作業環境測定士の業務内容や試験の難易度・登録講習など解説
種類 | 難易度 | 合格率 |
国家資格 | 普通 | 40% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
学歴・実務経験等 | ~13万円 | 4か月程度 |
活かし方 | 全国の求人数 | おすすめ度 |
評価アップ | 73件 |
- 上記は第二種作業環境測定士についてです。登録講習の合格率は公表されていません。
- 取得費用には登録講習の受講料も含みます。
- 全国の求人数は、ハローワークの情報を基に2024年8月17日に集計。
有害物質や騒音振動が発生する現場の作業環境を測定・分析し、そこで働く労働者の健康を守るために職場を改善する専門家が作業環境測定士です。
有資格者の求人などは少ないため、作業環境測定機関で働いているか自社で環境測定をするなどの特定の目的がなければ取得はおすすめしません。
合格後の登録講習は天下り団体の利益を目的としているため費用が高い!
作業環境測定士とは
作業環境を改善し労働者の健康を守る
作業環境測定士とは、有害物質や騒音振動が発生する現場の作業環境を測定・分析し、そこで働く労働者の健康を守るために職場を改善する専門家です。
有害物質とは、鉱物性粉じん、放射性物質、特定化学物質、鉛、有機溶剤などです。扱い方によっては働く労働者の健康に害を及ぼす影響のある物質です。
これらのいずれかを取り扱う作業場では、作業環境測定士による定期的な作業環境測定が義務付けられています。
作業環境測定士は調査・分析結果をもとに、作業現場などの事業所などに対し作業環境を改善するためのアドバイスを行います。
さらに、定期的な観察を行い作業場が改善されているかを確認します。
「第一種」と「第二種」の2種類
作業環境測定士は、第一種作業環境測定士と第二種作業環境測定士の二つに分かれます。
簡単に言うと、第一種は第二種の上位資格という位置付けです。
なお、デザインとは策定計画の立案、サンプリングとは有害物質の採取です。
第一種作業環境測定士 | 第二種作業環境測定士 |
デザイン・サンプリングともに可能 | |
鉱物性粉じん、放射性物質、特定化学物質、金属類、有機溶剤の5科目に分かれ別の資格という扱い 合格した科目の分野におけるすべての分析が可能 | 簡易測定器による分析業務のみ |
デザイン、サンプリングは一種・二種ともに行えますが、分析については第二種は第一種と比べ行える業務に制限があります。
第一種作業環境測定士は、合格した科目の分野においてデザイン・サンプリング、分析(解析を含む)のすべての分析が可能です。
第二種作業環境測定士は、デザイン・サンプリングを行うことができますが、分析については簡易測定機器を用いた「デジタル粉じん計による粉じんの測定」と「検知管を用いた一定の有機溶剤または特定化学物質の測定」のみに限定されます。
合格後は登録講習が必須
作業環境測定士と名乗って作業をするには、作業環境測定士の国家試験に合格後、日本作業環境測定協会が主催する登録講習を受講しなければなりません。
参考:作業環境測定士試験に合格したあとの講習(登録講習)|JAWE-日本作業環境測定協会-
その上で厚生労働大臣の指定を受けた「安全衛生技術試験協会」へ登録してはじめてこの資格を活かした作業ができるようになります。
受講料は、受講する講習機関によって違います。第二種で3日間の講習、金額は10万円ほどです。
参照:作業環境測定士登録講習、作業主任者技能講習の案内|関西労働衛生技術センター
講習の終わりには記述式試験と実技試験が行われますが、何れも70%以上正解で修了です。
修了試験は簡単です。合格率については公表されていませんが80%以上だと言われています。
作業環境測定士の試験に合格した人ならまず全員合格できるはずです。
中には「試験に落ちた」っていう人もいるようですが、講習中の態度が悪かった(寝ていた)などの理由も少なからずあると思われます。
この講習の一番の狙いは天下り団体の利益確保です。
作業環境測定士になるには
受験するなら第一種!
作業環境測定士の試験は第一種と第二種がありますが、比較すると難易度の高い第一種の方が合格率は高いのが分かります。
- 第一種作業環境測定士:60~70%
- 第二種作業環境測定士:35~40%
一般的には難易度の低い二種を取ってから第一種を取りますから、第二種に合格した一定水準の人が第一種を受験するため合格率が高いのかもしれません。
あるいは、第1種の方が試験は難しいことは誰もが理解していますから、真剣に勉強した結果なのかもしれません。
余談ですが、第一種は作業環境測定士は年に1回(8月)だけ、第二種作業環境測定士は年2回(8月と2月)あります。
夏に時間的な余裕があれば集中して勉強し一気に第一種を目指すか、冬に余裕があればまず第2種を取得するという方法もあります。
受験するのであれば第1種がおすすめです。
第一種試験を受験して、共通科目は合格し選択科目で不合格になった場合は第二種試験に合格したとみなされるからです。
仮に不合格でも第二種合格になれる可能性があるということです。
勉強の範囲もほぼ同じで、免許の価値は圧倒的に第一種の方が上です。
毎年繰り返して同じような問題が出題される
試験では、化学の知識を求められます。高校で化学が得意だった人は多少有利でしょう。
科目では分析概論が合否を分けるポイントになります。
試験では同じような問題が毎年繰り返して出題されるので、頻出問題を重点的に学習して確実に得点できるようにするのが重要です。
環境計量士(濃度)の方が難易度は上
環境計量士(濃度)の登録を受けた人は、作業環境測定士試験の共通科目4科目のうち2科目、選択科目は放射性物質以外の4科目が免除されます。
さらに、大学・高専または高等学校を卒業し国家試験科目一部免除講習を修了した人は共通科目の残りの2科目も免除されます。
参照:作業環境測定士になるまでの道のり|JAWE -日本作業環境測定協会-
以上の点から判断しても環境計量士の方が作業環境測定士よりも上位資格(つまり難易度は上)です。
※作業環境測定士の登録講習では筆記試験の免除はありません。修了試験のうち実技試験は別に実施している実技基礎講習を修了すれば原則免除されます。
かなり細かい受験資格が求められます
作業環境測定士の試験を受けるためには受験資格が必要となります。
誰でも受験できるわけではなく、通信教育などの独学では受験できません。
受験資格は第一種、第二種ともに共通で、主に学歴・資格・実務経験が求められます。
例えば、大学や高等専門学校で理系の正規学科を修め1年以上労働衛生の実務に従事した経験した者、理系でなくとも卒業後3年以上労働衛生の実務に従事した経験があれば受験は可能です。
なお、医師・歯科医師・薬剤師の国家資格を有していれば第1種、第2種ともに試験は免除です。
主な受験資格は以下の通りです。
- 大学、高等専門学校において理系系統の正規課程を修めて卒業し、その後1年以上労働衛生の実務経験がある者
- 大学において理科系統の正規の課程以外の課程を修めて卒業し、その後3年以上労働衛生の実務経験がある者
- 高等学校又は中等教育学校において理科系統の正規の学科を修めて卒業し、その後3年以上労働衛生の実務経験がある者
- 高等学校又は中等教育学校において理科系統の正規の学科以外の学科を修めて卒業し、その後5年以上労働衛生の実務経験がある者
大学には短期大学を含めます。高等専門学校に専修学校や各種学校は含めません。
受験するには実務経験が必要な場合があります。この他にも様々な受験資格や免除科目、保有資格による受験資格などの規定があります。
詳細は受験資格(作業環境測定士(第一種及び第二種))にて確認してください。
テキスト・問題集・参考書
おすすめ問題集
第1種と第2種作業環境測定士試験の問題集です。
第2種5回分、第1種2回分の試験問題を試験科目ごとに分類・整理し、頻出・重要問題をていねいに解説した問題集です。
本試験では同じような問題が毎年繰り返して出題されます。頻出問題を重点的に学習して確実に得点できるようにするのがポイントです。
種類 | 評価 |
問題集 |
おすすめ参考書
実務に必要な分析化学の知識を図解で解説した入門書です。
分析化学とはなにか、検出定量法、光・X線・電子線での分析、クロマトグラフィー、放射性物質分析など分析化学の基礎がビジュアルに理解できます。
イラストが多く基本が分かるため、初めての人にも慣れた人にも化学分析をする人におすすめです。
分析の基礎的な理論から機器のこと、認証に関することや心構えまで非常に幅広い内容が網羅されています。
あくまでも参考書です。作業環境測定士の受験用としてはあまり向かないかもしれません。
種類 | 評価 |
参考書 |
試験情報
日程・出題内容・合格基準・その他
試験日
- 第一種:8月中旬
- 第二種:8月中旬2月中旬
お申し込み
- 第一種:5月下旬~6月下旬
- 第二種:5月下旬~6月下旬、11月初旬~12月初旬
受験資格
学歴・実務経験・保有資格などによる受験資格があります。当サイトで掲載しているのでそちらをご覧ください。
試験会場
東京都と下記の全国7ヵ所の安全衛生技術センター
北海道、宮城県、千葉県、愛知県、兵庫県、広島県、福岡県
受験料
- 第一種:10,600~27,100円 (選択する科目数により違います)
- 第二種:11,800円
試験内容
■第一種作業環境測定士
【共通科目】
- 労働衛生一般
- 労働衛生関係法令
- 作業環境について行うデザイン・サンプリング
- 作業環境について行う分析に関する概論
【選択科目】
- 有機溶剤
- 鉱物性粉じん
- 特定化学物質
- 金属類
- 放射性物質
■第二種作業環境測定士
- 労働衛生一般
- 労働衛生関係法令
- 作業環境について行うデザイン・サンプリング
- 作業環境について行う分析に関する概論
※保有する国家資格、免除講習の受講者によっては試験科目の一部が免除となります。
合格基準
各科目ごとの得点が全て60%以上で合格
主催者情報
試験に関する詳しい情報は作業環境測定士試験|厚生労働省をご覧ください。
※こちらに随時最新の試験情報が掲載されます。