労働衛生コンサルタントとは?受験資格や難易度を解説
種類 | 難易度 | 合格率 |
国家資格 | 普通 | 30% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
学歴・実務経験等 | ~4万円 | 6か月程度 |
活かし方 | 全国の求人数 | おすすめ度 |
スキルアップ | 16件 |
- 合格率は最終の数字です。
- 全国の求人数は、ハローワークの求人情報を基に2024年4月21日に集計。
労働衛生コンサルタントとは、事業所の衛生状況について診断およびそれに基づく指導を行う専門家です。
衛生上の問題があると判断したら事業主に対して予防策や対策を提案します。
他の国家資格と合わせて持てば転職やスキルアップなどに役立ちます。
例えば、社会保険労務士の資格があれば労働問題に関するスペシャリストとしてWライセンスを活かせます。
可能であればまずは難易度の低い衛生管理者から取得するのがおすすめです。
労働衛生コンサルタントとは
労働者の健康に関するアドバイザー
労働衛生コンサルタントとは、労働者の衛生水準の向上を図るために事業所の衛生状況についての診断およびそれに基づく指導を行う専門家です。
労働衛生コンサルタントは、労働者の健康を守るために労働環境における健康に関するリスクを評価し、事業主に対して予防策や対策を提案します。
つまり、厚生労働大臣が認める職場の健康に関するスペシャリストです。
労働衛生コンサルタントと名乗って活動するには、国家試験に合格後に安全衛生技術試験協会へ登録の申請を行い、厚生労働省に備える労働衛生コンサルタント名簿に登録する必要があります。
手元に登録証が届いた時点で、労働衛生コンサルタントと名乗り活動することができます。
所轄省庁:労働安全コンサルタント・労働衛生コンサルタント|厚生労働省
労働安全コンサルタントとの違いは?
労働衛生コンサルタントととよく似た国家資格に労働安全コンサルタントがありますが、どう違うのでしょうか?
関連資格:労働安全コンサルタントとは
労働衛生コンサルタントと労働安全コンサルタントは、ともに労働環境の改善に関わる専門家ですが、それぞれ異なる業務を行います。
労働衛生コンサルタントは、労働者の健康を守るために事業所の衛生状態を調査し、必要に応じて指導・教育を行います。労働者の衛生面・健康面での問題の発生を未然に防ぐ役割を担います。
一方、労働安全コンサルタントは事業所における労働者の安全の確保が一番の目的です。問題があれば指導・教育を行い、労働災害を未然に防ぐ役割を担います。
要約すると下記の通りです。
- 労働衛生コンサルタント:労働者の健康リスクと職業病の予防
- 労働安全コンサルタント:事業所の安全確保と事故予防
労働衛生コンサルタントと労働安全コンサルタントは異なる資格ですが、現実の業務では両方の側面が重なる場合も多いです。
そのため、労働衛生と労働安全の両方の専門知識を持つコンサルタントもいます。
なお、労働衛生コンサルタント・労働安全コンサルタントともに事業主には選任の法的義務はありません。利用は任意です。
衛生管理者との違いは?
労働衛生コンサルタントとよく似た国家資格に衛生管理者があります。
関連資格:衛生管理者とは
どちらも労働環境の改善・整備を担う国家資格という点では目的は同じですが、労働衛生コンサルタントとは衛生管理者の上位資格という位置付けです。
労働衛生コンサルタントは受験資格に大きな制限があり、内容は専門的で難関な国家資格です。簡単には合格できません。
一方、衛生管理者も受験資格があって実務経験が求められますが、労働衛生コンサルタントほどではありません。合格率は比較的高く難関というほどでもはありません。
最も大きな違いは、常時50人以上の労働者が働く事業場では、必ず1人以上の衛生管理者を選任するよう法律(労働安全衛生法第12条)で定められている点です。
事業場の労働者の人数に応じて選任すべき衛生管理者の人数も増えます。
労働衛生コンサルタントは事業主には選任の法的義務はありません。利用は任意という違いがあります。
衛生管理者は、業種に関係なく選任しなければならないので企業の需要もあります。
有資格者の求人も多く、持っていれば就職や転職は有利になるので人気の国家資格です。
役に立つ資格なのか?
労働衛生コンサルタントは、経験の基づく専門的な国家資格ですから、合格すればもちろん社内でのスキルアップ、さらには転職にも活かせます。
どの業種でも労働衛生コンサルタントは必要とされますが、その中でも特に需要があるのは健康に影響が生じやすい業務のある製造業などです。
専門的な知識を活かせる職場に勤務しているのであれば、資格手当や給与アップなどが期待できます。
また、労働衛生コンサルタントの資格を取得して独立開業する手段もあります。
その際に持っていると役立つのが社会保険労務士の国家資格です。
企業との顧問契約を目指すのであればめざすのであれば持っていると役に立ちます。
実際に、労働安全衛生コンサルタント兼社会保険労務士事務所として看板を掲げる人も少なくありません。
難関な国家資格ですが、取得するメリットは十分です。
労働衛生コンサルタントになるには
試験の区分は保健衛生・労働衛生工学の2種類です。
それぞれにおいて筆記及び口述の試験が実施されます。
合格後、実際の業務では試験区分による制限はありません。
やはり、合格するポイントは口述試験です。総合的な判断力等が求められる傾向があり難易度は高いです。
口述試験の合格率は約30%です。
筆記試験の合格率が50~60%ですから、ただでさえ難易度の高い筆記試験の合格者の中から口述試験で40%以上を振り落とすことになります。
さらに申し上げますと、受験者は理工系の大学出身者や難関な医療系国家資格の有資格者に限定されています。
労働衛生コンサルタントには受験資格の制限があり、誰でも受験できるわけではないので注意してください(後述)。
元々受験生はレベルの高い人ばかりです。そんな中での最終合格率30%ですから、それなりに覚悟を決めて勉強しないと合格できません。
試験情報
日程・出題内容・合格基準・その他
試験日
【一次試験】
- 10月中旬頃
【二次試験】
- 大阪:1月中旬頃
- 東京:2月上旬頃
お申し込み
- 一次試験(筆記試験):7月上旬~8月上旬頃
- 二次試験(口述試験):11月上旬~11月中旬頃
受験資格
- 大学(短期大学を除く)もしくは専門学校において理科系統の正規の課程を修めて卒業した者で、その後5年以上衛生の実務に従事した経験を有する者。
- 短期大学または高等専門学校において理科系統の正規の課程を修めて卒業した者で、その後7年以上衛生の実務に従事した経験を有する者。
- 学校教育法による高等学校または中等教育学校において理科系統の正規の学科を修めて卒業した者で、その後10年以上衛生の実務に従事した経験を有する者。
- 医師国家試験に合格した者、医師免許を受けた者とみなされた者および医師免許を受けることができる者。
- 歯科医師国家試験に合格した者、歯科医師免許を受けた者とみなされた者および歯科医師免許を受けることができる者。
- 薬剤師
- 保健師として10年以上その業務に従事した者。
- 技術士試験合格者
- 1級建築士試験合格者
- 労働安全衛生法第12条第1項の規定による衛生管理者のうち、衛生工学衛生管理者免許を受けた者で、その後3年以上同法第10条第1項各号の業務のうち衛生に係る技術的事項で衛生工学に関するものの管理の業務に従事した経験を有する者。
- 労働安全衛生法第12条第1項の規定による衛生管理者として10年以上その職務に従事した者。
- 厚生労働大臣の登録を受けた者が行う衛生に関する講習を修了し、かつ、15年以上衛生の実務に従事した経験を有する者。
- 高等学校高等科、大学予科または高等師範学校において理科系統の正規の課程を修めて卒業した者で、その後7年以上衛生の実務に従事した経験を有する者。
- 独立行政法人大学評価・学位授与機構により学士の学位を授与された者(理科系統の正規の課程を修めた者に限る)またはこれと同等以上の学力を有すると認められる者で、その後5年以上衛生の実務に従事した経験を有する者。
- 労働災害防止団体法第12条第1項の衛生管理士(以下「衛生管理士」)または衛生管理士であった者。
- 労働安全衛生法第93条第1項の労働衛生専門官(以下「労働衛生専門官」)または労働衛生専門官であった者で、8年以上衛生の実務に従事した経験を有する者。
※その他の受験資格・科目の免除については受験資格(労働衛生コンサルタント)をご覧ください。
試験会場
- 一次試験:恵庭市、岩沼市、東京、東海市、加古川市、福山市、久留米市
- 二次試験:東京、大阪
受験料
24,700円
※2024年4月現在
試験内容
【筆記試験】
- 労働衛生一般(択一式):10:00~12:00
- 労働衛生関係法令(択一式):13:00~14:00
- 健康管理、労働衛生工学から1科目を選択(記述式):14:30~16:30
【口述試験】
- 上記筆記試験の範囲についての口述試験
※保有する国家資格、免除講習の受講者によっては試験科目の一部が免除となります。
合格基準
- 筆記試験:総点数のおおむね60%以上、ただし、各科目ごとで満点の40%未満のものがある場合は不合格。
- 口述試験:4段階評価の上位2ランクで合格、なお口述試験の合格をもって最終合格者となります。
主催者情報
試験に関する詳しい情報は主催者ホームページをご覧ください。