薬剤師になるには?難易度は高いが将来性十分で女性におすすめ
種類 | 難易度 | 合格率 |
国家資格 | — | 70% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
養成課程修了 | 200万円~ | 6年以上 |
活かし方 | 全国求人数 | おすすめ度 |
一生モノの技術 | 6,894件 |
- 薬剤師になるには、6年制の薬学部を卒業し国家試験に合格しなければなりません。
- 合格率は最終の国家試験についてです。
- 全国求人数は、ハローワークの情報を基に2024年4月2日に集計しました。
薬剤師は昔から「手に職」の代表格と言われる医療系の国家資格です。
医師が発行する処方せんに基づいて薬を調剤したり、患者に対して薬の正しい使い方の指導・飲み合わせのチェックなども行います。
特に女性におすすめで、将来性のある資格です。
薬剤師になるには大学の薬学部を卒業しなければなりません。
比較的容易に入学できる大学もありますが、しっかり勉強しないと卒業するのが困難です。
さらに、そういった大学であれば国家試験すら合格できません。
特に偏差値50以下の私立大学は要注意です。
薬剤師とは
医師の処方せんに基づいて薬を調剤するのが主な仕事
薬剤師の代表的な仕事は、勤務先の薬局やドラッグストア・病院などで、医師が発行した処方せんに基づいて薬を調剤して、患者に提供することです。
処方せんとは患者に投与する薬について薬剤師に与える指示書です。医師が診察後に書きます。
薬剤師は、処方せんによる調剤だけではなく、薬の正しい使い方の指導、薬の飲み合わせのチェックなども行います。
医師の処方せんを、薬の専門家でもある薬剤師がチェックして間違った薬の服用を防ぎます。
複数の医療機関を受診しているお年寄りも多いので、安全に薬を服用できるように薬剤師が薬の重複や飲み合わせのチェックもします。
また、薬局やドラッグストアで一般用医薬品を販売する際には、客の症状に合った薬をすすめ、症状の度合いによっては専門医等への受診をすすめたりするなどの対応もします。
男性よりも女性が圧倒的に多い職種
厚生労働省の統計調査によると、全国で薬剤師として登録している人数は令和4年12月31日現在において323,690人です。
※前回の令和2年の統計調査ではは321,982人なので1,708人増加しています。今後も薬剤師は増加すると予想されています。
内訳は、男性は124,183人(38.4%)ですが、女性は199,507人(61.6%)となっていて男性の倍以上薬剤師がいることがわかります。
増加数、増減率ともに女性の方が高く、今後も女性の薬剤師が増えていくでしょう。
薬局に勤務する薬剤師が急増中
薬剤師が活躍する職場は、以下の通りです。
- 薬局の従事者190,735人(全体の58.9%)
- 医療施設の従事者 62,463人(19.3%)
- 医薬品関係企業の従事者 37,086人(11.5%)
- 衛生行政機関又は保健衛生施設の従事者 6,927人(2.1%)
- 大学の従事者 4,902人(1.5%)
- その他 20,486人(6.3%)
薬剤師の半分以上(6割近く)は薬局に勤務しています。2年前と比べても1,753人、1%増加しています。今後も薬局に勤務する薬剤師は増えるでしょう。
大学や医薬品関係の企業に勤務する薬剤師は減少していますが、それ以外は増加しています。
参考:令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師調査の概況|厚生労働省
参考:令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師調査の概況|厚生労働省
(いずれも「結果の概要>3.薬剤師」をご覧ください)
役に立つ資格なのか?
手に職の資格、けれど取得するのは大変
薬剤師は、昔から「手に職」の代表格と言われる医療系の国家資格です。
薬剤師といえば髪を後ろで束ねた美しい女性が白衣を着て、清潔な職場で仕事をするイメージがあります。
また、薬を扱う職業といえば人の命を救い健康に役立つというイメージもあります。
そのため女性にとって薬剤師は憧れの職業の一つです。
女子小中学生のなりたい職業の上位に常にランキングされています。
薬剤師の国家資格は、当然ですが役に立ちます。この資格があればどこへ行っても食いっぱぐれないでしょう。
就職・転職などにも役立つのは当然ですが、65歳を過ぎても男性女性に関わらず仕事には困りません。
大学を卒業して、仮に製薬会社などの一般企業やあるいは病院や薬局などに就職しても、家庭の事情や健康上の理由で退職することも考えられます。女性であれば結婚や妊娠で退職もするケースもあるでしょう。
薬剤師免許があれば短期間で次の就職先が見つかります。
女性であればドラッグストアなどを中心にパートなどでも求人がたくさんあるので育児との両立ができます。
仮に定年後に非正規雇用の薬剤師として働くにしても、時給は一般的な賃金とは比較にならないほど良いです。薬剤師というだけで格段に高い時給です。
また、薬剤師の資格を取得することで公務員の技術職なども狙えます。
麻薬取締官、食品衛生監視員、幹部自衛官(薬剤科)、厚生局の薬剤師、分析・検査センターの薬剤師、保健所の薬剤師など、国家公務員あるいは地方公務員として働くチャンスも増えます。
これらの職業は薬剤師の採用枠がありますが、当然ですが応募できるのは薬剤師に限られます。
こんなに役立って将来性もある薬剤師の資格ですが、取得するまでが大変です。
例えば、薬剤師になるための薬科大は6年制です。私立大学であれば学費もバカになりません。国家試験に合格するには学力も必要です。
大学で留年するのは珍しくなく、途中で退学する学生もいます。
卒業しても国家試験をあきらめる人もいます。
挑戦するのは今一度よく考えてみることをおすすめします。
将来性について徹底研究
メリットはとにかく時給が高い!
薬剤師のメリットは何といっても時給がいいことです。
パート、アルバイト、契約社員、派遣のいずれであっても格段に時給が良く、よく見かけるドラッグストアでの求人は2000円が最低ラインです。
それは、ドラッグストアなどでは薬剤師を置くことが義務づけられているからです。
薬剤師がいなければ、第1類医薬品と呼ばれるタイプの商品は販売できません。
多くのドラッグストアでは1店舗において1日に2人以上の薬剤師を雇う必要があります。
それは店舗が10時間以上の営業時間であるのに対して法定労働時間は1日8時間だからです。
薬剤師は全国で31万人しかおらず、地方へ行くと圧倒的に不足しています。
薬剤師で店番ができる人であれば雇いたいというドラッグストアは多くあります。
ちなみに薬剤師不足を補うためにできたのが登録販売者という国家資格です。
一般用医薬品のうち、登録販売者が販売できる第2類・第3類医薬品の割合は全体の9割以上あり、薬剤師不足を補う人材として薬局やドラッグストアで大きな戦力となっています。
関連資格:登録販売者とは
女性は出産すると社会復帰が難しくなりますが、薬剤師であればその心配はありません。
全国でこでもすぐに役立つ手に職の資格です。
薬剤師の給料は良いのか悪いのか?
薬剤師の平均的な年収は、一般的なサラリーマンよりも高いとか安いとかいろいろな噂がありますが、厚生労働省の調査結果をみると、一般的なサラリーマンと比べて100万円近く高いようです。
もちろん個人の能力や勤務先によっても違います。
30代で1000万円以上稼ぐ人もいれば、50代、60代でも調剤経験が無いと400万円くらいの人もいます。
大手製薬会社の研究員や大学や公的機関の研究員、国家公務員であれば平均年収はさらに高くなります。
普通の薬局でも新卒の初任給で500万円ほどもらえるようですが、その後はなかなか給料は上がらないようです。
また、住んでいる地域によっても収入が違います。
実は薬剤師は都市部で供給過多となっている傾向があるので、不足する地方のほうが高収入という統計結果が出ています。
人手不足が深刻化する地方の病院や薬局では、高収入の条件で薬剤師を募集しています。
公立の病院などに勤務する公務員の薬剤師であれば職種手当がプラスされる分一般の公務員と比べると給料は多くなります。
また、派遣で薬剤師として働くと給料が上がる傾向にあります。稼ぎたいからあえて派遣社員として調剤薬局に勤務する薬剤師もいます。
薬剤師は増えすぎて過剰気味?
もう何十年も前から薬剤師は過剰になるなんて言われていますが、現実は人手不足がずっと続いているという状況です。
薬剤師が余っている様子は全くありません。
そのため供給過剰どころか、選ばなければどこへでも就職できます。
都市部では若干薬剤師が余っている感じはあるようですが、地方へ行けば超人手不足でいくらでも就職先は見つかります。
仮に店番のパートだとしても時給2000~3000円が相場です。
とは言え、能力と経験が無く、薬剤師の資格を持っているだけでどこへでも就職できるのは新卒から3年めくらいまでです。無条件に就職に困らないということでもありません。
能力のある薬剤師は転職先にも困らず稼げますが、ダメな薬剤師はこの先淘汰されていくでしょう。
薬剤師の仕事は将来AIにとって置き換わる?
最近ネット上でよく見かけるのが、「薬剤師の仕事は将来AIが行えば不要になるのでは?」という書き込みです。
しかし、よく考えてみてください。
AIが人間に代わる仕事というのは、まず第一に単純労働です。
例えば工場での組立、コンビニやスーパーの店員、配達など、難しい技術を必要としない仕事です。
薬局でいえば単なる事務員です。法律で独占業務として定められていない単純労働です。
薬剤師などのように高度な知識を必要とする業務は、まず機械やコンピュータが人間の代わりはできません。
しかし、AIが薬剤師の仕事を高度に補助する時代は来るでしょう。その際は業務内容は少なからず変化します。
薬剤師が2人必要だったのを1人で済ませられるかもしれません。能力が無い薬剤師は淘汰されるでしょう。
しかし最終的に判断してお客に薬を渡すのは人間である薬剤師です。
業務に資格が必要な仕事をAIが取って代わることはありません。
AIで仕事は効率化されても薬剤師の仕事がなくなることはないでしょう。
薬剤師になるには
6年制の薬学部で学ぶのが条件
薬剤師になるには、6年制の薬学部を卒業し薬剤師国家試験に合格しなければなりません。
平成18年度までは4年制でしたが、現在6年制となっています。
一部4年制の薬学部も存在しますが、その場合は薬剤師国家試験の受験資格は得られません。
現在、薬学部のある大学は78校ほどです。薬学部は人気の学部ということで小泉首相の時に規制緩和されて全国に薬学部が乱立しました。
それにより私立大学の偏差値に大きな差ができました。
定員割れをおこし、お金さえ払えば入れる大学が現在も多く存在します。
薬学部へ進学するのはそんなに難しくはない
薬学部の難易度を見ると、上は東大・京大クラスから、下はいわゆるFランクの私立大学まで偏差値の幅は40くらいあります。
偏差値が40台前半と低い大学も多くありますが、そういった大学であれば試験の難易度は低いので入学するのはさほど難しくないです。
普通科の高校で、まぁ普通のレベルの学力であれば、私立の薬学部なら十分に入学できます。
しかし、最終的に国家試験に合格しなければ薬剤師にはなれません。
卒業すればほぼ全員合格できるような簡単な試験ではないんです。
私立のレベルの低い大学であれば、卒業する前にナント8割以上の学生が留年します。
留年すれば余計に学費も必要です。もちろん奨学金も止められます。
薬学部の学費は一般的な理工系の学部と比べても2倍ほどするので、学費の支払いが続かなくて退学せざるを得ない学生もいます。
偏差値の低い大学では、薬剤師になるどころか卒業すら困難
私立大学は国家試験の合格率が下がるのを恐れて、合格できそうにない人は卒業させません。
もともとの基礎学力が低ければ無理して薬学部へ進学しても卒業すらできません。
特に偏差値50以下の私立大学は要注意です。
留年や退学する学生の割合は高く、卒業したとしても国家試験の合格率が信じられないほど低かったりします。
私立の大学は国公立と比べると受験科目が少ないので、偏差値が多少高かったとしても(55程度)、国公立大学の学生に比べて学力は低いです。
特に理科系の入試科目が1科目のところが多いので、それも入学後に弱点になります。
私立大学であれば上位のところであっても、6年で卒業できて現役で国家試験に合格できる人はせいぜい6割です。
偏差値45となると2、3割です。つまり、多くの学生が留年しているわけで、あまり公表はされていませんが中退する学生も多いでしょう。
偏差値50以下の高校生であれば、無理して薬学部へ行くのは考えた直した方が良いかもしれません。
卒業して薬剤師国家試験に合格するのは非常に困難です。高校時代の勉強がどの程度できたかで薬剤師になれるかどうかがほぼ決まります。
中には、国家試験合格率33.3%という大学もあります(私立青森大学)。
参照:第109回薬剤師国家試験 大学別合格者数|厚生労働省(pdf)
ちなみに、6年で卒業して国家試験に合格する割合が高いのは国公立大学です。国公立であれば授業料も安く、私立の2割か3割程度ですみます。
薬学部へ進学を希望するのであれば国立大学か歴史ある私立をおすすめします。
大学によって就職先にも差が出る
偏差値上位の国公立大学を卒業する薬剤師は、大手製薬会社や化粧品会社の研究員や大学や公的機関の研究員、国家公務員などに多く就職します。
地方の国公立や有名私立大学を卒業して薬剤師になると、大手調剤やドラッグストア、病院などへ多く就職します。
下位や中堅の大学でも落ちこぼれると卒業がまず困難です。当然ですが卒業できないと国家試験を受験できませんし就職活動もできません。
合格しても就職活動は厳しく、希望している会社や企業などはことごとく落とされます。
薬剤師が就活に際して持っていた方がいい資格、役に立つ資格・・・と考える人もいるようですが、そういったモノはありません。
採用する側は、学校のレベルと在学中の成績でフィルターにかけるという現実があります。
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テキスト・問題集・参考書
おすすめ参考書
薬剤師の仕事を紹介する本はいくつか出版されていますが、特に人気というものはありませんでした。
2018年に出たこちらの本は漫画ですが、初の病院薬剤師をリアルに取り上げた漫画ということで人気です。
薬剤師と聞くと、薬局やドラッグストアにいる白衣を着た女性をイメージする人がほとんどかと思いますが、病院にも薬剤師はいます。
ただ、医者や看護師のように表には出てこないので何をしてるのかはよく分かりません。まさに日陰の存在です。
紹介されている薬剤師の仕事は全て実際の現場でおこなっていることです。薬剤師の仕事に興味がある人にはおすすめです。特に進路について考えている中高生におすすめです。
もちろん現役の薬学部の学生にもおすすめしたい漫画です。薬剤師が日々どんな仕事をしているのかが非常によくわかります。
種類 | 評価 |
関連書籍 |
前項で紹介したのは病院に勤める病院薬剤師を紹介した漫画でしたが、こちらは薬局に勤める薬局薬剤師を主人公にした漫画です。薬剤師の仕事を分かりやすく紹介しています。
医師の支持の下で処方したされた薬は、一体何がどうやって手元に届くのか?最近お薬手帳とよく聞きますが、なぜ必要なのか?薬にまつわる多くの話しを漫画で詳しく解説しているので、誰が読んでも分かりやすい内容になっています。
薬剤師の日常や日々仕事内容がわかるので薬剤師の仕事に興味がある特に中高生にも読んで欲しい一冊ですが、もちろんそれ以外の一般の人にも読み応えがあります。おすすめです。
種類 | 評価 |
関連書籍 |
試験情報
日程・出題内容・合格基準・その他
試験日
毎年1回:2月末の2日間
お申し込み
1月上旬~中旬
受験資格
6年制の大学の専門課程(薬学部)を卒業。
試験会場
北海道、宮城県、東京都、石川県、愛知県、大阪府、広島県、徳島県、福岡県
受験料
6,800円
試験内容
【試験科目】
[必須問題試験]
物理・化学・生物、衛生、薬理、薬剤、病態・薬物治療、法規・制度・倫理、実務
[一般問題試験]
・薬学理論問題試験
物理・化学・生物、衛生、薬理、薬剤、病態・薬物治療、法規・制度・倫理、
・薬学実践問題試験
物理・化学・生物、衛生、薬理、薬剤、病態・薬物治療、法規・制度・倫理、実務
合格基準
概ね下記の通りです。
- 全問題の得点が62%以上
- 必須問題においては、全問題の70%以上、かつ構成する各科目の得点において30%以上
合格発表
3月中旬ごろ
主催者情報
試験に関する詳しい情報は薬剤師国家試験|厚生労働省をご覧ください。