旅行業務取扱管理者とは?メリット多く就職が有利になる
種類 | 難易度 | 合格率 |
国家資格 | 普通 | 35% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
誰でも受験可 | ~2万円 | 6か月程度 |
活かし方 | 全国の求人数 | おすすめ度 |
就職・転職 | 287件 |
- 上記は国内旅行業務取扱管理者試験についてです。
- 全国の求人数は、ハローワークの情報を基に2024年9月2日に集計。
旅行業務取扱管理者とは、旅行会社が旅行商品を企画販売する際に必要となる国家資格です。国内と総合の2種類があります。
旅行業界唯一の国家資格なので就職や転職で十分アピールでき仕事に活かせます。
最も役に立つのは新卒の就活時です。
旅行関係の業種へ進みたいのであれば、国内でも取得するメリットは十分あります。
※地域限定旅行業務取扱管理者については説明を省略します。
旅行業務取扱管理者とは
旅行会社には必須の国家資格
旅行業務取扱管理者とは、旅行会社が国内/海外向けの旅行商品を企画販売する際に必要となる国家資格です。
旅行会社の営業所には、必ず1名以上(10名以上いる大規模営業所は2名以上)の旅行業務取扱管理者がいなければならないと旅行業法という法律で定められています。
旅行商品とは、移動手段や宿泊するホテル、旅先での観光地巡りや食事などを全てセットにして提供するパッケージツアーなどのことです。
旅行会社が、旅行商品つまり旅行プランを計画してサービスを提供する際には、お客さんに安心してプランを楽しんでもらえる無理のない計画を立てなければなりません。
旅行業務取扱管理者は、旅行プランが安全に遅滞なく進行するように管理・監督することが仕事です。
実際に旅行業務取扱管理者が添乗員として旅行先に出かけていくこともありますが、添乗員とは違い旅行業務取扱管理者は旅行業務全体を管理監督する立場にあります。
国内旅行業務取扱管理者と総合旅行業務取扱管理者の2種類
旅行業務取扱管理者には2種類の資格があります(地域限定については後述)。
国内旅行業務のみしか取り扱えない国内旅行業務取扱管理者と、海外・国内両方の旅行業務の取扱いができる総合旅行業務取扱管理者です。
いずれも観光庁所轄の国家試験ですが、試験の実施についてはそれぞれ日本旅行業協会(JATA)、全国旅行業協会(ANTA)と別になっています。
ともに旅行商品を企画して日程表を作成したり、交通機関や宿泊先等を予約したり、必要なチケットを発行するなど、旅のサポートを行う専門性の高い国家資格です。
総合旅行業務取扱管理者であれば国内旅行・海外旅行の両方を扱えるので、国内旅行業務取扱管理者の上位資格という位置づけです。
総合旅行業務取扱管理者の方が試験科目も多く、海外の観光、国際航空券の運賃計算、英語の出題などもあるため、難易度は上がります。
主催者サイト:試験・研修|一般社団法人 全国旅行業協会(ANTA)、総合旅行業務取扱管理者試験|一般社団法人日本旅行業協会
2018年から地域限定旅行業務取扱管理者もスタート
2018年度から地域限定旅行業者の制度がスタートしました。
地域限定旅行業とは、旅行会社のある市町村や隣接する市町村のみに地域を限定して、その地域の観光資源を活用した旅行商品の開発・販売が可能となる制度です。
それに伴い、地域限定旅行業をより普及させる目的で導入されたのが「地域限定旅行業務取扱管理者」の資格制度です。
したがって、旅行業務取扱管理者の国家資格には現在、国内・総合・地域限定の3種類があります。
なお、ほとんどの人が国内・総合の資格を目指すため、当サイトでは地域限定旅行業務取扱管理者についての詳しい説明は省略いたします。
主催者サイト:地域限定旅行業務取扱管理者試験|関連リンク|関連情報・注目情報|観光庁
役に立つ資格なのか?
新卒者の就活には大きな武器になる
旅行業務取扱管理者の資格が最も役立つのは、新卒予定者の就活時です。
旅行業界唯一の国家資格であるため、旅行業界を目指している学生が履歴書に書けば十分にアピール材料になります。
この資格を持っていれば旅行業に関して必要な知識を持っているとみなされます。
難易度の高い総合旅行業務取扱管理者であれば理想ですが、国内旅行業務取扱管理者であっても十分に評価されます。
ただし、資格を持っているからと言って即採用とはなりません。
接客を伴う業界ですから面接時の印象・人柄・マナーが有るかどうかも見られます。
学歴だって重要です。
旅行業務取扱管理者の資格は、意外なことに社会人の転職の際にはあまり役に立ちません。
旅行会社の中途採用の求人を見ると、多くは「キャリア向け求人」で業界経験者を募集しています。
未経験者歓迎の求人はごく僅かです。
もちろん旅行業務取扱管理者を持っているに越したことはないですが、新卒者ほど評価されません。
大手の旅行会社であれば社内に総合旅行業務取扱管理者を持っている人は普通にいます。
将来性について徹底研究
この資格の活かし方
旅行業務取扱管理者は、旅行業界で働きたい、あるいは働いているのであればであれば持っていて損はない国家資格です。
実際に業務で知識は活かせますし、資格は知識の裏付けになります。
資格手当を支給している会社も普通にあります。
旅行業務取扱管理者を持っていれば、旅行会社だけでなく鉄道・航空・ホテル業界・バス会社といった観光に関わっている業界への就職や転職の際にもアピールできます。
大手ホテルチェーン、リゾートホテル、大規模旅館などでは、旅行代理店と組んで旅行商品を作って販売しているところもあります。
このようなホテルであれば、旅行業務取扱管理者の資格が活かせます。
必須でなくても知識は活かせるので就職・転職の際にプラス評価につながります。
観光業という広い視点で見ると、語学力もあれば旅行業務取扱管理者の資格をさらに活かせます。
英語や中国語をはじめとした語学力の方が就職や転職が有利になるケースもあります。
観光に関する国家資格としては、他に全国通訳案内士などもあります。
旅行業務取扱管理者の合格者は、全国通訳案内士一次試験の5科目のうち地理科目が免除になります。
1科目でも減らせるというのは大きなメリットです。
また、旅行業務取扱管理者の資格があれば独立して旅行会社を起業できます。
※ただし、「営業保証金」や「基準資産」など事前にまとまったお金が必要になるので簡単にはできません。
目指すなら総合旅行業務取扱管理者
旅行業に携わるのであれば、国内よりも総合旅行業務取扱管理者の方が圧倒的におすすめです。
実際に、旅行会社で国内旅行だけを扱っているところは極少数です。
地域限定旅行業者以外では海外旅行を扱わない旅行会社はほぼありません。
営業所に必要なのは、事実上「総合」に限られます。
総合旅行業務取扱管理者を持っていればいろんな面で有利になります。
例えば、昇進や昇給で違いがでたり、資格手当が支給される可能性も高いです。支店の責任者クラスは必須です。
さらに、英語力もある程度持っていることの証明になります。
いくら社内に有資格者がたくさんいたとしてもやはり強い武器になります。
旅程管理主任者との違い
旅程管理主任者とは、添乗員・ツアーコンダクターと呼ばれる主として主催旅行の旅程管理を行う主任添乗員の資格制度です。
旅行業務取扱管理者との違いは、「旅行会社の窓口業務」と「実際に旅行に同行する添乗員」の違いということです。
旅程管理主任者になるには、旅程管理研修の受講と実務経験が必要ですから、旅行会社に就職しなければ取得できません。
就職や転職に活かすための資格とは違います。
参考:旅程管理研修とは|一般社団法人 全国旅行業協会(ANTA)
添乗業務を実施するには、国内旅行であれば国内旅程管理主任者、海外もするのであれば総合旅程管理主任者の資格が必要です。
個人で取得するのはほぼ不可能です。取得するには、専門学校などで学ぶかどこかの旅行業者又は添乗員派遣会社に入社後実務経験を得て指定研修を受講するのが確実です。
合格するには
勉強時間は国内は6か月、総合は1年ほど
前述のとおり、旅行業務取扱管理者には国内旅行のみを扱う国内旅行業務取扱管理者と、海外・国内旅行の両方を扱える総合旅行業務取扱管理者があります。
総合資格の方が国内資格よりも扱える範囲が広い分試験範囲が広く、試験の難易度は高くなっています。
国内旅行業務取扱管理者の合格率はここ数年28~38%で推移しており、平均すると35%ほどです。
一方、総合旅行業務取扱管理者の合格率は9~16%で推移しており、平均すると12%ほどです。
合格率を見ても総合の方が低くなっています。
必要な勉強時間は、国内であれば6か月くらい、総合であればその倍の1年くらいは必要です。
国内を合格していれば総合の試験で科目免除を利用できます。
国内の受験者の半数近くは就活を控えた学生
受験者の内訳を見ると、例年国内旅行業務取扱管理者の受験者は大学生などの学生が約半数(48.9%)を占めています。
独学でも十分合格できるので、おそらく就活に備えて挑戦するのでしょう。
逆に、総合旅行業務取扱管理者の受験者は旅行業など実務に従事する人が約半数(42.9%)を占めています。
旅行業界に数年勤めていれば、講習を受けて一部科目免除で本試験を受験できます。
2つの試験は重なる範囲が多いため、同じ年で両方合格することも可能です。
専門学校などでは両方の合格を目指すように指導しているようです。
総合旅行業務取扱管理者試験は独学で合格することも可能です。
ただ、独学で合格する多くの人は旅行会社に勤めている人です。つまり、実務経験がありながら科目免除なしで受験する人です。
全くの実務経験無しで総合に合格するのは少しハードルが高いようです。
国内旅行実務と海外旅行実務の分野が難しい
本試験においては、国内・総合ともに国内旅行実務の観光地理の分野が最も難易度が高いといわれています。
観光地、各地の年中行事など学習する範囲が広いのが特徴です。
配点で大きな割合を占めるため、この分野や全国の観光地理にある程度詳しいと逆に有利になります。
また、JRきっぷの団体料金計算、国際航空券の料金計算も難易度が高いと言われています。
国内観光では、まず日本国内の都道府県の位置関係を正確に覚えなければなりません。
そのためには地図帳や白地図があると便利です。
テキストや問題集に出てきた観光地の地名を地図帳で確認しながら、白地図に必要な情報を書き込んでいきます。
特に、国立公園や世界遺産は、写真付きの出題があるので、文章だけの理解ではするのではなく旅行のパンフレットやネット上の写真をみながら視覚的に覚えていくよう工夫する必要があります。
例えばこの県に行ったら、どんな観光地があるというイメージが湧いてくるとよいでしょう。
海外観光は、日本国内だけに比べると知識として必要な観光地の情報が膨大な範囲になります。
完璧に覚えることはまず不可能です。そのため勉強範囲をある程度絞る必要があります。
ポイントは、世界遺産や超有名な観光地、世界的に話題になりニュースで大きく取り上げられた場所などは必ず押さえておくことです。
実務経験があれば一部科目免除で受験できる
旅行業界に一定年数勤めていれば、講習を受けて一部科目免除で本試験を受験できます。
旅行業者等の業務に従事している者の内、規定の条件を満たす者を対象に全国旅行業協会と日本旅行業協会はそれぞれ研修を行っています。
研修後に行われる修了テストに合格すれば、国内試験を受験する際に国内旅行実務科目が免除となり、総合試験を受験する際には国内旅行実務と海外旅行実務の科目が免除となります。
最も難しいと言われている国内旅行実務と海外旅行実務が免除になるので非常に合格しやすくなります。
おすすめの通信講座
毎年多くの合格者を輩出するのがLECの通信講座です。
テキストはフルカラーで見やすく、視覚的に記憶に残る工夫がされています。
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合格するために必要なノウハウがぎっしりと詰まっていて、繰り返し学習することで実力がアップします。講義DVDと合わせて学習すれば理解が深まります。
※こちらから受講申し込みができます。
【LECの通信講座】旅行業務取扱管理者合格講座テキスト・問題集・参考書
おすすめテキスト・問題集
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ただ文章を読むだけではなく、読みやすくなる工夫が随所に施されています。
※国内向けです。
種類 | 評価 |
テキスト&問題集 |
基礎部分の説明がより丁寧で、初学者にとって読みやすいのが特徴です。
全く旅行業界の経験がない学生や趣味で受験する人にはユーキャンがおすすめです。解説が丁寧なのでじっくりと時間をかけて学習をすすめることができます。
各ページの外側に枠があり、用語の説明が詳しく書かれています。初学者にとってはこれが便利で助かります。
観光地に関しては、各観光地の説明と簡易な地図が載っているのでイメージしながら学習を続けられるのが特徴です。
種類 | 評価 |
テキスト&過去問題集 |
試験情報
日程・出題内容・合格基準・その他
試験日
国内旅行業務取扱管理者:9月前半の日曜日
総合旅行業務取扱管理者:10月
お申し込み
国内:6月前半~7月上旬
総合:7月上旬~8月上旬
受験資格
両方とも、どなたでも受験できます。
試験会場
- 国内旅行業務取扱管理者:北海道、宮城県、埼玉県、東京都内5会場、愛知県、大阪府、広島県、福岡県、沖縄県
- 総合旅行業務取扱管理者:北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府 、広島県、福岡県、沖縄県
受験料
- 国内旅行業務取扱管理者:6,500円
- 総合旅行業務取扱管理者:5,800円
試験内容
試験科目:
【国内旅行業務取扱管理者】3科目、マークシート方式、120分
- 旅行業法及びこれに基づく命令
- 旅行業約款、運送約款及び宿泊約款
- 国内旅行実務(運送機関及び宿泊施設の利用料金その他の旅行実務に関する料金、旅行業務の取扱いに関する実務処理)
※試験科目の一部免除制度があります。
【総合旅行業務取扱管理者】4科目、マークシート方式、200分
- 旅行業法及びこれに基づく法令
- 旅行業約款、運送約款及び宿泊約款
- 国内旅行実務
- 海外旅行実務
※試験科目の一部免除制度があります。
合格基準
各科目とも60点以上の得点で合格。
主催者情報
試験に関する詳しい情報は国内旅行業務取扱管理者試験 受験案内、または受験案内 | 一般社団法人日本旅行業協会をご覧ください。