酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者(酸素欠乏危険作業主任者)
知識として役に立つ機会は多いものの求人は全国的に見ても少ない。
種類 | 学習期間 | 難易度 | 合格率 |
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国家資格 |
3日間 |
易しい |
98% |
活かし方 | 取得費用 | 受験資格 | おすすめ度 |
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スキルアップ |
~2万円 |
講座受講 |
※労働安全衛生法で定めるれっきとした国家資格です。
最終更新日:2023/01/16
酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者(酸素欠乏危険作業主任者)とは
特に、トンネル工事や造船工場、タンク清掃などの現場では毎年のように痛ましい労働災害が発生しています。
また、トンネル、下水道管、浄化槽などでは、細菌の働きのため酸素欠乏空気の発生と同時に有毒の「硫化水素ガス」が発生している場合もあります。
浴室内に溜まった硫化水素が原因で、入浴中の客が死傷する事件なども毎年のように発生しています。換気が十分にされていなかったことが原因です。
酸素欠乏や硫化水素による災害で何よりも恐ろしいのは、迫っている危険が目に見えない点です。気付いた時には既に手遅れ…とならないよう換気には十分に気をつけなければなりません。
「酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者」とは、トンネルや下水道などの酸素欠乏や硫化水素中毒の危険作業にかかわる現場で、作業員が酸素欠乏にならないよう作業方法の監督する責任者です。
例えば、作業を行う場所の酸素および硫化水素の濃度の測定、測定器具や換気装置等その他労働者が酸素欠乏症にかかることを防止するための空気呼吸器等の使用状況を監視します。
酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者の資格は、各都道府県労働局長登録教習機関が実施する技能講習を受け、学科・実技の修了試験に合格すると取得できます。
講習は、全国各地で年間を通じて定期的に行われています。
技能講習の区分は2つ、酸素欠乏危険作業主任者はほぼ開催ゼロ
作業主任者になるための技能講習は以下の2種類です。
- 酸素欠乏危険作業主任者技能講習
- 酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習
1.は酸素欠乏症になるおそれのある場所で作業主任者として就業するために必要な資格です。硫化水素が発生する可能性がない場所です。
2.は酸素欠乏症かつ硫化水素中毒となるおそれのある場所で作業主任者として就業するために必要な資格です。こちらを修了すれば、両方の作業主任者になれます。
「酸素欠乏」の資格は2日間の技能講習で、「酸素欠乏・硫化水素」はそれに1日プラスして3日の技能講習で取得できます。
かつては「第一種」「第二種」という分類でしたが、労働安全衛生法第76条の改正により2004年4月1日以降は現在の名称になっています。
酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習であれば、酸素欠乏も硫化水素もカバーできるため、ほとんどの人はこちらの講習を受講します。受講生が集まらないので、全国的にも酸素欠乏危険作業主任者技能講習はほぼ開催されていません。
なお、酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育とは、現場で作業に従事する作業員(酸素欠乏・硫化水素危険作業者)が受けなければならない講習です。特別教育は1日の講習です。
参考:公益社団法人東京労働基準協会連合会:技能講習:酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習のご案内
酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者について本音で一言
酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者とは、労働安全衛生法で定めるれっきとした国家資格です。履歴書に書いて堂々とPRできます。
けれど、これだけで就職や転職が有利になる可能性は低いです。3日間の講習で誰でも取得できるので、現場で人材が不足したとしても社員に取りに行かせればすみます。しかも、現場責任者は一人いればOKです。
実際に求人情報を検索しても、この資格に関する求人は少ないです。
ただ、講習で得た知識が役立つ現場は多く存在します。例えば、建設作業現場、タンクの中、掘削現場、地下工事現場、下水処理場、ゴミ処理施設等々です。
特に将来性がある資格とまでは言えませんが、日常的に酸素欠乏となりうる場所は多いので勉強して損はないです。自分の身を守る知識が付くというメリットはあります。
合格するには
酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者の資格は3日間の講習を受講すれば取得可能です。
技能講習は、各都道府県労働局安全課や労働基準協会連合会、建設業労働災害防止協会などの登録教習機関などが開催しています。
講習は、学科と実技の2種類です。それぞれ修了試験がありますが、ともに合格すれば晴れて国家資格取得です。
3日間のうち最初の2日は学科講習です。2日めの最後に学科の修了試験がありますが、居眠りをせずに講習をしっかりと聞いていれば合格点を取れる程度の難易度の試験です。
合格率は98%ほどですから、ほぼ全員が合格できます。
試験に出そうな箇所は講師がアンダーラインを引くように教えてくれます。講習中に何度も出題箇所を説明する講師もいます。
しっかりと聞いていれば、万が一不合格になっても補講してくれて再テストをしてくれる場合もあります。
ただ、受講態度が悪かったり、爆睡したりすると不合格になります。マレに「落ちた!」という人がいるようです。
実技といっても、かなり地味な内容
3日めはいよいよ実技です。実技と言っても内容は地味です。
例えば、大きなフラスコ内でろうそくに火を付けてフラスコ内を酸欠状態にして、その中に測定器を入れて酸素濃度を読み上げて、酸素濃度が16%未満なのか、16%%を超えているのかを判定する…そんな内容です。
あるいは、作業現場で倒れている人を発見したという想定で、大声で名前を呼び意識の有無を確認をする、鼻や口元に耳を近づけて呼吸の有無を確認する、頚動脈に手を当てて脈の有無を確認する、人工呼吸の真似をするといった内容です。
実技の終了試験では、上記の内容を試験官の前で行います。いずれも受講生が一人ずつ試験官の前でやります。
実技を真面目にやっていなかったとか、受講態度がよっぽど悪かったなどがない限り合格できるはずです。
他の受講生ももちろん見ていますが、恥ずかしがらずに大きな声でテキパキと動けばOKです。
声が小さいと「緊張感が足りない」と言われます。命に直結する講習ですから現場で迷ってばいられません。
ふざけてやっていると怒られます。何人かそういう人がいるようです。講師の言うとおりにやれば大丈夫です。
技能講習情報
講習日 | お申込み |
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主催者により異なります。 |
主催者により異なります。 |
受講資格 |
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原則として誰でも受講できますが、18歳以上に制限している教習機関もあります。 ※就業できるのは18歳以上です。 |
講習内容 |
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受講地:各都道府県
【実技講習】
全科目の所定時間を修了し、かつ学科及び実技とも修了試験に合格した方に修了証が交付されます。 |
試験に関する詳しい情報は各主催者のホームページをご覧ください。