火薬類取扱保安責任者とは?難易度や勉強時間などを解説
種類 | 難易度 | 合格率 |
国家資格 | やや易しい | 50~60% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
誰でも受験可 | ~3万円 | 2か月程度 |
活かし方 | 全国の求人数 | おすすめ度 |
就職・転職 | 32件 |
- 合格率は甲・乙同程度です。
- 全国の求人数は、ハローワークの情報を基に2024年8月22日に集計。
ダイナマイトを使って爆破(発破)をする際の一連の作業だけではなく、火薬庫における火薬の貯蔵・保管、調達等などもできるのが火薬類取扱保安責任者の国家資格です。
発破技士の上位資格に該当します。
求人数は少ないですが、人手不足の業界なので未経験者でも就職や転職は有利になります。
難易度はそれほど高くはなく2か月ほどの勉強時間で合格できます。
火薬類取扱保安責任者とは
火薬類を取り扱う専門家
火薬類取扱保安責任者とは、火薬類の取り扱いに関する作業の管理・監督を行う国家資格です。
火薬類とは、利用価値のある爆発物(正しく使えば価値のある爆発物)で、火薬、爆薬、および火工品に分けられます。
火薬類は、自動車のエアバック、ダイナマイト、花火などで広く利用されています。
建設工事やトンネル工事の現場、砕石場ではダイナマイトによる発破(爆破)が行われます。
しかし、火薬の扱いを誤ると、生命にかかわる重大な事故や社会不安を引き起こす可能性があります。
そのため、火薬の貯蔵・消費を行う際には、火薬類取扱保安責任者を現場に配置することが義務付けられています。
火薬類取扱保安責任者「甲種・乙種」の違い
火薬類取扱保安責任者の資格は、扱える火薬量によって甲種と乙種の2種類に分かれます。
- 甲種:火薬類の貯蔵合計量は年間20t以上、消費合計量は月11t以上
- 乙種:火薬類の貯蔵合計量は年間20t未満、消費合計量は月11t未満
単純に、甲種は乙種よりも多くの量の火薬類を扱えます。
国家試験は、全国火薬類保安協会および下部組織の都道府県火薬類保安協会が実施します。
甲種または乙種火薬類製造保安責任者の資格を有する人は、申請により甲種または乙種火薬類取扱保安責任者の資格を取得することができます。
業務内容が発破技士との違い
火薬類を使った発破の作業を行うには、火薬類取扱保安責任者あるいは発破技士の資格(免許)が必要です。
関連資格:発破技士とは
両者にはできる業務の範囲に違いがあります。
発破技士は、発破作業における穿孔、装填、結線、点火、不発の際の残薬点検と処理などの業務に限定されていて火薬の保管・管理はできません。
火薬庫における火薬の貯蔵・保管、調達等は、火薬類取扱保安責任者の資格が必要です。
つまり、発破技士は火薬類取扱保安責任者が持ってきた火薬で発破の準備から実際に発破をして、そして後片付けをする「発破に限定した技士」というイメージです。
なお、発破技士は厚生労働省、火薬類取扱保安責任者は経済産業省の管轄という違いがあります。
発破技士と比べてどちらが簡単?
火薬類取扱保安責任者は発破技士の上位の資格になるため、こちらを持っていれば発破技士の資格は不要です。
難易度は火薬類取扱保安責任者の方がやや上です。
試験は、火薬類取扱保安責任者は年1回のみ、一方、発破技士は年に2回あるのでその分少し有利です。
ただし、発破技士の免許を得るには半年以上の実務経験が必要となります。なければ、発破技士講習を2日間受けなければなりません。
その講習の費用が高くて5万円以上します。忙しい人であれば仕事の都合でスケジュールを合わせるのが難しかもしれません。
火薬類取扱保安責任者であれば、実務経験が求められないので机上の独学だけでも取得できます。
試験は発破技士の方が若干簡単ですが、ある意味火薬類取扱保安責任者の方が取りやすい資格なのかもしれません。
なお、薬類取扱保安責任者の資格を保有していると、危険物取扱者の種類によっては試験科目の一部が免除されて資格を取りやすくなります。
「製造保安」までは必要ない
火薬類の製造工場において製造保安の責任を担う者として火薬類製造保安責任者の国家資格があります。
こちらは、毎年の受験者数が100人前後ですから、発破技士よりもさらにマイナーな資格になります。
「製造」は甲種・乙種・丙種の3種類に分かれていますが、丙種が打ち上げ花火業者や玩具用花火の 製造業者で必要になる程度です。甲・乙種が必要なケースはかなり限られています。
基本的には一般の火薬に関する業務に従事するには火薬類取扱保安責任者あるいは発破技士の資格で十分です。
火薬類製造保安責任者の甲・乙種はかなり難易度の高い試験です。全て記述式で、大学・大学院で火薬学などを学んでいないとまともに解答できません。
ただし、丙種は花火師(煙火製造会社の社員)向けで試験は択一式、難易度もかなり低くなります。
役に立つ資格なのか?
主に土木作業現場で活躍
火薬類取扱保安責任者の求人を探すと、採石プラント、建設現場、土木工事現場などでいくつか見つかります。
危険が伴うため、ほとんどが正社員としての採用です。経験があればいろいろな手当がついて給料も高くなります。
建築や土木は人手不足の業界なので、意外と未経験者可という求人も多く見つかります。
発破を行う企業へ就職・転職希望でしたら、この資格を持っていればもちろん有利になります。
発破技士は土木作業現場や採掘現場などで必要とされることが多いので、火薬類取扱保安責任者は幅広い現場での活躍が期待できます。
既に土木関係の仕事に就いている人が取得すれば仕事の幅が広がるでしょう。
もちろん、危機管理がしっかりできて責任感のある人がこの仕事には向いています。
合格するには
「香川本」で勉強するのがおすすめ
火薬類取扱保安責任者の試験は、年齢・学歴の制限がないため誰でも受験できますが、18歳以上でなければ免状が発行されません。
試験対策用の参考書や問題集は数種類市販されているので、独学でも十分合格できます。
試験に合格するために必要な勉強時間は、1日2時間ほどの勉強で1か月ほどです。
もちろん個々の事前の知識や能力によっても大きく違います。2か月ほどあれば合格できるでしょう。
試験は、基本的に過去の問題が繰り返し出題されます。
近年、受験生に絶大な支持を得る「香川本」 を使う勉強方法がおすすめです。
テキスト・参考書などは一切購入せず、この問題集だけで合格する人も少なくないです。
香川本は、Amazonや一般の本屋さんでは販売していません。下記サイトより直接購入してください。
参考:香川県砕石事業協同組合
ある程度は正確な知識が求められる
火薬類取扱保安責任者の試験は計算問題以外4つの選択肢から正しいものを2つ選ぶという6択方式です。
そのため、ある程度正確な理解が求められます。勘だけで正解は得られません。
火薬学の問題では、火薬・爆薬に関する知識の問題と計算問題が出題されます。それぞれの対策が必要です。
計算問題は公式を利用すれば解ける問題がほとんどです。はじめから捨てる人もいますがもったいないです。過去問を利用して何度も問題演習をすれば計算問題は対応できます。
初めから計算問題を捨ててかかる方がおられますが、そうした後ろ向きな姿勢は不合格になる可能性を高めるだけです。
テキスト・問題集・参考書
おすすめ問題集
最新の過去問題から過去8回分を収録し、解答解説した過去問題集です。
問題と解説付きの解答が交互に記載してあるので1問1答形式で学習をすすめられます。
後ろには法令などの参考資料があるのでこの1冊だけで勉強できます。
種類 | 評価 |
過去問題集 |
試験情報
日程・出題内容・合格基準・その他
試験日
甲種・乙種ともに9月上旬頃
お申し込み
6月下旬頃
受験資格
年齢、学歴等に制限はありません。誰でも受験できます。
試験会場
各都道府県
受験料
18,000円
試験内容
多肢択一式(2時間)
- 火薬類取締に関する法令 20問
- 一般火薬学 20問
大学などで火薬学の単位を修めた人は一般火薬学の科目が免除されます。
合格基準
概ね各課目ともに60点以上
主催者情報
試験に関する詳しい情報は火薬類(製造・取扱)保安責任者試験をご覧ください。