通関士とは?就職や転職に活かせるメリットがある国家資格
種類 | 難易度 | 合格率 |
国家資格 | 難しい | 13% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
誰でも受験可 | 2~5万円 | 1年程度 |
活かし方 | 全国の求人数 | おすすめ度 |
就職・転職 | 140件 |
- 全国の求人数は、ハローワークの情報を基に2024年3月28日に集計
通関士とは、輸出入の際に必要な税関手続きを代行するための貿易に関する唯一の国家資格です。
実務経験がモノを言う業界ですが、未経験者でも取得すれば就職や転職が有利になるメリットがあります。
難易度は高いですが需要も将来性もあります。
通関士とは
通関士とは、輸出入の際に必要な税関手続きを代行する国家資格です。
貨物の輸出入の際、税関に申告する通関書類の作成、税務検査の対応など、通関業務の代行をするのが通関士の仕事です。
日本は島国であり、諸外国と毎日様々な物資のやり取りをしています。経済のために貿易業務は不可欠です。
ある物を輸出入しようとする場合、輸出入業者はその物品の内容を国の機関である税関に書類で申告しなければなりません。
税関では、その書類を確認しながら検査をし、必要に応じて関税等を徴収します。
通関士はこの税関に申告する輸出入貨物の書類の作成や審査・申告を行います。
貿易の輸出入に関する通関手続きは非常に煩雑です。そのため、通関の知識の浅い人や通関士の資格がない人が通関手続を行なうと、せっかく海外から運んできた商品でも税関を通すことができなっくなってしまいます。
このような事態を防ぐために、貿易手続きの専門的な知識を持つ通関士によって通関書類の作成や通関の申請が行なわれています。
通関士とは貿易に関する唯一の国家資格です。
役に立つ資格なのか?
未経験者でも取得するメリットは十分
通関士の資格が最も役立つのは通関業者です。
通関業者とは、主に海上貨物または航空貨物の通関業務を行う企業です。
例えば日本通運、ヤマト運輸、三菱倉庫、三井倉庫、郵船航空、近鉄エクスプレス、東急エアカーゴなどです。
参考:日本通関業連合会
貿易実務の経験がある人であれば、同じ業界内で転職する際には大いに役立ちます。まず転職先には困らないでしょう。
では、未経験者が通関士を取得すれば就職や転職が有利になるのか?役立つ資格なのか?
・・・というと、確実に役立つ資格だと言えます。未経験者でも十分メリットのある資格です。
理由は簡単です。それは難易度の高い国家資格だからです。経験はなくとも知識は証明できるので履歴書に書けば十分アピール材料になります。
「未経験者が通関士の資格を取得しても意味ない、あまり就職・転職には役立たない」という意見をよく目にしますが、それは経験者を採用する場合であって、少なくとも未経験者を採用する場合は確実に役に立ちます。
通関業者だけではなく、流通業や商社、貿易会社、メーカーへの就職・転職の際にも通関士の資格を持っていれば有利です。
こういった業界へ就職を希望する新卒予定の大学生が、就活に備えて通関士を取得するケースも増えています。
語学力や経験ももちろん重要
もちろん通関士の資格を持っているだけでは即採用というワケにはいきません。
大手の物流会社や商社になれば、国公立大や有名私大といった学歴を重視するでしょう。
仕事の内容によっては通関士の資格よりもTOEICの成績や英検の級の方が優先するかもしれません。面接時の印象も重要です。
通関士の資格は採用の決定打とはならず、あくまでも無いよりは持っていた方が有利になるということです。
念の為申し上げますと、通信教育のユーキャンがPRするように、通関士に合格したところで「すぐに海外との窓口となる職場で働ける」なんてことにはなりません。
経験がモノを言う業界です。
未経験者で通関業者の即戦力なんて難しいでしょう。
将来性について徹底研究
この資格の活かし方
海外へ物資を輸出入するような通関業務を行なっている運送会社、航空会社、倉庫会社などでは、各営業所に専任の通関士が1名以上いなければならないと法律で義務付けられています。
したがって、通関士には常に一定の需要はあります。
日本全体の高齢化に伴い、若年層の通関士の需要が高くなっています。
通関士の資格を取得すれば会社での地位は上がるのでキャリアアップに活かせます。
通関士の資格が最も活かせるのは通関業者ですが、通関業者だけに限らず、例えば、流通業全般、商社・貿易会社、大手メーカーへの就職・転職の際にも十分アピール材料になります。
通関業者以外では、それほど通関士は重視されていませんが知識を仕事に活かせます。
高い英語力までは通関士には求められない
海外を相手とした貿易実務と聞くと、どうしても英語力が求められそうですが、実は通関士にはあまり必要ないです。
通関士が直接関わる仕事は、書類を相手に黙々と事務作業をするイメージです。
輸出入の申告や一連の手続きはNACCS(ナックス)と呼ばれるオンラインシステムを使用して行いますので主にパソコンに向かって仕事をします。
もちろん実務としては、最低限の英単語程度は読めないと話しになりません。
例えば、SHIPPER(輸出者)、CONSIGNEE(輸入者)、INVOICE(仕入書)、PACKING LIST(梱包明細書)などです。英語の文章を扱うことはほぼありません。
通関士は、多くの場合は日本の貿易会社の依頼を受けて通関の部分だけを請け負っています。
そのため、内容確認などの問い合わせも依頼を受けた日本企業です。メールや電話で海外の企業とやり取りすることはありません。
通関士の試験では英語力は一切は問われませんから、中学校で習った程度の英語力があれば十分です。
あとは必要となりそうな貿易用語を知っていれば業務に支障はないでしょう。
貿易実務に関わるのであれば英語力が必要
通関士の資格を持っていれば通関業者だけではなく、流通業全般、商社・貿易会社、大手メーカーへの就職・転職の際にも十分役立つと書きましたが、例えば商社や貿易会社で貿易実務に関わるのであれば求められるのは語学力です。
特に新卒者や未経験者であれば、メールや電話で英語のやり取りができる程度の語学力があれば理想的です。
TOEIC800点以上あるいは英検準1級以上であれば就職や転職に役立ちます。学生であれば、まずは英語の勉強に力を注いでください。
英語だけでなく、中国語もある程度できれば理想的です。
通関士になるには
通関士試験は受験資格は特になく、学歴、年齢、経歴、国籍等を問わず、誰でも受験できます。
注意していただきたいのは、試験に合格しただけでは単なる通関士の有資格者にすぎないということです。
通関業者に就職して、財務大臣の確認(税関長に委任)を受けてはじめて通関士と名乗って業務ができます。
通関士の国家試験は毎年1回10月に実施されます。
合格率はここ数年は10~15%ほどですが、平成29年(第51回)は21.3%と高く、年によって多少の振れ幅があります。
令和5年10月1日に実施された第57回試験の合格率は19.1%でした。
※ここ数年分の試験結果が載っています。
参考:通関士試験受験者数及び合格率等の推移(第1回~第54回)税関 Japan Customs
通関士は、比較的難易度の高い試験です。
合格するには1日3時間、1年くらいは勉強時間が必要です。短期合格などマレです。
出題は全問マークシート方式です。計算問題も出題され、計算機の持ち込みが許可されます。
試験科目は関税法など法律のほか通関手続きや書類作成などの実務に関する出題もあります。
なお、通関業者などで5年以上の実務経験がある場合には試験科目の免除があるので実務経験者は有利です。
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おすすめの通信講座
通関士講座におきましては、下記の2講座がおすすめです。
アガルートの通信講座
講義動画はオンラインで配信していますが、音声ダウンロード・8段階の倍速再生・進捗率等の便利機能で、快適に効率よく学習を進められます。しかも低価格です。
過去問を徹底分析して合格に必要な点が取れるように編集されたテキストです。
※こちらから受講申し込みができます。
ヒューマンの通信講座
通関士受験20年の実績がある合格指導が受けられます。人気の通関士テキストを講座で採用しており、内容はかなり良いです。人気講師のDVDによる講義が付属しており、いつでも自宅で視聴できます。
※こちらから受講申し込みができます。
テキスト・問題集・参考書
おすすめテキスト・基本書
基礎から始めて無理なく実力を身につけられるよう、制度や規定の背景や立法趣旨を理解しながら重要ポイントをマスターできるように編集されたテキストです。
通関士の参考書は多く出版されていますが、どれも文章が難解で、物流業界にいる人じゃないと理解しずらいモノがほとんどです。
このテキストは、表現が柔軟で分かりやすく、図が多いので理解しやすく読みやすいです。実務以外の大体のことはカバーできます。
もちろんこのテキストだけで合格とはいかないので、他に問題集や予想問題集なども購入してください。
種類 | 評価 |
テキスト |
おすすめ問題集
過去に本試験で出題された問題の中から、重要な論点を含む問題を精選した過去問題集です。もちろん最新法令に合わせて修正されているので安心して利用できます。
出題形式も現在の試験制度に合わせています。本試験では、過去に出題された問題とよく似た形式でいくつか出題されるので、過去問を解くことは有効です。
問題集はとにかく何度も繰り返して解くことです。不明点があればテキストなどで毎回確認すれば確実に実力がつきます。
種類 | 評価 |
問題集 |
試験情報
日程・出題内容・合格基準・その他
試験日
10月上旬
お申し込み
7月下旬~8月上旬
受験資格
受験資格の制限はなく、どなたでも受験できます。
試験会場
北海道、宮城、新潟、東京、神奈川、静岡、愛知、大阪、兵庫、広島、福岡、熊本、沖縄
受験料
3,000円
試験内容
【試験内容】
- 通関業法(9:30~10:20)
- 関税法、関税定率法その他関税に関する法律及び外国為替及び外国貿易法(同法第6章に係る部分に限る。)(11:00~12:40)
- 通関書類の作成要領その他通関手続の実務(13:50~15:30)
試験では法令問題は、通関業法、関税法、関税定率法の3つから主に出題されます。
実務試験では、輸出申告書と輸入申告書を作成できるかどうかを問います。
合格基準
通関士試験の合格基準は公表されてませんが、概ね以下の通りです。
- 通関業法:満点の60%以上
- 関税法等:満点の60%以上
- 通関実務:満点の60%以上
合格発表
11月初旬
主催者情報
試験に関する詳しい情報は通関士試験 税関 Japan Customsをご覧ください。