陸上特殊無線技士が役立つ資格なのか役立たない資格なのか紹介します

陸上特殊無線技士

取得は容易、国家資格だけど就職や転職にはほとんど役立たない。

種類 難易度 合格率 学習期間

国家資格

易しい

85〜90%

数週間程度

活かし方 取得費用 受験資格 おすすめ度

知識習得

〜1万円

誰でも受験可

最終更新日:2020/09/12

陸上特殊無線技士とは

無線機を持った男性

私たちの身の周りには、テレビやラジオのように無線通信の機能を利用する機器がたくさんあります。

 

無線通信の代表的なものは何と言ってもスマホです。機能としては「電話機」ですが、電波を利用して音声や映像を送受信する無線機に違いはありません。

 

このように無線通信は、ケーブルなどの線で接続することなく、電波を使って遠く離れた場所でも通信ができるのでとっても便利です。広く社会で利用されています。

 

しかし、便利な反面、勝手な使い方をすると、他の通信を妨害してしまいます。例えば、消防や警察の通信を妨害すると、社会生活に多大な影響を及ぼします。

 

そのため、電波は、誰もが勝手に利用することがないよう「公共の電波」として利用が制限されています。無線設備を操作するのは、原則として電波に関する一定の知識・技能を身につけた無線従事者でなければなりません。

 

陸上特殊無線技士とは、陸上で無線設備を利用して無線通信を行う際に必要な国家資格です。試験は総務省より委託を受けた公益社団法人日本無線協会が実施しています。

 

テレビやラジオの中継局、携帯電話の基地局、警察や消防・タクシーの無線設備を操作するには、陸上特殊無線技士の資格を持った無線従事者がいなくてはならないと電波法で定められています。

 

また、最近では、ドローンの使い方によっては第三級陸上特殊無線技士が必要とあって注目されている資格でもあります。

 

参考:公益財団法人 日本無線協会

業務の内容は限定されるが、容易に取得できる国家資格

携帯電話の基地局

 

陸上特殊無線技士は、第一級、第二級、第三級と国内電信級を加えた4種類に分かれています。それぞれ「一陸特:いちりくとく」「二陸特」「三陸特」と略称で呼ばれたり表記されます。

 

※なお、国内電信級はモールス信号など特別な資格なので当サイトでの詳しい説明は省略します。

 

陸上にある無線局の設備を操作する資格としては、以前は陸上無線技術士(一級・二級)しかありませんでした。

 

しかし、携帯電話の普及により各地に小規模な無線局が増加し、技術者の需要の増加が見込まれたため、陸上特殊無線技士の資格が1989年に制定されました。

 

陸上「特殊」無線技士は、陸上無線技術士と比べて扱える設備や周波数・空中電力の出力などに制限があります。

 

つまり、「特殊」と名称がつく無線従事者資格は、自動車運転免許でいう「オートマチック限定」のような限定免許の扱いで限られた無線設備しか操作ができませんが、その分取得しやすい資格となっています。海上特殊無線技士や航空特殊無線技士なども同様です。

 

無線従事者の国家資格は分野別に計23種類ありますが、第3級陸上特殊無線技士の難易度は低く、下から数えて2番目です。全く無線の知識がない初学者でも、数日間の勉強で合格できる人もいます。

 

ちなみに、最も簡単だと言われているのは3級海上特殊無線技師で、合格率はほぼ100%です。

それぞれの級によって操作できる範囲が異なる

陸上特殊無線技士には一級、二級、三級と種類がありますが、それぞれ以下のように内容が分けられています。

 

第三級陸上特殊無線技士

例:消防や警察、タクシー無線の基地局の操作(電波の強さは条件付きで100W以下あるいは50W以下)
一級、二級より周波数の範囲が限られている無線設備の技術操作が行える資格です。消防学校で取得します。

 

第二級陸上特殊無線技士

例:気象レーダーの操作、警察のスピード違反取り締まりのレーダー操作(電波の強さ100W以下)
警察官は、基本的に警察学校でこの資格を修得します。

 

第一級陸上特殊無線技士

例:テレビやラジオの中継局、防災行政無線の操作(電波の強さ500W以下)
実務では携帯電話の基地局の保守関連が圧倒的に多いです。

 

参考:公益財団法人 日本無線協会

 

役に立つ資格なのか?役に立たない資格なのか?

陸上特殊無線技士のレーダーチャート

「IT社会で求められている資格」
「需要は高く求人も豊富」
「5Gの実現に向けて資格保有者の需要増が見込まれる」

 

陸上特殊無線技士について紹介しているサイトを見ると、だいたいどこも上記のような魅力のある文章が並んでいます。

 

本当にそうであれば、難易度も低いので是非取得したいですね!

 

しかし、残念ながらここまで役立つ資格ではありません。理由は簡単です。国家資格とはいえ誰でも取得できるからです。

 

仮に、最も難易度が高い第一級陸上特殊無線技士を取得したとしても、特に就職や転職は有利になりません。無線局を操作する部署に配属になった人が、必要に迫られて仕方なく取得する資格です。

 

必要になれば社員を養成講座(養成課程)に通わせればほぼ確実に取得できます。最も需要がありそうで難易度が高い一級でさえ条件次第で養成講座で取得できます。

 

しかも、一級陸上特殊無線技師が必要になりそうなマイクロ波の中継回線や携帯の基地局は、数年経つと機材が最新設備に入れ替わります。古い設備の運用経験を積んでもすぐに経験が役に立たなくなる可能性が高いため、実務経験者を募集するのが難しいという実情があります。

 

陸上特殊無線技士は、就職前に取得するメリットは少なく、就職後に必要になってから取得しても十分間に合います。

 

第一級陸上特殊無線技士なら有資格者の求人もまれに見ますが、それ以下なら履歴書に書いても就職は有利にはなりません。

 

履歴書に書くのは自由ですが、三級陸上特殊無線技士であれば書かない方が良いかもしれません。


陸上特殊無線技士の将来性を徹底研究!

この資格の活かし方

 

テレビの中継局

 

陸上特殊無線技士の有資格者を必要とする会社は、無線設備を扱うタクシー会社・警備会社、電波施設(基地局や中継局)のメンテナンス会社等です。

 

無線設備の検査や点検といったメンテナンスの際には、電気工事士の資格を持っていると役立ちます。

 

関連資格:電気工事士(第二種)とは

 

持っていて就職や転職が有利になるのは、上位資格でもある「第1級・2級陸上無線技術士」です。

 

陸上無線技術士は、放送局や大規模な送信所に従事する人が取得するようなプロ向け資格です。難易度も比較にならないほど高く、簡単には取得できません。

 

社内でステップアップするために、あるいは上位資格にチャレンジするための第一歩として陸上特殊無線技士の資格を活かすのが良いでしょう。

ドローンを操縦するにはどんな資格が必要か?

 

最近何かと話題になる人気のドローン、このドローンを操作するために第三級陸上特殊無線技士の資格やアマチュア無線技士の資格は必要になるのでしょうか?

 

ドローンは無資格で取り扱える機種が多く、周波数(2.4GHz帯)や出力が免許不要の範囲内にあり、かつ「技適マーク」が貼り付けられている国内正規品のドローンであれば基本的に資格は不要です。

 

※「技適マーク」とは、法令上の基準に適合していることを認証するマークです。通常はドローン本体に印刷またはラベルを貼付しますが、最近ではディスプレイ表示もできます。

 

参考:総務省 電波利用ホームページ|その他|ドローン等に用いられる無線設備について

 

しかし、概ね5キロ以上離れても無線操縦が可能な高性能のドローン(5GHzの電波帯を使用するもの)については、何らかの資格が必要になります。

 

例えば、ドローンレースのように趣味や遊びにドローンを利用するのであればアマチュア無線技士、農薬散布や空撮のように業務用にドローンを利用するのであれば陸上特殊無線技士が必要です。

 

多くの人は、個人的な趣味でレースに参加したり上空から景色を撮影するのがを楽しむのが目的でしょうから、その場合はアマチュア無線技士の資格が必要になります。

 

参考:総務省 電波利用ホームページ|アマチュア無線局について

 

実は、ドローンの活用が近年急速に進みすぎて、この辺りの法整備が追いつていません。産業用途にも使えるということで、慌てて法整備を進めている状況です。

 

2020年1月、総務省はこの資格に関する条件を緩和する方針を固めました。今後は高性能のドローン(5GHzの電波帯を使用)を操縦する際は、有資格者が付き添えば、誰でもドローンを操縦できるようになるようです。

 

参考:ドローン操縦、条件緩和へ 総務省 有資格者付き添いで初心者も - 2020/01/07北海道新聞 どうしん電子版

 

注意点として、無線従事者資格が必要なドローンを飛行させるには、資格のみならず無線局免許状の申請も必要です。

 

アマチュア無線の資格はドローンの操縦者に対して与えられ、アマチュア無線局免許はドローン本体に対して与えられる免許です。忘れずに申請をしてください。

 

ドローンの機種によっては資格が必要だったり全く要らなかったりします。また、まったく別の資格が必要になることもあります。無線の資格は不必要で航空法の飛行申請のみで飛ばせるドローンもあります。

 

まず、使用の目的と、操作する予定のドローンの機種を定めることが優先です。操作するのに資格が必要な機種であれば、目的によって無線従事者資格の種類が違ってきます。

アマチュア無線技士とは全く用途が違う

 

無線従事者の国家資格は分野別に全部で23種類あります。その中でもよく耳にするのが、陸上特殊無線技士とアマチュア無線技士です。

 

この2つはどう違うのでしょうか?どちらが上位資格なんでしょうか?

 

陸上特殊無線技士とアマチュア無線技士は全く別物です。そもそも利用目的が違います。

 

参考:23種類もある無線従事者資格と、それぞれの操作範囲との相互関係はどうなっていますか。

 

まず、大前提として、アマチュア無線技士は趣味や遊びに電波の利用は限定されています。営利目的や仕事に電波を使用できません。

 

一方、陸上特殊無線技士は、営利目的つまり仕事に電波を利用するのが目的です。業務用の規格のトランシーバーしか使えず、趣味や遊びに電波を利用できません。

 

例えば、スキー場で仲間と無線機で連絡を取り合う、登山の途中で場所を確認しながら連絡をとる・・・これは趣味の世界ですから、アマチュア無線技士の資格が必要です。業務用の無線機で趣味の会話をするのは禁じられています。

 

タクシーの配車が目的で運転手に無線機で指示を出すのであれば、これは営利目的です。陸上特殊無線技士の資格が必要です。業務でアマチュア無線の無線機を使うのも同じく禁じられています。

 

仕事だけではなくレジャーにも無線機を活用したい、そんな時に業務用トランシーバーをこっそり趣味目的で使うと、電波法違反として検挙対象となります。せっかくの資格も取り消しになりかねません。

 

趣味用のトランシーバーを使いたい場合は、国家試験か講習会でてっとり早く第4級アマチュア無線技士の資格を取りましょう。

 

難易度は第2級陸上特殊無線技士と同程度です。すぐに合格できると思います。

仕事でも遊びでも使いたい場合はデジタル簡易無線

 

仕事でもレジャーでも無線機を使うとなると、資格も別々に取ってもちろん無線機も別に買わなければなりません。しかも、別途に無線局免許状の交付を受けなければならず費用も手間もかかります。

 

仕事でも遊びでもマルチに無線機が使えたら便利ですね。そこで便利に使えるのが「デジタル簡易無線」です。

 

用途はレジャー用としても業務用としても許可が下ります。無線機に同梱されている申請書を郵送で総務省に提出するだけで無線局登録状が交付され、使用可能になります。

 

通信距離の目安は市街地で1〜5キロ程度ですが、携帯電話が圏外になる山奥でも通話ができます。山の上など周囲に障害物がなければ数十km以上遠くまで届くので、土木建築現場・林業・山岳会・狩猟など、幅広い用途で使われています。

 

もちろん建物の中でも広範囲に利用できるので、建物警備やビルメンテナンスの現場でも連絡をとる手段として使われています。

 

デジタル簡易無線機は一般的な業務用無線機と比べても安く、1台あたり3万円〜5万円ほどです。

 

無線機はレンタルも多くあるので安価で借りられます。試しに一度使ってみるのもおすすめです。

 

陸上特殊無線技士に合格するには

陸上特殊無線技士の資格を取得する方法は2通りあります。

  • 国家試験に合格
  • 養成過程(養成講座)を修了

参考:公益財団法人 日本無線協会

 

養成課程とは、日本無線協会が実施する資格取得のための講習会です。講習時間は、3級で6時間、2級は9時間です(1級の養成課程を受講するには学歴や業務経歴の条件があるので主催者ホームページで確認してください)。近くに会場がない場合は、eラーニングを利用して遠方でも受講が可能です。

 

いずれの講習会でも、講習の最終に修了試験があり、そこで合格すれば資格を取得できます。合格率は95%以上で推移しているので、ほぼ全員合格できます。

 

合格させるための講習ですから、無線を触ったこともない全くの知識ゼロでも普通に講習を聞いていれば合格できます。国家試験が不安で全然自信がないのであれば講習をおすすめします。

 

講習で取得するなら、2級をおすすめします。1日ですむ3級と違って、2級は2日間かかりますが、1日の違いでも3級と2級とでは扱える通信機器や規模が全く違ってきます。もちろん2級に合格すれば3級でできる業務の範囲は全てカバーできます。

安くすませるのであれば国家試験、意外と簡単です。

国家試験には「無線工学」と「法規」の2科目があります。試験は毎年3回2月・6月・10月に実施されます。

 

3級と2級は、レベルとしても義務教育の中学数学レベルです。おそらく誰もが簡単と感じるでしょう。

 

本試験では、過去問題の使い回しや、類似問題が数多く出題されます。毎年同じような内容が出題されるため、過去問題を繰り返して解くことで比較的短期間で合格できます。過去問題の解答を丸暗記するだけでも合格できます。

 

試験日の3日前から勉強を始めて合格できたとか、一夜漬の丸暗記のみで合格したなんていう人もいます。普通に1か月も勉強すればおそらく大丈夫でしょう。

 

3級と2級の難易度の違いですが、ほんの少しだけ2級の方が難しいかも・・・という程度で、ほぼ変わりません。実際に両方とも受験した人の話しを聞いてもほぼ同じ難易度のようです。

 

1級は陸上特殊無線技士のなかでも別格の難易度です。高校2年生レベルの数学の知識が必要です。合格率も30%前後を推移しており、3級・2級と比べると大幅に下がります。

 

マイクロウェーブや人工衛星通信に関する問題も出題され、出題範囲としては上位の陸上無線技術士とほぼ同じ範囲になります。

 

1級になると「無線工学」の内容がかなり難しくなるため、しっかりと時間をかけて理解するまで勉強する必要があります。「法規」は簡単です。確実に知識を身に着けて資格を取得したい人は養成講座がおすすめです。

陸上特殊無線技士 試験情報

試験日

お申込み

毎年3回(2、6、10月)

試験日の前々月の1〜20日

受験資格

受験資格の制限は一切なく、どなたでも受験できます。

試験内容

【試験地】
札幌、仙台、東京、長野、金沢、名古屋、大阪、広島、松山、熊本、那覇
【試験内容】
《第1級》 多肢選択式:3時間

  • 無線工学:24問
  • 法規:12問

《第2級・第3級》 四肢択一式:1時間

  • 無線工学:12問
  • 法規:12問

《国内電信級》

  • 法規(四肢択一式)12問:30分
  • 電信術(送受信)75字:3分

【合格基準】
《第1級》

  • 無線工学:75点以上/120点
  • 法規:40点以上/60点

《第2級・第3級》

  • 無線工学:40点以上/60点
  • 法規:40点以上/60点

《国内電信級》

  • 法規:40点以上/60点
  • 電信術:送信、受信ともに70点以上/100点

試験に関する詳しい情報は公益財団法人 日本無線協会をご覧ください。

陸上特殊無線技士 おすすめテキスト&問題集

やさしく学ぶ 第三級陸上特殊無線技士試験
第三級陸上特殊無線技士試験(三陸特)の受験対策用テキスト&問題書です。最も多くの受験生が利用しています。

 

試験科目に合わせて「法規」と「無線工学」に分かれており、「法規」は、試験に出題されている法令の要点をわかりやすく解説しています。「無線工学」は、図を用いながらやさしく丁寧に解説しています。さらに、テーマごとに掲載されている練習問題を解いて理解すれば、合格に必要な実力が身につきます。

 

入門書としても最適ですし、元々難しい試験ではないのでこの1冊だけで合格できるでしょう。あれこれ参考書や問題集に手を出すよりも、これ1冊で演習問題がすべて解けるようになれば、問題なく合格できます。

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