漢字能力検定は就職や転職にはほぼ意味ない教養の検定試験
種類 | 難易度 | 合格率 |
民間資格 | — | 20% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
誰でも受験可 | ~1万円 | 1か月程度 |
活かし方 | 全国の求人数 | おすすめ度 |
入試でPR | 1件 |
- 上記は2級についてですが、個人の能力によって異なります。
- 全国の求人数は2024年11月20日現在の集計結果です。
日本漢字能力検定(漢検)は漢字の読み書きの能力を証明する検定試験です。
主に中学生が進学を控えて、志望校に自己アピールの材料とするために受験します。
新卒大学生や社会人が取得して履歴書に書いても就職や転職の際には評価されません。
認知症予防あるいは高校新卒の就活なら役に立つ可能性がある程度です。
日本漢字能力検定はかつては文部科学省認定の公的資格として絶大な人気を誇っていました。
しかし、主催者の不祥事や天下り団体との癒着などの問題もあり平成20年に後援も取り消され、現在は完全な民間の検定試験となっています。
日本漢字能力検定とは
日本では最大級の検定試験
日本漢字能力検定(以下漢字検定)とは漢字全般についての知識・教養を試す試験です。
一般的に「漢字検定」や「漢検」などと呼ばれています。
漢字検定は、日本国内では最大規模の検定試験です。
受験者の年齢層の幅が広く3歳~102歳、受験者数は年間延べ200万人以上といいますから驚きです。
受験する級は、10級~1級+準2級と準1級までの12段階に細かく分かれており自分の実力に合った級を受検できます。
高校・大学の中には、漢字検定の取得級を入学時の評価対象としている学校もあります。
高校においては実に半数以上が入試で漢検を評価するとしています。
参考:漢検受検をオススメする3つの理由|中学生の方へ|日本漢字能力検定
そのため、漢字検定の受験者の多くは小学生から高校生までの学生で全体の約90%を占めています。
その多くは団体で受検します。
その他の年齢層では19歳~22歳までが全体の約3%です。
それ以上の年齢層は1%程度と極端に少なくなります。
最近は高齢者が頭を使う目的で受験するようですがまだまだ少数派です。
漢字検定はもともと趣味や教養を試す試験なので、合格したからといって特殊な仕事ができるわけでもありません。
学生が内申書の評価を上げために学習するのは意味がありますが、社会人が就職・転職のために学習する試験ではありません。
主催者サイト:日本漢字能力検定
役に立つ民間資格なのか?
趣味・教養の検定試験
資格や検定試験といっても、趣味・教養の延長で自己研鑽的な目的で勉強するものと、仕事に役立てるための実用性の高いものがあります。
漢字検定などは完全なる「趣味・教養の検定」です。
漢字検定試験に合格したからといって就職や転職がに有利にはなりません。
もちろん会社員が合格したところで社内での評価アップにはつながりません。
一般サラリーマンでは取得したとしてもあまり意味はないですし、役立つことも期待できません。
ただし、全く評価されないかと言うとそうでもなく、大学生の就活であれば多少評価される可能性はあります。
有利になるというよりは心象が良くなる程度です。
※一部には漢字能力検定を重要視している企業もあるそうです。
高校生が新卒で就職する際に「学業に励んでいる」というアピールする材料にはなります。
就職を少しでも有利にするために学校単位で2級を受験する高校もあります。
最近はほとんど漢字が読めない大学生もいる!
大学卒でも恐ろしいほど漢字が読めない新人がいます。
当サイト運営者は、以前入社間もない新人と一緒に就業規則を読み合わせをする機会がありました。
驚いたことに、まず彼は「就業規則」が読めませんでした。
読み進めていくうちにわかったのは、彼は極めて平易な漢字以外全く読めないということでした。
おそらくレベルとしては小学校5年生くらいだったと思います。
そんな新人よりも、例えば漢字検定2級合格者の方が採用される可能性は高いと思います。
ただし、それを採用の決め手にすることはないでしょう。評価の参考にするのは2級以上です。
将来性について徹底研究
この資格の活かし方
自分の書いた文章は、それが手書きであろうとパソコンで作成した文章であろうと、改めて読み直してみると意外と誤字脱字が多いものです。
もちろん気が付かないだけの間違いもあるはずです。
他人が書いた文章となるとさらに誤字脱字は目立ちます。
他人のアラを探すのって人間大好きですからね。
会社の重要な会議の場で、事前に作った資料の誤字脱字に気づくのは概ね出席者に配布した後です。
発表中に漢字の間違いに気付くこともよくあるパターンです。
そういった経験のある人は少なからずいるでしょう。
とりあえず漢字検定2級程度の知識・教養があれば、誤りを未然に防げる可能性が増します。
恥をかく機会も減るでしょう。
漢字の読み書きに自信のない人は、勉強する価値は十分ありそうです。
履歴書に書いても2級以上、書くのは趣味・特技欄
もし履歴書に書くのであれば漢字検定2級以上です。
2級であれば実用的な漢字はほぼ網羅しているので、ビジネスの場においても役立つ機会があります。
準1級・1級ともなると日常的に使うこともないようなマニアックな漢字が出題されます。
もはや「趣味の知識」とも言える領域ですから時間を持てあましている人向けです。
仮に最も難易度の高い1級に合格しても、転職の際は履歴書には書かない方がよいでしょう。
どうしても書きたいのであれば趣味・特技の欄です。資格の欄に記入すべきではありません。
当サイト運営者の個人的な意見では、漢字よりも丁寧な日本語、正しい敬語を使える方が重要だと思います。
天下り団体への献金のために作られた検定試験
平成20年ごろまでは、全国の中学校・高校で、学校単位でほぼ全校生徒が漢字検定を受験していました。
高校卒業までに漢字検定を複数回受験した経験がある人も多いのではないでしょうか。
それは、就職や進学が少しでも有利になるようにとの教育委員会の指導によるところが大きかったようです。
しかし、平成21(2009)年、日本漢字能力検定協会に関わる数々のファミリー企業での不祥事や天下り団体との癒着が白日の下に晒され逮捕者も出る事件が発覚(漢検協会事件)。
この事件をきっかけに、公立の小中学校の生徒を半ば強制的に受験させて受験料を民間団体に納めさせるのは天下り団体への献金となんら変わりがないという世間の風潮が高まり社会的な問題にまで発展しました。
日本漢字能力検定協会は民間団体にすぎません。官民の必要以上の癒着といわれても仕方がありません。
数々の事件を背景に平成20年には文部科学省の認定も後援も取り消されています。
それまでは「公的資格」という位置づけでしたが、今では完全な民間の検定試験になっています。
以降は学校単位での受験もかなり減少したようです。
※2024年度から再び文部科学省後援になるようです。
合格するには
難易度別に全12級
漢字能力検定は、難易度の低い順に、10~3級、準2級、2級、準1級、1級の全12の級に分かれています。
試験は、以下の方法で受験できます。
- 全国47都道府県の主要都市約180か所の会場
- 学校や塾・企業などでの団体受験
- 漢検CBT会場でコンピューターを使って受験
漢検CBT(Computer Based Testing)受検とは、パソコンを利用した受験方法です。
年3回の試験に限定されず、任意の日と場所を選んで受験できます。ただし、7~2級のみです。
参考:お申し込みから結果まで|漢検CBT受検|日本漢字能力検定
どこで受けるかは自由です。受験料は同じなので自宅から近い場所でいいでしょう。
勉強方法はとても単純
漢字能力検定に合格するための学習法は非常に単純です。
ひたすら頻出度順に問題を解いて、本試験型の問題を解くことです。
毎年新しい漢字が作られたり、読みや意味が変わるワケでもないので、出題範囲は限られていると言えます。
資格試験と言われるものはどれも同じですが、繰り返し学習することが合格につながります。
ただし、ここで他の資格試験とは学習方法の違いがあります。
習う対象が漢字ですから、とにかく書いて覚える必要があります。
当然といえば当然かもしれませんが、漢字は書かなきゃ覚えられません。
テキストや参考書の解答を隠して頭の中だけで答えを出すというのはあまり頭に入りません。
以下のように学習を繰り返せば2級までならほとんどの方が合格できるでしょう。
- 答えを隠して、紙に書いて覚える。
- 間違えた問題に丸印をつけて、また復習する。
- 何度も間違える問題だけ別ノートに書き写す。
試験では、漢字の読み書きや意味、使い方についての確かな知識が求められます。単純ですが繰り返し学習は全ての資格試験の基本ですね。
テキスト・問題集・参考書
おすすめ問題集
とりあえずは漢字能力検定協会の過去問題集を利用するのが無難でしょう。参考書の販売も大事な収益源です。ここから出題されるので多少有利になります。
とは言うものの、どの出版社の問題集を選んでも繰り返し学習をして内容を完璧に仕上げれば合格点まで十分到達できます。
2級の出題範囲は常用漢字のみ+人名漢字で、出題内容もそれほどバラつきのあるものではありません。なので2級を受験する方には、ほぼどこの問題集を選んでも大丈夫です。
※購入する際は必ず受験する級と最新版であることを確かめてください。
種類 | 評価 |
過去問題集 |
試験情報
日程・出題内容・合格基準・その他
試験日
年3回(例年):(6月~7月、8月~11月、1月~2月)
お申し込み
主催者のサイトでご確認ください。
受験資格
受験の制限はありません。複数級の受験も可能です。
試験会場
全国各地
受験料
- 1級:6,000円
- 準1級:5,500円
- 2級:4,500円
- 準2~4級:3,500円
- 5~7級:3,000円
- 8~10級:2,500円
※2024年3月24日現在、団体公開会場受検(公開会場での受検)の場合です。
試験内容
※以下は2級についての内容です。
高校卒業・大学・一般程度(2136字)※常用漢字がすべて読み書き活用できるレベル。
【程度】
すべての常用漢字を理解し、文章の中で適切に使える。
【領域・内容】
《読む、書く》
- すべての常用漢字の読み書きに習熟し、文章の中で適切に使える。
- 音読みと訓読みとを正しく理解している
- 送り仮名や仮名遣いに注意して正しく書ける
- 熟語の構成と意味を正しく理解している
- 熟字訓、当て字を理解している(海女/あま、玄人/くろうとなど)
- 対義語、類義語、同音・同訓異字などを正しく理解している
《四字熟語》
- 典拠のある四字熟語の意味を理解している(鶏口牛後、呉越同舟 など)。
《部首》
- 部首を識別し、漢字の構成と意味を理解している。
試験時間:60分
合格基準
80%程度の正解
主催者情報
各級の出題内容と審査基準については、各級の出題内容と審査基準|漢検の概要|日本漢字能力検定をご覧ください。