石綿作業主任者
資格の取得は容易だが、自分の身と周囲の作業員の命を守る責任は重大。
種類 | 学習期間 | 難易度 | 合格率 |
---|---|---|---|
国家資格 |
2日間 |
易しい |
99% |
活かし方 | 取得費用 | 受験資格 | おすすめ度 |
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スキルアップ |
~2万円 |
講座受講 |
※石綿作業主任者とは労働安全衛生法に定められた国家資格です。
※石綿作業従事者についても一部説明しています。
最終更新日:2022/11/02
石綿作業主任者とは
石綿作業主任者とは、石綿を取り扱う労働者が石綿粉じんを体内に吸入して汚染されないように、作業の方法を決定し、労働者を指揮すること並びに保護具の使用状況を監視する現場の監督者です。
つまり、石綿作業主任者は、石綿を取扱う作業等で作業に伴う危険を防止するために要な指揮・監督を担います。
そもそも、石綿(アスベスト)とは、1970~90年代に断熱性などを高めるために建築材料に多く使用された素材です。
石綿は非常に利便性が高く、多くの場所で使用されました。しかし一方で石綿の繊維を吸い込むと、肺がんや悪性中皮腫など人体に悪影響を与えることが判明し問題となりました。そのため、現在では石綿の輸入や使用等は原則禁止になっています。
石綿等の粉じん汚染から労働者を守る責任者のある仕事
老朽化した建物の中には、大量のアスベストが使用されたままになっている状態のものも多く存在します。前述の通り、解体作業中に石綿を吸い込むと深刻な健康被害を及ぼすため、安全に取り除く作業が発生します。
例えば、石綿を選別し水をかけて飛散を防止し、隔離・立ち入り禁止区域の決定等の指揮、局所配置装置や保護具の使用状況の監視などです。
平成18年(2006年)4月、労働安全衛生法の改正により事業者は、労働災害を防止するため、石綿を取り扱う作業については「石綿作業主任者技能講習」を修了した者のうちから「石綿作業主任者」を選任することが義務づけられました。
石綿作業主任者は、石綿を取り扱う作業に従事する労働者の指揮、保護具の使用状況の監視等の職務を行います。
石綿作業主任者技能講習を修了するには、各都道府県労働局安全課や労働基準協会連合会、都道府県労働局長の登録教習機関が行う2日間の講習を受講し、修了試験に合格しなければなりません。
平成18年度より始まった国家資格
従来、石綿作業主任者は「特定化学物質等作業主任者技能講習」を修了した者のうちから選任することとされていましたが、労働安全衛生法等の改正により、平成18年(2006年)4月1日からは、石綿作業主任者技能講習を修了した者のうちから選任することとなりました。
平成18年4月1日に新設された「特定化学物質・四アルキル鉛等作業主任者技能講習」を修了しても「石綿作業主任者」の資格を有しているとはみなされないので石綿作業主任者技能講習を修了する必要があります。
現行資格では特定化学物質等の「等」の字が入りません。石綿部分が独立したためです。
平成18年3月31日までに旧・特定化学物質等作業主任者技能講習を修了した者は、石綿作業主任者となる資格を有しているため、新たに講習を受ける必要はありません。
なお、石綿が使用されている建築物又は工作物の解体等の作業に労働者を就かせるときは、その労働者に石綿特別教育を行わなければなりません。
石綿作業主任者について本音で一言
全くの知識ゼロの初心者でも石綿作業主任者を取得するのは容易です。合格率はほぼ100%なので、誰でも2日間の講習で取得できます。
しかし非常に危険な作業なので、誰も石綿を取り扱う作業をやりたがりません。石綿を除去する専門の業者もありますが、これと言って給料が良いワケでもないです。
この資格を取得して就職や転職に活かそう!そう考える人は極めてマレです。就職や転職に活かすために取得する資格ではないです。
石綿作業主任者の資格を取得するメリットは、自分や従業員の体を守るための知識が身に付くという点です。
将来性を徹底研究
資格を活かせる職場は主に解体業
石綿作業主任者の資格を活かせる業種は、建物の解体業、化学物質除去作業専門の企業、内装工事会社、アスベスト除去の専門業者などです。
石綿(アスベスト)は現在は使用することが原則禁止されているので、新規に石綿を使用した建物を建設することはありません。建物の解体作業時に必要となり活かせる資格です。
また、建築物だけではなく古い船舶にもアスベストは断熱材として使用されていることがあります。古い大型の船舶や鉄道などを解体する時にもアスベストの除去が必要になるため、この資格が役立ちます。
万が一、作業に従事する労働者に健康被害が出た場合は、関わった事業者や現場の監督者の責任が問われます。作業を仮にしないとしても、現場全体の安全を管理するのが石綿作業主任者です。責任重大な仕事です。
石綿作業主任者と石綿作業従事者は違う
石綿作業主任者は、石綿作業を全般にわたって監督するための資格であり、作業全体に関して取り仕切る権限と責任を持ちます。石綿に関わる作業現場では必ず1人は配置しなければなりません。
一方、実際に現場で作業に従事する労働者は、石綿取扱作業従事者特別教育を受講して石綿作業従事者として認定されなければなりません。
つまり、石綿作業主任者は現場作業を監督するための資格であり、石綿作業従事者とは文字通り石綿を取り扱う作業に従事する人です。
石綿を含む建材を取り扱う場合、例え建材を移動させるだけの場合でも石綿特別教育の受講が必須となります。
特別教育受講者が何人いても石綿作業主任者がゼロの場合、作業をすることができません。石綿作業主任者が1名以上必要になります。
石綿作業主任者の資格を取れば特別教育は不要です。
合格するには
石綿作業主任者の資格は2日間の講習と修了試験により取得が可能です。
合格するには各都道府県労働局安全課や労働基準協会連合会、建設業労働災害防止協会などの登録教習機関が実施している石綿作業主任者技能講習を受講します。
受講資格などはなく誰でも受講できます。ただし18歳未満の人は労働基準法の年少者労働基準規則によりアスベスト関連の作業が認められていないため作業主任者にはなれません。そのため、18歳以上に限定している講習も多いようです。
講習は2日間にわたって行われます。作業環境の改善方法に関する知識と関係法令についての説明が中心です。
保護具に関する説明では、呼吸用保護具メーカーの社員が実物を持ってきて説明するところもあるようです。
試験は、普通に聞いていれば全員合格できる程度の難易度
最終日には修了試験が1時間ほどかけて実施されますが、こういった「技能講習」は普通に居眠りせず出席して聞いていれば全員合格できます。
修了試験前に、講師の方が重要な部分の復習をしてアンダーラインを引くように指導してくれます。
修了試験はほぼそこから出題されるので、居眠りをしていなければ大丈夫なレベルです。試験の直前にアンダーラインを引いたところを3回ぐらい読み返してください。
2日目の講義が終わった100分後ぐらいの15時30分から修了試験は始まります。問題は20問で、全て3択です。内容としてはいたって簡単です。
よほど不真面目でなければ修了書を発行してもらえます。合格率は99%くらいですから全員合格できると言ってもよいでしょう。
修了試験の結果は、試験修了30分後ぐらいに発表され、その場でカード型の修了証がもらえます。
受講料は、テキスト代も含んで15,000円以下である場合がほとんどです。受講先により料金が違うのであらかじめ確認してください。
もちろん他県で受講して取得することも可能です。
技能講習情報
講習日 | お申込み |
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各都道府県によります。 |
各都道府県によります。 |
受講資格 |
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原則として誰でも受講できますが、18歳以上に制限している教習機関もあります。 ※就業できるのは18歳以上です。 |
講習内容 |
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受講地:全国各地
【2日目】
修了試験は、三者択一の25問、試験時間は1時間 |
試験に関する詳しい情報は各主催者のホームページをご覧ください。