電験二種の難易度や合格に必要な勉強時間・資格の活かし方
種類 | 難易度 | 合格率 |
国家資格 | 難関 | 3~5% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
誰でも受験可 | 5~10万円 | 2年以上 |
活かし方 | 全国の求人数 | おすすめ度 |
一生モノの技術 | 307件 |
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電験二種とは、事業用電気工作物を安全に利用することを目的とした国家資格です。
電験三種の上位互換型の資格で合格率3~5%と難易度が上がり取得は難しくなります。
合格すると就職・転職が有利になります。
現場経験も豊富であれば高収入も可能。
電験二種(第二種電気主任技術者)とは
電験(電気主任技術者)とは
電験(電気主任技術者)とは、事業用電気工作物を安全に利用することを目的とした工事・維持及び運用に関する保安の監督をするための国家資格です。
「事業用電気工作物」とは、電気設備の規模が大きく、回路構成および使用方法が複雑であって、一般に使用電圧が高圧以上の受電設備を持っている電気工作物のことです。
「電気工作物」とは電気を供給するために必要な設備のことです。発電所、変電所、送配電線路をはじめ、ビル、工場、住宅等の受電設備、屋内配線、電気使用設備などの総称です。
事業用電気工作物は、一般用電気工作物、事業用電気工作物、自家用電気工作物・電気事業用電気工作物に分類されます。
電験三種よりもさらに難易度は高い
まずはおさらいを兼ねて申し上げますと、「電験」とは「電気主任技術者試験」の略称です。
電気主任技術者には難易度が高い順に一種から三種まであり、電気工作物の電圧の大きさによって必要となる資格が定められています。
そして、電験二種とは第二種電気主任技術者になるための資格です。電験二種は電験三種の完全上位互換型の資格という位置づけになります。
既に電験三種については別のページで説明いたしましたが、さらに上位資格にあたる電験二種について説明いたします。
参考:電験三種とは
電験の種類によってできる業務の範囲
電験一種 | すべての事業用電気工作物 |
---|---|
電験二種 | 電圧が17万ボルト未満の事業用電気工作物 |
電験三種 | 電圧が5万ボルト未満の事業用電気工作物(出力5,000キロワット以上の発電所を除く) |
三種では5万ボルトまでの受電設備が守備範囲です。
少し大きな工場は6万6千ボルトの受電になります。
三種の資格で請け負えるのは、実質的に6万6千ボルトまでの小さな工場までになります。
一方、電験二種の資格を持っていると受電電力17万ボルト未満のビルや工場等の管理・保全を請け負う事ができます。
郊外型の大型ショッピングセンターや地方に増えている大型の工場の設備にも、電験二種であれば十分対応できます。
設備や受電電力の大型化に伴い、最大受電電力が 5万ボルト未満の電気設備の保全等をおこなう電験三種では対応不能な建物が年々増えています。
そのニーズに的確に応えられる資格が電験二種です。
参考:電気主任技術者って何だろう?|ECEE 一般財団法人電気技術者試験センター
役に立つ資格なのか?
高収入も夢じゃない!
電気に詳しい人であれば、電気主任技術者の権限と責任がどんなに大きいものかおわかりでしょう。
電験二種は電験三種の上位資格になるので、当然ですが難易度も高くなり取得するのも難しくなります。
電気設備の保安管理のスペシャリストとみなされる電験三種より、さらに就職・転職が有利になります。
現場経験も豊富であれば高収入も夢ではありません。
社会・企業からのニーズに比して、有資格者の数が圧倒的に不足しているため、所持しているだけで就職・転職に困る事はありません。
何と言っても現場で必要とされる資格です。役立つ資格の代表格と言っても過言ではありません。
ただし、難易度は難関の三種よりもさらに高いので腰を据えて勉強する必要があります。
なお、電気系資格の最高峰として超難関の電験一種がありますが、二種を取得した方が電気を極めるために取る資格です。
実のところあまりメリットがありません。電験二種が最も実用的で役立つ資格といえます。
将来性について徹底研究
この資格の活かし方
多少大袈裟かもしれませんが、一生食いっぱぐれのない資格です。
現場での実務経験が豊富にあれば、まさに無敵な資格といってもよいでしょう。
体力が許す限り仕事はあります。
電験三種を持っていると職場での評価がアップして手当・昇給などで給料が上がりますが、さらに上位資格である電験二種になれば定年まで安泰で多少手を抜いても重宝されます。
電験二種の有資格者がいないと法令違反になるケースもあるので、会社にとっては有資格者が存在することに意味があります。
電力会社の供給電圧の違いによって、電圧は低圧・高圧・特別高圧の3つに分けられます。
高圧の事業所は電気保安協会などに外部委託できまですが、特別高圧の事業所だと主任技術者が絶対的に必要です。
そのためにも電験2種は非常に役立つ資格だといえます。
電験は試験によらず認定という取得方法もある
電験の資格取得方法は2種類あります。
1つは国家試験を受けて合格する方法で、これが一般的です。
そして認定という制度で電験の資格を得ることもできます。
認定とは、国家試験を受ける必要はなく現場での実務経験で資格を得る制度です。
まず、認定を受けるためには認定校を卒業していなければいけません。
仮に電験三種であれば理論・電力・機械・法規に相当する科目の単位を取得していることも条件になります(単位を全て取得していない場合は救済措置あり)。
そして、現場での一定期間以上の実務経験があれば「実務経歴証明書」を提出して、受理されると電験の資格を得ることができます。
提出すれば必ず大丈夫というわけではなく、書類の内容について事細かく聞かれるので簡単には受理されないようです。
電験の全ての種類について認定の制度があります。
国家試験による資格取得と、認定による資格取得とでは管理できる電気設備の範囲に違いはありません。扱いとしては全く同じです。
ただし、現場では認定資格者と国家試験合格者とでは区別されることもあり、明らかに認定資格者は下に見られるという話しはよく聞きます。
合格するには
相当な覚悟が必要です
電験二種に受験資格は一切ありませんが、大半の人が電験三種を取得した上で受験します。
合格するためには電験三種合格者の中の上位3~5%に入らなければいけないわけですから、勉強には相当なモチベーションと覚悟が必要です。
試験には一次と二次があり、一次試験は電験三種と試験形式や難易度が似ています。
三種に合格できる実力を備えた受験生なら、一次試験の学習を進める上ではさほど苦労はしないでしょう。
電験三種で80点以上取れる人は電験二種の一次試験に合格できる実力があるといえます。
合格するために必要となる勉強時間は人それぞれですが、少なくとも三種以上の時間は必要です。
電験三種にぎりぎりで合格した人でも能力は十分あって、ほとんど勉強せず合格する人もいます。
逆に、何度受験してもどうしても合格できない人もいます。
合否を分けるのは一概に勉強時間だけとは言えません。
電験二種においても科目別合格制度を採用
電験二種は三種と同様に科目別合格制度を採用しています。
試験の内容は4科目(理論・電力・機械・法規)ですが、一度に全ての科目で合格点を取る必要はありません。
一部の科目だけ合格した場合には科目合格となって、翌年度及び翌々年度の試験では申請によりその科目の試験が免除されます。
つまり、3年間で4科目の試験に合格すれば電験二種の資格が得られるということです。
これは電験三種と同じ制度になります。当然ですが、電験三種と同じで一発合格は相当に難しいです。
なお、この制度は一次試験だけです。
二次試験は2科目ありますが科目別合格制度はありません。
一次試験に合格した年度の二次試験に不合格となった場合は、翌年度の一次試験が免除されます。
合否を分けるのは二次試験
重要なのは二次試験です。
問題は記述式となり、難易度も飛躍的に増します。
ここで何回も受験を繰り返す人が多くいます。科目は電力・管理、機械・制御の二科目です。
ポイントは、きっちり計算問題で点数を稼ぐことができるようになることです。
記述試験の難しいところは、解答において文書作成力が要求される点です。
採点する試験官に理解される文書を書かなければなりません。
そのため二次試験に重点を置いて学習を進める必要があります。
出題範囲は三種よりも狭くて勉強しやすい?
「電験二種は、一次試験も二次試験も出題の傾向が決まってるから三種より勉強しやすい」という意見をマレに聞きますが決してそんなことはありません。
電験二種は圧倒的に三種より広く深い学習が必要です。
二種資格で保安監督できる電気工作物の範囲は三種資格の範囲を含んでいますから、出題範囲も当然三種の範囲を含んでいるため広くなります。
三種は努力・暗記で合格できますが、電験二種に合格するにはハイレベルな数学力が必要です。
また、二次試験では現場を知っていなければ解答できないような出題もあります。
電験二種に合格するには、一種の内容もほぼ理解できるレベルにならないと短時間で二次の科目を解答できるようにはなりません。
おすすめの通信講座
JTEXは40年の実績があって主に企業単位での受講者が多いのが特徴です。利用企業数6,000社以上、受講者総数は200万人を越えています。
テキストと対策問題集は過去20年間の第二種および第一種の過去問題から抽出して作成しているため、内容がとても深く充実しています。繰り返し学習することで確実に応用力がアップします。
テキスト・問題集・参考書
おすすめテキスト・基本書
2013年に出たテキストです。重要な問題が丁寧に解説されています。
着眼点、戦術、解法と順を追って説明されているので、それらを確実に自分のものにすることで、合格圏の実力を得られるような構成になっています。
おすすめです!
種類 | 評価 |
テキスト・過去問題集 |
『戦術で覚える!』の論説問題版です。電力会社や大型受電設備で勤めたことのない人にとって、二次試験はイメージの湧きにくい部分がどうしてもあります。
その点、この本は論点ごとの重要ポイントをキーワードで書き出しているので覚えるのにはかなり有効です。
記述式に慣れていない人には特におすすめの本です。このテキストがれば解答の書き方が学べます。
『戦術で覚える!』をメインに、合わせて学習するのがおすすめです。
種類 | 評価 |
テキスト・過去問題集 |
電験二種ともなると、三種よりもさらに求められる数学レベルが上がり、微分・積分・ラプラス変換などの知識が必要とされてきます。この書籍はそれらの数学項目を最も短期間に端的に学べるテキストです。
基礎から応用問題まで幅広く収録されていますが、章末の応用問題はかなり難易度が高いため、初めは応用問題は飛ばして進めていくと良いでしょう。
種類 | 評価 |
テキスト |
試験情報
日程・出題内容・合格基準・その他
試験日
一次:8月下旬または9月上旬の土曜日
二次:11月中~下旬の日曜日
お申し込み
例年5月中旬~6月初旬
受験資格
受験資格の制限は一切ありません。どなたでも受験できます。
試験会場
北海道、宮城県、東京都、愛知県、石川県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県
受験料
インターネット申込み: 13,800円
郵便申込み: 14,200円
(各非課税)
試験内容
【一次試験】
全てマークシートでの解答で五択です。
- 【理論】電気理論、電子理論、電気計測及び電子計測
- 【電力】発電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気材料
- 【機械】電気機器、パワーエレクトロニクス、電動機応用、照明、電熱、電気化学、電気加工、自動制御、メカトロニクス並びに電力システムに関する情報伝送及び処理
- 【法規】電気法規(保安に関するものに限る。)及び電気施設管理
※合格基準点は50/90(55.55%)ほどです。
【二次試験】
各科目の解答方式は、記述方式です。
- 【電力・管理】発電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気施設管理
- 【機械・制御】電気機器、パワーエレクトロニクス、自動制御及びメカトロニクス
※いずれも関数機能をもたない電卓の使用が可能です。
合格基準
概ね全科目60%以上の正解。
主催者情報
試験に関する詳しい情報は第二種電気主任技術者試験 ECEE 一般財団法人電気技術者試験センターをご覧ください。