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旧サイト名:本当に役立つ資格、全く役立たない資格

【公害防止管理者】環境問題の専門家・難易度は高い、昇給・スキルアップにつながるメリットも

汚染された空気の中でマスクをする女性

大きな工場では専任する必要がある環境問題の専門家、認定講習で取得可能

種類難易度合格率
国家資格普通20~25%
受験資格取得費用勉強時間
誰でも受験可~2万円6か月以上
活かし方全国の求人数おすすめ度
就職・転職161件
  • 合格率は年度・科目により違います。
  • 全国の求人数は、ハローワークの情報を基に2024年4月5日に集計。

公害防止管理者は、工場からの排出物を監視、抑制することで大気汚染や水質汚濁などの公害発生を防止する重要な役目を担っています。

合格率は約20~25%ですが、年度・科目によって難易度は異なります。

認定講習でも取得可能ですが、受験資格の制限があり一定の技術系資格または学歴及び実務経験を有しなければなりません。

取得しやすのは一般粉塵か水質4種だという意見が多いようです。

目次

公害防止管理者とは

工場から出る白煙

公害発生を防止する重要な役割

公害防止管理者とは、公害が発生する可能性が高い施設が設置されている「特定工場」において大気・水・振動・騒音などの検査をおこなうための国家資格です。

特定工場とは、製造業、電気供給業、ガス供給業、熱供給業に属する事業の工場です。

この特定工場に、汚水・ばい煙・騒音・振動・ダイオキシンなどが発生する施設が設置してある場合、必ず公害防止管理者を選任しなければなりません。

簡単に言うと、工場排水、排気ガス、騒音や振動、ダイオキシンが一定以上発生する工場では、法律で公害防止管理者の設置が義務付けられているということです。

公害防止管理者は、工場からの排出物を監視、抑制することで、大気汚染や水質汚濁などの公害発生を防止するという重要な役目を担っています。

煙突が立ち並ぶような化学、食品などの大規模工場に限らず、中規模以上の工場ではほぼ必須の資格になっています。

参考:公害防止管理者等 (METI/経済産業省)

公害防止管理者制度発足の経緯

公害は一度発生してしまうと広範囲にわたって人体に様々な影響をおよぼします。

被害は甚大になり、その上収束までに長い時間がかります。

公害は、ある日突然発生するわけではありません。工場から長期間にわたって排出される有害物質により汚染は広がります。

高度経済成長期、日本は製造業を中心として飛躍的な経済成長を遂げました。

しかし、同時に全国で様々な公害問題が発生し、国民の健康に多大な影響を及ぼしたのは周知の事実です。

1970年(昭和45年)に大気汚染防止法や水質防止法、水質汚濁防止法など14の法律が改正または制定されました。

それに伴って「特定工場における公害防止組織の整備に関する法律(法律第107号)」が制定され、公害防止管理者の国家資格が誕生しました。

公害防止管理者は、公害防止に関する知識を有する専門家として工場から排出される水や空気・騒音・振動・ダイオキシンなどを定期的に測定し、その結果の管理が義務付けられています。

公害防止管理者は国家資格の中でも群を抜いて種類が多い!

公害というと、一般的に水質汚染や大気汚染をイメージしますが、実は公害の種類は多様で騒音や振動もその一種です。

公害を防止するためには、それぞれの公害の種類において専門的な知識が必要です。

公害防止管理者は、現在以下の通り13種類に区分されています。国家試験も区分ごとに実施しています。

  • 水質関係1種、2種、3種、4種
  • 大気関係1種、2種、3種、4種
  • 特定粉じん関係
  • 一般粉じん関係
  • 騒音 振動関係
  • ダイオキシン類関係
  • 公害防止主任管理者

該当する工場(設備)では、各区分ごとに公害防止管理者を選任しなければなりません。

大気と水質についてはそれぞれ1~4種に分かれていますが、それは「排出量」と「排出物の種類」による違いです。

1種の資格であれば、工場(設備)の規模、排水排ガスの種類によらず対応可能で、2~4種はそれぞれ規模や有害物質の有無で制限がかかります。

例えば、4種であれば、小規模で特定の物質対応の設備の公害防止管理者にしかなれません。

また、ばい煙の発生量と排水量が一定の規模を超えている工場は「一定規模以上の特定工場」に指定され、公害防止統括者・公害防止主任管理者・公害防止管理者からなる公害防止組織を作る必要があります。

情報元:「公害防止管理者法の概要」(環境省)より一部抜粋

役に立つ資格なのか?

試験管とフラスコとビーカー

必要性は高いが役に立つ資格とはいえない

公害防止管理者は昭和46年に誕生した国家資格なので歴史もそこそこありますが、あまり聞き覚えのないどちらかというとマイナーな存在です。

とはいえ、毎年2万人以上が受験します。指定された工場では必ず公害防止管理者を選任しなければなりません。有資格者を求めている職場は全国にあります。

実際に公害防止管理者の求人をインターネットで検索すると、公害防止管理者の求人を出している企業が工場を中心にいくつか見つかります。転職や就職に役立つのは間違いないようです。

会社員が、会社の求めに応じて公害防止管理者の資格を取得すれば資格手当が給料に支給されるケースが多いので収入アップにつながります。

昇給・スキルアップが期待できるというメリットもあります。

ただ、公害防止管理者は社会的にも必要性が高いのですが期待するほど役に立つとまではいえないようです。

公害防止管理者は、一定の規模の特定工場では必ずいなければならない必置資格です。

しかし、有資格者がいつも不足している状況ではなく、比較的充足されています。

ニーズとしてはあまり高くないということです。

公害防止管理者の資格は、国家試験だけではなく講習でも取得できます。

いざとなれば工場に勤務する中堅社員に取らせれば済みます。あえて中途で有資格者を採用する必要はありません。

公害防止管理者は難しい国家資格なので持っていれば役に立ちます。

ただし、合格したからといって必ずしも公害防止管理者として会社から任命されるワケでもありません。

任命されなければ資格として活かせません。

公害防止管理者のような管理的な資格は、社内でも管理職の人が優先して任命されやすい傾向にあります。

将来性について徹底研究

持っていれば一応評価される

公害防止管理者は、特定工場において必置の資格です。

それだけではなく、環境問題が叫ばれるいま環境問題に配慮するという点でも社会的に重要な存在です。

大学新卒であれば、合格者は環境に関する高度な知識があるという証明になるので、大手メーカー・工場などに就職を考えているのであれば履歴書に書いてプラス材料としてアピールできます。

採用する側は、環境問題全般、法令、測定、排ガスや排水の処理技術等に知識を有している技術者であると判断してくれます。

新卒だけではなく、社会人であっても転職する際に公害防止管理者の資格を活かせます。

ただし、新卒者・社会人に関わらず、就職や転職の希望先の会社がどういった業種かにもよります。

製造業と言っても多種多様です。電気・ガス・熱供給の事業なら、大気関係の公害防止管理者の資格が求められるでしょう。

食品関係の事業であれば水質です。自動車関連など金属加工をするような工場なら騒音・振動も関係します。意外と多いメッキ工場であれば水質2種が活かせます。

どの種類がおすすめか?取得しやすいのか?

公害防止管理者の資格は13種類に区分されていて種類によって難易度は違います。

もちろん会社の操業形態によって必要とされる資格は変わってきますが、どれが取得しやすいか、おすすめなのか、気になるところです。

まず、大気と水質はそれぞれ1~4種に分かれていますが、単純に1種の難易度が高く、4種は低くなります。大気1種はかなり難しく化学の知識に加えて物理の知識がないと合格できません。

最も取得しやすのは、一般粉塵か水質4種だという意見が多いようです

物理系が得意な人は騒音・振動、化学系が得意な人であればダイオキシン類が取得しやすいとも言われています。

しかし、騒音振動は相当に物理が詳しくないと難しいようです。

ダイオキシン類はそもそも大気および水質の1種より上位という位置づけです。

受験生の数では、大気と水質とでは水質の方が圧倒的に多いです。

水質の方が馴染みやすいという点と大気の方が範囲も広く物理的要素が強いという点が理由のようです。

地球温暖化対策という点でも、将来的に大気の方が水質よりも重要であろうと言われています。

公害防止管理者は、大規模な工場であればやはり1種有資格者が望まれます。

大気も水質も1種を取っておけばどこへ行っても仕事はできます。その代わり試験の範囲が広く難易度も高いので合格するのは大変です。

公害防止主任管理者について

大気および水質の1種の上位クラスとして、公害防止管理者とは別に公害防止主任管理者の資格があります。

公害防止主任管理者は試験を受けて取ろうとすると正直言ってかなり厳しいですが、「大気1種または3種」と「水質1種または3種」を取得すればそのままなれます。

実際にこのパターンで取得するのが一般的です。

公害防止主任管理者は、法律上では「工場内において公害防止統括者を補佐し、公害防止管理者を指揮する者」とされているので、文面上は公害防止管理者の上位資格です。

しかし、ここで注意!

公害防止主任管理者試験だけに合格しても公害防止管理者にはなれません。公害防止管理者としての資格を有していないからです。

複数の公害防止管理者の資格を持つことで公害防止主任管理者に任命されて、はじめて上位の有資格者として現場では公害防止管理者を指揮できます。

なお、公害防止統括者は無資格でなれます。

合格するには

国家試験か、あるいは認定講習で取得可能

公害防止管理者になるには、産業環境管理協会が主催する国家試験に合格するか、あるいは認定講習を受講して修了試験に合格しなければなりません。

国家試験には受験資格は定められていないので、学歴・性別・年齢を問わずに誰でも受験可能です。

認定講習を受けるには、技術士環境計量士・保安技術管理者・薬剤師エネルギー管理士・ガス主任技術者(甲、乙)・ボイラー技士(特級、一級)・電気主任技術者(電験一種、電験二種)・毒物劇物取扱責任者などの一定の技術系資格または学歴及び実務経験を有しなければなりません。

参照:資格認定講習|国家試験・資格認定講習|公害防止管理者|一般社団法人産業環境管理協会
※各年度毎の詳細をご覧ください

認定講習を受講するには、必要書類を添付した願書を提出した上で審査を受けます。

書類審査を経て規定の講習を受講し、かつ修了試験に合格した場合、国家試験に合格した場合と同等の資格が付与されます。

資格認定講習については、資格認定講習 / 公害防止管理者等資格認定講習の実施をご覧ください。

ほとんどの人は独学で取得

国家試験の難易度はもちろん受験する区別により異なりますが、1日2時間の勉強で3か月ほどの学習で合格する人もいれば、1年以上かけて合格する人もいます。

元々の基礎学力の違いで必要な学習時間も違います。特に化学に関する知識では必要です。

合格率は約20~25%ですが年度、科目により異なります。基本的にほとんどの人は独学です。

試験では化学系の知識を問われますが、高校までのレベルでも十分対応可能です。

実務経験者であってもなくても合格率の差は3%未満であり、ほとんど差は見られません。

工場での実務経験が無いと合格が難しいということはありません。

科目別合格制度の導入で複数年かけて合格可能

受験した試験区分の一部の「科目」に合格すると、同じ試験区分を受験する場合に限り、最初に合格した年を含め3年まで、該当の科目免除が受けられます。

つまり、3年以内にすべての科目を合格すれば、資格を取得できます。

そのため、1発合格率は10%以下ですが、科目別合格制度のおかげで最終的な複数年における合格率は15%前後くらいになっています。

ただ、5%程度の差ですから、最初から複数年合格を狙うよりも1発合格狙いの方が効率が良いともいえます。

通称「電話帳」は必要か?

公害防止管理者の勉強といえば、まずはあの分厚い電話帳(新・公害防止の技術と法規)を思いつきます。

この本が合格するには本当に必要なのか重要なのか意見が分かれるところです。

この電話帳、毎年のように最新版が出ます。

けれど値段も高いのでそうそう簡単には買えません。

本当に必要なのかどうか・・・意見は分かれます。

電話帳の重要性についてですが、まず言えるのは電話帳を出版しているのは試験を実施している産業環境管理協会だということです。

つまり電話帳は公式のテキストです。

産業環境管理協会は言ってしまえば国家公務員の天下り団体です。

この電話帳をたくさん売って天下り職員の給料や退職金を稼がなければなりません。できたら毎年買ってくれた方がいいんです。

販促活動ではないでしょうけど、やはり買った人にはなんらかの恩恵があるようです。

電話帳なしで受験すると、あと1問か2問足りずに不合格になるケースが多いようです。

電話帳で勉強してはじめて合格点に達っしたという話しも少なからず聞きます。そういった購入者への「特典」は完全には否定できません。

統計や最近の法制度、動向などは最新版の電話帳から基本的に出題されます。

古いものはそれらには対応していません。最新版にしか掲載されていない問題が出る可能性も否定できません。

電話帳はなくても合格できますが、勉強する時間も十分にあって絶対に今年で合格したい、そんな人にはおすすめかもしれません。

ただし、そんなに内容に大幅な改定はないので5年前くらいのでもあまり問題はなさそうです。

無くても合格は可能だけど、あればそれなりにプラス効果は期待できる、それが電話帳です。

市販の過去問題集だけでも合格は十分に可能

公害防止管理者試験は、過去に出題された問題を何度も繰り返すという学習方法がとても有効です。

過去問と似たような問題が多く出題されます。

頻出の計算問題を理解して解けるようにして、5年分の過去問題を解答と解説ごと覚えれば十分に合格できます。

その過程で、どうしても問題集の解説でわからないことを電話帳で調べるのが定番の勉強方法ですが、前述の通り無くても何とかしてる人も多くいます。

テキスト・問題集・参考書

おすすめテキスト・基本書

公害防止管理者の受験生であれば誰でも知っている通称「電話帳」と呼ばれている公式テキストです。

分厚くて値段も高いのですが、やはり手元に置いておきたいテキストです。

本当にこのテキストが必要なのかどうかは賛否が分かれるところですが、多くの受験生は購入しています。

受験勉強中はほとんど使わなかったとしても、公害防止管理者に選任されてからよく使っていて非常に重宝しているという人も多いようです。

※購入する際は、テキストの種類と対応年度を必ずご確認ください。

種類評価
テキスト・参考書

通称「電話帳」と呼ばれている公式テキストの大気編です。

※購入する際は、テキストの種類と対応年度を必ずご確認ください。他に、騒音・振動編、ダイオキシン類編もあります。

電話帳と呼ばれるだけあって、すごい分厚さで内容はすごい細かさです。

Amazonで扱っていない場合は、公害防止管理者等 国家試験対策 書籍|一般社団法人 産業環境管理協会(JEMAI CLUB)よりお申し込みください。

種類評価
テキスト・参考書

おすすめ問題集

過去6年分の過去問題集です。ジャンル別に分かれていて、問題の直後に解答と解説があるので、ちょっとした時間を見つけて勉強をするのに適しています。解説も分かりやすく丁寧です。

基礎知識がある人が問題を解いて演習をするにはおすすめの一冊です。この問題集だけを何度も繰り返して学習する人も多くいます。

他にも産業環境管理協会から公式過去問題集が出版され出ていますが、オーム社の方が評判は良いようです。特に合格者の多くはオーム社を利用しています。

※購入する際は、テキストの種類と対応年度を必ずご確認ください。
※本のサイズが大きめの「大判」も販売されています。

種類評価
過去問題集

同じくオーム社から出版されている大気関係の6年分の過去問題集です。

大気関係第1種に合格して、翌年はこの1冊だけで勉強して水質関係第1種に合格するのが理想のパターンです。

※購入する際は、テキストの種類と対応年度を必ずご確認ください。
※本のサイズが大きめの「大判」も販売されています。

種類評価
過去問題集

試験情報

日程・出題内容・合格基準・その他

試験日

10月第1日曜

お申し込み

7月上旬~下旬

受験資格

どなたでも受験できます。

試験会場

札幌市、仙台市、東京都、名古屋市、大阪市、広島市、高松市、福岡市、那覇市

受験料

試験区分によって8,200円、あるいは8,700円
講習費用は主催者ホームページを参照ください。

試験内容

【全試験区分共通】

  • 公害総論

【大気及び粉じん関係の試験区分】

  • 大気概論
  • 大気特論
  • ばいじん・粉じん特論
  • 粉じんの測定に関すること
  • 大規模大気特論
  • ばいじん・一般粉じん特論

【水質関係の試験区分】

  • 水質概論
  • 汚水処理特論
  • 水質有害物質特論
  • 大規模水質特論

【騒音・振動関係】

  • 騒音・振動概論
  • 騒音・振動特論

【ダイオキシン類関係】

  • ダイオキシン類概論
  • ダイオキシン類特論

【公害防止主任管理者】

  • 大気・水質概論
  • 大気関係技術特論
  • 水質関係技術特論

【試験の方法】科目ごとの五者択一式マークシート
【試験時間】試験の科目によって異なります

合格基準

【合否判定基準】

  1. 科目別合格(区分不合格):科目の合格者は、当該試験科目において合格基準を満たした者
  2. 試験区分合格(資格取得):試験区分の合格者は、当該試験区分に必要な試験科目のすべてに合格した者

試験区分の合格者は、試験区分に必要な試験科目のすべてに合格した者。科目別の合格基準については、国家試験終了後に開催する予定の公害防止管理者等国家試験試験員委員会において決定。

合格発表

12月中旬ごろ

主催者情報

試験に関する詳しい情報は公害防止管理者 国家試験実施要領をご覧ください。

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