国家資格と民間資格の違いは?「公的資格」の真実と見分け方

資格は、国家資格、技能検定(国家検定)、民間資格の3種類に分類できます。
参考:中央教育審議会生涯学習分科会(第20回)-資料3:資格について
ちなみに、公的資格の制度は既に廃止されています。
※文部科学省後援というように公的な「後援」を受けているような資格もありますが、それについては後ほど詳しく説明します。

「公的資格」っていう分類があるんじゃないの?



「公的資格」の制度は2005年に廃止になって今は存在しないのよ!
資格の種類


国家資格
国家資格とは、国の法律に基づいて実施される試験において、知識や技術が一定水準以上に達していると認められた者だけに国が与える資格のことをいいます。
つまり、国家資格には根拠となる法律が必ず存在します。
- 弁護士=弁護士法
- 行政書士=行政書士法
- 電気工事士=電気工事士法
- 基本情報技術者=情報処理の促進に関する法律
- ボイラー技士=労働安全衛生法
国の法律により資格が裏付けられている弁護士、司法書士、宅建士、行政書士、マンション管理士、電気工事士、ケアマネジャー、理学療法士、ボイラー技士などが国家資格に該当します。
※ケアマネジャーは国の法律に根拠はありますが、都道府県が試験・登録を実施する任用資格の一種です。
介護職員初任者研修などは、厳密には国家資格とは呼びませんが、法律に準ずる施行規則に規定された「法的な根拠に基づく公的な研修制度」にあたります。
総務省の資料(平成22年12月28日時点)では「303制度」と明記されていますが、愛玩動物看護師や登録日本語教員など近年も多くの国家資格が新設され、現在では400前後の資格・制度が存在します。
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(旧資格一覧はこちら:中央教育審議会生涯学習分科会:国家資格一覧)
※福祉用具専門相談員なども国家資格として掲載されています。
※ファイナンシャルプランナーやキャリアコンサルタントなどは法律に基づく技能検定(国家検定)の仕組みを利用した国家資格に分類されます。
国家資格は、天下り団体を創設するための資格制度濫設を防止する観点から、昭和60年度以降、医療・福祉、環境等の分野を除き資格制度の創設は抑制される傾向にありました。
しかし、近年は、社会の高度化や専門人材の育成(ITや医療福祉分野など)の観点から、新たな国家資格が新設される傾向にあります。
国家資格は、基本的には一度合格すれば生涯有効ですが、資格によっては数年ごとの更新講習が義務付けられているものもあります(例:宅建士や情報処理安全確保支援士など)。
例えば、行政書士試験に一度合格すれば、その資格は一生涯有効です。
技能検定(国家検定)
技能検定とは、労働者の技能を評価する国の技能検定制度のことを言います。
働くうえで身につける、または必要とされる技能の習得レベルを評価する制度です。
この国家検定に合格しなければ特定の業務に就けないのはなく、その業務に就いている人の技能を判定するという制度です。
簡単に言えば、「あなたはどのくらいその業務に熟練していますか?」という技術力を試す検定試験になります。
試験に合格しても、していなくてもできる仕事は同じです。業務独占資格ではなく名称独占資格です。
技能検定は、機械加工、建築大工やファイナンシャル・プランニングなど全部で131職種の試験があります(※都道府県が実施する110職種と、指定試験機関が実施する21職種の合計)。
試験に合格すると合格証書が交付され、「技能士」と名乗ることができます。
国家検定制度は職業能力開発促進法に基づき1959年度より実施されています。国家検定と技能検定は同じです。
民間資格(検定試験)
個人や民間の団体・企業が自由に名称を決めて、受験生を集めて試験を実施しているのが民間資格(検定試験)です。認定資格とも呼ばれます。
一般的な民間資格には特段のルールや法律による規制はないため、自由に誰でも資格らしいものを作れます。
(※ただし、商工会議所法に基づいて実施される日商簿記などのように、法律上の根拠を持つ特別な検定試験も存在します。)
そうした例外を除き、基本的に法律の根拠のない民間資格は全て検定試験にあたります。
資格と称していますが、国家資格のような法的根拠はありません。
あくまでも任意の民間の団体が独自に定めた基準に基づいて試験を実施しています。
極端に言えば、商標登録した独自の検定名をブランド化し、その認定証を発行しているビジネスモデルとも言えます。
民間資格と言っても種類は多く、約5,000以上あると言われています。
代表例は簿記検定、秘書検定、漢字能力検定、英検、TOEICなどです。さらには、医療事務、調剤薬局事務、心理カウンセラーなどの民間資格も存在します。
民間資格の中には、TOEICや簿記、臨床心理士のようにキャリアに直結する社会的信用が高いものがある一方で、中には高額な教材や通信講座の販売を目的とした「ビジネス目的」の資格も存在するため、見極めが必要です。
広い意味で、お茶やお花といった師範の資格も民間資格に含まれます。
公的資格(旧認定資格)について


省庁が認定する公的な民間資格の制度は廃止されました
「公的資格とは?」って思われる人もきっと多いと思います。
以前は、簿記検定、秘書検定、漢字能力検定のように、関係省庁(国)から認定を受けている公益法人が実施する公的な検定試験制度がありました。
しかし、以前より制度の不備や不適切な会計処理(天下り団体と民間団体の癒着)が問題になっており、その結果、2005年にそれまで公的資格の根拠となっていた民間技能審査事業認定制度は廃止になりました。
2.平成14年3月29日の閣議決定「公益法人に対する行政の関与の在り方の改革の実施計画」により、民間技能審査事業認定制度の推薦等は、平成17年度末までに一律廃止することとされた。
出典:中央教育審議会生涯学習分科会(第20回)-資料3:資格について
したがって、「国の認定」の制度が廃止された現在は「旧公的資格」は存在しますが、公的な制度として位置づけられた「公的資格」という区分そのものは存在しません。
一般的な民間団体が実施する検定試験には法的な根拠はなく、国が認定する公的資格という制度は存在しないということです。
「後援を受けた公的資格」という表現をよく目にしますが・・・
ところが民間の検定試験について、主催者のホームページなどの説明文を読むと、大々的に「公的資格」とうたっているものをよく目にします。
認定資格、省庁後援という表現も同じです。
この公的資格の根拠は何かというと、経済産業省、文部科学省、中小企業庁などの省庁の後援のもとに実施している検定試験だからということです。
中には、総務省後援、文部科学省後援、経済産業省後援、内閣府後援、厚生労働省後援・・・と5省庁から後援を得ている民間資格もあります。
省庁が「認定」する制度はなくなりましたが、省庁が「後援」する制度は現在も存在します。
どうやらこの「省庁の後援」をもって公的資格と主張しているようです。
民間の検定試験の枠を超えた国も認めている公的な試験という権威付けを強調したいんでしょうけど、はたしてどれくらい国が関与しているのか調べてみました。
すると、文部科学省のサイトに「後援」をもらうための説明書きがありました。詳しくは下記をご覧ください。
実はこの「後援」とは、PRするために「省庁の後援名義を使っていいですよ」という程度のものにすぎません。
主たる目的が営利ではないこと、公序良俗に反しないことなど、規程に定められた要件を満たしていれば、任意の民間団体であっても名義の使用が許可される枠組みになっています。
あくまでも公益性や一定の実績が認められれば名義使用を認めるというスタンスです。
つまり、省庁がその資格の難易度や将来性を厳しく審査して「国のお墨付き」として品質を保証しているわけでは決してありません。
税金を使って資金的な援助をしていたり、合格者を優遇しているわけでもありません。
積極的な支援などは一切していません。
実際には「国の認定」がないにもかかわらず、単に後援を受けているだけで「国家認定」「公的資格」と謳って受講生を募集する行為は、消費者庁の景品表示法(優良誤認表示)に違反するリスクが極めて高い行為です。
過去にも誤認を与える資格表示に対して行政指導や改善措置が取られた例があります。
省庁の後援は公的な資格認定を意味するものではない点には、十分な注意が必要です。
公共性の高い民間資格は存在します
かつての文部科学省の認定制度の名残で、その高い信頼性や実用性から極めて公共性の高い民間資格は現在も存在します。
例えば、かつては簿記検定1級合格が税理士試験の受験資格を得るための代表的なルートであったように、民間資格であっても公的な制度や国家資格へのステップアップと連動しているケースがあります。
※2023年4月以降、会計科目(簿記論・財務諸表論)は受験資格の制限がなくなり、誰でも受験可能になりました。
※税法科目については今も簿記検定1級合格者は受験資格を得られます。
福祉住環境コーディネーターの2級以上を取得すると、介護保険を利用して住宅改修を行う際に提出する住宅改修費支給申請書に添付する理由書の作成ができます。
臨床心理士は文部科学省の事業実施要領により、全国のスクールカウンセラーになるための資格要件(公認心理師や精神科医等と並ぶ要件)とされています。
その他、英検やTOEICのように大学・短大の入試や単位認定、さらには公務員採用試験で客観的な評価基準として活用されている民間の検定試験もあります。
信頼できる民間資格の見分け方
「公的資格」「省庁後援」といったPR文句だけに惑わされず、以下の基準で見極めることが大切です。
- 公的な制度や採用要件と直接連動しているか(申請書類の作成権限や採用基準への明記など、具体的な実利があるか)
- 業界内で事実上の標準(デファクトスタンダード)として実務上必須とされているか
- 試験の合格率や出題基準が透明に公開されており、単なる受講料・認定料ビジネスになっていないか
単に「〇〇省後援」と書かれていること自体に直接の法的価値や実利はありません。
その資格を取得することで「法令や実務の現場で具体的に何ができるようになるのか」を基準に選ぶようにしましょう。
