測量士補は難易度も低く就職や転職につながるおすすめの資格
種類 | 難易度 | 合格率 |
国家資格 | やや易しい | 35% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
誰でも受験可 | ~1万円 | 2か月 |
活かし方 | 全国の求人数 | おすすめ度 |
就職・転職 | 1,271件 |
- 全国の求人数は、ハローワークの情報を基に2024年9月27日に集計。
測量士補は、測量業者に従事して測量を行うために必要となる国家資格です。
受験資格はなく、測量の知識ゼロでも短期間で合格できます。
学生や社会人が取得すれば就職や転職に活かせます。
合格率は年によって多少変動しますが、ここ数年は35~40%前後です。
測量士補に合格すれば、土地家屋調査士試験の午前の試験が免除になります。
測量士補とは
そもそも測量とは
道路工事の現場や広い空き地で、三脚の上に置いた小型望遠鏡のようなものを覗いている人を誰もが見たことがあると思います。
これがまさに測量のお仕事です。
ダムや橋、道路、鉄道、トンネル、ビル、家屋等、あらゆる建設工事においてまず最初におこなう作業が測量です。
工事予定地の正確な位置(緯度・経度)・高さ・長さ・面積等を専門的な測量技術を使って測定し、現状図面等を作成します。
この測量の結果によって開発計画を決めたり、建造物の建設条件を変更するので、誤差のない正確性が要求されます。
測量に従事する資格は測量士と測量士補の2種類
測量に従事する資格には測量士と測量士補(そくりょうしほ)の2種類があります。
ともに、測量法に基づき、国土交通省に置かれる特別の機関である国土地理院が管轄する国家資格です。
国や県、市町村などが発注する公共事業において測量を行う業種では、最低1名は測量士・測量士補の資格取得者を置かなければならないと定められています。
測量士補は一体何ができる?
測量士は、例えば、道路・ダム・公園・病院などの建設、上下水道の整備・河川の改修などの公共事業における用地確定のための公共測量について測量計画を作成し実施します。
そして、名称に「補」が付く通り、測量士が作った測量計画に従って測量をするサポートする役割が測量士補です。
測量士は測量計画を作成できますが、測量士補は測量計画を作成することができません。
あくまでも測量士の作成した測量計画の指示に従って測量業務を実施します。
土木や測量の業界では略して「士補(しほ)」と呼ぶこともあります。
測量士、測量士補になるには「資格」と「免許登録」が必要です。
資格要件を満たし登録の申請後に国土地理院に備える名簿に登録されてはじめて測量士・測量士補と正式に名乗れます。
参考:公益社団法人日本測量協会 測量士・測量士補の資格のページ
役に立つ資格なのか?
意外と狙い目の国家資格
山を切り開いて道路やトンネルを建設する際も公共の施設を建てる際にも欠かせないのが測量の技術です。
土木工事の前提として、まずは正しく土地を測量しなければ工事は進みません。ダムや道路、病院などの公共施設はいつまで経っても完成しません。
測量とは、常に一定の需要が見込まれて社会から必要とされ続ける仕事です。
市場価値の高い技術なので、測量士や測量士補の資格は仕事と直結しやすく就職や転職に役立ちます。
測量事務所、土木・建設会社、建設コンサルタント、地図作成会社などで測量士補の資格は活かせます。
公共の測量業務(建築・建設・土木の現場や地図製作等)を行う測量業界で仕事をするには、少なくとも測量士補は必須です。
測量士補は難易度が低く誰でも比較的短期間で取得できます。
しかし、実は意外と就職や転職に役立つ狙い目の資格なんです。
正社員の求人が多い
求人情報やハローワークインターネットサービスで検索すると、全国的に測量関係の求人は多くあります。
測量の技術や知識は、専門的な学校を出ていなくても未経験者でも十分に覚えられます。
一度技術を身につければ同じ業界で長く活躍できます。
そのため求人情報を見ると長期で働ける人を募集しているケースが多く、最初からパート、アルバイト、派遣よりもフルタイムでの正社員募集が多いのも特徴です。
測量の実務経験があればよいのですが、なくても就職に結びつきやすい資格です。
将来性について徹底研究
この資格の活かし方
測量の仕事には、大きく「外業」と「内業」の2つがあります。
外業とは、野外の建設・土木現場で実際に測量する仕事です。
もちろん野外ですから真夏や真冬でも作業を行いますが、測量に適した時間帯や天候を選びます。
夜間や天候が悪い日は作業を行いません。体力的な負担を伴うような作業は少ないです。
ただし、山奥などの未開の地を測量するとなると険しい山道を上るなど体力を求められるケースもあります。
内業とは、機器調達、測量データ分析や製図などのデスクワーク全般を指します。
測量は外で作業するイメージがありますが、内業が実は重要です。
近年は測量したデータをデジタルで処理する機器が増えているので、パソコンを使った業務が増えています。
パソコンが得意であれば測量の仕事に活かせます。
測量士補よりも測量士の方が上位資格です。そのため、測量士の方が面接の際には評価が高く給料もやや高いようです。
ただ、一旦現場へ出ると両資格にはそれほど大差はなく、中には待遇が全く変わらない会社もあります。
測量士補は測量士よりも比較的容易に取得できる資格なので測量の仕事を志すのであればまずは測量士補から取得します。
その後、測量士補として測量士事務所で経験を積んで努力次第で測量士にスキルアップできます。
さらに不動産登記を目的とした土地家屋調査士の国家資格も目指せます。
知識ゼロからでも独学・短期間で合格できる!
測量士補は、毎年1万人以上が受験する隠れた人気国家資格です。
比較的簡単だけどで就職や転職につながりやすいというのがその理由の1つのようです。
年齢・経験などの受験制限が一切ないので、実務経験ゼロの人達が大勢受験します。
「測量」と聞くと専門職的なイメージです。
UAV(ドローン)、GIS、GNSS、3D測量・・・見たこともない専門的な用語もたくさん出てきて、まさに未知の世界です。
知識ゼロでも独学で合格できるの?予備校へ通った方が良いの?あるいは通信教育?・・・そう迷ってる人も多いと思います。
けれど心配には及びません。機器を見たことも触ったこともない人でも3か月ほどしっかり勉強すれば普通に独学で合格できます。
そもそも大学の土木学科などで測量に関する科目を履修していれば無試験で測量士補として登録できます。
つまり、大学で測量を専門に学習しているようなレベルの高い人は最初から受験者数に含まれていません。
測量士補試験を受ける人は、他分野からの未経験者がほとんどだということです。
受験生の多くは制服を着た高校生
当サイトの運営者も、土地家屋調査士受験の前に測量士補を受験しました。
会場に到着して驚いたのは、学生服姿の高校生が非常にたくさんいたことです。全体の7割以上は高校生だったと思います。
おそらく土木関係や工業高校の生徒が就職を控えて学校単位で受験しているのでしょう。
彼らの会話が試験会場のあちこちから聞こえてきます。
概ね「全然やってねー」「受かる自信ゼロ!」なんて内容です。
試験時間は3時間ですが、1時間30分くらい経過すると途中退出が可能になります。
驚くことに、そのタイミングと同時に高校生達の多くは立ち上がって帰りはじめます。
ひょっとしたら余裕で全部解き終わったのかもしれませんが・・・会話の内容から判断しても、まぁ、大半は諦めて途中で投げ出した高校生でしょう。
そんな受験生が多い中での合格率35%ですから、真面目に取り組めば合格率は高く感じられるはずです。
土地家屋調査士の午前の試験が免除になる
測量士補であれば、道路工事やトンネル工事といった公共事業をするための測量ができます。
しかし、不動産登記をするための測量はできません。
例えば、個人の土地の正確な面積を測って更生登記をしたい、正しい土地境界線を測って登記に反映させたいといった場合です。
「不動産登記をするための測量」は土地家屋調査士の独占業務になります。
逆に、土地家屋調査士は公共事業のための測量、つまり不動産登記を伴わない測量はできません。
両方持っていればオールマイティに測量の業務ができるので、測量士補・測量士補からステップアップを目指すのであれば、土地家屋調査士はおすすめの国家資格です。
測量士補に合格すれば、土地家屋調査士試験の午前の試験が免除になるメリットがあります。
実は、土地家屋調査士の受験生の多くはまず測量士補を目指します。
それは、測量士補よりも土地家屋調査士の午前の試験の方がずっと難易度が高いからです。
測量事務所に就職・転職する際に土地家屋調査士などの資格があると有利です。
さらに、土地家屋調査士兼測量事務所としての独立も目指せます。
測量士補の資格はなくなる?
「測量士補の制度(資格)はなくなる?」・・・なぜかこういった噂がまことしやかに世間で流れているようですが、本当なんでしょうか?
結論を申し上げますと、その可能性は今のところゼロです。ありません。
では、どうして「測量士補はなくなる」という噂が飛び交っているのでしょうか?
それは、平成26年2月19日に文部科学省で開催された「技術士分科会制度検討特別委員会」での一人の委員(池田主査)の発言がその根拠だと言われています。
参考:第7期 技術士分科会 制度検討特別委員会(第7回)|議事録:文部科学省
この審議会では、「技術士の国家資格に技術士補は要らないじゃないのか?」という内容を議論しています。
関連資格:技術士(補)とは
そこで、たまたま「測量士には測量士補という制度がある・・・測量士補でも測量の仕事はできる」という例え話しが出てきたに過ぎません。
ただそれだけのことです。
今のところ、国会でも国土交通省でも国土地理院でも測量士補の廃止について検討などしていません。
「測量士補はなくなる」というのは全く根拠のない話しだということです。
合格するには
合格率は35~40%ほど
測量士補の合格率は年によって多少変動しますが、ここ数年は35~45%前後で推移しています。
2017年は47.3%と近年まれに見る高さでした。
受験者数は増加傾向にあり、ここ数年は13,000人を超えています。今後も人気の高さは続くでしょう。
参考までに、令和5年の受験者数は13,480人、合格率は32.2%でした。
参照:令和5年測量士・測量士補試験の合格者を発表|国土地理院
測量士補の試験は筆記試験ですが全てマークシート方式です。
28問中18点以上で合格なので、概ね65%以上の得点で合格となります。
科目ごとの足切りはありません。
測量士補の試験は、測量機器を触ったことがなくても全くの知識ゼロでも比較的短期間で合格できますが、合格するには高度な知識とまではいかないまでもやはり数学の力は必要です。
テキストと過去問の繰り返し学習で合格できる
合格するにはテキスト1冊と過去問題集があれば十分です。
ただ、問題集によっては最低限の解説しか載っておらず、初学者には不向きなものもあるので要注意です。
勉強時間としては、数学苦手で測量の知識ゼロであっても毎日2時間を2か月勉強すれば十分合格できるレベルに到達できます。
1時間の勉強で1か月くらいで合格できる人もいます。
多くの本試験の出題は計算問題を含め過去問の焼き直しです。
「あれ?この問題全く同じだ」「数字を少し変えただけでほとんど同じだ」という問題がいくつも目に付きます。
つまり過去問をやり込むことが合格に向けた最善の学習法です。
最初のうちは当然ですがちんぷんかんぷんです。1つの問題を理解するのに何時間もかかります。
最初の1か月は過去問2年分も進みません。けれどそれを繰り返すしかないです。
過去問の解説で理解できなければテキストを読んで理解する、その繰り返しです。
繰り返して解いているうちに理解できる時間も早まって、2か月もすればほとんどの問題は理解できるようになります。
sin・cos・tanの知識は最低限必要
測量士補に合格するには三角関数の知識は絶対的に必要です。
三角関数とは、いわゆるsin(サイン)、cos(コサイン)、tan(タンジェント)です。
これらはもともと測量の原理として使われてきました。
測量の必要性から生じたのがまさに三角関数なんです。忘れていたら学習し直す必要があります。
余談ですが、実はこの三角関係、いつ頃からかは正確には分かりませんが(おそらくゆとり教育前後?)、かつて中学数学で習っていたものを高校数学に移動したようです。
そのため、年代によって学習した時期がズレます。
それもあって、測量士補に必要な数学のレベルは、「高校レベルだ」「いや中学レベルだ」と意見がわかれるようです。
いずれにせよ、サイン・コサイン・タンジェントを理解できるまで学びましょう。昔理解できていたのであれば、少し復習をすれば思い出せるはずです。
過去問の解説の意味がわかるまで毎日サイン・コサイン・タンジェントを学びましょう!毎日繰り返せば理解できるはずです。
三角関数が理解できて、ある程度の計算能力があれば過去問の多くは解けるはずです。
心配しなくてもそんなに高いレベルまで要求されません。
予備校へ通うほどでもなく独学で十分
独学か予備校か・・・1つ確実に言えるのは、予備校へ行けば苦手な三角関数や計算問題が理解できるようになって、誰もが合格できる実力が付くワケじゃないってことです。
三角関数が分からなかったら毎日3時間以上机に向かって繰り返し解いてください。
大切なのはテキストを読んで問題集を解き続けた時間です。
予備校へ通ったらあっという間に理解できたなんてことはありません。
もちろん予備校や通信教育を否定する気はありません。
効率的に試験対策ができるでしょうし、数学アレルギーの人は克服できる可能性もあるでしょう。必要だと感じたら逆におすすめします。
ただし、予備校へ通うのであれば確実に合格してください。ダメだった・・・などと言うのは論外です。
測量士補は知識ゼロでも十分に合格できる試験です。自信を持って臨んでください。
まずは無料の資料請求
おすすめの通信講座
測量士補は初学者でも比較的容易に取得できる国家資格であると説明しましたが、やはり問題によっては理解するまでに時間が必要な数学的な要素を含んだ内容が少なからずあります。
一旦理解してしまえば楽なんですが、数学から何年も離れていると三角関数の基礎から復習する必要もあります。独学でテキストや問題集の解説だけで理解しようと思うと、必要以上に時間を費やすこともあります。
測量士補を取得して、その後土地家屋調査士の受験を少しでも考えているのなら、土地家屋調査士受験の名門であるアガルートアカデミーあるいは東京法経学院の講座をおすすめします。講義ダウンロードタイプ、またはDVD付きの講座がおすすめです。
※こちらから受講申し込みができます。
測量士補受験に役立つおすすめWebサイト
測量士補の試験対策WEB
ネット上で無料で過去問を学習できます。しかも詳しい解説付きです。その場でできる◯×問題も豊富にあります。このサイトは素晴らしいの一言です。当サイト運営者もお世話になりました。会社のパソコンで昼休みによく利用してました。
ただしスマホでは見づらいです。解説は十分とは言えない箇所もあるので、初学者の人はテキストが別途あった方がよいでしょう。
テキスト・問題集・参考書
おすすめテキスト・基本書
全くの初学者でも理解できるように詳しく解説されているテキストです。
比較的完結に要点をしぼって解説していますが、計算式の説明など、ほかの参考書では省略されている部分も丁寧に書かれています。
算数や数学からしばらく離れていた人でも理解できるように解説しています。
測量士補の受験に特化した内容になっているのが特徴です。このテキストと、さらに問題集を繰り返して学習すれば、ほぼ合格できる程度の実力は付きます。
種類 | 評価 |
テキスト |
おすすめ問題集
測量士補試験は過去問を繰り返して学習することが大切です。ほとんど似たような問題や、全く同じ問題も出題されます。
最初のうちは全く分からず全然先に進まないと思いますが、根気よくテキストと合わせて学習してください。
この問題集はレベルごとにまとまっていてとても読みやすいです。解説も詳しく書かれているので、じっくり読みながらすすられます。
測量士補の試験は、解き方を覚えたら繰り返して問題集を解くことにより実力がついていきます。そこまで行き着くには多少時間がかかるかもしれませんが、とにかく繰り返して学習することです。
種類 | 評価 |
過去問題集 |
おすすめ参考書
測量の超入門書です。全く測量の機器を触ったことがない人や、測量について予備知識がない人が読むにはかなりおすすめです。
測量がわからない人でもわかるようにとても優しく解説されており、測量の基本的考え方を全くの未経験者が読んでも理解しやすく書かれています。
内容はやや古いですが、浅く全体的な作業の流れや手順などを学ぶには適しています。
かゆい所に手が届いたような気分で読め、楽しく理解できます。測量によってできることが理解できます。
これから独学で学習するのが少し不安な方にはまずはおすすめします。
種類 | 評価 |
参考書(マンガ) |
試験情報
日程・出題内容・合格基準・その他
試験日
年1回:5月中旬(日曜日)
お申し込み
1月初旬~1月末頃まで
受験資格
年令、性別、学歴、実務経験等に関係なくどなたでも受験できます。
試験会場
北海道、宮城県、秋田県、東京都、新潟県、富山県、愛知県、大阪府、島根県、広島県、香川県、福岡県、鹿児島県、沖縄県
受験料
2,850円
試験内容
【試験科目】択一式全28問(3時間)
- 測量に関する法規
- 多角測量
- 汎地球測位システム測量
- 水準測量
- 地形測量
- 写真測量
- 地図編集
- 応用測量
※上記の各専門科目に関連して技術者として測量業務に従事する上で求められる一般知識(技術者倫理、測量の基準、基礎的数学、地理情報標準等)についても出題されます。
合格基準
700点満点中450点以上(28問中18問以上、約65%の正解)で合格
合格発表
7月中旬ごろ
主催者情報
試験に関する詳しい情報は測量士・測量士補国家試験及び登録|国土地理院をご覧ください。