種類 | 難易度 | 合格率 |
国家資格 | 普通 | 22% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
誰でも受験可 | ~2万円 | 3か月以上 |
- 上記の数字は、あくまでも実務経験3年以上の人の目安です。
- 全国の求人数は、ハローワークの情報を基に2023年10月23日に集計。
応用情報技術者試験の合格率は20%ほどなので基本情報技術者と難易度はあまり変わらないように感じられますが、経験豊富なエンジニアが多く受験するので難易度の違いは明確です。合格すればIT関連の会社へ就職・転職が有利になるメリットがあります。
応用情報技術者試験とは

応用情報技術者とは、経済産業省が認定するIT系の国家資格です。
IT系の国家資格は、難易度に応じてスキルレベル1(易しい)~スキルレベル4(難しい)まで設定されています。
最も入門的な試験であるITパスポートはスキルレベル1、基本情報技術者試験がスキルレベル2です。
応用情報技術者試験は、さらに上位のスキルレベル3に相当します。
参照:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:試験制度:試験区分一覧
応用情報技術者試験の対象者は、「高度IT人材となるために必要な応用的知識・技能をもち、高度IT人材としての方向性を確立した者」とされています。
基本情報技術者試験は、基本的知識・技能を持った技術者が対象ですが、応用情報技術者試験は、応用的知識・技能を持った技術者が対象です。
つまり、プログラマーやシステムエンジニアの中でもITに関する経験を積んだ高度な技術者を対象にしています。
応用情報技術者は、クライアントが抱える課題を解決するためにIT技術を活用したシステムを提案します。
そして、システムの設計・開発を行い、信頼性・生産性の高いシステムを構築し、その安定的な運用サービスを実現する役割を果たします。
応用情報技術者試験は、情報処理推進機構が実施します。
役に立つ資格なのか?

就職や転職が有利になる
学生のうちに応用情報技術者試験に合格すれば情報システムの開発・運用・保守およびパソコンを利用した業務に関する知識を有していることをPRできるので、大手から中小企業まで、IT関連の会社への就職はかなり有利になります。
また、システムエンジニアとしての経験が豊富で、応用情報技術者の資格を持っていれば30代であっても大手企業への転職は可能です。
大手のIT企業では、資格より実務経験などが求められる傾向にありますが、応用情報技術者の資格はその裏付けになります。やはり就職・転職に役立つ資格であるといえます。
20代で応用情報技術者を持っていれば、業界の経験の有無にかかわらず派遣型(かつての特定派遣)のソフト開発会社であればほぼ速攻で採用になります。
仮に、IT業界未経験者がIT業界へ転職したい場合、応用情報技術者または基本情報技術者の資格を取得して、まずは派遣型のソフト開発会社へ就職して、そこで実績を積むのが現実的です。
3年~5年経験を積んでから条件の良い会社へステップアップ転職するのも可能です。
情報処理の資格を重要視する企業は多く、実力だけではなく資格のあるシステムエンジニアは重宝されます。
IT関連の会社は人手不足なので未経験でも採用する企業はたくさんあります。その際、応用情報技術者の資格を持っていれば就職・転職は有利になります。
ただし、IT関連企業や情報処理の職種に就職するなら取得する意味はありますが、そうでなければ情報処理技術者に関する資格は無用の長物になる可能性はあります。他職種への就職や転職にはメリットは少ないです。
将来性について徹底研究

この資格の活かし方
応用情報技術者の資格所持を昇進や昇給の条件にしているIT企業もあります。
中小のソフトウェア開発会社では、5,000円~10,000円以上の資格手当を出しているケースも少なくありません。
そういった企業に就職できれば毎月継続して給料に資格手当が加算されるので、キャリアアップがしやすいというメリットがあります。
また、応用情報技術者試験に合格すると、中小企業診断士や弁理士試験で一部科目免除が受けられます。
情報処理の分野は今後も必要性が増します。官公庁、一般企業に関わらず、応用情報技術者は高い評価を受けており、各方面において知識を活かせます。
一部の大学・短大では、情報処理技術者試験(ITパスポート・基本情報技術者・応用情報技術者・情報セキュリティマネジメント)の合格者を入試の際に優遇したり、学生の単位認定としています。
情報元:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:情報処理技術者試験:大学活用(入試優遇)
近道せず基本情報技術者から受験するのがおすすめ
基本情報技術者を飛ばして応用情報技術者から挑戦してみよう!なんて考える受験生もいるようです。
受験するのに制限はないので、応用情報技術者から受験しても問題ありません。
関連資格:基本情報技術者とは
しかし、「基本」を飛ばしていきなり「応用」というのは現実的ではありません。初学者でも頑張れば合格できるかもしれませんが、それは極めてマレな存在です。
応用情報技術者試験の合格率は20%ほどです。基本情報技術者試験と難易度はあまり変わらないように感じられますが、受験生の内容が違います。
基本情報技術者の受験者は学生や新人が中心ですが、応用情報技術者は経験豊富なエンジニアが中心です。試験の難しさの違いは明確です。
まずは基本情報技術者試験から受験することをおすすめします。基本情報技術者の試験が難しくなったのが応用情報技術者です。基本情報技術者を理解していなければ応用情報技術者は理解不能です。
実際に、応用情報技術者試験は、基本情報技術者試験の応用と言えるような問題が多く出題されます。問題のレベルも格段に上がります。
特に初学者で実務経験のない人にとってはなおさらです。応用情報技術者試験から受験するのは無謀とも言えます。悪いことはいいません、基本情報技術者試験から挑戦しましょう。
基本情報技術者を取得してからテップを踏んで次へと進む人がほとんどです。その方が結果的に早く合格できます。
基本情報技術者試験と応用情報技術者試験は内容がどう違うのか?
「基本情報技術者試験より応用情報技術者試験の方が簡単だった」「どちらも難易度は変わらなかった」という意見を見かけます。
それは、試験の出題範囲の違いによります。基本情報技術者試験はプログラミングが必須科目なので、プログラミングを理解していないと解答できません。
それに対して応用情報技術者は、プログラミングに似た出題はあってもプログラミングは必須ではありません。プログラムを組んだ経験ができない人でも問題によっては解答できます。
つまり、実務経験の違いで感じる難易度が異なるからです。
ここでいう実務経験とは「システムの全体設計」です。実務経験がないようであれば、応用情報技術者が格段に難しく感じられるはずです。
システムエンジニアなら応用情報技術者試験を簡単に感じて、プログラマーであれば基本情報技術者試験の方が簡単に感じるでしょう。
応用情報技術者試験に合格するためには、プログラマーとしての能力だけではなく、システムエンジニアとしての能力が求められます。「高度IT人材となるために必要な応用的知識・技能」が求められます。
さらに、基本情報技術者試験と応用情報技術者試験の一番の違いは、解答が選択式か記述式かであるといえます。
選択式なら、あやふやな記憶でも正解できます。しかし、記述式なら正解にはなりません。記述式の試験であれば問題を理解し自分の言葉で所定の文字数で簡潔・明瞭に解答しなければなりません。
応用情報技術者試験に合格するには、単なる暗記ではなく考えることに重点をおいて学習する必要があります。
知識ゼロから1か月程度で合格?信じてはいけません!
「IT業界とは無関係、ITパスポートや基本情報技術者も未受験、しかし1か月程度、合計80時間くらいの学習で応用情報技術者試験に合格しました!」なんてにわかには信じがたいような書き込みをネット上で時々見かけます。
こんな煽りのような書き込みをまともに信じてはいけません!難易度の高い国家資格なので1年以上の学習期間なんて当たり前です。
これは、教材を買ってもらうための虚偽の表示です。つまり誇大広告です。リンクをクリックすると教材を紹介するサイトにつながります。
こんな夢のような教材など存在しません。未経験者が1か月で合格できるのはせいぜいITパスポートくらいです。
関連資格:ITパスポート試験とは
経済産業省も、応用情報技術者試験は「システムの開発、保守、運用のいずれかまたは複数の業務について、3~5年程度の実務経験があること」と想定しています。
参照:第一種情報処理技術者試験(pdf)
(かつての第一種情報処理技術者試験の概要です。現在は「大卒程度・・・」の文言は削除されています)
実際に受験生の多くは理工系の大卒者で4年~5年の経験者がほとんどです。
それを、未経験者が1か月程度の勉強じゃとても合格できません。
間違っても誇大広告に乗せられて高額な教材を買わないように!
合格するには
試験は午前と午後に分かれる
応用情報技術者試験は難易度の高い国家資格ですが、基本的な学習の積み重ねで十分合格できます。
試験は午前と午後の2種類に分かれています。
午前の試験対策としてはとにかく過去の試験問題を繰り返し学習することです。本試験の問題の半分近くは過去問の使い回しです。過去問だけの学習で大丈夫です。
では、過去問を何年分(何回分)解けばよいかというと、10回分程度で十分です。分からない点はテキストで確認しながら学習します。基本情報技術者のテキストの方が参考になる場合もあります。
午後の試験は記述式です。問題文の中に解答が隠れているので、それをうまく見つけ出し、文章中の言葉を組み合わせて解答することで正解を導き出せます。いかにして限られた文字数で的確に正解を導けるかが重要となってきます。
午前の試験対策が十分にできていれば、その応用とあとは文章読解力です。国語が得意であれば正解となる可能性はそれなりに高くなります。ある意味、国語力を試す試験であると言えます。
ただし、慣れないと時間が足りません。過去問題と予想問題の演習を繰り返すことで短時間で解けるように練習する必要があります。
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おすすめの通信講座
良質な通信講座がありそうでないのが応用情報技術者試験です。
スタディングの応用情報技術者試験講座は、動画講義、テキスト、過去問集、模試までスマートフォンひとつで受講できるのが特徴です。
応用情報技術者講座 – スマホで学べる通信講座 【スタディング】
テキスト・問題集・参考書
おすすめテキスト・基本書
おすすめ問題集
試験情報
試験日
※春季と秋季の年2回実施。
- 春期試験:4月の第3日曜日
- 秋期試験:10月の第3日曜日
お申し込み
試験のおよそ3か月前から2か月前まで。
受験資格
受験資格の制限は一切なく、どなたでも受験できます。
試験会場
全国主要都市
受験料
7,500円(税込)
試験内容
応用情報技術者試験には午前と午後の2つに分かれています。
【午前】多肢選択式(四肢択一)80問※全問必須:150分
- テクノロジ系
- マネジメント系
- ストラテジ系
【午後】記述式11問中5問回答:150分
- 経営戦略に関すること
- 情報戦略に関すること
- 戦略立案・コンサルティングの技法に関すること
- システムアーキテクチャに関すること
- ITサービスマネジメントに関すること
- プロジェクトマネジメントに関すること
- ネットワークに関すること
- データベースに関すること
- 組込みシステム開発に関すること
- 情報システム開発に関すること
- プログラミングに関すること
- 情報セキュリティに関すること
- システム監査に関すること
合格基準
午前・午後の試験ともに60点以上/100点で合格となります。
主催者情報
試験に関する詳しい情報はIPA 独立行政法人 情報処理推進機構:制度の概要:応用情報技術者試験をご覧ください。