ビオトープ管理士
決して甘くない環境保全分野の仕事、相当な覚悟と勉強が必要です。
種類 | 学習期間 | 難易度 | 合格率 |
---|---|---|---|
民間資格 |
5か月程度 |
普通 |
50% |
活かし方 | 取得費用 | 受験資格 | おすすめ度 |
---|---|---|---|
知識習得 |
~2万円 |
2級は誰でも受験可 |
※2級についてです。高校、大学レベルの生物の知識が必要です。
最終更新日:2022/09/20
ビオトープ管理士とは
英語のバイオトープ(biotope)をドイツ語読みしたビオトープ(独:biotop)が語源です。ビオ(bio)はドイツ語で生命を意味します。
ビオトープ管理士とは、生態系の保護に関する知識や技能について証明する民間資格で、日本生態系協会が試験を主催しています。
ビオトープ管理士の試験は、「計画部門」と「施工部門」に分かれており、それぞれの試験に合格すれば、「ビオトープ計画管理士」「ビオトープ施行管理士」と名乗ることができます。
また、それぞれの区分は難易度の低い順に2級と1級に分かれています。2級は誰でも受験できますが、1級は例えば4年生大学卒業後であれば7年以上の実務経験が必要となります。
2級は筆記試験のみですが、1級は筆記試験に加えて記述問題と口述試験があります。
主催者サイト:ビオトープ管理士 公式サイト|(公財)日本生態系協会
ビオトープ管理士について本音で一言
ビオトープ管理士は民間資格です。合格したからといって、それだけで就職や転職は有利になりません。ビオトープ管理士には2級と1級がありますが、2級なら難易度も高くないので少し勉強すれば合格できます。しかし、環境保全の分野の専門家としては全く評価されません。
技術者として環境保全の分野に就職するのであれば、生物や生態系についての高度な大学レベルの知識が必要です。さらに一人前になるには大学院レベルの知識を吸収する覚悟も必要です。
環境関連の分野へ就職を希望するのであれば、まずは無資格でもその業界の会社に入社することです。そして、その会社が必要とする資格を、実務を踏まえながら後から必死になって取得しましょう。
将来性を徹底研究
国土交通省の登録資格と言っても価値は低い
ビオトープ管理士1級(計画管理士・施工管理士ともに)は、「公共工事に関する調査及び設計等の品質確保に資する技術者資格」として国土交通省の登録資格として認められています。
参照:技術調査:公共工事に関する調査及び設計等の品質確保に資する技術者資格について - 国土交通省
ただ、「国土交通省の登録資格」といっても、353もの民間資格が該当しています(令和4年2月22日現在)。そのうちの1つにすぎません。
参照:公共工事に関する調査及び設計等の品質確保に資する技術者資格登録簿(R4.2.22時点) (pdf)
ビオトープ管理士がいない業者よりビオトープ管理士がいる業者のほうが、公共事業の入札において多少有利になります。
しかし、工事そのものではなく、あくまでも環境に関する事前調査なので、規模も小さく件数も多くありません。環境省や一部自治体が実施する環境調査業務の入札参加資格を得られる場合があるという程度です。
このためだけに1級を目指すのであれば、取得するメリットはあまり期待できません。
ビオトープ管理士に関する求人は皆無
ビオトープ管理士は民間資格です。資格を有しているだけで就職や転職が有利になるわけではありません。
求人情報を検索しても、ビオトープ管理士を必要とする情報はまず見つかりません。生態系の保護といっても、民間企業が積極的に利用する分野ではないので需要も非常に小さいです。
ビオトープ管理士の合格者は、造園会社や土木会社、ハウスメーカー、材料メーカーなどの企業へ就職するのに有利になると一部サイトでは紹介していますが、期待しない方がよいでしょう。履歴書に書いてもおそらく話題にもなりません。
自然環境調査を行っている企業であれば就職や転職が有利になる可能性はありますが、そこで求められるのは民間資格よりも環境調査などの実務経験や大学院レベルの知識です。さらに、そういった環境調査を行う会社は非常に少数です。
環境に関する分野でキャリアアップを目指すのであれば、土木施工管理技士や技術士(環境部門)などの国家資格がおすすめです。
関連資格:土木施工管理技士とは、技術士(補)とは
技術士(環境部門)は、環境省や国土交通省が発注する環境調査関連の仕事の入札参加の必須資格になっている場合があります。
土木施工管理技士や技術士は、内容によって実務経験を問われますが、公害防止管理者であれば問われないので誰でも受験できます。
関連資格:公害防止管理者とは
合格するには
ビオトープ管理士資格試験は、「計画部門」と「施工部門」のそれぞれにおいて難易度の低い順に2級と1級に区分されています。
合格率は、ともに2級全体が約50%、1級が約32%ほどです。全ての試験で小論文があるため、しっかりとビオトープについての知識を身に付け、行動理念を学んで対策を立てなければ簡単には合格できません。
特に1級は「発展的な内容」について言及しなければならないのでしっかりとした自分の意見が必要です。
勉強方法としては、日本生態系協会が出している公式テキストがおすすめです。過去問と類似した形式で出題されるので、公式テキストで過去問を中心に学習すれば、独学でも十分に合格できます。
また、年に1回開かれている2級受験者向けのセミナーに参加するのもいいでしょう。
試験では大学受験、大学教養レベルの生物の知識が求められます。さらに環境関連の法律知識なども問われるので、範囲は広く、効率よく勉強しなければなりません。
なお、公式サイトにおいて過去3年分の試験問題と解答が公開されているので参考にしてください。
試験情報
試験日 | お申込み |
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筆記:9月、口述:12月 |
6月上旬~8月中旬 |
受験資格 |
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2級:どなたでも受験できます。 1級:以下のいずれかの該当者
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試験内容 |
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【試験会場】
※キャンパス受験制度やサテライト会場制度もあり
※1級の筆記試験合格者の再受験は5,000円
《記述》4題+小論文1題
《口述》
【2級】
《記述》小論文1題
【難易度】
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試験に関する詳しい情報はビオトープ管理士 公式サイト|『受験の手引き』試験の要綱と受験申込用紙|(公財)日本生態系協会をご覧ください。
おすすめテキスト・基本書
改訂版 ビオトープ管理士資格試験公式テキスト |
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全試験科目の要点をわかりやすく解説した公式テキストです。2級の過去問題と解答・解説を収録しています。
ビオトープ管理士試験には公式テキストを使用して勉強するのが最も手っ取り早い方法です。これ1冊で試験対策ができます。
ただし、掲載されている過去問が少ないので、公式サイトで公開されている過去問も利用しましょう。 |
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