危険物取扱者はどれがいい?需要があっておすすめは乙4
種類 | 難易度 | 合格率 |
国家資格 | やや易しい | 35~45% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
誰でも受験可 | ~1万円 | 2か月程度 |
活かし方 | 全国の求人数 | おすすめ度 |
就職・転職 | 4,908件 |
- 上記は乙種全般についてです。
- 全国の求人数は、ハローワークの情報を基に2024年10月28日に集計。
一定数量以上の危険物を貯蔵し、又は取り扱う化学工場、ガソリンスタンド、石油貯蔵タンク等の施設には危険物取扱者が必要です。
需要があり求人が豊富で人気なのは乙種4類です。
難易度は高くないですが就職や転職が有利になります。甲種は全ての危険物を扱えます。
危険物取扱者とは
危険物を取り扱うプロフェッショナル
危険物とは、ガソリン、灯油などの燃えやすい石油類や、金属粉などのように燃焼性の高い物品のことをいいます。
これらの危険物を専門知識のない人が扱うと、誤って爆発させてしまう可能性があり大変危険です。
工場などの製造所、ガソリンスタンドなどの貯蔵所や販売所、タンクローリーなどで危険物を取り扱う際は、危険物取扱者自身がその作業をおこなうか、危険物取扱者が作業に立ち会わなければなりません。
燃焼性が高く爆発する危険性のある危険物を大量に「製造・貯蔵・取扱」する場所で管理責任者の役割を担うのが危険物取扱者です。
毎年約40万人が受験する人気の国家資格
危険物取扱者試験は、消防法に定める「危険物」を取り扱う際に必要となる国家資格です。
取り扱い方法や法規制などについての知識を持ち、貯蔵や取り扱い、またはその指示を行います。
試験は各都道府県で行われ、毎年約40万人が受験する人気の資格となっています。
主催者サイト:危険物取扱者について|一般財団法人消防試験研究センター
危険物を性質の違いにより第1類~第6類に分類
消防法では、燃焼性の高い物質を「危険物」として指定しており、性質の違いによって下記のように第1類から第6類に分類しています。
種類 | 性 質 | 代表的な物質 |
---|---|---|
第1類 | 酸化性個体 | 塩素酸ナトリウム |
第2類 | 可燃性個体 | 硫黄、マグネシウム |
第3類 | 自然発火性・禁水性物質 | ナトリウム、リチウム |
第4類 | 可燃性液体 | ガソリン、灯油、軽油 |
第5類 | 自己反応性物質 | ニトログリセリン |
第6類 | 酸化性液体 | 過酸化水素、硝酸 |
免状の種類は「甲種・乙種・丙種」の3種類
危険物取扱者の免状の種類は、甲種、乙種、丙種の3種類に分かれており、それぞれ取り扱うことができる物品が下記のように指定されています。
甲種 | 第1類から第6類の全ての危険物 |
---|---|
乙種 | 第1類から第6類の内、試験に合格した種類の危険物のみ |
丙種 | 第4類の特定の危険物のみ |
甲種の試験に合格すれば、全種類の危険物について、取り扱いと点検業務・保安の監督ができます。
さらに、6か月以上の実務経験があれば危険物保安監督者になれます。
乙種の試験は6種類の免状ごとに実施され、それぞれ合格した種類の危険物について、取り扱いと点検業務・保安の監督ができます。
甲種と同じで6か月以上の実務経験があれば危険物保安監督者になれます。
甲種と乙種は、無資格者に対して立ち会うことが可能です。
丙種の試験に合格すれば、第4類の中の特定の危険物に限り取り扱いと定期点検ができます。
丙種は無資格者への立会いはできず、危険物保安監督者にもなれません。
危険物取扱者試験受験者の全体の8割以上を乙種の受験生で占めます。さらに、そのほとんどが第4類(乙4の第4類)を受験します。
乙4を取得後、試験科目免除の制度を利用して他の乙種(1、2、3、5、6)を取得するのがおすすめです。
役に立つ資格なのか?
中高年や女性でも就職につながりやすい
危険物取扱者試験は難易度も高くなく、比較的取得しやすい資格です。
持っているだけで自己PRにつながり、就職や転職が有利になります。
履歴書に危険物取扱者と書いてあれば、面接担当者も、「お!危険物持っているな!」と目を止めて印象が良くなるでしょう。
危険物を取り扱う場所では必須の資格なので、日本全国で安定的に需要はあります。将来性も十分です。
身近で最も需要があるのがガソリンスタンドです。
その他に化学工場や塗料関係など、様々な職場で資格が役立ちます。
仕事で必要になってから取得する人も多いようです。
中高年や女性でも就職につながりやすい狙い目の国家資格です。
甲種を取得するとさらに役に立つ
難易度の高い甲種まで取得すると役立つ機会もさらに増えます。
第1類~第6類までの全ての危険物を貯蔵したり製造している工場や研究所において、より責任のある危険物保安監督者になれます。
甲種を取得すると全ての危険物を取り扱えるだけでなく無資格者が取り扱う際に立会いもできるので、化学系メーカーの技術者として就職・転職する際に重宝されます。
将来性について徹底研究
この資格の活かし方
危険物取扱者は、危険物を扱う際に必要な専門的な資格のように思われますが、意外と使える範囲が広いのが特徴です。
例えば、建設会社では接着剤をはじめ科学薬品を多く資材として使います。運送会社ではガソリン以外でも薬品などの危険物を運搬します。工場などでも危険物を利用する機会はかなり多くあります。
ガソリン・灯油・軽油を扱う乙4の求人は豊富です。
ガソリンスタンドをはじめとして、石油会社、化学系メーカー、タンクローリーのドライバー、自動車整備工場、公共施設の設備管理会社、薬品会社などで求人が見つかります。
危険物取扱者の有資格者には資格手当を支給している会社も多く、職場での信頼がアップしたり、昇給・昇格にもつながります。
危険物取扱者に合格して、高校生のガソリンスタンドでのバイト代が50円ほど上がったという話もよく聞きます。
まずは乙種4類がおすすめ、取得しやすくて実用的
危険物取扱者を目指すのであれば、まずは乙4から受験するのが一般的でおすすめです。
乙種試験は第1~第6まで6種類ありますが、乙種の受験者が全体の80%を占めます。さらにそのほとんどが第4類の受験者で全体の約64%を占めています。
仕事に直結しやすく需要が見込めるのが人気の理由です。
乙4で扱えるガソリン、灯油、軽油は身近な存在なので、初学者でも理解しやすく比較的取得しやすい点もあげられます。
例えば、セルフ式ガソリンスタンドでは、甲種または乙種4類の危険物取扱者がいなければなりません。つまり乙4の保有者は無資格者が取り扱う際の立ち合いが可能です。
丙種も乙4と同じでガソリンや石油類を扱えますが、無資格者が取り扱う際の立ち合いはできません。
丙種であれば、試験の難易度は低く問題数も少ないためより合格しやすくなっています。理科の知識がほとんどゼロでも合格できます。
以前は乙4受験には実務経験が必要で、実務経験のない人は仕方なく丙種を受験していました。いまはその条件はなく誰でも乙種を受けられます。
丙種は乙4のミニチュア版みたいなもので、活用できる場面も限られています。
やはりこれから学習をする人は乙種からがおすすめです。
1種類に合格すれば他の種類も合格しやすくなる
乙種4類の受験生が多い理由としては、最初にまず乙4を受験して、合格後に一部科目の免除制度を利用して他の種類を受験する人が大勢いる点も上げられます。
乙4を取得して、他の「乙12356」を取得するイメージです。
一度に複数の試験を受験すれば効率的に取得できます。
受験する組み合わせ次第では、あと3回受験すれば全類合格も夢ではありません。
乙4に合格できれば乙種全種類も取得しやすくなります。
1つの種類に合格すると、法令、物理化学の科目の試験が免除になり、「危険物の性質並びに火災予防及び消火の方法」(10問・35分)のみで受験できるようになります。
複数種取得を目指すのであれば、まず乙4を取得して、その後に乙3種、5種などと受験する方法が一般的でおすすめです。
※ただし、複数受験の対応は地域や試験会場によっても異なります。事前に地元の消防試験センター支部に確認してください。
毒物劇物取扱責任者とどちらがおすすめ?
危険物取扱者と似ている国家資格としては、毒物劇物取扱責任者があげられます。
取得するならどちらがおすすめか?
どちらか挑戦してみたいのであれば危険物取扱者の方がおすすめです。
履歴書に書けばかなりの自己アピールにつながるはずです。
余力があれば是非両方取得してください。
まず、どちらが難易度が高いのかというと、合格率に関しては大差ないものの一般的に毒物劇物取扱者試験の方が難易度は高いと言われています。
化学に関しては、毒物劇物取扱者試験の方が一歩踏み込んだ知識が求められます。
対象物質が非常に多いというのが毒物劇物取扱者試験の方が難易度が高いと言われる理由です。
難易度という点では危険物取扱者の方が取得しやすいようです(※ちなみに甲種と比較すると、甲種の方が圧倒的に難しい)。
毒物劇物取扱責任者の有資格者が活躍できる場所は、化学薬品の製造業、製薬業、塗料の工場などと限られています。
現実的な求人数を見てもやはり危険物取扱者の方が活躍できる場は多いので、どちらが就職や転職に役立つかというと危険物取扱者の方が圧倒的に役立つようです。
乙4に限っても、求人数は毒物劇物取扱者の比ではなく圧倒的な数です。
合格するには
合格率は65%~75%ほど
危険物取扱者の合格率は、乙種が平均して65%~75%くらいです。難易度が高い甲種と一番受験生が多く人気のある乙4はともに35%くらいです。
合格率だけを見ると乙4は人気があるから難しいのでは?と思ってしまいますが実はそうではありません。
乙4は需要があって就職や転職に役立つため人気があります。
そのため、中高年者をはじめとして工業高校生や中学生など日頃あまり勉強しているとは思えない人も大勢受験します。
その上での35%ですから、実際のところ試験の難易度は他の乙種とそんなに変わらない程度です。
乙4なら1か月くらいでも十分合格を狙える
乙4は年間30万人以上が受験するため、良質なテキストや問題集が豊富に揃っています。
書店へ行けば誰でもすぐに手に入ります。
試験も他の種や類に比べ多く実施され、東京ではほぼ毎週実施されています。
乙4は初学者でも1~2か月ほどの勉強時間で十分合格を狙えます。1週間程度の勉強でも合格する人はいます。
試験の出題範囲は物理、化学、法令類と多岐にわたり、全て頭に詰め込もうとすると難しく感じられますが、そんな必要はありません。
試験には「頻出問題」と呼ばれるものがあって、そこから高頻度で出題されます。
それらを優先して確実に覚えれば正答率は高くなり合格に近づきます。
テキストや参考書である程度内容を理解したら問題集を解きます。
分からなかったらテキストや参考書にまた戻って理解を深めます。その繰り返しです。
実際に問題を何度も解いてみて、頻出問題は確実に解けるようにします。
甲種は難関、高度な物理学と化学の知識が要求される
誰でも受験できる乙種と違って、甲種には受験資格が細かく規定されています。
受験するには次の条件のうちいずれかひとつを満たさなければなりません。
- 大学・短大・高専学校などで化学に関する学科を修めて卒業した者
- 大学・短大・高専学校などで化学に関する科目を15単位以上修得した者
- 乙種危険物取扱者資格を持ち、かつ実務経験が2年以上ある者
- 規定された条件の乙種危険物取扱者の免状を有する者
- 化学に関する学科又は課程において修士・博士の学位を持つ者
甲種の合格率は前述の通り平均すると35%ほどで難易度は高めです。
乙種の試験科目は「基礎的な物理学及び化学」ということですが、レベルとしては中学の「理科」の延長です。
一方、甲種では「物理学及び化学」となり、より高度な内容が問われます。
乙種は4択ですが甲種は5択です。そもそも問題のレベルが違います。
甲種は、受験資格をクリアしている化学のスペシャリスト達が受験します。
かなり勉強して真面目に取り組んだ上での合格率35%ですから数字以上の難易度です。
乙4は短期で1発合格したけれど、甲種は何度も不合格を繰り返している人も少なくありません。
中には5回以上チャレンジしている人もいます。
勉強時間としては、個人差がかなり影響しますが6か月くらいはみておいたほうがいいでしょう。
学習内容は暗記がほとんどなので、合格するには時間をかけて努力するのみです。
危険物の乙種1~6類の資格の全てを1個の資格で網羅するのが甲種危険物取扱者です。
難易度が高い分、持っていると自慢できます。
まずは無料の資料請求、体験学習
おすすめの通信講座
危険物取扱者については、良質で低価格な通信講座が多く提供されています。代表的な講座を2種類を紹介します。
STUDYing(スタディング)
ネット講座と、Webテキスとに限定した低価格な通信講座です。初心者の方にはおすすめです。従来の資格講座とは違い、忙しい方でも効率的に勉強ができるように、スキマ時間を活かした学習法に最適化されています。
技術講座専門のJTEX
JTEXは40年の実績があって主に企業単位での受講者が多いのが特徴です。利用企業数6,000社以上、受講者総数は200万人を越えています。※ヒューマンアカデミーの通信講座はJTEXと同じ内容となっています。
テキスト・問題集・参考書
おすすめテキスト・基本書
とにかく評判の良い、これ一冊で合格ラインは突破できるような虎の巻テキストです。他のテキストや問題集が難しくて諦めかけていたけれど、このテキストに替えたところ無事合格できたという人も多くいます。
イラストが見やすく、文章も覚えやすいように工夫されています。この本の内容を理解してしっかりと覚えれば、満点は無理ですが、合格ラインの60点は取れると思います。
過去問題130問もついています。初受験で短期合格を狙う人でもこれで十分です。ただし、10日間勉強しただけではとても合格できません。乙4の知識が全くない人であればなおさらです。
2か月ほどひたすらこのテキストで勉強してください。余力があれば他の問題集を購入されるのも良いと思います。結論として、このテキストをしっかり勉強すれば合格できます。
種類 | 評価 |
テキスト・過去問付き |
おすすめ問題集
危険物に関しては良い問題集が多く、どれも内容は甲乙つけがたいのですが、こちらがおそらく受験生に一番人気があるのではないでしょうか。
とにかくこの本を信じて3~5回繰り返して解いてください。要点もよくまとまっていて、重要なことは何度も出てきますから合格するための知識は十分身に付きます。
この問題集と全く同じ出題もありますし、違う問題も当然出題されますが、理解すれば解けるはずです。
この1冊で十分合格できまし、合格されている方が多くいます。迷ったらこの本をおすすめします。
種類 | 評価 |
問題集 |
この本は、試験問題を忠実に再現していて、かなりおすすめの一冊です。
実際にこの問題集を使って合格された方には評判がいいです。
巻末の索引も使いやすく、解説の内容も詳しく書かれています。また、最新の試験問題も収録されており、問題数もが多めです。
種類 | 評価 |
テキスト&問題集 |
既に乙種4類を取得済みで、一部科目免除を利用して乙種4類以外の「乙12356」を受験する人を対象とした問題集です。
令和5年~平成25年中に出題された問題の中から、近年の傾向を踏まえた524問を収録しています。
問題の数は各類ごとに適量です。解説は丁寧で参考書としても使えます。
とてもコンパクトにまとまっていて、この本1冊だけを繰り返し学習すれば十分に合格を狙えます。
種類 | 評価 |
テキスト&問題集 |
おすすめ参考書
知識ゼロから独学で学習を開始する方には、まずは親しみやすい本書をおすすめします。
全てマンガというわけではなく、3割ほどのページがマンガで、これが意外と面白く笑えます。
もちろんこの本だけではおそらく合格は難しいので、別に問題集が必要です。
マンガの入門書は読む人次第といった感が強いため、一概に良い本、悪い本とは言い難いのですが、とりあえず危険物を取得したい方はまずはこの本からチャレンジするのも悪くないと思います。
種類 | 評価 |
マンガ入門書 |
試験情報
日程・出題内容・合格基準・その他
試験日
都道府県別に実施
お申し込み
都道府県別に実施
受験資格
乙種・丙種は誰でも受験できます。甲種については一定の受験資格があります。
試験会場
都道府県ごとに試験日は異なります。居住地以外でも受験できます。
受験料
- 甲種 6,600円
- 乙種 4,600円
- 丙種 3,700円
試験内容
試験科目及び問題数:
【甲種】
- 危険物に関する法令(15問)
- 物理学及び化学(10問)
- 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法(20問)
【乙種】
- 危険物に関する法令(15問)
- 基礎的な物理学及び基礎的な化学(10問)
- 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法(10問)
【丙種】
- 危険物に関する法令(10問)
- 燃焼及び消火に関する基礎知識(5問)
- 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法(10問)
合格基準
甲種、乙種及び丙種ともに、試験科目ごとの成績がそれぞれ60%以上で合格(試験科目の免除を受けた受験者についてはその科目を除く)。
合格発表
郵便ハガキで合否の結果を直接通知、支部別に合格者の受験番号を公示、消防試験研究センターのホームページ上に掲示。
主催者情報
試験に関する詳しい情報は受験案内|危険物取扱者試験|一般財団法人消防試験研究センターをご覧ください。