資格の選び方
資格を取りたいと考えている方、長文ですけど是非最後まで読んでください。
キッカケは人それそれです。
就活や転職に活かしたい、将来のために一生モノの資格を手にしたい、資格を取って独立したい、あるいは自己啓発のためなどなど。
理由はなんであれ、間違った選び方と無駄な努力さえしなければ、資格はきっと大きなメリットをもたらしてくれるはずです。結果として「取ってよかった」と思えるような資格に挑戦してください。
このページでは資格の選び方について解説します。おそらく他のどのサイトよりも現実に即した内容になっています。参考になれば幸いです。
最終更新日:2022/12/05
役に立たない・意味のない資格は間違っても選ばない
これがまずは目標とする資格を選ぶ際に注意する点です。
どうでもいいような資格を取得しても、結局何も役に立たなかった・・・で終わってしまいます。
時間とお金の無駄使いはお金を捨てるのと同じです。
「そんなこと誰だって分かってるよ」なんて声が聞こえてきそうですが、実は多くの人がこの点を正しく理解していません。
そのために多くの人は間違えて目指す資格を選んでしまっています。
資格の種類は多いけど、ほとんどがクズみたいな民間資格
現在資格の数は3,000種とも4,000種とも言われていますが、おそらくそれ以上でしょう。
国家資格とそれに準ずる技能検定を合わせても433種ですから大半は民間資格です。そのほとんどが役に立たないようなどうでもいい検定試験ばかりです。
例えば、医療・介護に関する事務系民間資格として医療事務、調剤薬局事務、介護事務などがあります。残念ながらこれらを取得しても就職や転職は有利になりません。
求人の多くは「経験者優遇」です。医療の現場で認められているのは医師、看護師をはじめとした国家資格です。医療事務などは現場では無資格の扱いです。
都合の良い夢を抱かせるだけの名ばかりの民間資格も多く存在します。
例えば、児童英語教師と言われる小学校英語指導者資格や児童英語インストラクター資格、それから日本語教師などがよい例です。
小学校などで教師になるには教員免許が必要です。民間資格は教師になるための要件に該当しません。
日本語教師として認められるには、最低でも大学で日本語を専攻していなければなりません。
こういった民間の「安っぽいインチキ教師資格」に合格しても、指導者やインストラクター、教師にはなれません。
教壇に立つことを夢見て授業料・受講料を支払ったけど、結局は騙されただけで終わってしまいます。
日本語教師にいたっては、受講生募集のための強引な勧誘が原因でトラブルも多く発生しています。
見かねた国がトラブル解消のためにようやく国家資格制定に動きはじめました。今まで野放しだったんです。
多くの人は資格の選び方を間違えている
一例として記載しましたが、こういったくだらない民間資格が世の中には溢れかえっています。民間資格の98%以上はこうった名ばかりでどうでもいいような検定試験です。
誰でもお金さえ支払えば短期間で、しかも自宅で受験可能などという民間資格、一体誰が評価すると思いますか?
某資格予備校が、資格の選び方として、まずは「なりたい自分」をイメージしましょうなんて書いてますが、そんな民間資格を選んでも「なりたい自分」にはなれません。
こういった現実をよく理解してください。
役に立つ資格、選んで良かった資格というのは、長い時間をかけて学習して試験に合格してようやく得ることができるんです。
関連情報:評価されない資格、人気の資格ランキングの実態
資格の正確な難易度を知って無理な挑戦は避ける
次に、資格の正確な難易度を知るという点も重要です。
取得したい資格について事前に正確な難易度を把握していなければ無謀な挑戦になりかねません。
「時間」は誰にでも平等に与えられています。無限に時間があればいいんですけど、限られた時間で学習するしかありません。家庭を持っていれば学習時間も限られます。学生と社会人を比べると自由にできる時間は違います。
そこで、目指す資格を選ぶ上で重要になるのが正確な難易度の理解です。個人的な能力の差は多少あるとはいえ、時間的に合格可能な範囲内の資格試験に挑戦するしかありません。
しかし、ネット上のどこを探しても正確な難易度の情報を提供しているサイトはほとんど見当たりません。実際に試験に挑戦した個人がブログで正確に書いている程度です。
「短期間で合格できる!」みたいな甘い言葉に騙されてはいけません
多くの資格予備校は、平均学習期間を1~2年あるいは2000~3000時間(2年以内)と紹介しています。ユーキャンは合格までの標準学習期間を15か月と紹介しています。
これくらいで平均年収1200万円以上と言われる司法書士に合格できればとつい挑戦したくなってしまいそうですが実は全くのデタラメです。騙されてはいけません。
現実には、会社を辞めて朝から晩まで受験勉強に専念しても4年で合格できるかできないかという超難関な試験なんです。
関連資格:司法書士とは
その気になって高い講座を申し込んでみたのはいいけれど、超難関の試験であることに気づいて97%以上の受験生は早い段階で諦めます。そして、約1年で99%の受験生が諦めます。
無謀な挑戦はお金の無駄使いと時間の浪費、そして挫折感だけが残ります。得をするのは通信講座の会社だけです。途中で諦めても受講料は戻ってきません。
「標準学習期間4年以上」なんて説明したら、社会人なんて最初から誰も講座に申込みませんよね。そこが周到に考えられたワナなんです。
まずは試験の正確な難易度を知って、頑張れば合格できそうな範囲の資格を選んで挑戦しましょう。
関連情報:資格の難易度一覧
目的・置かれた状況によって資格を選ぶ
次に資格の選び方として重要になるのは、やはり「目的を考えること」です。ここを間違えると、資格を取得する本来の目的からそれてしまいます。
あなたは資格に何を求めますかか?資格を通して自分をどう変えたいですか?「まずは資格取得ありき」ではなく、自分のステップアップにどう資格を活かしたいのかを考えてみましょう。
だいたい目的としては以下の6パターンに分けらます。どれに当てはまるのかを念頭に置いて資格を選んでください。
新卒(大卒・高卒)の就活
社会人の就職・転職
評価アップ・スキルアップ
独立・開業
一生モノの技術を身に付ける
高校入試・大学入試でPR
「独立・開業」に適した資格を取得しても社内ではほとんど評価されません。例えば、行政書士は法律系の国家資格として人気ですが、あくまでも独立して事務所を開くための資格です。会社員が取得しても社内で評価されません。
関連資格:行政書士とは
高校新卒者向けの資格を取得しても社会人の転職の際には評価されません。
資格を取得して自分のこれからの人生でどう活かすのか?そこをよく考えてください。
当サイトのTOPページにて詳しく分類しています。参考にしてください。関連情報:本当に役立つ資格、全く役立たない資格
国家資格と民間資格の特徴と分類
資格には国家資格と民間資格がありますが、一部の民間資格を除いて圧倒的に国家資格がおすすめです。世間一般的にも評価の対象となるのは国家資格です。
特に明確な目的がなければ国家資格の中から選びましょう。
国家資格
国(各省庁)が法律の規定に基づいて試験を実施して合格者を認定する資格。例えば、宅地建物取引士の資格がないと契約書の内容を相手に説明できないなど有資格者のみに独占的な業務が認められる資格が多い。
特に医療の分野は資格社会と言われるほど専門性の高い資格が多く、有資格者は一定の需要があり就職先も幅広い。
就職・転職の際も国家資格であれば採用する側も一定の評価をするため、応募者は履歴書に堂々と書いてアピールできる。
国家資格の難易度は様々で合格までに数年を費やす超難関の試験もあれば、講習会を受講するだけで容易に取得できるものもある。当然だが難易度が高い資格は評価も高く高収入が期待できる。
最近は、高額な講習会の受講が条件で、しかも合格しても役に立たないような国家資格も増えているので要注意。
民間資格
民間の個人や団体が試験を実施して合格者を認定する制度。多くは「資格」と称しているが独占的な業務は認められてないので正確には検定試験にすぎない。
民間資格の中にはわずかではあるが簿記検定のように信頼性の高い資格もあり履歴書に書けば就職・転職の際に評価される。多くは価値がなく合格者に対する評価は低い。
受験制限がなく子どもからお年寄りまで誰でも受験できる試験が多いのも特徴。受講料・受験料目当ての詐欺的な資格も多いので要注意。
旧公的資格(省庁後援資格)
2005年までは省庁(国)から認定を受けた公的資格が存在したが制度の廃止により現在は存在しない。全て民間資格。
省庁から後援を受けて「国家資格に準ずる公的資格」と称している民間資格が多いが全く根拠はなく単なる受講者集めの宣伝文句にすぎない。
以下に国家資格と民間資格を細かく分類して特徴を説明します。選び方の参考にしてください。
国家資格の分類
特定の業務を行う際には必ず必要となる国家資格(業務独占資格)
法律の規定により、有資格者のみに独占的な業務を許可するのが業務独占資格です。
例えば、公認会計士の資格がないと企業の監査業務はできません。危険物取扱者(乙4種)がないと給油所でガソリンを扱えません。気象予報士の資格がないと独自の気象予報はできません。
専門性が高く試験の難易度は高めです。一般的に合格までに長い学習期間を要しますが、比較的短期間で取得できるものもあります。
関連情報:業務独占資格 | 資格の分類について
合格者のみが資格名称を名乗れる国家資格(名称独占資格)
例えば、中小企業診断士として登録していなければ、企業の財務状況を調べる際に中小企業診断士と名乗ったり名刺に印刷して相手に差し出したりはできません。
関連資格:中小企業診断士とは
ただし、試験に合格していなくても誰でも企業の財務状況は調べられます。独占業務は認めらていません。
広い意味で国家資格は全て名称独占資格です。税理士、社会保険労務士、栄養士、薬剤師全て合格者以外はその名称を名乗れません。
関連資格:税理士とは、社会保険労務士とは、栄養士とは、薬剤師とは
関連情報:名称独占資格 | 資格の分類について
特定の事業所には必ず有資格者が必要となる国家資格(必置資格)
必置資格としてもっとも有名なのは何と言っても宅地建物取引士です。不動産の販売や賃貸マンションの仲介業など、不動産業を営む際は事務所に必ず宅地建物取引士の有資格者が1名以上必要です。
関連資格:宅地建物取引士とは
こういった事業所では、有資格者の採用は事業の継続にも関わる死活問題です。試験の難易度が高ければ有資格者の価値は高くなるので一般的に就職が有利になります。
工業・設備系の事業所ではエネルギー管理士・公害防止管理者などが必置資格です。
関連資格:エネルギー管理士とは、公害防止管理者とは
関連情報:必置資格 | 資格の分類について
国が実施する検定試験(技能検定)
技能検定は現在130種類あります。タイル張り、陶磁器製造、メッキ、パン製造、和裁、畳製作、時計修理、ピアノ調律、着付けなど種類は様々です。
技術者や職人が必要とされる職業において、国が技術力を評価するのが試験の目的なので、合格者だけに認められるような特権(独占業務)は存在しません。資格というよりも文字通り「検定試験」です。
学生に人気のファイナンシャル・プランナーも技能検定の1つです。この技能検定は増える傾向にありますが、特に就職・転職の際には評価されません。
関連資格:ファイナンシャル・プランナーとは
関連情報:技能検定 | 資格の分類について
取得する意味のな国家資格
「取得する意味のな国家資格」とは大雑把な当サイト独自の分類です。
受験料が安くて、一度登録すれば更新の必要がないのが国家資格のよい点ですが、最近はこの常識を覆すかのごとくお金の無駄使いで終わるだけの試験が増えています。
代表例は何と言ってもキャリアコンサルタントです。国家資格として人気ですが、受験するには高額な指定の講習を受講しなければならず、しかも安くない登録費用、5年毎の更新費用も必要になります。
関連資格:キャリアコンサルタントとは
関連情報:評判ほど評価されない資格もいっぱいある
民間資格の分類
公共性が高い民間資格
試験に合格すれば国家資格の受験資格を得たり、特定の業務をするための資格要件となるような公共性の高い民間資格があります。
簿記検定1級の合格者は税理士の受験資格を得ます。賃貸不動産経営管理士は、任意規定とはいえ既に法令により独占的な業務が認められています。
関連資格:簿記検定とは、賃貸不動産経営管理士とは
明確な目標があれば、これらの民間資格は選択肢の1つとして有望です。
関連情報:公共性の高い民間資格一覧
特定の業種・職種で評価される民間資格
学習する内容が専門的で試験自体の透明性が高く、社内で取得を奨励している民間資格も少なくないです。
販売士や品質管理検定(QC検定)、食品表示検定などは、多くの企業が社員に受験させます。それだけ価値があるということです。
関連資格:販売士とは、品質管理検定(QC検定)とは、食品表示検定とは
昇給・昇格、責任者になるための条件としている会社に勤めているのであれば、是非取得してください。
入試の際に優遇される可能性のある民間資格
かつて学校単位でほとんどの生徒が漢字能力検定を受験していたように、特定の「級」の合格者は高校入試や大学入試で優遇される検定試験が世の中には存在します。数学検定や日本語検定などもそうです。
ただし、明確に加点材料となる場合もあれば単にAO入試の際に「参考程度」となる場合もあるので、一概にプラス評価になるとまでは言えません。
英検、TOEICなども成績優秀者は社会人であっても評価されます。
関連資格:英検(実用英語技能検定)とは、TOEICとは
旧公的資格(現在の省庁後援資格)
公的資格と称して受験生を集めている民間資格が多く存在しますが、2005年にこの制度は廃止になっています。
文部科学省や経済産業省などの省庁の後援を得ているのが公的資格という根拠ですが、それをもって「国家資格に準ずる資格」というのは大げさすぎます。単に受験生集めの道具にすぎません。
「公的資格」と表記されていても、それだけでは就職・転職は有利になりません。気をつけましょう。
取得する意味のない民間資格
民間資格は法律的な裏付けもないので誰でも自由に作れます。他人が商標登録していない名称を考えれば、それで立派な民間資格の誕生です。
数千円するようなテキストを購入して、ちょこちょこっと短い時間勉強して、数万円の受験料を払って受験して合格・・・プラスチック製で顔写真付きのIDカードらしき合格証をもらって何となく満足・・・これで一体何が残りますか?
目指す資格を選ぶ際はよく考えてください。くだらない検定など勉強する意味ないです。
参考:評価されない資格
資格商法的(インチキ)な民間資格
数千円程度の出費で済めばまだいいんですけど、一番民間資格としてタチが悪いのが、こういった資格商法的なやり方です。
数日間の指定された講習会に10万円以上払って出席しなければならない民間資格、一旦合格しても数年毎に資格更新に多額の費用を要する民間資格など、お金の搾取方法は様々です。
お金さえ払えば誰でも最終的に合格できるのも資格商法の特徴です。一旦合格しても、登録費用、年会費、更新料などとの理由をつけて何度もお金を請求され続けます。
こういった資格商法的なやり方に騙されてはいけません。注意してください。
関連情報:現代版資格商法とは?
関連情報:当サイトで掲載している民間資格一覧
取得方法による資格の選び方
では最後に、取得方法の違いによる資格の選び方を紹介します。
司法試験(予備試験)や行政書士、多くの民間資格などは、学歴や国籍、年齢などの制限もなく誰でも受験できます。
一方で、理学療法士や歯科衛生士、看護師のような医療系の国家資格の多くは数年に渡って専門の学校で授業を履修してはじめて受験資格を得ます。社会人がこういった資格を目指すのであれば、まずは時間を確保できるかが重要です。
誰でも制限なく受験可能
専門の教育機関にて学習
簡単な講習会で取得可能
指定の講習会を必ず受講
最近は、社会人やり直し組も多く医療系の学校へ入学し直しています。一度社会に出てからでも十分にやり直しができる・・・それが資格取得の良い点でしょう。
関連資格:医療系の資格