで無料の話し相手なら別ですけどね。
民間の資格で心理カウンセラーになりたいという気持ちは分かりますけど、考えが甘すぎます。
民間のカウンセラー資格を取得すれば「プロとして独立開業や副業などにも活かせます」などいう誇大な宣伝文句がネット上には溢れています。
けれど、はっきり言って独立なんてしても儲かりません。その気になって開業なんてするとエラい目にあいます。
繰り返し申しあげますけど、カウンセラーとして自宅で起業しても決して儲かりません。誰も相談には来ません。
通信講座の甘い宣伝文句に騙されてはいけません。