日本語検定のメリットは?大学入試で優遇されるケースもある
種類 | 難易度 | 合格率 |
民間資格 | やや易しい | 50% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
誰でも受験可 | ~1万円 | — |
活かし方 | 全国の求人数 | おすすめ度 |
入試でPR | 9件※ |
- 外国籍の人を対象に「日本語検定合格」が就業の条件となっている求人が9件ありました。
- 難易度・合格率等は3級の数字です。勉強期間は省略します。
- 全国の求人数は、ハローワークの情報を基に2024年7月31日に集計。
日本語検定は、本来は日本語を話す日本人向けの検定試験です。
しかし、外国籍の人が日本で働く際に「日本語検定合格」が就業の条件となっているケースがあるようです。
日本人が履歴書に記載して就職や転職が有利になるメリットは少ないですが、2級以上で評価する企業があります。
また、大学入試で優遇されるケースもあります。
1級の難易度はかなり高いです。
日本語検定とは
受験生の多くは我々日本人
日本語検定とは、日本語の正しい知識と使い方を測定する民間の検定試験です。
普段何気なく使っている日本語をどこまで正しく理解して使いこなしているのか、日本語の総合的な能力をどこまで身に付けているのかを試験で測ります。
日本語検定の学習を通して正しい日本語を身に付ける狙いもあります。
主な受検対象は「日本語を使うすべての人」です。
大人から子どもまで、日本人であろう外国人であろうと、日本語を使う機会のある人であれば誰でも受験できます。
受験生の多くは我々日本人ですが、日本語の実力を試すために外国人留学生の受験も増えています。
日本語検定は2007年からはじまり、毎年6月と11月の年2回実施されています。
年間の受験者数は約10万人を超えていますが、漢字検定の年間200万人以上の受験者数には遠くおよびません。知名度もまだ低いです。
日本語を学習している外国人を対象とした「日本語能力試験」とよく混同されますが全く別モノです。
※日本語能力試験(JLPT)とは、外国人を対象とした試験で、N1・N2・N3・N4・N5の5段階のレベルが設定されています。
主催者サイト:日本語検定|日本語検定委員会
役に立つ資格なのか?
日本語検定は、日本語を話す日本人向けの検定試験です。
取得してどう活かすかは別として、あくまでも自身の日本語の能力をアップするための学習の良い機会と考えるべきでしょう。
合格することで価値が生まれる検定試験ではありません。
社会人として日本語検定3級相当の知識は要求されます。
3級を取得すれば、社会人になったときに対人関係で恥をかかないレベルの正しい日本語を身につけている証明にもなります。
2級まで合格すると、周囲の人の日本語の乱れを感じ取るくらい正しい日本語が身につきます。
英会話に夢中になるのもよいのですが、まずは足元の日本語を見つめ直す良い機会かもしれません。
就職や転職に活かす試験ではない
日本語検定とは、あくまでも自分の日本語の能力を高めるための検定試験です。
当然ですが、この試験に合格したところで何か特別な仕事ができるわけではありません。
我々日本人が履歴書に記載しても、就職や転職が有利になることはありません。
ただし、大学生あるいは高校生の新卒で日本語検定3級(2級)以上の合格者であれば、一部の企業では就職の際に多少なりとも有利になる可能性はあります(後に詳しく解説)。
業種としては、出版関係かそれに類する業種です。
将来性について徹底研究
この民間資格の活かし方
一部の企業では、採用する際に日本語検定の合格者格者を優遇しています。
詳しく調べてみました。
例えば、試験を主催する日本語検定委員会のホームページを見ると、「資格保持者を優遇する企業・団体」の一覧が掲載されています。
なんらかの形で資格保持者を優遇する企業・団体が全国で118社ありました(2024年2月現在)。
「東京都」で検索すると、全部で78社が出てきます(2024年2月現在)。ほとんどが大企業です。
78社の中では14社が出版あるいはそれに類する職種の企業です。
78社の内訳を見ますと、『参考にする:52社、優遇する:19社、加点する:7社』となっています(※参考・優遇ともにする企業が1社あり、優遇に入れました)。
「参考にする」という52社ですが、その判断基準は明確にはなってません。
「優遇する・加点する」という明らかに採用時に優遇するというという企業は東京都では24社あります。
78社のうち、優遇する級を指定している企業は11社です。多くは「3級以上」ですが、「1級以上」と記載している企業が4社ありました。
具体的に級まで明記してあるということは、就活の際に履歴書に書けばそれなりに判断材料として見られます。
ただし、採用に関しては日本語検定の取得級よりも優先される事項はたくさんあります。
学歴や面接時の印象などです。仮に日本語検定2級に合格しても採用の決定打にはならないでしょう。
日本語検定1級の難易度はかなり高い
日本語検定は、難易度の目安として1~7級に分かれていますが、3級が平均的なレベルです。
最難関の1級になると合格率は1~9%程度です。数字だけを見てもかなり難易度の高い試験であることがわかります。
3級は理解していないと恥ずかしい常識レベル、2級は教養のある社会人レベルです。
それ以上の1級ともなると、見たことのない漢字や熟語、聞いたことのない言葉が多く出題されます。
1級は真剣に学習しないとなかなか合格できません。
とはいえ雑誌・新聞の編集者になるにしても2級で十分という気はします。
社会人として役立つ知識を身につけるのが目的であれば2級で十分でしょう。
合格者を優遇する大学もある
日本語検定の有資格者は、就職の際に優遇する企業があると説明しましたが、大学入試で優遇されるケースもあります。
先程のサイトでタブを「学校」、区別を「大学」にして検索すると、優遇措置を実施する大学として全国で110校が出てきます。
私立の大学がほとんどですが国公立大学も含まれています。
多くは、AO入試・推薦入試の際に、出願する際の「優遇条件、出願優遇、合否判定考慮」という評価内容となっています。
出願して合否判定の際にどれくらい点数がアップするかなどの細かな基準は明記されていませんが、優遇する可能性があるということです。
入試優遇する学部を指定していない大学が多いのですが、内容が日本語検定ですから文学部や人文学部と指定している大学もいくつかあります。
将来、文学部の日本語学科系へ進んで、日本語について深く学んでみたい、あるいは海外や日本の大学で日本語を教える教師になりたいという希望があれば、日本語検定は大学入試の際に役に立つかもしれません。
中には「一芸一能推薦入試の出願条件」としている大学もあります。
日本語の堪能さを一芸としてアピールするのであれば、日本語検定1級に合格しました!ということ以外にも相当に高いレベルの「一芸」が要求されるはずです。
履歴書に書くと外国人留学生と誤解される可能性も!
「日本語検定3級取得」などと履歴書に記載すると、面接担当者に誤解される可能性があるので要注意です。
それは、見る人によっては日本語検定を、外国人が日本語の習得度合いを判定する試験である「日本語能力試験」と勘違いするからです。
実際に両者を混同している人は少なからずいます。
「日本語検定取得」と履歴書に書いたばかりに、日本語を学習中の外国人と見られるのです。
特に「秦」さん「菅」さんのように、名字が漢字一文字であると誤解されやすいようです。
笑えない話ですね。
面接の際に気付いて誤解がとければいいのですが、最悪の場合、書類選考で落とされるかもしれません。
合格するには
単なる暗記じゃ得点できない
日本語検定には1級、2級、3級、4級、5級、6級、7級があります。
そして得点率に応じて各級に2種類の認定があります。つまり1級でも準1級と1級に分かれています。
一般的には3級が平均レベルです。級の目安としては以下の通りになります。どの級からでも受験できます。
- 1級:社会人
- 2級:社会人・大学生
- 3級:社会人・大学生・高校生
- 4級:高校生・中学生
- 5級:中学生・小学校 高学年
- 6級:小学校 中・高学年
- 7級:小学校 低・中学年
日本語検定は「敬語」「文法」「語彙」「言葉の意味」「表記」「漢字」の6分野から出題されます。
これを「6領域」と称しています。プラスして読解問題などの「総合問題」も出題されます。
日本語検定は、日本語の総合的な理解を測る検定試験です。単なる漢字の読みだけでなく、敬語や語彙など幅広い領域から出題されます。
どの領域も普段意識して使っていないと難しい内容です。単なる暗記では得点できません。
受験する際はまずは自信のある級を選びましょう。
日頃から正しい日本語を意識する必要がある
日本語検定は暗記問題では解けないので、普段から新聞や本をよく読むという心がけが必要になってきます。
問題集を解いたからすぐに合格というワケにはいきません。日頃から自分の話す日本語、周囲の人が話す日本を意識するとよいでしょう。
3級で大半の人が苦戦する部分は「語彙」です。しかし日本語を正しく理解するために絶対的に避けて通れない領域です。
高校の現代文が理解できていればそれほど難しくはないですが、大人になるにしたがって悪い日本語が身についていると難しく感じるでしょう。
テキスト・問題集・参考書
おすすめテキスト・基本書
日本語検定委員会の唯一の公式テキスト+例題集です。
6領域(敬語、文法、語彙、言葉の意味、表記、漢字、すべて)を、試験のレベルごとに解説しています。
試験を受ける前に、日本語の能力を高めるために大切なポイントをこの本を通して学べます。
種類 | 評価 |
テキスト&問題集 |
おすすめ問題集
日本語検定委員会の公式練習問題集です。
公式テキストですが、残念なことにこれ一冊では合格は難しいようです。やはり日頃から新聞や本をよく読むという心がけが必要になってきます。
本の厚みは相当薄く、掲載されている内容も少なくなっています。
この問題集に出ている内容からほとんど出題されません。残念な内容となっています。
種類 | 評価 |
問題集 |
日本語検定委員会の公式過去問題集です。
令和5年度実施の日本語検定の過去問題2回分を収録しています。
出題傾向や検定試験の内容を確認するには適した参考書兼問題集です。
種類 | 評価 |
過去問題集 |
おすすめ参考書
全く日本語検定とは関係ないですが、当サイト管理人がおすすめする本です。
世界には言語は5000くらいあるそうです。日本語はその中の1つの言語ですが、実は使っている人は多く、世界で6番目に使われています。その日本語とは一体どういう言語なのかを知るには最適な本です。
この本は、まずは日本語が世界の言語とどう違うのかを、発音や語彙から、例を用いながら具体的説明しています。語学の勉強だけでなく、文化や歴史を学ぶ上でも参考になります。
日本語の間違いや正しい使い方を指摘している参考書的な内容ではなく、記述文法(実際に使われてる形)の立場に立って、「正しい使い方」とか「間違った使い方」とは言っていないところがこの本の優れている点です。
活字が小さく当然漢字も多いので難解そうですが、実はわかりやすく書かれていて面白く読めます。上下2巻です。金田一春彦先生、さすが!と言いたくなるような傑作です。
種類 | 評価 |
関連書籍 |
試験情報
日程・出題内容・合格基準・その他
試験日
年2回、6月と11月に実施
お申し込み
第1回:3月上旬~5月中旬
第2回:8月上旬~10月上旬
受験資格
受験資格の制限は一切なく、どなたでも受験できます。
試験会場
全国各地
受験料
- 1級:6,800円
- 2級:5,800円
- 3級:4,300円
- 4級:3,000円
- 5級:2,300円
- 6級・7級:2,200円
※2024年4月1日現在
試験内容
- 敬語:場面や相手に応じて尊敬語や謙譲語を使い分ける
- 文法(言葉のきまり):規範的な文法にしたがって語と語を連想する
- 語彙:さまざまな言葉を正しく理解し適切に使う
- 言葉の意味:慣用句などの意味と用法
- 表記:漢字、仮名遣い、送り仮名について
- 漢字:漢字や熟語の読み方と意味
上記6領域+総合問題です。
(1級+2級)(3級+4級)のように複数級の併願受検も可能です。
合格基準
- 1級:総合得点率80%程度以上
- 準1級:総合得点率70%程度以上
- 2級:総合得点率75%程度以上
- 準2級:総合得点率65%程度以上
- 3・4・5・6・7級:総合得点率70%程度以上
- 準3・準4・準5・準6・準7級:総合得点率60%程度以上
※1~準6級において、得点率が50%に満たない領域がある場合は認定されません。
主催者情報
試験に関する詳しい情報は受検概要・日程|日本語検定をご覧ください。