放課後児童支援員とは?児童福祉法で規定する国家資格です
種類 | 難易度 | 合格率 |
国家資格 | 易しい | 99% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
講習受講 | 原則無料 | 4日間 |
活かし方 | 全国求人数 | おすすめ度 |
就職・転職 | 1,438件 |
- 講習を受講するためには資格や実務経験が必要です。
- 放課後児童支援員は児童福祉法第6条を根拠とした国家資格です。
- 全国求人数は、ハローワークの求人情報を基に2024年4月19日に集計しました。
放課後児童支援員とは、放課後児童クラブなどの学童保育施設で保護者が日中不在となる小学生に遊びと生活を支援し、子ども達の健全な育成のお手伝いをする専門資格です。
少子高齢化が進む中、今後も高い需要が予想されています。
難易度は低く受講資格を満たせば講習会出席で合格率ほぼ100%で取得できます。
受講資格として、保育士や社会福祉士などの国家資格、あるいは実務経験が求められます(後述)。
資格の有効期限は、研修を受講した年度の翌年度の3月31日です。
放課後児童支援員とは
子ども達の遊びと生活を支援
放課後児童支援員とは、放課後児童クラブなどの学童保育施設で子ども達の遊びと生活を支援し健全育成を目指すための専門資格です。
放課後児童クラブとは、子ども達が学校での授業が終わった後や土曜日・夏休みなどの学校休業日に安心して過ごすために提供される「遊び」や「生活の場」です。
放課後児童支援員は、子ども一人ひとりの発達の特徴などを理解して、安全に配慮し、時には勉強を教え、おやつを食べ、話をしたり遊んだりして放課後家に帰るまでの時間を一緒に過ごします。
放課後児童クラブを利用できるのは、仕事などで保護者が日中家にいない家庭で、保護者が病気や障がいを持っている場合や介護や看護、就学、就職活動で家にいない場合なども含まれます。
対象となる児童は、小学校1年生から6年生までの子ども達です(低学年のみとなっている場合も多い)。
2015年度にスタートした国家資格
日本では戦後間もない1940年頃から都市化や核家族化が進み、共働き家庭や一人親家庭の子ども達が学校の授業後に安心して過ごせる場所として放課後児童クラブが整備され始めました。
意外と歴史は古いんです。
当初は放課後児童クラブで働くための専門資格は存在せず、保育士や幼稚園教諭が代わって子ども達の面倒を見ていました。
2015年度より新しく放課後児童支援員の資格が国家資格として誕生。2015年4月以降、学童保育施設には1名以上の放課後児童支援員を配置することが義務付けられています。
放課後児童クラブの名称は様々で地域によって違う
放課後児童クラブとは、一般的には児童福祉法に規定される放課後児童健全育成事業をおこなう場所のことを指します。
地域によって様々な呼び方があり、「学童保育」「学童クラブ」「放課後クラブ」「学童保育所」などとも呼ばれています。
放課後児童クラブは各地に点在する児童館などに併設されている場合が多く、小学校の敷地内に部屋が確保されているケースもあります。
放課後児童クラブは、大きく分けると自治体が運営するクラブと民間団体が運営するクラブがあります。地方へ行くと自治体が運営する割合が高くなります。
利用料金は自治体や施設によって差はありますが月額で4,000~10,000円程度です。
概ね全体の約47%が4,000円以上8,000円未満となっています。無料の自治体もあります。
参照:放課後児童クラブ関係資料|厚生労働省(pdf)
※20ページを参照。
別途、おやつ代、延長料金、登録時の保険料、勉強を見るとプラス料金が加算される施設が多いようです。
役に立つ資格なのか?
資格は現場で経験を積んでからでも遅くない
学童保育施設の施設数・登録児童数は、平成10年の調査以来ずっと増加の一途をたどっています。
参考:令和4年(2022 年) 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況
今後も放課後児童支援員の需要は高まり続けると予想されるので、注目度の高い資格のひとつだと言えます。
パートやアルバイトで就業するのであれば資格はなくても大丈夫です。
どこの事業所も人手不足なので資格や経験がなくても指導補助員という形で採用しています(全体の40%は無資格の補助員)。
資格は、仕事が決まって実務経験を積んでからでも遅くありません。
しかし、要件を満たすのであれば就職は有利になるので取得して損はないです。
放課後児童支援員は児童福祉法第6条を根拠とした国家資格です。そのため履歴書に書いてアピールできます。
将来性について徹底研究
全体の65%は非常勤のパート、昇給は期待できず
厚生労働省の調査によると、放課後児童クラブなどで働いている人のうち65.9%はパート、34.1%は常勤という結果が出ています。
参考:令和4年(2022 年) 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況(pdf)15ページ
フルタイムの常勤職員としての求人は、保育士、社会福祉士、小学校教諭免許などが必須となっている場合がほとんどです。
自治体が運営する事業所の常勤職員は公務員です。その場合は一般職や保育士が担当します。
無資格であればほぼパートでの採用です。勤務時間は2時以降から4時間程度です。
一度勤務すると平均勤続年数が長いのも特徴です。女性にとって身体的な負担が少ないからでしょう。
賃金・時給などは1,000円前後(地域の最低賃金+100円くらい)が多いようです。
参考:放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)に係る実態調査の中間集計の状況について|全国保育団体連絡会(pdf)
※クリックするとpdfファイルがダウンロードされます。
毎年の昇給などは期待できず、資格を持っていても無資格者とあまり違いはありません。仮に教員免許を持っていても資格手当は付きません。
理想は高いが・・・施設によってヒドい扱いも
放課後児童支援員は、学童クラブによって仕事の中身が全然違います。
やりがいを感じられる施設もあれば、子ども達にヒドい扱いをする施設もあります。
子ども達にビデオやテレビをずっと見せてただ時間を過ごさせるだけ、とにかく部屋に子ども達を教室に閉じ込めがんじがらめ、喧嘩やイジメがあっても見て見ぬふり・・・
そんな施設もあれば、子ども達が主体となって行事の計画を立ててイキイキとした日々を過ごしている施設もあります。
少しでも子どもの成長の手助けができればと思って働きはじめてもガッカリすることもしばしば・・・
子ども達の対象年齢も違えば、保育の環境や時間も異なります。
子どもの育成支援を常に考え、子どもと全力で向き合う気持ちを持ち合わせていることが求められているのかもしれません。
放課後児童支援員と放課後児童指導員の違い
以前は、放課後児童クラブなどの学童保育施設で働くために特に必要となる資格がなかったため、そこで働く全ての人が「学童指導員」と呼ばれていました。
しかし、2015年に放課後児童支援員の資格が創設されるとともに、学童保育施設への一定数以上の放課後指導支援員の配置が義務付けられたため、有資格者を「放課後児童支援員」、無資格者を「放課後児童指導員」あるいは「学童指導員」と呼び分けるようになりました。
簡単に言うと
- 放課後児童支援員:資格が必要
- 放課後学童指導員:資格が不要
となります。
参考:放課後児童支援員の役割及び職務と補助員との関係|厚生労働省(pdf)
資格や実務経験などがなくても放課後児童指導員として働けます。呼び名が違うだけで仕事内容に差はありません。
実は、給与・時給などもほとんど変わりません。
しかし、放課後児童支援員は国家資格である以上、持っていた方が就職は有利です。
放課後児童支援員と児童指導員の違い
主に小学生などの児童を相手とした福祉の仕事には、似たような名前の職種として児童指導員があります。
児童指導員の就業先は、児童発達支援や放課後等デイサービス、児童養護施設などの児童福祉施設です。虐待や障がいなど、様々な事情から児童福祉施設に通所・入所する児童の健全な育成を目的としています。
放課後児童支援資格は学童保育施設が主な働き場所なので、必要な要件・役割は似ていますが働く場所が違います。
放課後児童支援員の講習を受講する要件と児童指導員の任用資格は若干の違いはありますがほぼ同じと考えてよいです。
放課後児童支援員の資格があれば、児童指導員としての要件もほぼ満たします。
放課後児童支援員になるには
受講するには資格か実務経験が必要
放課後児童支援員になるには、下記の「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準」で定められている条件のいずれかを満たし、かつ各自治体が行う研修を修了しなければなりません。
保有資格や学歴によって実務経験の要否が異なります。無資格で全く実務経験が無い人には受講資格はありません。
《実務経験が不要な人》
- 保育士、社会福祉士の資格所持者
- 幼稚園・小学校・中学校・高校のいずれかの教員免許所持者
- 大学(短大を除く)や大学院で社会福祉学・心理学・教育学・社会学・芸術学・体育学のいずれかの専門課程を修了している
《実務経験が求められる人》
- 高卒以上で、児童福祉事業での実務経験が2年以上
- 高卒以上で、放課後児童健全育成事業に類似する事業での実務経験が2年以上(※2,000時間以上の勤務が目安)
- 学歴を問わず、放課後児童クラブでの実務経験が5年以上(中卒等含む)
参照:放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準 第10条 第3項
上記の受験資格に該当する人は、各都道府県が開催する研修を受講します。
保育士や社会福祉士などの資格保有者は研修の一部除外があります。
研修期間は都道府県ごとに異なるようですが、カリキュラムは土日を2回、合計4日間で16コマ(6分野16科目24時間)を受講する形が多いようです。
1日6時間の座学ですから結構ハードです。
主に学童保育の運営方針や育成支援、心構え、子どもの発達に関する基礎知識など幅広く学びます。
研修受講料は原則として無料ですが、有料の自治体もあります。
参考:令和5年度東京都放課後児童支援員認定資格研修について 東京都福祉保健局
もちろん居眠りなどは厳禁です。難易度は低く、講習+レポート提出で取得できます。ほぼ100%の合格率です。
パートやアルバイトの実務経験も可、違う事業所での合算も可
パートでもアルバイトでも実務経験は有効です。
2年以上の実務経験(合計で2000時間)があれば受講資格があります。
受講を申込む際に、勤務証明のような書類(受講資格確認書類)を添付して提出します。
また、転職や異動などで複数の事業所で働いていた場合、実務経験を合算することも可能です。
この場合、以前働いていた事業所から実務経験証明書を発行してもらう必要があります。転職を考えているなら退職する時に実務経験証明書を発行してもらいましょう。
修了の認定と修了証の交付・有効期限
認定資格研修の全科目を履修し、放課後児童支援員としての必要な知識及び技能を習得したと認められると、都道府県知事が認定を行い、全国共通の「放課後児童支援員認定資格研修修了証」(賞状形式と携帯用形式の2種)が交付されます。
受講中に他の都道府県に引っ越した場合や、病気等のやむを得ない理由により一部を欠席した場合には「放課後児童支援員認定資格研修 一部科目修了証」が発行されます。
有効期限は、研修を受講した年度の翌年度の3月31日です。
テキスト・問題集・参考書
おすすめ参考書
研修科目ごとにポイント解説を加えわかりやすく編集してあります。
認定研修ガイドラインに基づき、最新の学童保育実践や教育・発達研究を取り入れてまとめた基本テキストです。
最新の法令・通知を収載。受講者だけでなく、研修講師、子育て支援員研修者にも必携の一冊です。
※なお、研修会場によってはこのテキストを会場で販売しています。
種類 | 評価 |
研修用教材 |
認定資格研修情報
開催日
各都道府県によります。
お申し込み
各都道府県によります。
受講資格
受講資格があり、資格や実務経験が必要です。
試験会場
全国各地
受講料
受講料:原則無料、テキストは有料です。
講習内容
《研修の項目・科目》
【放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の理解】
- 放課後児童健全育成事業の目的および制度内容
- 放課後児童健全育成事業の一般原則と権利擁護
- 子ども家庭福祉施策と放課後児童クラブ
【子どもを理解するための基礎知識】
- 子どもの発達理解
- 児童期(6歳~12歳)の生活と発達
- 障害のある子どもの理解
- 特に配慮を必要とする子どもの理解
【放課後児童クラブにおける子どもの育成支援】
- 放課後児童クラブに通う子どもの育成支援
- 子どもの遊びの理解と支援
- 障害のある子どもの育成支援
【放課後児童クラブにおける保護者・学校・地域との連携・協力】
- 保護者との連携・協力と相談支援
- 学校・地域との連携
【放課後児童クラブにおける安全・安心への対応】
- 子どもの生活面における対応
- 安全対策・緊急時対応
【放課後児童支援員として求められる役割・機能】
- 放課後児童支援員の仕事内容
- 放課後児童クラブの運営管理と運営主体の法令の遵守
※保育士・社会福祉士・教員免許所有者は研修科目の一部免除あり
※1回の研修日数は4~8日程度、原則として2~3ヵ月以内で実施