司書・司書補の国家資格の難易度や取得するメリットは?
種類 | 難易度 | 合格率 |
国家資格 | — | — |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
指定校で学習 | — | — |
活かし方 | 全国の求人数 | おすすめ度 |
知識習得 | 299件 |
- 司書の資格を取得するには大学や短大で所定の講習に出席して単位を取得します。
- 難易度、合格率、学習期間等は省略します。
- 全国の求人数は、ハローワークの情報を基に2024年7月3日に集計。
司書・司書補とは主に公立図書館で働く専門職員の職名です。
学生であれば大学や短大が主催する講習、社会人であれば通信制大学を利用して取得します。
図書館で働くには必要というワケでもないです。就職や転職に活かせずメリットは少ないです。
ユーキャンのような独学の通信講座では取得できません。
司書・司書補(図書館司書)とは
国家資格を有する公共図書館の職員
司書とは、主に公立図書館で働く専門職員の職名です。
図書館で図書資料(一般的には本、その他の郷土資料や行政資料も含む)を扱う仕事をしている職員のことを広く司書と呼ぶこともありますが、厳密にいうと司書の国家資格を有している公共図書館の職員のことを「司書」と呼びます。
司書は、本の分類、蔵書目録の作成、図書案内や読書指導などを行います。
また、読書推進のためのさまざまなイベント企画や窓口業務なども司書の仕事です。
膨大な数の本を専門的に管理するのが司書のメイン業務
図書館を利用した経験がある人も多いのではないでしょうか?
というよりも、誰しも一度は図書館に足を踏み入れた経験があるでしょう。
ズラーッと何列にもわたって整然と並んだ様々な本、そこから漂う本の香り、多くの人がいるにも関わらずシーンと静まりかえったあの独特な雰囲気は、そこにいるだけで不思議と心が落ち着きます。
ところで図書館にはどれくらの本が蔵書として保管されているのでしょうか。
ちょっと調べてみました。
最も多い公立の図書館は国立国会図書館でおよそ2,500万冊、大阪市立中央図書館でおよそ190万冊、当サイト運営者が住んでいる長野県松本市にある松本中央図書館でおよそ61万冊です。
想像では10万冊くらいかなと思っていたんですが、それをはるかに超える本の数なんですね。驚きました。
図書館には、児童書から文学書、政治、経済、宗教、科学、歴史、新聞や雑誌などありとあらゆる本が置いてあります。
その全てが誰でも目的の本を見つけやすいように、書かれている内容ごとに分類されて並べられています。適当に置いてあるわけじゃありません。
しかも保管してあるだけではありません。誰かが本を借りて外部へ持ち出し、しばらくすると戻ってきます。
そんな膨大な数の本を管理するのが司書の仕事というわけです。
司書は、どのように本を分野ごとに分類してどこに並べるかを覚えなければなりません。
さらに、どこにどんな本があるのかも覚えておく必要があります。
図書館によって棚の大きさも広さも違います。その図書館のオリジナルの並べ方があれば、それも覚えなければなりません。
司書は本が返却されたら迷うことなく瞬時に元のあった棚へ戻します。
図書館全体の本の配置を理解していなければテキパキと戻すことは困難です。
カウンターに座って、ニッコリと笑って貸出と返却の接客業務をするのも重要な仕事です。
当然そこでも利用者から本に関する様々な質問や相談を受けます。
貸し出しと返却の際は所定の手続きが必要ですし、返却の際は本が傷んでいないかチェックします。
参考:司書について:文部科学省
司書と司書補の違い
司書の資格には司書と司書補の2種類が存在します。
司書補は司書の補助的役割を担います。つまり、司書補とは簡単に言えば司書の見習いのような資格です。
そして、その大きな違いは資格を取得できる時期と必要な単位です。
司書補は早ければ中学卒業後に講習を受講し修了すれば取得できますが、司書は大学・短大か専門学校の卒業、もしくは司書補の勤務経験が3年以上あることが必須です。
どちらも図書館における全般的な業務を行うことには変わりませんが、司書にはできて司書補ではできない業務事もあります(例:著作権法31条による複写)。
そのため、司書補しか持っていないのに「司書」と書くと経歴詐称になります。
役に立つ資格なのか?
最も就職に結びつかない国家資格の1つ
司書の資格は国家資格の割りには取得しやすく、意外とたくさんの人が持っています。
文化系の大学・短大の学生であれば、司書の夏期集中講習を希望すればほぼ誰でも受講できます。
規定の単位を修了すれば取得できるので、休まなければ合格率はほぼ100%です。
他の国家資格と比べても取得は容易です。
そのため、司書として図書館に就職する予定が無くても、就職活動の際に履歴書の資格欄に1行加えるのが目的で司書を取得する人が多くいます。
大学・短大で司書を取得する人数は年間1万人と言われていて、既に全国に40万人以上の司書がいると言われています。
資格所有者は多くいますが、司書の求人、特に正規雇用の求人は極端に少なく、資格を活かしきてれない人が多いのが現状です。
そのため司書の資格が就職や転職に役立つとは言い難いです。
司書の見習い的な資格でもある司書補単独での求人はありません。
資格を取ったからと言って、司書になれるわけではないということです。
残念ながら最も就職に結びつかない国家資格の1つともいえます。
就職・転職の際に履歴書に書けば有利になるのか?
では、図書館系以外への就職や転職の際に司書の資格が役立つかといえば、残念ながらあまりそれも期待はできないようです。
例えば、本イコール出版物を扱うということでマスコミや出版社への就職や転職の際に役立つのではと考えがちです。
司書の講習では本の分類や目録、参考業務などを学習します。利用者が本や資料を探すのを助けするのが目的です。
一方マスコミや出版社は「文章」の編集であり校正です。そして何より販売につなげるのが第一の目的です。業務の内容も目的もそもそも違います。
つまり、司書資格と言っても図書館以外では活かせる資格ではないということです。
図書館に司書は必ずしも必要じゃない
図書館といえば県立図書館や市立図書館、区立図書館などの公立図書館が一般的です。
それらは図書館法に基づく図書館です。
そんな公共性の高い公立の図書館であっても、司書が必ず必要というわけではありません。
つまり図書館に司書は必置義務がないということです。
事実、司書のいない図書館も少なくありません。
それどころか一切司書の採用をしていない自治体が圧倒的です。
定期的に職員を採用している国立国会図書館でさえ、試験の受験資格に司書の資格を要求していません。
もちろん自治体によっては図書館の職員や非正規職員を採用する際は司書であることを条件としているところもありますが極めて少数です。
図書館法に基づかない私立大学の図書館・学校図書館・専門図書館のなかにも司書の資格が職員採用の条件としていることもありますが、やはり少数です。
司書がいなくても図書館としては問題ないので、司書だからといって採用されることはないということです。
むしろ学歴の方が優先します。
将来性について徹底研究
司書の正規採用はかなりの狭き門
市立図書館や県立図書館には司書として採用された正規職員はほとんどいません。
だいたいはアルバイトや派遣などの非正規職員です。
中には司書の資格を持つ正規職員もいますが、自治体の採用試験(公務員試験)に合格して、たまたま有資格者が図書館に配属になったというケースがほとんどです。
自治体の中には、図書館の正規職員を採用する際は司書の有資格者を条件としているところもあります。しかし、毎年全国で数十人程度でかなり少数です。
ここに全国の司書の有資格者が大挙して応募すると、試験の倍率は10倍を遥かに超える激戦になります。
この場合、自治体が運営する図書館の正規職員の募集ですから公務員の採用試験です。合格するためには相当に高い学力を持っていなければなりません。
想像を絶する倍率です。
もちろん筆記試験、小論文の提出、面接も待っています。ちょっとやそっとじゃ合格できません。
しかも勤務地にこだわらず全国の募集に応募する覚悟も必要です。
言葉は悪いですが、基本的には「無理」「困難」です。
一般の公務員の採用試験の方が断然現実味があります。
非正規職員の司書の求人はたくさんある
非正規職員でも構わなければ司書資格不要の司書としての求人はたくさんあります。
つまり司書の資格の有無は問わないという求人です。
自治体によって嘱託職員、臨時職員、アルバイトと呼び方は様々です。
採用される人の中には司書・司書補の資格を持っている人もいます。どちらも持っていない人もいます。
最低限の一般常識は必要ですが、履歴書選考と簡単な面接で問題なければ採用になる可能性はあります。自治体によっては数倍~十数倍程度の競争になることもあります。
資格よりも図書館での実務経験を採用の際に優先する図書館もあります。
非正規職員はバイトと同じで「資格手当」は支給されません(司書として正規採用の場合は支給されるようです)。時給や給料は決してよくはないです。
どちらかというとその自治体の最低賃金に近い時給です。
非正規で採用された場合、そのまま正規職員になれることは基本的にありません。
契約の更新回数上限が定まっている自治体であれば期間満了で無職になります。
自治体の規定によりますが、ボーナスや昇給はほとんど望めません。
非正規の司書の多くは年度を単位として契約しているため3月で契約の更新ができずに退職する人がたくさんいます。
年明けから3月初旬にかけて出てくる求人を探して応募すれば、司書としての仕事を見つけられる可能性が高いでしょう。
図書館職員と図書館運営の現実
公共の図書館で働いている職員は概ね4種類に分けられます。
1:公務員として、司書資格を持っていて「司書」として採用
2:公務員として採用され、図書館にたまたま配属
3:パート、アルバイトとして「司書」として採用
4:パート、アルバイトで司書の資格無しで採用
人数的に圧倒的に多いのが3、4の非正規職員の人達です。
2の公務員も各図書館に1名はいます。1は前述の通り非常に少ないかあるいは極めて稀な存在です。
そもそも司書の職を正規職員として採用をしている市は少数です。
自治体の職員(公務員)は一般行政職採用の職員の異動先の1つとして図書館があります。
採用時に司書資格は求められていないので、持っていない人もいればたまたま在学中に取得した人もいます。
3、4の非正規職員のほとんどが有期契約の契約社員という形で給料も低いです。
そもそも司書を嘱託職員、または非常勤職員としてしか採用しない自治体もあります。
最近では、図書館の業務そのものを民間業者へ委託して全て丸投げにするケースが増えています。
人件費削減のために司書を派遣会社からの派遣社員でまかなっている自治体も増えています。
派遣の場合は司書資格をもっていると時給が数十円か高くなるようです。
司書といえどサービス業、人と接する機会も多い
司書の仕事を希望する人の中には、「他人と関わらず一人で黙々と作業ができる」「他人と話す機会も少なく人見知りする自分に合っている」という志望理由を時々見かけます。
しかし、それはある意味間違っています。
司書の仕事の半分は人と接するサービス業です。
「黙々と作業」とは反対で人と話す機会は想像以上に多いです。
一旦カウンターに座れば、相手は本ではなく人です。年配者もいれば学生や子どもいます。
当然ですが質問を受けますし、クレームだって受けます。
来館者を増やすために定期的に各種イベントも実施します。
そのためには職員同士のチームワークも必要ですし共同作業もしなければなりません。
特に公共図書館は来館者も多く時間的な余裕はありません。
広い年齢層の多くの利用者を相手にしなければなりません。完全な接客業ともいえます。
人前で話すのが苦手だったり、多くの人と接するのが苦手では司書の仕事は務まりません。
司書・司書補になるには
短大・大学で単位を取得すれば資格を取得できる
司書になるには、一般的な国家試験にあたる全国統一の「司書試験」のような一斉試験はありません。
司書資格の取得要件は一部例外(司書補から司書になるケース:後述)はありますが、基本的には短大卒以上の学歴と資格に必要な単位の取得です。
在学中に取得するか卒業後に取得するかで以下の通りに分かれます。
- 大学・短期大学で定められた司書課程の単位を取得する
- 大学・短期大学を卒業した後に司書講習を受ける
以下で詳しく説明します。
大学・短期大学で定められた司書課程の単位を取得する
大学で単位を取得する方法は2種類です。
まず正規の教育課程(カリキュラム)の一部として司書課程の単位が組み込まれている場合(司書養成科目開講大学)は、卒業に必要な単位取得により司書の資格を取得します。
参考:司書養成科目開講大学一覧:文部科学省
※令和5年4月1日現在193大学で司書養成科目の単位を履修できます。
卒業に必要な単位に司書課程が含まれていない場合は、主に夏季に大学で集中して開催される司書講習・司書補講習に希望者のみが参加します。そこで単位を取得して司書の資格を取得します。
司書講習は単位取得が甘く、講習を休まずに出席すればほぼ全員が司書の資格を取得できます。しかも現場での実習もありません。
そのため、履歴書の資格欄に「司書資格取得」と記入するためだけに受講する大学生が多くいます。特に女性には人気です。
大学・短期大学を卒業した後に司書講習を受ける
大学卒業後であっても必要な単位を改めて履修すれば司書の資格を得られます。
その際は司書講習を受講しなければなりませんが、通学と通信教育の2種類から選べます。
通信教育であれば働きながらの取得も可能です。
司書補から司書になるには
高卒では司書資格は取れません。かといって、司書の資格を取るためだけに社会人が大学や短大へ進むのは現実的ではありません。
高卒で司書資格を取るためには次のステップが必要です。
司書補の講習→司書補として現場で実務経験3年以上→司書講習→司書資格取得
という方法です。
※実務経験2年で司書講習は受けられますが、資格を得るのは3年経過後です。
司書補を取得するには、毎年夏に大学で行われる司書補講習に参加して必要な単位を履修します。
開講大学は毎年春に文部科学省のホームページに掲載されます。
司書補講習を開講している大学は、最近では全国で6大学のみです。
ただ、高卒で司書補というのは制度上残っているに過ぎず取得は現実的ではありません。
参考:司書について:文部科学省
まずは無料の資料請求
司書・司書補の資格を社会人が取得する方法は基本的には通信制大学になります。
ユーキャンのような完全な独学の通信講座では取得できません。下記サイトから最も利用者の多い近畿大学通信教育部の資料請求ができます。
社会人でも入学できる大学・専門学校の資料請求
テキスト・問題集・参考書
おすすめ参考書
※Kindle(電子書籍)版です。
市立図書館の正規職員として採用された新人図書館司書「ひなこ」の日常をリアルに紹介するマンガです。
司書は図書館のカウンターで受付・返却・本棚整理をしてるだけじゃありません。
利用者からはいろんな質問が…難問奇問に対し、適切な資料を紹介するのも図書館の仕事です。
図書館と本が好きな人におすすめの一冊です。
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図書館司書の仕事の内容を、物語風の小説にして紹介しています。
司書と聞いてまず最初に頭に浮かぶのはカウンターでの貸し出し・返却業務ですが、この本を読むとそれ以外にも多種多様な仕事があることに驚きます。
ただ、この本の内容は、良い点ばかり書いてある理想的な図書館像のような気もします。給与や待遇などに一歩踏み込んで書けばもっと現実的です。
司書の仕事がどういうものなのか興味がある人にはおすすめです。
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【司書】
- 大学に2年以上在学(短大卒業者含む)し62単位以上を修得しているか、または高等専門学校を卒業している者
- 2年以上司書補(国立国会図書館または大学、もしくは高等専門学校の附属図書館の職員で司書補に相当するものも含む)として勤務した経験がある者
【司書補】
高等学校、もしくは中等教育学校を卒業した者、または高等専門学校第三学年を修了した者
受講料
実施機関によります。
講習の内容
司書及び司書補の講習実施大学一覧で実施される集中講習で、図書館に関する専門科目について学習します。