種類 | 難易度 | 合格率 |
国家資格 | 難しい | 9% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
誰でも受験可 | 2~5万円 | 10か月以上 |
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電験三種とは、ビルや工場などの大型施設において、高圧電気の管理・保全をするための国家資格で、日本の電気設備の90%はカバーできます。
合格すると電気設備の保安管理のスペシャリストとして就職・転職がかなり有利になるメリットがあります。
電験三種(第三種電気主任技術者)とは

社会的にも重要な仕事を任される
「電験」とは「電気主任技術者試験」の略称です。
電気主任技術者には一種から三種まであり、電験三種とは第三種電気主任技術者になるための国家資格です。
電験の有資格者は、事業用電気工作物を安全に利用することを目的として、工事、維持及び運用に関する保安の監督を行います。
「事業用電気工作物」とは、電気設備の規模が大きく、回路構成、および使用方法が複雑であって、一般に使用電圧が高圧以上の受電設備を持っている電気工作物のことです。
「電気工作物」とは電気を供給するために必要な設備のことです。発電所、変電所、送配電線路をはじめ、ビル、工場、住宅等の受電設備、屋内配線、電気使用設備などの総称です。
事業用電気工作物は、一般用電気工作物、事業用電気工作物、自家用電気工作物・電気事業用電気工作物に分類されます。
電験三種の国家資格を持っていると、ビルや工場などの大型施設において、高圧電気の管理・保全を行えます。
電験の資格を有している者の中から電気主任技術者を選任
事業用電気工作物を管理するためには、電験の資格を保有している者を電気主任技術者として選任しなくてはならないことが電気事業法という国の法律により義務付けられています。
電験の資格を保有していると、ビルや工場などの「高圧電気の管理・保全をするため」の業務を実施することができるようになりますが、電験の国家試験に合格したらそのまま電気主任技術者になれるわけではないということです。
資格取得後、電気工作物の設置者に選任されて初めて電気主任技術者になれます。
参考:電気主任技術者って何だろう? | ECEE 一般財団法人電気技術者試験センター
電験の種類によってできる業務の範囲
電験の資格には、第一種、第二種及び第三種電気主任技術者の3種類がありますが、電気工作物の電圧によって必要な資格が定められています。
第三種を所有していると、電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物(出力5,000キロワット以上の発電所を除く)の工事、維持及び運用に関する保安の監督を行えます。
電験一種 | すべての事業用電気工作物 |
---|---|
電験二種 | 電圧が17万ボルト未満の事業用電気工作物 |
電験三種 | 電圧が5万ボルト未満の事業用電気工作物(除外は上記参照) |
表だけを見ると、制限があって大したことないように思えるかもしれませんが、実際は日本の電気設備の90%は電験三種でカバーできると言われています。
さらに大規模な設備の監督をする必要がある場合は、電験二種以上が必要になります。
電験二種のページもご覧ください。
役に立つ資格なのか?

将来性は十分、持っているだけでも役に立つ
電験三種は電気設備の保安管理のスペシャリストとして就職・転職がかなり有利になる資格です。
多くの人が持っている資格ではないので、電験三種を持っているだけで社内では一目置かれる存在になります。
電気設備の改修や規模の決定には電験三種の有資格者の権限が必要です。そのため企業からのニーズがとても高く、有資格者は会社で優遇されます。将来性十分な資格です。
また、電気業界のみならず、建設・ビル管理業界など、必要とされる職場は多くあります。
有資格者は会社のみならず業界から評価されることも多く、職場にとって貴重な存在になります。
資格手当や昇進・昇給などの待遇アップに結びつくチャンスも増えます。
やはり現場での経験も重視される
ただ、資格は業務をおこなうための道具です。現場での実務経験が必要であることは言うまでもありません。
電気主任技術者でなかったとしても電気主任技術者の下での実務経験があれば、やはりある程度は就職・転職は有利になります。
若い人であれば経験がなくても資格だけで有利になりますが、資格保有だけで実務経験がなく、ある程度の年齢だとあまり有利にならない場合もあります。
ある程度の経験や実績があれば、就職先はそんなに困ることもなく見つかります。
将来性について徹底研究
この資格の活かし方
電験は、電気業界では一番と言って良いくらい値打ちのある資格です。
ネット上では取得しても「役に立たない」「意味ない」なんて書き込みも目にしますが、役に立たないなんてトンデモないです。
この資格を持っている人はまだまだ少なく、企業からのニーズがとても高く、一般的に、電験3種を持っていれば65才までは職に困らないと言われています。
さらに現場での実務経験が豊富であれば70歳以上でも再就職が可能だと言われています。
資格を持っているだけで「技術手当」が支給される会社も多いようです。電気関係の会社であれば、管理者クラスに昇進するためには、電験三種は必須と言ってもよいほどの資格です。
そして、上位の資格として電験二種を目指すこともできます。電験三種よりも大型の設備の管理・保全が行えるようになり、さらに役立つ資格と言えます。
学生の人で、電気に関連する企業を希望するようであれば、まず在学中に電験三種を取得しておけば就職の際に大きな評価につながります。やる気や実力の証明にもなります。
電験三種と電気工事士、どちらを先に取得すべき?
電験三種と電気工事士の資格、どちらを受験するか考えている人も多いと思います。
電験三種は、電気を保安監督するための資格です。電気工事をするための技能資格ではありません。
一方、電気工事士は電気工事をおこなうために必要な資格で、なければ電気工事は行なえません。
関連資格:電気工事士(二種)とは
そもそも仕事の内容が違います。
- 電験三種・・・管理・監督の仕事
- 電気工事師・・・職人(技能者)の仕事
こんな感じでしょうか。電験三種が電気工事士の資格の先にあるわけではありません。
ただ、電気工事士の学習を先にすると電気工事に対する理解が深まるため、先に電気工事士の資格を取得するのが現実的でもありおすすめです。
それに電気工事士の方が難易度が低いので取得するのは楽です。
電気主任技術者の資格を持ち、5年間の実務経験があれば第一種電気工事士の免状を認定で取得できます。
合格するには
受験制限など一切なし、何種からでも受験できる
電験は一種、二種、三種いずれも受験資格は一切ありません。誰がどの種別を受験してもOKです。
電気系の学校を出て、電気関係の仕事をしていなと合格は難しいと感じられると思いますが、未経験で合格する人は毎年たくさんいます。
電気に関する基礎知識がなくても高校までの物理、科学、数学で十分な基礎ができてれば合格レベルに達することができます。
とにかく「理論」を理解すること!
試験は、理論、電力、機械、法規の4科目ですが、とにかく理論をしっかりとモノにすることが重要です。
理論が理解できればあとの3科目はおのずと理解しながら進められます。案外時間がかかりません。
最初に理論を軽視すると、あとの3科目が暗記科目に変身してしまい、後々自分を苦しめることになります。
特に理論の磁気と交流回路はどんな問題でも確実に解けるところまで踏み込んで学習する必要があります。
ただし難易度は高めなので時間をかけて学習してください。
電験三種は科目別合格制度を採用
試験の内容は4科目(理論・電力・機械・法規)ですが、一度に全ての科目で合格点を取る必要はありません。
一部の科目だけ合格した場合には科目合格となって、翌年度及び翌々年度の試験では申請によりその科目の試験が免除されます。
つまり、3年間で4科目の試験に合格すれば電験三種の資格が得られるということです。
もちろん一発で全て合格できたら言うことありませんが、分割しての受験でもOKということです。
一般的なことを言うと一発合格はそれなりに難しいです。日頃の業務が忙しい人でも受験しやすいように科目別合格制度になったようです。
平成7年度から電卓が使用不可になっていましたが、現在は電卓も使用可となっています。
電験三種の試験は4科目ありますが、一発で4科目とも合格する受験生は5~8%程度です。一発合格はそれなりに難しい数字だといえます。平成29年度の科目別合格率は以下の通りです。
- 【理論】15.5%
- 【電力】 9.1%
- 【機械】11.6%
- 【法規】 9.3%
複数年かけて合格した科目別合格率は27%ほどです。
電験三種は過去問と全く同じ問題は出題されませんが、同傾向の問題は違った形で出題されます。すべてマークシートです。
テキストを読み、5年分の過去問題集を3回以上解いて、内容を理解できていれば合格できる試験です。
電験三種の試験では、3年間で4科目に合格すれば合格できます。計画を立てた上で継続して受験勉強をすることが大切です。
最初からギリギリの3年計画とはせずに、1年もしくは2年で合格することを目指し、3年目は万一のために残しておくのが現実的です。
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JTEXは40年の実績があって主に企業単位での受講者が多いのが特徴です。利用企業数6,000社以上、受講者総数は200万人を越えています。
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テキスト・問題集・参考書
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これは、あの有名な『電気書院』の月刊誌です。おすすめの雑誌です。
内容は、毎月電験(1種2種3種)とエネルギー管理士の試験情報・予想問題・学習のページ(教科書的な部分)が載っています。
試験が近くなると予想問題が掲載されますが、本試験で類似問題がよく出題されたりします。毎号読み続ける必要はありませんが、1年分くらいを集めると結構勉強できる問題集&参考書になります。
実はこういった月刊誌はいろんな国家試験で役に立っています。行政書士、社会保険労務士、土地家屋調査士、宅建、司法書士など法律系の資格試験にも月刊誌が出てますが、テキスト、問題集を補う参考書として確実に実力がプラスアルファされます。
※購入の際は、出版年度、時期を必ずご確認ください。
種類 | 評価 |
月刊情報誌 | ![]() |
試験情報
試験日
8月下旬または9月上旬の日曜日
お申し込み
例年5月中旬~6月初旬
受験資格
受験資格の制限は一切ありません。どなたでも受験できます。
試験会場
北海道、岩手県、宮城県、山形県、新潟県、栃木県、群馬県、茨城県、埼玉県、千葉県、東京都(23区)、東京都(多摩)、神奈川県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、石川県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、岡山県、島根県、広島県、山口県、香川県、愛媛県、福岡県、長崎県、熊本県、大分県、沖縄県
受験料
インターネット申込み: 4,850円
郵便申込み: 5,200円
(各非課税)
試験内容
全てマークシートでの解答で五択です。関数機能をもたない電卓の使用が可能です。
- 【理論】電気理論、電子理論、電気計測及び電子計測
- 【電力】発電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気材料
- 【機械】電気機器、パワーエレクトロニクス、電動機応用、照明、電熱、電気化学、電気加工、自動制御、メカトロニクス並びに電力システムに関する情報伝送及び処理
- 【法規】電気法規(保安に関するものに限る。)及び電気施設管理
合格基準
合格点は60点を下回る点数(55点ほど)ですが、60点を越えることはありません。
主催者情報
試験に関する詳しい情報は第三種電気主任技術者試験 ECEE 一般財団法人電気技術者試験センターをご覧ください。
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