気象予報士とは?需要は少なく就職につなげるのは難しい
種類 | 難易度 | 合格率 |
国家資格 | 難しい | 5% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
誰でも受験可 | 2~5万円 | 1年程度 |
活かし方 | 全国の求人数 | おすすめ度 |
知識習得 | 3件 |
- 全国の求人数は、ハローワークの情報を基に2024年7月14日に集計。
気象予報士の資格を取得しても就職や転職に役立つとは言えません。
需要が少ないため合格者の7割は気象と関係のない仕事をしています。
誰もが女子アナのようになれるワケではありません。
必要性も低く趣味の範囲の資格です。
難易度は高く将来性という点でも勉強するメリットは少ないです。
気象予報士とは
法律の改正で民間でも気象の予報ができるように
かつて日本では、気象の分析や予報などは国家公務員である気象庁の職員にしか許されていませんでした。
それは、誰もが勝手にいい加減な気象の予報をしたら自然災害による被害が拡大しかねないからです。
テレビ局などが放送する「天気予報」は気象庁の発表した予報をそのまま伝えるだけで、勝手に予想して報道するのは許されていなかったワケです。
その後、1993年(平成5年)の規制緩和の流れで気象業務法が改正され、気象庁以外の者でも気象予報ができるようになりました。
民間の会社・団体・個人が気象庁に届出・許可を得て「予報業務許可事業者」になれば独自の気象予報を発表できるようになったんです。
こうして国家資格である気象予報士の制度が平成6年に誕生し、さまざまな天気現象の予想ができるようになりました。
所轄省庁:気象庁|気象予報士について
注意!試験に合格しただけでは気象の予報はできない
天気予報の番組などで気象予報士と称する女性が笑顔を振りまいて解説をしていますが、実は解説だけであれば気象予報士の資格は要りません。
気象の「独自予報」をおこなうのは気象予報士だけの独占業務ですが、単に気象庁が発表する「予報を伝える」だけなら気象予報士じゃなくても大丈夫です。
独自予報ができるのは、気象庁と気象庁長官から予報業務の許可を得ている事業者のもとで働いている気象予報士だけです。
つまり、気象予報士として資格を持つ人が、気象庁長官の登録を受けて正式な気象予報士になり、予報業務の許可を得ている事業者(気象予報会社など)に勤務してはじめて気象庁のデータを使って独自の天気予報が可能になります。
気象予報士の資格を取っただけではあまり意味がないんです。
役に立つ資格なのか?
合格してもあまり役に立たない現実
- 「頑張って勉強して気象予報士の試験に合格してアナウンサーになりたい!」
- 「お天気お姉さんになってテレビに出たい!」
- 「気象予報会社に就職したい!」
これが気象予報士を目指す多くの人(特に女性)の夢ではないでしょうか。
しかし、残念ながら象予報士の資格を取得して就職や転職に活かすなんてことは現実的ではありません。
気象予報士の求人もほとんど見つかりません。
誰もが気象予報士の資格を活かせる仕事に就職や転職ができると考えるのは間違っています。
世間で言われる通り「仕事ない」っていう状態です。
今現在、テレビ局や気象予報会社に勤めていて、必要なので気象予報士の資格を取る以外はおすすめできません。
仕事を辞めてまで学習に打ち込むほどの意味はありません。
あくまでも趣味の範囲の資格であり自己満足のレベルと考えてください。
需要も少なく職場も限られる
気象予報士は気象業務を行っている会社では必要とされていますが、それ以外ではほとんど需要はありません。
気象予報の会社の数は限られてますし、全社員が気象予報士である必要はありません。
数名いれば予報業務はできるので採用する人数は限られています。資格をもっているからといって即採用というワケにはいきません。
テレビ局の「お天気お姉さん」ともなるとさらに競争は激しくなります。
当然ですが見た目(容姿)やキャラ、トーク力などが求められます。学歴やコネなんかも・・・
しかも毎年テレビ局にアナウンサーを志望する女性が殺到します。
かなり見た目が良く視聴者ウケする女性くらいしかテレビに登場できません。
テレビ番組の天気予報コーナーで気象予報士の女性が解説する場面をよく見ますが、ほとんどが気象庁の予報を伝えているだけです。それは気象予報士でなくてもかまいません。
つまり、テレビ局でも気象予報士の需要はないということです。
気象予報士の資格の有無だけでお天気お姉さんになれるワケではありません。
ただ、資格をとってマイナスにはなりません。
知名度のある気象予報士の資格は取得は難しい分、自分のスキルアップにつながります。
資格を活かすか活かさないかは考え方次第です。
将来性について徹底研究
この資格の活かし方
気象予報士の中には、本来の目的である気象の予報以外で、経営判断のための気象情報の分析、報道や教育用の資料の作成等に携わっている人もいます。
むしろ気象予報以外の分野での仕事が今後も少しずつではありますが増えていく可能性はあります。
気象予報士は資格の専門性が高い分、汎用性が低くくいろんな業種で役立つとは言えません。活躍の場が限られています。
結局、趣味の範囲で気象予報士の知識を活かすのが現実的です。
気象に興味があれば気象予報士の資格取得は勉強の目標になります。
知名度もある難易度の高い資格ですから取得できれば自慢にもなります。
気象予報士の7割は気象と関係のない仕事をしている
気象庁の統計データによると、2024年3月29日の時点で、気象予報士名簿に登録された気象予報士の数は12,095名です。
参照:気象予報士の統計データ
「令和2年度気象予報士の現況に関する調査 概要」によると、令和2年12月11日時点で登録のある気象予報士10,880名を対象としたアンケート結果によると、全体の12%が予報業務許可事業者に就業しています。
そのうち気象予報事業に就職している人は全体の7.1%ほどです。
さらに、そのうちで気象の予想を担当しているのは全体の4%ほどになります。
気象予報の市場規模もここ20年ほどずっと変わっていません。
しかも気象庁から無料で詳細な気象予想が発表されます。必要性が低い分、ほとんど就職先や仕事がないのが実情です。
試験合格者の約7割が気象と関係のない仕事をしてるという調査結果もあります。
就職や転職につながる国家資格が多い中、気象予報士がいかに就職につながらない国家資格であるかが分かります。
情報元:令和2年度気象予報士現況調査(概要及び調査結果)(pdf)
個人でも事業者として登録して気象の予報ができる
気象などの予報の業務を行うには、気象庁長官の許可を得て予報業務許可事業者になる必要があると説明したのは前述の通りです。
俗にいう民間気象会社と呼ばれている会社の多くはこの事業者です。
そもそもテレビ局で予報業務許可事業者になっているのはごく一部です。
テレビ東京や北海道テレビ放送、東北放送、その他地方の数局程度に限られています。
意外なことに、多くのテレビ局では独自の気象予報はしていません。
実は、この予報業務許可事業者、個人でも登録できます。
一覧を見ると3名ほど登録しているのがわかります。
気象予報士がユーチューバーになって、毎日天気予報を配信すれば新しいビジネスとして成功するかもしれません。
多くの人が見る人気のユーチューバーになれば広告収入も相当な額になるはずです。
目指してみるのも面白いかもしれません。
試験会場へ行くと場違いな女性もチラホラ
気象予報士の試験は毎年1月と8月に実施されますが、会場へ行くと一風変わった光景を目にします。
どう見てもキャバ嬢のようなメイクバッチリの女性を何人か見かけます。試験が終わったらそのまま出勤なんでしょうか。
ブランド物のバックから取り出した参考書はもちろんほぼ新品です。
付箋が挟んであったりマーカーで印が付いたり手垢で汚れていればまだ努力の形跡が見られるんですけどね。
資格試験とは縁があるとは思えないどころか、これまであまり勉強とか学習といった言葉とは関係なかったような感じです。
見た目が華やかそうなアナウンサーの仕事に憧れて受験してるんでしょうね。
テキストの新しさから想像すると、多分合格は厳しいと感じます。
気象予報士になるには
初学者には難しい専門性の高い資格
気象予報士の国家試験は、試験範囲が広く、専門性も比較的高いので簡単には合格できません。
毎日2時間程度勉強してもやはり1年くらいはかかります。早くても8か月間の勉強時間は必要です。
難易度としては行政書士くらいのレベルです。
ちなみに、お天気お姉さんだった根本美緒さん(慶大卒)は、番組の企画で気象予報士試験に挑戦し6回目で合格しました。
多くの人はやはり1発合格というよりも2回め、3回めで合格しています。
独学でも合格できるのか・・・ということですが、意外と大丈夫です。独学で合格する人が半分以上です。
文系で数学の知識がない人でも大丈夫です。
合格者の半分以上は文系の人間です。数学の知識が必要な微分積分や偏微分ができなくても基本的には予報士試験の問題は解けます。
完全文系人間でも、簡単な大気力学などの理論がわかれば、ほぼ解ける問題が多いです。
参考書を何度も繰り返し、あとは時間をかけて過去問をコツコツ解けば合格できます。
余談ですが、小学生も何人か合格しています。
負けないように頑張りましょう。
試験には学科試験と実技試験がある。
試験は、学科試験と実技試験に分かれています。
学科試験は予報業務に関する一般知識と予報業務に関する専門知識から出題され、解答は択一式のマークシートです。実技試験は文章や図表で解答する記述式です。
学科試験対策としては、まずは予備知識が必要です。
ほとんどの受験生が利用している「一般気象学」(後で紹介しています)で学習するのがおすすめです。気象予報士試験のバイブル的な参考書です。
何度も読み返すことで理解がすすみます。この参考書は試験と直結してるので、本試験での得点力アップにもつながります。
気象予報士の試験がどんなものなのかを知るために、まずこの参考書だけ購入するのも良いでしょう。
あとはとにかくテキストと過去問の繰り返しが大切です。過去問はホームページでも公開されています。
合格のカギとなるのは実技試験です。
実技の問題では文章で解答する出題がかなりあります。得点するには文章力や国語力が必要になります。実技に関してはひたすら過去問を繰り返しましょう。
独学で学習している人の多くは実技でつまずくようです。
自信がないようであれば実技対策としては、通信講座等もおすすめです。
おすすめの通信講座
気象予報士の試験は独学でも合格できますが、良質なテキストや問題集は種類も少なく限られているので通信講座を受講するのもおすすめです。
初学者は、なんとか学科(一般/専門)をクリアできても、おそらく実技の壁にぶつかることになるでしょう。
学科の理解が不十分だと実技に合格できません(いわゆる実技の壁)。実技の理解に時間がかかり、結局合格までに3年ほどかかってしまうのがよくあるケースです。
アガルートアカデミーの通信講座であれば、目に見えない気象現象を豊富な図と噛み砕いた説明でわかりやすく解説しています。
物理や数学の学習に挫折してしまっている方でも安心して受けられる講座です。
気象予報士試験講座|アガルートアカデミー
※無料体験もできます。
テキスト・問題集・参考書
気象予報士の受験生が減少傾向にあるため、良質なテキストや問題集はほぼ出版されておらず手に入らなくなりました。
各出版社は儲からないと判断したのでしょう。
かつて「かんたん合格テキスト」という人気のテキストがありましたが、2008年を最後に改訂版は出ていません。
通信講座受講をおすすめします。
おすすめ問題集
多くの受験生が使っている人気の問題集です。電子版も無料でダウンロードできます。
気象予報士の勉強法は、とにかく過去問を解くことです。この問題集は、第1回から第49回(2017年)までの試験の中から分野ごとに精選した学科試験と実技試験問題を模範解答・ヒントとともに掲載しています。
過去問で傾向を知り、解説をじっくり読んで理論学習と照らし合わせしっかり理解することで学科試験は合格に近づきます。
種類 | 評価 |
問題集 |
おすすめ参考書
言わずと知れた気象学のバイブル的な本です。
学科試験「一般知識」を網羅しています。理論が詳しく載っていて良い本です。気象学を勉強する上で欠かせない本です。これを読まずして気象予報士にはなれません。
部分的に難しい箇所もありますが、ほとんどの箇所は難しい数式を使わずに平易な文章で書かれています。
図も多いのも特徴の1つです。できるだけ細部まで理解できるように随所に工夫がなされています。
受験生なら、ぜひ一冊購入しておくべきです。
種類 | 評価 |
参考書 |
試験情報
日程・出題内容・合格基準・その他
試験日
年2回、8月と翌年1月
お申し込み
8月試験:6月中旬~7月上旬
1月試験:11月上旬~11月下旬
受験資格
受験資格の制限は一切なく、どなたでも受験できます。
試験会場
北海道、宮城県、東京都、大阪府、福岡県、沖縄県
受験料
免除科目なし:11,400円
学科一科目免除:10,400円
学科二科目免除:9,400円
※2023年11月現在
試験内容
学科試験と実技試験があります。
【学科試験の科目】マークシート
- 予報業務に関する一般知識:60分
- 予報業務に関する専門知識:60分
【実技試験の科目】
以下から2つについて、文章や図表で解答する記述式の試験をおこないます(試験は2回)。
- 気象概況及びその変動の把握
- 局地的な気象の予報
- 台風等緊急時における対応
実技試験1(上記実技試験の科目1~3):75分
実技試験2(上記実技試験の科目1~3):75分
学科試験で合格点を獲得した場合のみ、実技試験の採点が行われます。
※学科試験については、1年以内であれば合格した科目が免除となります。
※気象業務に関する業務経歴によっては学科試験の全部または一部の免除の制度があります。
合格基準
- 学科試験(予報業務に関する一般知識):15問中正解が11以上
- 学科試験(予報業務に関する専門知識):15問中正解が11以上
- 実技試験:総得点が満点の65%以上
※ 難易度により調整する場合あり。
主催者情報
試験に関する詳しい情報は気象予報士試験をご覧ください。