建築CAD検定試験
CADオペレーターの需要はあっても、求人数は意外なほど少ない。
種類 | 難易度 | 合格率 | 学習期間 |
---|---|---|---|
民間資格 |
普通 |
55% |
6か月程度 |
活かし方 | 取得費用 | 受験資格 | おすすめ度 |
---|---|---|---|
スキルアップ |
〜2万円 |
誰でも受験可 |
※上記は2級についてです。
最終更新日:2021/02/08
建築CAD検定試験とは
その昔、シャープペンや鉛筆で製図を手書きするのは大変でした。間違ったら消して、また書いて、やり直して・・・高度な専門知識とうまく仕上げるテクニック、それに根気が必要でした。
ところが、CADと呼ばれるシステムが普及するにつれ、コンピュータやパソコンで、キレイで見栄えの良い製図が比較的短時間でできるようになりました。
CAD(キャド)とは、Computer-Aided Designの略称で、コンピュータやパソコンを使って設計図面を作成支援するシステムのことです。マウスを使って、画面上で確認しながら製図を仕上げていきます。
CADが世の中に普及しはじめた頃は、大型コンピュータなどを利用していたので価格も数百万円以上はしていました。
その後、パソコンで動いてしかも高性能・低価格のCADソフトが世の中に出回ると、イッキにCADは普及しました。
建築の世界では、もはやCADは必須となっています。一般的に、「AutoCad」や「JwCad」などがCADソフト・CADシステムと呼ばれています。
建築CAD検定試験とは、パソコンでCADソフトを使って建築図面がうまく描けるか、というスキルを問う民間の認定試験です。全国建築CAD連盟(AACL)が主催しています。
試験は建築の図面作成に特化しています。実際に、試験会場でCADソフトを使って図面を描き、CADの操作技術が一定の基準を満たしているかを判断します。
建築CAD検定は、難易度の低い順に、3級、2級、准1級の3段階に分けられています。4級もあるのですが、こちらは高校生が対象になり、一般の人は受験できません。
建築CAD検定は、図面作成の実技試験のみです。
※ちなみに、よく間違えて表記されてますが、準1級ではなくて准1級です。
主催者サイト:【建築CAD検定試験】AACL-(社)全国建築CAD連盟
CADオペレーターの求人は現実的には少ない
建設業の現場事務所では、建築士などの指示を受けてパソコンで図面作成する人を「CADオペレーター」「CAD屋さん」などと呼んでいて、一定の需要がある資格です。
関連資格:建築士とは
CADを使いこなす人材は今後も必要ですし、現場からCADが無くなることもないでしょう。CADについて学習するのは無駄ではありません。
しかし、CADオペレーターの需要は少ないのが現実です。ネット上の求人情報、求人誌、ハローワークを探してもほとんど皆無の状況です。
役立つ資格、就職や転職に有利な資格などとPRしているサイトが多いのですが、現実的にCADオペレーターの需要はほとんどありません。
それはどうしてか・・・答えは簡単です。間に合っているからです。
その昔、CADが普及しはじめた頃は、コンピュータのCADシステムが使える人材は貴重でした。
手軽にパソコンでCADが使える現在は「できて当たり前」の必須のスキルです。会社で覚えれば、わざわざお金を払って学校へ行くほどでもないんです。
CADの操作は建築士自ら使うか、新入社員が担当します。建築知識が全くなくてもCADで図面はかけるので、必要であれば事務員が覚えます。
「CADの専門知識」とまでは言えないので、外部から建築CAD検定試験の有資格者を採用するまでには及びません。
せっかく高いお金を払ってCADについて学んだけど、全然就職につながらない・・・そうならないように申し添えておきます。
役に立つ資格なのか?役に立たない資格なのか?
就職や転職のために、建築CAD検定試験やその他のCADに関する検定を取得しようと考えているのであれば、これがあるからといって必ずしも有利になるとは言い難いです。
CADに関する資格は、就職や転職に役立つとは言えません。実務ではCAD関連の資格を求められることはほとんどありません。
役立つ資格、就職や転職に有利な資格などと建築CAD検定試験について紹介しているサイトが多いのですが、少し無責任な感じがします。
建築CAD検定試験の資格を持っていないからといってCADのオペレーターとして就職できないというものでもありません。単なる民間の検定試験の1つにすぎません。
もちろんCADは必需品です。しかし、単なる「描くための道具」です。操作に必要なのは「慣れ」です。それよりも、専門分野の知識の方が重要です。しかし、建築CAD検定試験では、CADの操作方法は身に付いても建築に関する専門知識は身に付きません。
建築CAD検定試験2級や1級が役立つなどとも言われていますが、実践ではほとんど役に立たない資格です。現場ではそれほどの意味はないです。
また、かつては厚生労働省認定のCADトレース技能審査という検定試験がありましたが平成29年で廃止になりました。一番の原因は受験生の減少です。
参考:CADトレース技能審査(厚生労働省認定): 中央職業能力開発協会(JAVADA)
CADが使えるのは建設業界においては当たり前であって、わざわざ資格・検定まで受験するメリットはないということです。
建築CAD検定試験の将来性を徹底研究!
この資格の活かし方
建築CAD検定について学んで、CADソフトを使いこなせるようになれば、その技術はもちろん仕事に活かせます。
工業高校や専門学校、公共職業訓練などでもCADについて教えています。今後も需要はあるので、建築CAD検定試験の勉強をするのはそれなりに意味があります。
建築CAD検定試験2級以上であれば、履歴書に書いて仕事に対する意欲をアピールできる可能性はあります。ステップアップするための道具として取得するのであればメリットもあります。
建設業界は、万年人手不足です。CADオペレーターの正社員で就職というのは難しいですが、CADが使えるというだけで就職の選択肢が広がります。
再就職を考えている女性であれば、CADオペレーターの派遣の時給相場は1700円程度です。普通の事務職よりも高い時給の仕事を見つけられます。時給1200円程度のバイトならさらに多いです。
地方では少なく、都会あるいはその近郊であれば、CADオペレーターの仕事はが選べる程度にあります。その場合も、現場での実務経験は重視されません。
CADの検定試験の中でどれがおすすめか?
CADに関する民間検定試験はいくつか存在します
- CAD利用技術者試験
- 3次元CAD利用技術者試験
- オートデスク認定資格プログラム
どれがおすすめなのか?未経験であればどれが一番転職に活かせるのか?と考える人も多いようです。
まぁ、率直に申し上げて、どれも似たりよったりでどんぐりの背比べです。
CADの民間資格で転職に役立つ資格は無いと思った方がよいでしょう。学習することで役立つ知識が身に付くかもしれませんが、お金と時間をかけるのであれば、他の資格をおすすめします。
仮に大学在学中であれば、建築業界で必要な資格は一級建築士です。現場管理ならば一級施工管理技士も必要です。どちらも実務経験を積まないと受験すらできませんが。
CADは会社に入ってから特訓すれば、早ければ数日間で業務で使えるようになります。資格の有無ではなく、本当にCADを使いこなせる技術が一番の強みです。
JwCADが利用者も多くおすすめ
建築CAD検定試験は、各級とも広く出回っている汎用のCADソフトを使用して受験します。
例えば、AutoCAD、AutoCAD LT、Jw_CAD、Vector Works、DRA-CADなどです。図面の自動生成機能を持った建築専用CADで受験はできません。
試験では、課題に沿って使用中のCADコマンドを駆使して作図します。操作方法についてAutoCadやJwCadが基本とはなはっていません。
点、線、円、楕円、文字、引き出し文字、寸法線、移動、複写、回転、レイヤなどなどの基本コマンドの操作をマスターしていれば、どんなCADソフトで受験するのかで有利・不利などの違いはないです。
では、どれくらいの割合で使われているのかというと、AutoCADが6割、2割がJwCAD、残りがその他のCADになります。
JwCADは無料で誰でも手に入ります。しかも動作が軽いので、本当は利用者が最も多いと言われています。ダントツのシェアかもしれません。いずれにせよAutoCADとJwCADが大多数を占めています。
この2つのどちらかであれば汎用性が高いです。市販の参考書はAutoCadやJwCadを基本としているので、学習をすすめやすい利点もあります。
AutoCADは安くないので個人で購入するには考えてしまいます。
やはり、無料で使えて参考書も多いJwCADからまずは始めるのがおすすめです。JwCADは独学に向いています。
※こちらからダウンロードできます。参照:Jw_cadのページ
建築CAD検定試験に合格するには
受験方法は、実際にパソコン上でCADソフトを使って図面を作成する実技試験です。受験方法は次の2種類から選べます。
- 試験会場に設置されたパソコンを使って試験を受験する
- CADソフトをインストールした自分のパソコンを会場に持ち込んで受験する
試験会場は毎回異なります。会場によってあらかじめインストールされているCADソフトもそれぞれ異なるので少し厄介です。
試験会場に設置されたパソコンを使用する場合は、主催者公式ホームページにて会場所在地・試験実施級・会場設置のCADソフト等を必ず確認した上で受験の申し込みを行いましょう。
建築CAD検定試験は、何級からでも受験できます。自信があればいきなり准1級もかまいません。
作図する課題は、各級とも出題内容があらかじめ決められています。そのため、学習方法としては出題内容を踏まえた問題集や図面をCADで繰り返し描く練習をすることです。できる限り多くの作図問題を練習しましょう。
公式の「建築CAD検定試験問題集」が販売されていますが、書店や書籍販売サイト等を通しての販売はしていません。主催者サイトで直接お申込み下さい。
建築CAD検定試験は独学でも3級や2級までは取得できると言われていますが、建築の知識もパソコンの知識もゼロの初学者であれば相当に厳しいでしょう。
専門学校やCADを学べるスクールに通う方法もありますが、あましおすすめしません。
建築CAD検定の3級で検索すれば、優良なyoutubeの動画はたくさんあります。参考になるので必見です。
職業訓練(ハロートレーニング)で習得するのがおすすめ
CADの操作を学ぶだけなら、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が開催している職業訓練(ハロートレーニング)で建築CADデザイン科などを受講する方がよほどマシです。
高いお金を払ってCADの専門学校やスクールへ通う必要なんて全くありません。そこで建築まで習って将来建築士を目指すのであれば話は別ですけど。
現実的に多くの人が職業訓練校で学んでいます。料金は劇安で、しかも受講期間は3〜6か月とかなり本格的です。
詳細は後述してますので、そちらを参照ください。
合格への第一歩、まずは無料の資料請求から
建築CAD検定試験 おすすめの講座
建築CAD検定試験について学ぶおすすめの講座は、なっといっても職業訓練(ハロートレーニング)です。
建築CAD検定2級の合格率は約55%と比較的高めですが、まったくの初心者が、公式テキストと問題集だけで合格するには少し無理があります。やはり最低限の建築の知識も必要です。
受講するには、受講者の条件(ハローワークに求職登録している方等)や、選考方法(書類選考・面接・筆記)などが定められている場合もあれば、それらが全くない訓練科・コースもあります。
下記のサイトから全国のハロートレーニング(職業訓練)のコース情報が検索できます。是非ご利用ください。
無料で大学・専門学校の資料請求ができます。
建築CAD検定試験 試験情報
試験日 |
お申込み |
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【3級・2級】4月、10月 |
主催者ホームページ参照 |
受験資格 |
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制限はなく、どなたでも受験できます。 |
試験内容 |
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【試験概要】
※4級は高校による団体受験のみです。ここでは省略します。 |
試験に関する詳しい情報は【建築CAD検定試験】AACL-(社)全国建築CAD連盟をご覧ください。
建築CAD検定試験 おすすめテキスト・基本書
2020年度版 建築CAD検定試験公式ガイドブック (准1級、2級、3級、4級(AutoCAD、Jw_cad対応)) |
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建築CAD検定試験の公式ガイドブック(テキスト)です。
4級から准1級まで全てのレベルに対応し、2級・3級の解法例をJw_cadとAutoCADで解説しています。実際に出題された問題の解法例を掲載し、試験に必要な基礎知識をわかりやすく説明しています。
全くの初学者が、このテキストだけで独学で合格するのは難しいです。やはり建築の知識も必要です。
※最新番の出版予定日は2021年4月1日です。 |
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建築CAD検定試験 おすすめ参考書
はじめて学ぶ AutoCAD LT 作図・操作ガイド 2020/2019/2018/2017/2016/2015対応 |
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本当にはじめてAutoCADに触る人用に作られている入門書です。図解中心でわかりやすく初心者でもスムーズに勉強できるように配慮されています。
初めて使う方人でも無理なく作図ルールと直線や円などの基本機能を習得できるよう、わかりやすい言葉で丁寧に説明しています。
作図で実際の画面の写真が豊富に使われていて、どこをクリックすればよいのか直感的に理解できるようになっています。
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高校生から始めるJw_cad建築製図入門[Jw_cad8対応版] |
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Jw_cadで建築製図を簡単にマスターするための入門書です。初学者が授業で製図を学ぶように、建築図面の描き方を初歩からやさしく解説しています。
建築知識ゼロの素人でもわかりやすく学習できます。製図についての予備知識があまりなくても、繰り返し操作しているうちに憶えられます。
基礎的なことを身に付けるには良い参考書です。この本の通りにやればJw_cadの基本が自然と身に付きます。 |
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