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旧サイト名:本当に役立つ資格、全く役立たない資格

臨床工学技士とは?難易度から将来性・資格の活かし方を解説

人工透析

医療機器のハイテク化で今後の需要は不透明、透析患者増加で求人数は増加

種類難易度合格率
国家資格80%
受験資格取得費用勉強時間
養成課程修了200万円~3年以上
活かし方全国求人数おすすめ度
一生モノの技術718件
  • 臨床工学技士になるには所定の養成機関で必要な教育を修了し国家試験に合格しなければなりません。
  • 合格率は最終の国家試験についてです。
  • 全国求人数は、ハローワークの情報を基に2024年9月28日に集計しました。

臨床工学技士とは、病院で使用する医療機器の操作から保守・点検を行う専門職です。

医療機器とは、例えば人工透析装置、人工呼吸器などです。

就職率はほぼ100%です。当然ですが将来性もあって役立つおすすめの医療系の国家資格です。

臨床検査技師の資格を取得して、その後1年間の専攻科に通えば臨床工学技士の受験資格が得られてダブルライセンスも可能ですが、実はメリットは少なくあまりおすすめしません。

看護師と臨床工学技士のダブルライセンスの方がメリットはあるようです。

目次

臨床工学技士とは

医療機器を操作する女性

医療機器の操作・保守・点検を行うスペシャリスト

臨床工学技士とは、病院で使用する医療機器の操作から保守・点検を行う専門職です。

例えば代表的な医療機器には、腎臓の機能の代替をする「人工透析装置」、人工的に呼吸を行うための「人工呼吸器」などがあります。

臨床工学技士は、医師の指示の下、安全に治療を行うために生命維持管理装置の操作や、日常的にさまざまな医療機器の保守点検を行います。

そのほかにも例えば手術室・集中治療室・透析室・心臓カテーテル検査室や一般の病室に設置された医療機器の操作や管理もします。

つまり、病院内にあるさまざまな医療機器に対応して、操作・保守・点検を行うスペシャリストが臨床工学技士です。

病院にはハイテクマシンがズラリと並ぶ

医療技術の進歩に伴って、病気の診断や治療に利用する医療機器も日々高度化しています。

病院にはハイテクマシンの数々がズラリと並んでいます。

そんな医療器具も人が作った機械です。当然ですが故障もします。使用している最中に誤作動する可能性もあります。

いざという時に「使い方が分からない」なんて絶対に許されません。

一歩間違えれば患者の生命に関わるので、医療機器の日々のメンテナンスは非常に重要です。

関連団体:公益社団法人 日本臨床工学技士会|公益社団法人 日本臨床工学技士会|Japan Association for Clinical Engineers

人工透析に携わる臨床工学技士が多い

臨床工学技士は、医療機器の保守管理・点検を行うだけではなく、人工呼吸器や人工透析装置、人工心肺装置などの生命維持管理装置の操作もします。

特に多くの臨床工学技士がたずさわっている業務が人工透析(とうせき)です。

人工透析とは、弱った腎臓の機能を人工透析装置が代替するという医療行為のひとつです。

人工透析の際に、穿刺(せんし)といって、患者の血管から血液を取り出すためと、さらに透析を終えた血液を患者の血管に戻すために管を刺します。

この穿刺という医療行為は医師だけではなく臨床工学技士にも許されています。

2021年12月時点で慢性的な透析患者数は34万人を超えており年々増加傾向にあります。

参考:日本透析医学会ホームページ:わが国の慢性透析医療の現況

余談ですが、臨床工学技士の英語表記はCE?ME?

医療関係の職種は、英語表記の頭文字をとってアルファベット2文字で表記することが多いです。

例えば看護師なら「NS」、臨床検査技師なら「MT」、理学療法士は「PT」です。

臨床工学技士の表記については、CE(Clinical Engineer)と、ME(Medical Engineer)の2通りがあり、どちらを使うのかは医療機関によって違います。

職能団体である日本臨床工学技士会はCEで統一していて、ロゴマークも「CE」になっています。

しかし、どちらが正解というのは現在のところ決まってないようです。

頑なに「ME」の表記を使い続ける臨床工学技士もいるようです。

役に立つ資格なのか?

大型の医療機器

医療器具が増えれば臨床工学技士の需要も増える

臨床工学技士は、「臨床工学技士法」により定められた医療系の国家資格です。

潤沢に就職先はあって転職も有利・・・とまではいきませんが、選ばなければ就職率はほぼ100%です。当然ですが役立つ資格です。

経験を積んで実力が付けば条件の良い病院へ転職もできます。

将来性がないなんてことはありません。国家資格ですから取得するメリットは十分あります。

医療機関では、集中治療室、手術室、心臓カテーテル検査室、ペースメーカーなどの業務が拡大しています。

また、平成28年度に、集中治療室に臨床工学技士を配置することで診療報酬が貰えるという診療報酬の改定がなされました。

今まで臨床工学技士がいなかった病院や、特に集中治療室において臨床工学技士配置の必要性が高まっています。

医療機器は、基本的にどんな機械でも人間がメンテナンスしなければなりません。

人間が作った機械である以上故障も誤作動もします。

医療器具が増えればそれだけ臨床工学技士の需要も増えるはずです。

ただし、今後も需要があって将来性もあって役立つ資格かどうかは難しい判断になります。

例えば、機械の自動化や高速インターネット回線の普及で医療現場でのメンテナンスの必要がなくなるかもしれません。

そうなると需要がなくなって求人が減る可能性もあります。

一部では今後なくなる職業だとも言われています。

将来性について徹底研究

青いユニフォームを着て並ぶ男女

この資格の活かし方

臨床工学技士の就職先で多いのは、大学病院や総合病院、クリニックなどの医療機関です。

具体的には、総合病院などの医療機器管理室や手術室、ICU、透析室です。

透析専門クリニック、循環器内科医院などで働く人も多いです。

大きな病院になるほど大型でメンテナンスが必要な医療器具の設置数も多いので、それだけ臨床工学技士の需要があります。

また、専門認定士や専門臨床工学技士、認定臨床工学技士などの認定資格を資格すれば、高度な専門性を持った臨床工学技士として認められるので、さらなるステップアップにつながります。

数は少ないですが、医療機関の他に医療機器メーカーなどの企業へ就職する臨床工学技士もいます。

臨床工学技士の求人は現実的に少ない

臨床工学技士と臨床検査技師診療放射線技師、求人はどの資格が多いのか少ないのか?気になるところです。

例えば、インターネットハローワークで求人情報や調べると下記のような結果になりました。

臨床検査技師(1917) > 診療放射線技師(912) > 臨床工学技士(448)

カッコ内はそれぞれの「免許・資格コード」を入力して検索した際に表示された全国の求人数です。

単純に就職数だけを比較すると、臨床工学技士が最も少ないことが分かります。

臨床検査技師の1/4以下です。

実際に、数年前から国立大学病院での臨床工学技士の採用は非正規に限定しています。

正規の職員は足りているということです。

もちろん「就職できない」なんてことはありませんが絶対数は少ないようです。

総合病院などの条件が良さそうな求人は採用数が少なく、やはり競争率も高くなります。

取っておくと就職が有利になる資格は?

「臨床工学技士は将来性がないと言われているけど、就職を少しでも有利にするために何か資格を取りたい」

こういった不安・疑問を抱いている学生が実は多いようです。

しかし、現実的にはそういった資格など存在しません。

専門学校あるいは大学へ進むにせよ、就職が有利になるとしたら在学中の成績です。

まずは学校での勉強が一番重要です。学校での成績が良ければ就職は有利です。

成績の良い学生はあまり苦労することもなく人気の病院へ就職が決まります。

誰でも短期間で取得できるようなくだらない民間資格など病院は一切評価しません。

就職を有利にしたいのであれば、特別な資格よりも学校の成績と出席日数を上げるような日頃の努力が必要となります。

臨床工学技士の収入・年収はどう?

臨床工学技士の給料は低い、なんて言われることが多いようです。

理由としては、臨床工学技士には独占業務がないからという意見です。

公的な病院なら、臨床検査技師や診療放射線技師は同じ俸給表を用いるから表向き同じのはずです。

しかし現実的に、臨床検査技師や診療放射線技師と同程度か少し低いくらいです。

ただ、比較的新しい資格なので、厚生労働省によるモデル賃金の公的統計がまだありません。

初任給は、基本給で18万円~20万円程度が相場となっています。

患者の容体の急変などにより残業が増えれば、その分残業手当が支給されます。臨床検査技師と比べて残業は多いようです。

臨床工学技士の給料は、勤務先となる病院の規模や地域、個人の経験や能力によっても大きく異なります。

都心の方が収入は多く10%ほど高いようです。

年収800万円台の人もいるので、やはり経験や実績によって将来的にも差がつきます。

当然ですが学習意欲のないダメな臨床工学技士は給与はいつまで経っても上がりません。

看護師と臨床工学技士、どちらか迷ったら・・・

看護師になろうか、臨床工学技士を目指そうか、そう迷っている中・高校生もいます。

まぁ、自分に合いそうで好きな道を・・・と言いたいところですが、迷っているなら看護師がおすすめです。

一般的に、臨床工学技士とは比較にならないほど看護師の方が就職・転職先が多くあります。

統計的にも看護師の方が給与・年収は上です。

例えば、公立病院では臨床工学技士の採用は絶望的です。あったとしても29歳位までの年齢制限があります。

一方、同じ公立病院でも看護師の採用枠は多く年齢制限も45歳位までです。

職場を選ばなければ看護師は50~60代でも再就職できます。

看護師資格があれば、臨床工学技士の業務はできます。

病院によっては臨床工学技士も看護師もほとんど同じ透析の業務をしますが給料は看護師の方が上です。

看護師は将来、保健師、ケアマネジャーになるという選択肢もあります。

臨床工学技士はそういった選択肢も少なく、全く違う資格を取得するか医療機器メーカーに転職するくらいです。

看護師から臨床工学技士へ進む方法もある

看護師の資格があれば、1年の養成コースに通えば臨床工学技士の受験資格が得られるので比較的短期間で取得できます。

医療の現場で扱う機器が増加しはじめて、それを専門的に扱うために臨床工学技士という国家試験が誕生したのが1987年です。

しかし、制度発足当初は臨床工学技士の数は少ないです。

そのため、それまで現場で医療機器を扱っていた看護師や臨床検査技師に、短期間で臨床工学技士の資格を取得させるために1年制の専攻科ができたワケです。

そして、その制度は今でも残っています。

逆のパターン、つまり、臨床工学技士→看護師は、看護学科に最初から通わないといけないので費用も時間もかかります。

臨床工学技士の仕事に魅力を感じるけど、あまり良い噂は聞かないし将来性という面で不安、そんな人は看護師をまずは取得するのもおすすめです。

看護師プラス臨床工学技士であればかなり強いですよ。

臨床検査技師とのダブルライセンスのメリット

臨床検査技師の資格を取得して、その後1年間の専攻科に通えば臨床工学技士の受験資格が得られます。

そのため、臨床検査技師と臨床工学技士のダブルライセンスであれば就職や転職が有利になるのではと考える人が多いようです。

しかし、意外なことに現役の臨床工学技士やその他の医療業務従事者のほとんどは「有益ではない」という意見が多数です。

仮にダブルライセンスでも、病院に勤務すればどちらか一方だけの仕事になります。

臨床検査技師として採用されたら臨床検査技師としての給与が支払われます。

臨床工学技士として採用されたら臨床工学技士としての給与が支払われます。

上乗せされて給与は上がるなんてことはありません(100%そうだとは言いませんが)。

国家資格を取得して医療に従事する人は、1つのライセンスで長年に渡って知識や技術を深めます。

経験年数によって給与や年収が上がります。

専門学校のホームページやパンフレットなどには、ダブルライセンスという文字が大きく印刷されていたりします。

しかし、実際の現場では両方の資格を活かせないので、就職で特に有利にもなりません。どちらか一本に絞りましょう。

ちなみに基本給は大学卒と専門学校卒では大学卒の方が現実的に高いです。その点も考慮しましょう。

ダブルライセンスのメリットは、臨床工学技士が自分に合わないなと思ったら臨床検査技師にチェンジできる点です。もちろんその逆も。

臨床工学技士になるには

医療機器を操作する女性

3年制の専門学校か短期大学、もしくは4年制大学

臨床工学技士として働くには、国家資格である臨床工学技士の資格を取得しなければなりません。

高校卒業後、臨床工学技士の養成課程を有する3年制の専門学校か短期大学、もしくは4年制大学に進学し、所定の課程を修了すると国家試験の受験資格を得られます。

この国家試験に合格すると臨床工学技士として働くことが認められます。

勉強する内容はどの学校も同じですが、同じ内容を大学では4年、専門学校では3年かけて学びます。

短大・専門の方が1年短い分、授業のスケジュールがハードです。

全国各地に臨床工学技士の養成校がありますが、単にカリキュラムの充実度や卒業後の就職先などを見るだけではなく、オープンキャンパスに出向いて自分に合った学校を選びましょう。

臨床工学技士の国家試験の合格率は毎年およそ80%前後です。

決して難易度が高い試験ではないので、日頃からしっかりと勉強しておけば普通に合格できるはずです。

合格率の高さを宣伝している専門学校には要注意

どこの学校でも、国家試験に合格できそうもない学生は留年させるなどして卒業させません。

卒業できる見込みがないと国家試験を受験できません。

学生にしっかり在学中は勉強させる意味でもやむを得ないようです。

「国家試験の合格率90%以上!」なんて大文字でパンフレットでうたっている学校は、20%ほど生徒が退学しているかもしれません。

下記サイトで、臨床工学技士の「学校別合格者状況」をクリックすると、学校別の合格率が表示されます。

参照:2023年(令和4年度卒業生)看護・医療・福祉の国家試験 学校別合格率|看護医療進学ネット

募集定員に対してあまりにも少ない人数しか本試験を受験していない学校は、何らかの理由で人気がないか、成績が悪いあるいはイヤになって卒業できなかった人が多いと考えられます。

学校を選ぶ際は、こういった点も参考にしてください。

おすすめの通信講座

臨床工学技士の国家試験は、一般的に合格率は高い(約80%)ですが、やはり不合格になる人が20%はいます。

それは、良質な試験対策用テキストや問題集が少ないのも一つの理由です。

効率的に試験対策の勉強をしないと、学校での成績がいくら優秀でも本試験で不合格になってしまいます。

数少ない臨床工学技士国家試験対策通信講座の中でも優れた実績を出しているのがアガルートです。

出題可能性が高い分野を中心に、頻出の重要ポイントを厳選していますので、確実に点を取れるように多くの工夫をしています。

臨床工学技士志望の学生におすすめの講座です。

※こちらから申し込みができます。講義動画の無料体験もできます。

まずは無料の資料請求・無料体験

社会人でも入学できる大学・専門学校の資料請求

テキスト・問題集・参考書

おすすめ参考書

患者の生命を維持管理する医療機器のスペシャリスト臨床工学技士の仕事をくわしく解説しています。

また、養成校受験に必要な勉強から国家資格取得、その後の就職までの道のりも説明しています。

臨床工学技士の仕事に興味のある人、どういった仕事内容なのかを知りたい人におすすめです。

種類評価
関連書籍

この本は、臨床工学技士である谷口総志がラジオ放送に出演した様子を動画撮影したものです。

心臓手術の現場で、心臓の機能を装置を使って代行する臨床工学技士の視点から、現実をシンプルにわかりやすく伝えています。

生命の神秘、人体の不思議をあらためて感じさせてくれます。

日頃から人の命と向き合う仕事をしている臨床工学技士の筆者だからこそ伝えられる内容です。大人から子供まで、特に中高生に読んで欲しい一冊です。

とても興味深く、臨床工学技士という職業に魅了されます。

※Kindle版です。

種類評価
関連書籍

試験情報

日程・出題内容・合格基準・その他

試験日

3月上旬

お申し込み

12月~翌年1月

受験資格

所定の養成機関で定められた課程を修了という学歴の条件があります。
※受験資格については下記厚生労働省のホームページを参照。

試験会場

北海道、東京都、大阪府及び福岡県

受験料

30,800円

試験内容

【試験科目】

  • 医学概論(公衆衛生学、人の構造及び機能、病理学概論及び関係法規を含む)
  • 臨床医学総論(臨床生理学、臨床生化学、臨床免疫学及び臨床薬理学を含む)
  • 医用電気電子工学(情報処理工学を含む)
  • 医用機械工学
  • 生体物性材料工学
  • 生体機能代行装置学
  • 医用治療機器学
  • 生体計測装置学
  • 医用機器安全管理学

合格基準

配点を1問1点、合計180点満点とし、108点以上で合格(正答率60%)

合格発表

3月下旬ごろ

主催者情報

試験に関する詳しい情報は臨床工学技士国家試験の施行|厚生労働省をご覧ください。

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