医療事務の民間資格って実は取得する意味やメリットは少ない

病院でパソコンを操作する女性事務員

人気の医療事務講座、実態は通信講座の受講生募集が目的

女性に人気の医療事務と呼ばれるお仕事(民間資格)があります。

資格を取得すれば「就職や転職が有利になる」「一生モノのスキルで全国どこでも役に立つ」なんて言われていますが、本当なんでしょうか?

率直に申し上げまして、医療事務の民間資格に合格して履歴書に書いたところで就職は有利にはなりません。つまり、採用の決め手にはならないということです。

多くは通信講座の受講生集めの宣伝文句です。採用は実務経験者優遇で、他は学歴・年齢・容姿・面接時の印象なんかで決まります。

医療事務を受験する条件として、ほぼどこも3~6万円ほどする通信講座の受講がセットになっています。独学で受験できるものはごく一部です。

簡単に取れることをウリにしただけの資格商法的な講座が多いので要注意です。

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所詮民間資格、無資格者と同じ扱い

あえて名称は記しませんが、「医療事務」と呼ばれる民間資格の講座が世の中に数多く存在します。

ユーキャン、ニチイ、キャリカレ・・・いろんな会社が独自の講座を運営しています。

もちろんこういった講座を全て否定するワケではありません。中には有意義な講座もきっとあるでしょう。

しかし、医療事務と言っても所詮は統一された基準などもない民間の検定試験にすぎません。

資格でもなんでもないということです。

国が認めた資格ではないので、持っていても持っていなくても扱いは同じです。誰にでも医療事務の仕事はできます。

誰でも短期間で合格できる民間資格の価値は?

どの医療事務講座にもほぼ共通して言えますが、誰でもお金を払って講座を申し込めば短期間で合格できます。

試験というのは名ばかりで、「お家で受験」「在宅受験」というのが主流です。

教材と最終の試験問題が一緒に送られてくる通信講座もあります。

試験は本人確認などの必要もなくカンニングし放題なので普通にほぼ全員が合格できます。不合格になる方が不思議です。

中には、10万円ぐらいの受講料を支払って最短5日間で取得可能なんていう講座もありますけど、私には資格商法にしか思えてなりません。

さて・・・こういった民間資格にどれほどの価値があるのでしょうか?

少し考えれば、常識的に分かりますよね。

これで就職や転職が有利になったり給与がアップするのでれば、ホント楽な社会です(笑)!

医療事務の講座を受講して、IDカードのようなそれっぽい合格証を手に入れて、なんとなく資格をゲットしたしたような気分になって、履歴書に書いてPRして・・・

そりゃ中には採用される人もいるでしょう。ゼロとは言いません。けれど、医療事務の民間資格で採用が決まるとは考えない方がいいです。

病院が評価するのは専門性の高い国家資格

病院(つまり採用する側)が資格として認めているのは、合格までに長い時間を要する専門性の高い国家資格のみです。

例えば、医師、看護師、薬剤師、診療放射線技師、理学療法士、管理栄養士、精神保健福祉士などです。

これらの資格を手に入れるには数年にわたって専門の教育を受けなければなりません。それでようやく受験資格を得て、その後国家試験に合格しなければなりません。

一方、医療事務は無資格者でも誰でもできる専門性の低い仕事です。

資格と言っても法律的な根拠のない民間資格なので、病院は資格として認めていません。資格手当の対象にはなりません。

大手通信講座の会社の中には、「医療事務の資格を持っていれば高度なレセプト作成の仕事を任されて資格手当も支給される」なんて誇大な宣伝をしているところもありますが、まるで根拠はありません。

繰り返しになりますが、医療事務の民間資格に合格しても就職・転職は有利になりません。

給与などの待遇が良くなるなんてことも期待できません。

医療事務の求人の多くは「資格不問」

病院の受付で男性の対応をする女性事務員

では、何を基準として医療事務の職員を採用するのかというと・・・

実際は、医療事務の資格など関係のない別のところで決まります。

どの医療事務の求人を見てもほぼ「経験者優遇」となっています。わざわざ「資格の有無は問いません」と明記してある求人も少なくありません。

この場合、概ね2年以上医療事務の経験があればかなり採用は有利です。

まずは経験者、次は学歴・年齢・容姿など

しかし、実務経験者の応募はとても少ないです。では次に何で判断するのかと言えば、学歴、年齢、容姿、面接時の印象などです。

医療事務とは簡単に言うと「治療費の請求業務」です。お金に関わる業務ですからそこには正確さが求められます。計算間違いや請求漏れなどは極力抑えなければなりません。

そこで、基礎学力が高い人、つまり頭の良い事務処理能力の高い人が求められるワケです。

その判断材料のひとつが学歴です。

国公立大学卒や難関私大卒であれば採用は有利です。高卒であっても、地元の有名進学校卒であれば有利です。

残念ながら偏差値40程度の地元の三流私立高校卒であれば、医療事務の資格をいくつ持っていても採用は厳しいでしょう。

言いづらいことですけどこれが現実です。

面接時の印象なども重要

最近の医療事務はパソコンで処理するのがほとんどなのでパソコンに慣れている人の方が採用は有利です。

さらに、面接時の印象つまり容姿や年齢なんかで採用は決まります。

医療事務と言っても多くの場合病院の受付け業務もします。つまり、病院の窓口になるので容姿なども重要となります。

「笑顔がステキな美人は有利」これは否めません。

くだらない民間資格よりも、清潔な服装と髪型で明るい笑顔で面接に臨む方がよほど重要です。

通信講座に高いお金を払うのであれば、白いシャツと上品なスーツを揃える方が有意義なお金の使い方だと私は思います。

中には評価の高い医療事務の試験もある

これだけ書くと医療事務の試験は全てが無意味で価値がないと思われてしまいそうです。

けれど、中には評価が高く採用が有利となる可能性のある試験もあるので紹介します。

例えば、診療報酬請求事務能力認定試験です。

この試験は厚生労働省が認定する「公的資格」であったため医療機関からの評価も高く実務経験者が取得すれば転職が有利になるメリットがあります。

※公的資格の制度は2005年に廃止となりました。

難易度は高く半年以上の勉強が必要です。試験は会場での全国一斉の統一試験です。自宅受験ではないので試験の信ぴょう性が保たれています。

もちろん受験資格は問われないので、指定通信講座を受講する必要もありません。独学で受験できます。

この資格の合格者であれば採用を優遇する求人も少なからず見つかります。

医療事務の勉強をしたいのであれば、おすすめかもしれません。

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