資格は業務独占・名称独占・必置資格・技能検定に分類
資格を分類すると、業務独占資格、名称独占資格、必置資格、技能検定に分けられます。
しかし、この分類は必ずしも明確ではありません。
この4種類は全く別のものではなく、区別は曖昧です。ダブっている資格も少なくありません。
例えば、宅地建物取引士などは、業務独占資格であって名称独占資格でもあり、よく言われるように必置資格です。
医療系専門資格の臨床検査技師、臨床工学技士、診療放射線技師などは名称独占資格とも業務独占資格とも言われています。
どの分類にも当てはまらない民間の資格(検定試験)は、当サイトでは民間資格・検定試験として扱っています。
資格の分類
業務独占資格とは
業務独占資格とは、資格を有する者だけが特権的に業務(独占業務)を行うことができる国家資格のことを言います。
危険物取扱者しか危険物は扱えませんし、司法書士でないと不動産に所有権の登記はできません。
健康保険や厚生年金保の険資格喪失届や資格喪失証明書の発行手続きは社会保険労務士の業務です。無資格者がこれらの業務を行うと法律により罰せられます。
業務独占資格の多くは専門性を有するため、合格までに長い勉強時間を要します。しかし、短時間で合格できる国家資格もあり、社会人でも狙える資格が多くあります。
誰にでも参入できない業務を有資格者のみが独占して行えるため、独立を目指す人にはおすすめです。
資格を有していることで専門性の高い仕事に就業することができ、社会的な信用度も高いです。
民間資格には業務独占資格は存在しません。
主な業務独占資格一覧
行政書士 司法書士 社会保険労務士 弁理士 土地家屋調査士 不動産鑑定士 宅地建物取引士 税理士 公認会計士 危険物取扱者 消防設備士 電気工事士 ボイラー技士 通関士
名称独占資格とは
名称独占資格とは、資格取得者のみが特定の資格名称(肩書き)を名乗ることができ、資格を所有していない者がその名称を名乗ることができないない資格のことをいいます。
つまり、独占的にできる業務はありません。
例えば、中小企業診断士は名称独占資格の代表格でが、中小企業診断士の資格がなくても中小企業の財務状況を調べることは誰にでもできます。
しかし、資格を持っていない者が、中小企業診断士と名乗って中小企業の財務状況を調べたりすることはできません。
国によるお墨付きがあるので、信頼度は絶大で将来独立も十分に可能です。名称独占資格の多くは難関で、取得するのも大変です。
実際の業務にあたっては専門性が高いため、資格を取ってからも実務的な勉強が必要になります。
主な名称独占資格一覧
中小企業診断士 基本情報技術者 ITパスポート 測量士補 マンション管理士 技術士(補) 栄養士 調理師 司書・司書補 保育士 介護職員初任者研修
必置資格とは
必置資格とは、事業をおこなう際に、必ず1人以上資格を持っている者を置かなければならないと国の法律により義務づけられている資格です。
なんと言っても必置資格の代表格は宅地建物取引士です。宅建の資格を持った従業員がいないと不動産業は営めません。
必置資格の多くは同時に業務独占資格でもあります。宅地建物取引士は必置資格であるのと同時に業務独占資格です。
他にも、管理業務主任者、貸金業務取扱主任者、登録販売者も必置資格になります。
社内で必置資格の取得を奨励したり義務付けたりしている企業も多くあるため、資格手当などを受けられる場合も多いです。また、転職においても有利であることが多いのでおすすめです。
主な必置資格一覧
宅地建物取引士 管理業務主任者 賃貸不動産経営管理士 衛生管理者 ケアマネジャー 貸金業務取扱主任者 エネルギー管理士 電験三種 運行管理者 旅行業務取扱管理者
技能検定とは
業務知識や技能などを国が評価する制度です。この技能検定に合格しなければ特定の業務に就けないのはなく、その業務に就いている人の技能を判定する制度になります。
簡単に言えば、専門技術を試す検定試験です。
機械加工、建築大工、ファイナンシャル・プランニングなど全部で130職種の試験があります。試験に合格すると合格証書が交付され、「技能士」と名乗ることができます。
主な技能検定一覧
ファイナンシャルプランナー ウェブデザイン技能検定 知的財産管理技能士 キャリアコンサルタント
民間資格・検定試験
民間の検定試験は法律的な根拠もなく、当然ですが独占的な業務もありません。厳密にいえば資格ではありません。
資格名称を特許庁に商標登録をすることによって名称の使用が保護され、誰もが勝手に資格名称を名乗れないようにしているだけのみせかけの「名称独占資格」がほとんどです。
最近は、通信教育の業者が、民間資格をやたらとCMで「資格」と訴えているため、意味不明の「なんちゃって資格」が増えています。
一部に公共性の高い民間資格は存在しますが、多くは取得するメリットはありません。
講座受講料と受験料、登録料、年会費を目的としただけの民間資格が多いので要注意です。
民間検定は完全なる趣味の検定試験です。よほどの理由がなければ取得する意味はないでしょう。