健康管理士
やたらとお金が必要な怪しいナゾの現代版資格商法、取得する意味ない。
種類 | 学習期間 | 難易度 | 合格率 |
---|---|---|---|
民間資格 |
4か月 |
易しい |
95% |
活かし方 | 取得費用 | 受験資格 | おすすめ度 |
---|---|---|---|
自己満足 |
5~10万円 |
指定の講座受講 |
※学習期間は、通信講座の受講期間の目安です。
最終更新日:2022/12/21
健康管理士(一般指導員)とは
「管理士」とついているため、国家資格とか公的な資格と勘違いする人が多いようですが、完全なる民間の検定試験です。
健康管理士は、検定試験の学習を通して、食・ストレス・運動など健康管理についての専門的な知識の習得を目指します。
健康に対する正しい知識を身に付け、病気を未然に防ぐための生活指導を行う予防医学と健康管理を指導するスペシャリストを目指します。
検定試験は、一般指導員、上級指導員、統括指導員の3種類に分かれています。それぞれに「指導員」と付いていて、指導的な役割を目指しています。
主催者サイト:健康管理士は「予防医学」「健康管理」のスペシャリスト | 健康管理士:日本成人病予防協会
株式会社日本医協という怪しい民間会社が試験を運営
健康管理士を認定しているのは、日本成人病予防協会という特定非営利活動法人です。一般的にはNPO法人と言われています。
NPO法人とは、営利を目的とせず、社会に役立つサービスを提供する団体です。利益は非営利の活動のために使わなければならず、無制限に利益を追求してはいけません。そのため「公益のための活動」という良いイメージを見る人に与えます。
NPO法人の一番のメリットは簡単に設立できる点です。実印や住民票取得のお金が必要なだけで、自分でやってしまえばほぼタダでできてしまいます。資本金0円で設立でき、株式会社の設立と違い、定款認証手数料や登記の登録免許税も0円です。
本来であれば、公共性の高い事業であれば公益財団法人として活動すべきなのに、なんでNPO法人なのかな?と少し疑問に感じたのでイロイロと調べてみました。
この日本成人病予防協会という団体の活動実績や加盟している団体、良い評判、悪い評判などを探したんですけど、そういった情報はほとんど見つかりませんでした。このNPO団体としての活動はあまりしていないからでしょう。見つかるのは、健康管理士個人の活動ばかりです。
「成人病予防」という学術団体らしき名称を付けていますが、医療に関する学術団体にはどこにも属していません。
うーん、どこか変・・・
実は、資格認定試験と合格後の入会金と年会費については日本成人病予防協会宛になっていますが、合格するために必要となる通信講座、養成講座、合格対策講座は、株式会社日本医協という営利目的会社が実施しています。
資格認定試験と入会金、年会費程度の収入ならNPO法人としての活動の範囲でしょう。最も利益が出る講座運営の収入は別法人の収入になるんです。
全面に日本成人病予防協会というNPO法人を出し、利益は日本医協という仕組みができています。
「健康管理士(一般指導員)」という名称も、この株式会社日本医協が商標登録(登録5862374、登録4811601)しています。
日本成人病予防協会という権威のありそうな名称、厚生労働大臣指定の教育訓練給付制度指定講座、合格すればオマケで付いてくる文部科学省後援の健康管理検定、これだけ用意周到に準備されていれば、普通の人なら「公共性の高い役立つ資格」かと勘違いしてしまいます。
受講生集めのために、計画的に作られた民間の検定試験です。
関連情報:現代版資格商法とは
役に立つ資格なのか?
健康管理士とは、民間の検定試験です。
この民間資格を取得しても就職や転職は有利にはなりません。それは健康管理士一般指導員のさらに上位の上級指導員、統括指導員であっても同じです。
事実、この名称で求人を探しても、どこにも見当たりません。つまり、この資格だけでの就職は困難だということです。
学習する内容はあくまでも健康に関する基礎や初歩の範囲です。短期間の通信教育で、本格的な健康に関する知識は身に付きません。
資格でもなんでもないです。それで就職が有利になったり仕事に活かせるなんて考えが甘すぎます。本当に役立つ知識とは、もっと時間をかけて学習して身に付けるものです。
こういった検定試験は受講料目的の詐欺まがいの現代版資格商法にすぎません。止めてほしいものです。
わざわざ、健康管理士のを取得しても、正直言って何のメリットもありません。民間の検定試験などこの程度です。
同じ健康系の民間検定でも、健康運動指導士や健康運動実践指導者の方がまだ求人もあって役立つ資格だと言えます。取得するならこちらを目指してください。
関連資格:健康運動指導士とは、健康運動実践指導者とは
将来性を徹底研究
この資格の活かし方
健康管理士の学習を通して学んだ知識は、個人の健康管理には多少なりとも活かせるかもしれません。ただし、それ以外の現場では期待できません。
この検定試験に合格しても、就職・転職が有利になったり、昇給や昇格することもないでしょう。仕事とは関係のない趣味の検定試験であり、資格として世間一般的には認めれていないからです。
語尾に「指導員」と付くので、なんとなく上から目線的な資格を手に入れたと女性は満足するようです。 しかし「資格らしいものがとれた!」という自己満足だけで終わります。
あとは、個人的に、名刺に「健康管理士一般指導員」などと印刷してプチ自慢ができる程度です。「指導員」というだけで多少ハッタリがききそうです。
メリットの少ない民間検定です。
健康管理検定1級もオマケで付いてくる
健康管理士の認定試験に合格すると、ナント!健康管理検定1級もオマケで合格したことになります。
関連資格:健康管理検定とは
健康管理検定も、同じく日本成人病予防協会が試験を実施しています。
「文部科学省後援」であることで公的な資格っぽさを盛んにPRしていますが、こういった省庁後援には厳格な規定はなく、ワリとすんなりと承認してもらえます。これをもって公的資格であるとは言えません。
関連情報:公的資格(旧認定資格)について
役に立たない資格はいくつ持っていても同じです。役に立ちません。
教育現場で栄養教育なんてできません!
日本成人病予防協会の公式ホームページを見ると、健康管理士に合格すれば、「幼稚園や小中学校で子どもたちや保護者の食育・健康指導を行える」なんて記述があります。
参考:こんな方にオススメ・資格取得者の声|健康管理士|様々な分野で広がる活躍の現場
しかし、これは無理です。できません。誇大PRです。
健康管理士のような民間資格では小・中学校での食育指導、学校管理における健康管理指導はできません。
2005年から、小・中学校などで児童・生徒の栄養の指導、衛生管理、食育を行う「栄養教諭」の資格制度がはじまりました。
小・中学校で食育指導ができる栄養教諭になるには、基本的に教員免許にプラスして栄養士、管理栄養士のような国家資格が必要です。
健康管理士では、そもそも小・中学校での食育指導などできないんです。
健康管理士の試験科目は、健康管理学、生活習慣病の基礎知識、心の健康管理、栄養学などとなっていますが、食育指導ができるようになるには専門知識が必要です。
そのためには、調理学・生化学・生理学・食品学・食品加工学・栄養学・臨床栄養学・応用栄養学などの専門書で学習しなければなりません。
例えば、栄養士になるには、専門の教育を2年以上受けて学習します。とても数か月の通信教育で身に付くものではありません。
単に薄っぺらな知識を身に付ける目的であれば、こんな胡散臭い民間資格など無用です。
栄養に関する知識を持たない素人が「健康管理士一般指導員」などと称して、食育・健康指導まがいの行為をするのなら、あまりにも無責任な民間資格と言えます。
企業や、医療・福祉の現場でも活躍できません!
「現在60,000名の健康管理士一般指導員が家庭はもちろん、地域、企業、学校や医療福祉関係などの様々な分野で知識を活かして活動、活躍しています」
などと、健康管理士の活躍を漠然と紹介していますが、ありえない誇大なPRです。
社員の健康指導?社内外で健康セミナー?健康アドバイス、健康相談?
採用する企業側としても、そのような仕事を任せられるのは管理栄養士でしょうね。あるいは看護師、保健師でしょう。その道のプロです。
医療、福祉施設における健康管理指導、職員教育?患者様が望む健康アドバイス?介護保施設利用者とその家族の健康指導?
病院等で、管理栄養士が栄養・健康指導を行えばお金(診療報酬)をもらえます。メタボ健診なら保健師です。
医療・福祉の現場で資格とみなされるのは国家資格です。民間資格など論外です。相手にされません。
まぁ、健康管理士として活躍できるのは、地域でのボランティア活動としての健康管理指導程度ではないでしょうか。
取得するのも維持するのも費用がかかりすぎ!
健康管理士になるには、一般指導員養成カリキュラムのある学校で学習するか、指定の通信教育講座を受講しなければなりません。多くの一般の人は、この通信講座を利用します。その金額は・・・
●受講料 66,000円(税込)
教材費、添削指導料も含んで、学習期間は4か月間が目安です。そして勉強が終わると本試験です。
●受験料 6,600円(税込)
そして、これだけでは終わりません。健康管理士として名乗るためには、またお金が必要です。
●入会金 10,000円
●年会費(年間)6,000円
もちろん年会費は毎年必要です。これを一定期間内に支払わないと資格を喪失します。再登録を希望するのであれば、また最初からやり直さなければなりません。
6000円の更新料の中身はというと、2か月に1回送られてくる定価350円の情報誌「ほすぴ」とメールニュースだけです。
なぜか、情報誌の巻末には「研修問題」が載ってますが、添削・採点などは実施していません。
セミナーや講座なども開催していません。正直言って6000円の価値はないです。手抜き感で溢れています。
さらに養成講座、合格対策講座も受講すればもっとお金が飛んでいきます。
この内容で受講して取得するほどの価値はあるのか、ご自身でよく考えてみましょう。
仕事にもつながらず費用が高い・・・評判はやっぱり良くないです。
参考:受験対策講座について|健康管理士|厚生労働大臣指定講座で学ぶ
参考:資格更新 | 生活習慣病を予防する 特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
※金額は2022年12月現在です。
合格するには
資格取得のためには、健康管理士一般指導員養成施設が主催する通信教育講座を修了するか、あるいは健康管理士一般指導員養成大学のカリキュラムを修了していることが条件です。ほとんどの人は、通信講座を修了して受験資格を得ます。
講座の受講期間は約4か月です。テキストは4冊で、1か月に1冊のテキストを学習するペースで添付の添削問題集を解いて返送します。
健康管理士一般指導員に合格すると、さらに指定された単位を取得することで、上位の上級指導員・統括指導員の資格が得られます。もちろん更新費用は必要です。
追加の講座を受講すると合格率が上がる?
さらに、通信講座の他に、養成講座、合格対策講座もあります。
養成講座はオプションの講座です。全4回のカリキュラムで受講料22,000円(消費税込)です。
合格対策講座とは、試験の約1か月前に開講される最終確認の講座です。1回で受講料7,700円(消費税込)です。
通信講座のみでの合格率は70%ほどらしいです。しかし、これは噂でしかなく真偽の程は確かじゃないですが、これらの追加講座を受講すると合格率が95%に跳ね上がるとか・・・
いずれにせよ、普通に勉強すればそれほど難易度の高い試験ではないでしょう。
試験情報
試験日 |
お申込み |
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年合計20回程度 |
随時 |
受験資格 |
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試験日の1か月前までに、「健康管理士一般指導員受験対策講座」の通信教育講座を修了しているか、あるいは一般指導員養成カリキュラム受講修了者に限定されています。
※ユーキャンのような通信講座では取得できません。 |
試験内容 |
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【試験地】東京・大阪・札幌・福岡・仙台・名古屋など
【試験内容】 |
試験に関する詳しい情報は資格認定試験 | 健康管理士:日本成人病予防協会をご覧ください。