基本情報技術者試験は意味ない?それとも就職が有利に?
種類 | 難易度 | 合格率 |
国家資格 | やや易しい | 25% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
誰でも受験可 | 2~5万円 | 3か月 |
活かし方 | 全国の求人数 | おすすめ度 |
就職・転職 | 733件 |
- 必要な学習期間は、実務経験の有無で違います。
- 全国の求人数は、ハローワークの情報を基に2024年8月28日に集計。
IT業界でスキルアップするには取得したい国家資格です。
学生が取得すれば就職・転職で評価されるメリットがあります。
ソフトウェア開発会社においては資格手当てを支給している会社も多く、社内での個人の評価も上がります。
基本情報技術者試験は技術者としてのスキルを証明する試験です。
いわゆる名称独占資格なので、合格しても特別にできる仕事はありません。
基本情報技術者試験とは
基本情報技術者試験とは、経済産業大臣が行う国家試験「情報処理技術者試験」の区分の1つで毎年14万人近くが受験する人気の国家資格です。
試験は毎年春期・秋期の2回が実施されます。
就職を控えた学生から、既にIT業界で活躍している社会人まで幅広く受験するのが特徴です。
基本情報技術者とは、ITを活用したサービス、製品、システム及びソフトウェアを作る人材に必要な「基本的知識・技能をもち、実践的な活用能力を身に付けた者」のことをいいます。
基本情報技術者は4段階レベルのうちのレベル2に該当
情報処理技術者試験は全部で13の区分に分かれていますが、それぞれの技術レベルに応じてレベル1~レベル4に分かれています。
- レベル1:ITパスポート
- レベル2:基本情報技術者試験(合格率25% 合格者は25歳程度)
- レベル3:応用情報技術者試験(合格率23% 合格者は29歳程度)
- レベル4:高度情報処理区分の各試験(合格率12%~18%、合格者は30歳以上)
レベル1が最も取得しやすい区分ですが、基本情報技術者試験はレベル2に該当します。
よく言われているのが「IT業界の登竜門的な試験」です。
コンピュータの業界では認知度は高く、ソフトウェア開発会社では、まだ基本情報技術者試験に合格していない社員は総出で受験します。
ただし、この試験はあくまでも「技術者としての能力の評価」をするためのもので、合格したからといって特殊な仕事ができるわけではありません。
知識・技能の水準がある程度以上であることを国が認定している能力認定試験になります。
情報処理技術者試験に合格していなくても合格者と全く同じ情報処理の仕事ができます。
参照:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:試験制度:試験区分一覧
所轄省庁:情報処理技術者試験 (METI/経済産業省)
役に立つ資格なのか?
履歴書に書けばPR材料にはなる
基本情報技術者試験に合格すればネットワークコンピュータ、パソコン、情報セキュリティといったいわゆるIT(情報工学)の分野において、基本的知識と技能を持つ技術者であると国が証明してくれることになります。
そこはやはり国家資格です。民間の検定試験とは重みが全く違います。履歴書にも堂々と書けます。
いわいるIT系の開発会社においては、基本情報技術者は技術者としてのステータスですから転職・就職は有利になります。
コンピュータソフト開発会社においては資格手当てを支給している会社も多く、社内での個人の評価も上がります。
基本情報技術者を取得して就職が有利になるとすればITに関わる会社です。
プログラマ、システムエンジニア、ネットワークエンジニア、ソフトウェア品質管理担当者、システム運用管理者といった業種です。
大手のメーカー系なら評価はイマイチ
ITに関する業界は、大きく分けるとメーカー系かあるいはそれ以外の独立系に分類されます。
メーカー系とは、NECや富士通、IBMのようないわゆる独自のブランド名を有する大手のIT企業です。
独立系とは、人海戦術的にプログラムを開発する会社で、会社名がブランドとして出てくることはほとんどありません。
独立系の多くは技術者派遣会社です。
基本情報技術者のような情報系の資格は、独立系の会社へ就職・転職する際に大きく役立ちます。
取得しているだけで面接即採用となるケースもあり、取得するメリットは非常に大きいです。
ただし、プラグラマー派遣などはブラックに近い企業である可能性は高くなります。
一方、メーカー系へ就職・転職する際は、基本情報技術者の評価はそれほど高くはなく有利にはなりません。それは新卒でも同じです。
つまり、独立系IT企業なら評価されてもメーカー系であればそれほど評価はされないのが基本情報技術者です。
あくまでも資格はプラスアルファの要素となり、それよりも学歴や学生時代の成績の方が重要になります。
つまり、大手であれば基礎学力が優先されます。
基本情報技術者は、一部の企業への就職や転職にはかなり役立ちますが、どんな場合においても役立つとまでは言えません。
無いよりはマシでしょうが、劇的に有利になるわけではありません。
関連資格:応用情報技術者とは
将来性について徹底研究
資格手当を支給する会社も多い
情報処理技術者試験に合格していなくとも優秀な技術者はたくさんいます。
しかし、基本的知識・技能を名実ともに裏付ける国家試験であるため、IT業界ではスキルアップのためには必須の資格となっています。IT業界内で転職をする方は是非取得したい資格です。
独立系のソフトウェア開発会社では、5,000円~10,000円ほどの資格手当を毎月給与に上乗せするところもあります。
そんな会社に勤めているのであれば是が非でも取得しましょう。
余談ですが、「基本情報技術者なんて取っても全然意味ないよ!」なんて声をよく聞きます。
特にIT業界にいる人から聞きます。
実は、合格できない人の「やっかみ」がほとんどです。これはITの現場にいればよく分かることです。
本当は合格して会社から資格手当をもらいたいんだけど、いつまで経ってもヤル気が起きない、試験勉強なんてメンドー・・・そんな人が実に多いんです。
IT業界にいてなんとしても合格したい人は、そんな声には耳を貸さず短期で合格してください。
ITパスポートと基本情報技術者の違いとは?
- 基本情報技術者の前にITパスポートの勉強をした方がいいのかか?
- そもそも基本情報技術者とITパスポートの違いは何?
などと考えている人も多いと思います。
難易度と資格の違いという面で解説します。
関連資格:ITパスポートとは
まずは難易度ですが、別次元レベルというほど基本情報技術者試験の方が高いです。
ITパスポートのスキルレベルは1、基本情報技術者のスキルレベルは2です。
1つしか違いませんが、その差はかなり大きいんです。
また、資格の違いという面では、ITパスポートは「ITを利用する側」の試験になります。
あくまでもユーザー側の注意点なので専門的ではありません。
一方、基本情報技術者は「ソフトウェア開発者」向けの試験です。
ユーザーにとっての使いやすさなども考慮する必要がありますから、おのずと専門的な要素を多く含みます。
両者の違いは、難易度だけではなくそもそも試験区分が違うということです。
簡単だからどちらかを受験するのではなく、IT業界のエンジニアを目指すならITパスポートは不要ですし、安全快適に使いたいだけであれば基本情報技術者試験は不要です。
仮に、就職や転職を考えて基本情報技術者試験に合格するのが目的であれば、ITパスポートは必要ないです。
基本情報技術者っから目指せばいいでしょう。
ちなみに、基本情報技術者試験の科目A(旧午前試験)をクリアできる力があれば、ITパスポートは楽勝です。
情報処理の専門学校へ進学するのは意味ない?
専門学校で情報処理について学習してみたいけど就職とかが気になる・・・と迷っている人も多いと思います。
情報系の専門学校へ進むのは一体どれくらい価値があるのでしょうか?
ITの業界に身を置くと分かりますが、実は意外なほど専門学校卒業生が多くいます。
まずこういった情報処理の専門学校は、IT業界の人手不足もあり卒業後の就職率はほぼ100%です。
成績が優秀で学校から推薦がもらえるようであれば大手企業へ就職するのも可能です。
学校での成績はイマイチでも希望すればどこかのIT企業へ就職できます。
ただ、入社してみたら技術者派遣会社だったとか、ブラック企業だったというリスクも非常に高い業界でもあります。
IT関連の仕事は、入社してから経験を積んで実力を認めてもらうことが一番重要です。
同時に転職も比較的自由にできる業界です。学歴や資格などが関係ない場合もあります。
一般的な専門学校の実績を見ると、基本情報技術者試験の合格者は全体の25%程度、応用情報技術者試験の合格者は全体の4%程度とごく一部です。
25%!・・・専門学校へ進んで基本情報技術者でさえ合格できないのは論外です。
基本情報技術者であれば普通に学校へ通えば合格できるはずです。
専門学校へ進むのであれば、在学中に応用情報技術者試験に合格して比較的大手へ就職することを目標にしてください。
それくらいの覚悟で進学しましょう。
大学入試で優遇されるケースもある
一部の大学・短大では、情報処理技術者試験(ITパスポート・基本情報技術者・応用情報技術者・情報セキュリティマネジメント)の合格者を入試の際に優遇したり、学生の単位認定としています。
- 情報処理技術者試験を活用している大学・短大 大学数:361校
- 入試優遇 大学数:240校
- 単位認定 大学数:125校
- シラバスの一部又は全部を参考とした授業カリキュラムの策定 大学数:87校
- 受験対策支援講座の実施 大学数:153校
- 受験を推奨(受験料補助、合格者の表彰、報奨金等支給)大学数:137校
参照:大学における活用状況 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
※少し残念なのは、調査は2018年2月までの結果でその後更新はされていません。
情報処理技術者試験の中でも、基本情報技術者を優遇する大学や短大は以下の資料に詳しく載っています。
参照:情報処理技術者試験の大学における入試優遇 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
多くは知名度の低いいわゆるFラン大学ですが、中には国公立大学もあります。
一般・推薦・AOのどの入試でどの程度優遇されるのかは不明です。
詳細につきましては、各大学の募集要項などで確認してください。
合格するには
実務経験の有無で合格までに要する学習時間が全然違う
情報処理技術者試験は、実務経験の有無つまり仕事としてプログラム開発をしているかどうかで合格までに要する時間が違います。
毎日仕事としてしているのであれば、極端な話し学習時間ゼロでも合格できます。
私の知人は、試験の前日にテキストを熱心に読んだだけで合格しました。
優秀な国立大学出身者だったので基礎学力はもともとあったと思います。
ある程度の知識のある人であれば市販のテキストと問題集だけの学習で短期間で合格は可能です。
出題傾向としては、過去問と類似する問題がよく出題されます。
出題範囲は広いのですが、とにかく過去問題を繰り返し解きまくることです。
しかし、全くの素人(パソコンもほとんど基本操作程度)であれば難関資格になります。
まずは横文字オンパレードの用語集の理解からはじまります。
ネットでは、未経験者でも取得は簡単!なんて紹介しているサイトもありますが、それは大げさすぎる表現です。
大学生でもパソコンに慣れている程度の初学者であれば合格までに長い時間を要します。
決して簡単な試験ではありません。普通に1000時間あるいはそれ以上の時間を要します。
中には1年以上かけて勉強しても合格できない人もいます。
全くの初学者であれば、独学では何から手をつけて良いのか分からないと思います。
用語の理解程度であれば時間をかければ良いのですが、プログラミングの学習は実践的なカリュキュラムに沿った学習が必要になります。
まずは無料の資料請求
おすすめの通信講座
確実に合格したいのであれば、下記がおすすめです。
スタディング
動画もテキストも問題集もスマホひとつで学習できます。短期合格者の勉強法を徹底的に研究して開発されたオンライン講座です。※紙ベースのテキストはありません。
運営コストを削減することで、受講料を低くなっています。
テキスト・問題集・参考書
おすすめテキスト・基本書
コンピュータ、いわゆるITに関して右も左も分からないような人は、まずこのこの本から入ることをおすすめします。
コンピュータについて学習をはじめると最初に出てくるのが基礎の理論である2進数です。
このテキストでは、なぜ0か1の電気信号だけで、これ程多様な処理が可能になるのかを詳しく説明しています。
一般的な基本情報技術者のテキスト・参考書では、基礎理論ではなくひたすらハードウェアやソフトウェアの構成や役割を漠然と説明しているだけです。
論理から段階を追ってわかりやすく解説してくれており、イラストがふんだんで解説がとにかく丁寧です。
飽きることなく最後まで読む続けることができます。それと同時にコンピュータへの理解が深まります。
種類 | 評価 |
テキスト&問題集 |
3分の1が問題集で3分の2がテキストという構成です。
ただ、初学者向けではありません。基本情報技術者試験を受験する上で理解しておかなければならないコンピュータの基礎の部分(2進数など)の説明がないので、テキストだけ先へ進んでも理解が進みません。
初学者がこのテキストから入ると、難しくて先へ進めず、学習を途中で放り投げてしまう可能性があります。ちょっと危険な参考書です。
いきなり聞いたことがないような用語や難解な計算が当たり前のように出てくるので初学者には向きません。
「出るとこだけ!」と題名にあるように試験に出るところだけ無理やり詰め込んだ印象です。
種類 | 評価 |
テキスト&問題集 |
試験情報
日程・出題内容・合格基準・その他
試験日
CBT方式により通年実施
お申し込み
随時受付
受験資格
受験資格の制限は一切ありません。どなたでも受験できます。
試験会場
全国のCBT試験会場
受験料
7,500円(税込)
試験内容
基本情報技術者試験には、「科目A」と「科目B」の2つがあります。
【科目A】多肢選択式(四肢択一)60問※全問必須:90分
- テクノロジ系:基礎理論、アルゴリズムとプログラミング、コンピュータ構成要素、システム構成要素、ソフトウェア、ハードウェア、データベース、ネットワーク、セキュリティ、システム開発技術
- マネジメント系:プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント、システム監査
- ストラテジ系:システム戦略、システム企画、経営戦略マネジメント、技術戦略マネジメント、ビジネスインダストリ、企業活動、法務
回答は4肢択一のマークシート式になります。
【科目B】多肢選択式20問:100分
- プログラミング全般に関すること
- プログラムの処理の基本要素に関すること
- データ構造及びアルゴリズムに関すること
- プログラミングの諸分野への適用に関すること
- 情報セキュリティの確保に関すること
合格基準
合格基準は1,000点満点中600点以上。採点はIRT(Item Response Theory:項目応答理論)に基づく方式で行われます。
※IRT方式とは、解答結果に基づいて配点を算出する仕組みです。そのため、1問ごとの配点というような明確な採点基準は存在しません。
主催者情報
試験に関する詳しい情報はIPA 独立行政法人 情報処理推進機構:制度の概要:基本情報技術者試験をご覧ください。