衛生管理者とは?需要があり就職や転職に活かせる国家資格
種類 | 難易度 | 合格率 |
国家資格 | 易しい | 50~60% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
実務経験必要 | 2~5万円 | 1か月以上 |
活かし方 | 全国の求人数 | おすすめ度 |
評価アップ | 1,651件 |
- 全国の求人数は、ハローワークの情報を基に2024年7月14日に集計。
衛生管理者は労働者を代表して会社側に労働環境の整備を要望します。
合格すれば就職や転職で活かせるので役に立つ国家資格です。求人も全国で見つかります。
社内での昇進・昇格にもつながるメリットもあります。
実務経験が必要なので学生が就活に備えて取得する資格ではありません。
衛生管理者とは
労働環境の整備と健康障害の防止が目的
衛生管理者は、職場を回って食堂が狭いとかトイレが衛生的ではないといった問題点を見つけ、労働者を代表して会社側に改善点を伝え、労働環境の整備を提案する役割を担っています。
労働環境とは、オフィス環境や労働者の労働条件などです。
職場の温度・湿度・照明・振動・粉塵や衛生面などの物理的な問題から、労働時間や労働の内容も含みます。
例えば、職場の作業環境測定、受動喫煙対策、過重労働による健康障害防止、社内の健康診断の予定や実施、職場の有害物質の濃度計測などを行います。
衛生管理者は、必要に応じて会社側に労働環境の改善と健康障害の防止を働きかけます。
50人以上の従業員がいる事務所では、労働環境の改善と労働者の健康障害を防止するため、最低1人以上の衛生管理者を常時配置することが労働安全衛生法という法律により義務づけられています。
健康障害とは、業務上疾病、職業性疾患などです。仕事の内容により発生する疾病や負傷で腰痛、手足の障害などです。
衛生管理者は、職場の環境を改善して労働者が快適に過ごせるように職場の安全と衛生を取り締まる「監視役」といえます。
職場の環境を保っていくには必要不可欠な存在です。
衛生管理者免許は3種類、資格を有する者の中から職場で選任
衛生管理者として選任されるための免許(資格)が衛生管理者免許であり、次の3種類があります。
- 第1種衛生管理者
- 第2種衛生管理者
- 衛生工学衛生管理者
第1種衛生管理者は、すべての業種の事業場において衛生管理者になることができます。
第2種衛生管理者は、有害業務と関連の少ない情報通信業、金融・保険業、卸売・小売業など一定の業種の事業場においてのみ、衛生管理者になることができます。
衛生工学衛生管理者は、法律で定められた有害業務のうち一定の業務を行う有害業務事業場では選任しなければなりません。
衛生工学衛生管理者は、大学や高等専門学校を卒業しているなど一定の学歴要件があります。
衛生管理者とは、事業場の衛生全般の管理をする者です。
一定規模以上の事業場については、衛生管理者免許、医師、労働衛生コンサルタント等の免許や資格を有する者からの選任が義務付けられています。
なお、医師、歯科医師、保健師、薬剤師は無試験で衛生管理者になれます。
役に立つ資格なのか?
昇給・昇進につながる可能性も
衛生管理者は、法令で設置が義務付けられている事業所では必要なので、会社命令で職場の社員が取得するケースが多いようです。
ある程度の規模以上の会社では必要とされる数少ない必置資格の1つです。
現在会社員で、現在勤めている会社でこの衛生管理者を取得するようにすすめられたら是非取得してしてください。
資格手当てを支給している会社もあるので、それなりに待遇がよくなる可能性はあります。
衛生管理者の免許を持っているということは会社から信頼されている証です。
社内での昇進・昇格にもつながります。
将来性について徹底研究
履歴書に書けば転職の際に評価される
衛生管理者の資格は、受験するために実務経験を要するなど少しハードルが高いのが特徴です。
試験を受けるには会社で衛生管理に関する業務を最低でも1年以上は担当している必要があるので、大学生や高校生が取得して転職・就職のために取得するものでもありません。
会社では、ある程度信頼がある社員が衛生管理者に専任されます。
衛生管理者の資格を持っているということは信頼されている社員としての裏付けになります。
そのため、転職の際は、履歴書に書けば自己PRの材料になります。
採用担当者に良い印象を与えるはずです。転職時に役立つ資格なので取って損はありません。
一旦合格して取得してしまえば退職しても有効です。
次の就職先でも活かせるというメリットがあります。免許の更新制度もないので生涯有効です。
数は少ないですが、衛生管理者の求人も全国で見つかります。
会社の業務命令で取得する場合がほとんど
「鈴木くん、衛生管理者の資格を2か月以内に取りなさい!」
ある日突然上司に呼ばれてこんな業務命令を下されて慌てた経験のある人もいるのではないでしょうか。
国家資格ですからね、試験っていうだけで身構えてしまいます。
そもそも衛生管理者ってなに???って感じではないでしょうか。
従業員が50人以上いる会社では、衛生管理者が必要です。
一般的な企業では、社員の中からすぐには退職しそうもない社員を複数人選んで試験を受けさせる場合がほとんです。
免許試験受験申請書に「事業者証明書」を添付する必要があり、「労働衛生の実務に従事した期間」を細かく日付を入れて記入しなければなりません。
そういった面倒な書類は会社が用意してくれるはずです。
衛生管理者の資格は、スキルアップのために自分から手を上げて取得するものでも就職・転職のために取得するものでもありません。
会社側で候補者を選任して取得させるケースがほとんどです。
第1種と第2種、どちらを受験すべきか?
衛生管理者試験の受験資格は第1種も第2種も同じです。違いはありません。結論から申し上げますと、受験するのであれば第1種の方がおすすめです。
試験内容については第2種は基本的な内容で、第1種は第2種の内容+有害業務となっています。
第2種免許では有害業務のある事業所では衛生管理者になれません。
第1種は全ての業種の事業所で衛生管理者になれます。
第1種と第2種では第1種の方が格上です。
学習時間も第2種と第1種は大差ありません。範囲が多少広くなりますが、難易度にはそんなに違いはありません。
勉強するのであれば初めから全業種対応できる第1種のほうが良いでしょう。
毎週1回以上職場を巡視して必要な措置を講じる
衛生管理者として選任されたら、毎週1回以上は職場の巡視を行い、必要な措置を講じなければなりまさえん。
労働安全衛生規則第11条(衛生管理者の定期巡視及び権限の付与)
- 衛生管理者は、少なくとも毎週1回作業場等を巡視し、設備、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
- 事業者は、衛生管理者に対し、衛生に関する措置をなし得る権限を与えなければならない。
衛生管理者は、定期的に職場を見て回って安全上、衛生上問題がないかチェックする義務があります。
また、事業者に対しては「衛生管理者が、衛生に関する措置を行うための権限を与えなければならない」と定めています。
つまり、衛生管理者が法令に基づく措置を行おうとしたときには、事業者は全面的に支援をしなければなりません。
衛生管理者には、形だけではなく労働者の環境を守るための法律上も権限が与えられています。
衛生管理者になるには
衛生管理者試験は出題範囲が非常に広いため、本格的に学習しようとすると大変です。
とはいえ、国が事業者に労働安全を遵守させるために設置を義務付けた制度です。
衛生管理者は国家資格ですが落とす目的というよりは合格させるための試験という一面もあります。
実際の本試験では、過去問と同じような問題が繰り返し出題されています。
試験に合格するには過去問を繰り返し解くのが一番効率的な学習方法です。
もちろん過去問とは傾向が異なる問題も出題されますが、6割の正答率で合格ですから、あまり手を広げず過去問と同じ問題が出たら確実に解答できるように準備しておく必要があります。
多くの民間団体や公的機関が講習会を開催しています。試験直前対策講習もあります。金額もさまざまです。
試験に出そうな箇所を教えてくれるので合格率もかなりアップするようです。参加する人も多いようです。
普通に学習すれば一発で合格する試験です。10日間程度の期間で合格する人もいますが1か月程度は勉強時間をみておきましょう。
過去問だけでも合格は可能ですが、理解する意味ではテキストや参考書はあった方がよいでしょう。
まぁ、万が一不合格でも年に何回も受験できますから大丈夫です。
ちなみに合格率は50%程度です。
おすすめの通信講座
アガルートアカデミーは、オンラインによる講義の配信を中心とした資格予備校です。
短時間で効率的に衛生管理者の資格を目指す講座で、効率的に合格に必要な知識の習得を目指しています。
多くの企業で衛生管理者試験対策の講師として活躍している現役講師による講義ですから、初めて学習を開始される人でも短期間で合格に必要な知識を身に着けることができます。
※こちらから受講申し込みができます。
テキスト・問題集・参考書
おすすめテキスト・基本書
試験そのものは過去問で合格できますが、過去問だけでは100%の理解は難しいと思います。根拠を理解するためにテキストや参考書は必要です。
書店に行くと、衛生管理者の参考書は意外と多く並んでいます。実際に手に取って読んでみて、自分が理解しやすいものを選べば大丈夫です。
要点ごとにポイントを押さえて分かりやすくまとめられているので、暗記項目が多い衛生管理者の試験対策にはおすすめです。使っている受験生も多いようです。
※1種を受験する際は1種用の参考書を選んでください。
種類 | 評価 |
過去問題集 |
おすすめ問題集
学習の中心は過去問題集になります。こちらは多くの受験生が使っている問題集です。
問題を解きながら、分からないときは参考書に戻って確認します。この問題集だけを学習して10日間ほど合格する人もいますが、合格ラインギリギリかもしれません。
とりあえず短期間で合格したい人にはおすすめです。解答は本体から取外せるので読みやすいのも特徴です。
本試験では、過去問題にないような出題もありますが、基本的には過去の出題によく似た問題が出ます。
※1種を受験する際は1種用の問題集を選んでください。
種類 | 評価 |
過去問題集 |
試験情報
日程・出題内容・合格基準・その他
試験日
毎月1~3回程度
※各地区センターによって異なります。
お申し込み
受験申請書を最寄りのセンターへ試験の2か月~2日前までに提出します。
受験資格
①大学・高専を卒業後1年以上の労働衛生の実務経験を有する
②高校を卒業後3年以上の労働衛生の実務経験を有する
③中学校を卒業後10年以上の労働衛生の実務経験を有する
※上記は一例です。詳しくは主催者サイトをご覧ください。
試験会場
全国7ヵ所の安全衛生技術センター
北海道、宮城県、千葉県、愛知県、兵庫県、広島県、福岡県
受験料
6,800円
試験内容
【第2種衛生管理者】
- 労働衛生(有害業務に係るものを除く)
- 関係法令(有害業務に係るものを除く)
- 労働生理
【第1種衛生管理者】
- 労働衛生
- 関係法令
- 労働生理
出題形式は5者択一問題のマークシート方式です。
第2種、第1種ともに試験時間は3時間です。
合格基準
全体で60%以上の得点で、かつ各科目毎に40%以上の得点。
主催者情報
試験に関する詳しい情報は受験資格(第一種衛生管理者・第二種衛生管理者)をご覧ください。