種類 | 難易度 | 合格率 |
国家資格 | 易しい | 60% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
実務経験必要 | ~1万円 | 1か月程度 |
- 調理師法にもとづく国家資格ですが種類としては都道府県知事の免許です。
- 全国の求人数は、ハローワークの情報を基に2023年4月17日に集計。
主に外食産業全般で調理業務を担当するのが調理師の仕事と言ってもよいでしょう。レストランなどの飲食店で料理を作ったり、学校などの集団給食や病院で患者さんの食事を作るのも調理師です。
受験制限があって誰でも受験できるわけではないのでご注意ください。
調理師とは

料理を作るまさにプロ
調理師は、レストランなどの飲食店で料理を作るのが主な仕事です。学校などの集団給食や病院で患者さんの食事を作るのも調理師です。
外食産業全般の中で調理業務を担当するのが調理師と言ってもよいでしょう。
衣・食・住の「食」に関わることですから調理師の活躍する場は幅広く、和食、洋食、中華、フランス料理、イタリア料理、無国籍料理、一流料亭やから街の定食屋さん、ホテル、ファミレス、チェーン店、病院、学校、企業の給食など様々です。
当然ですが、その中でも料理を作る調理師は中心的な存在です。人目のつかないところで多くの調理師が活躍していることは言うまでもありません。
家で食事を摂るのが一般的だった時代はとうの昔に終わり、人々のライフスタイルが変化して外で食事を済ませるのが日常的になりました。
テレビ番組で美味しいお店が紹介される機会も多く、芸能人が料理の腕を披露したり有名パティシエが出演する機会も少なくありません。
日本料理を作る人は「板前さん」、西洋料理の料理長は「シェフ」、洋菓子やデザートを作る人は「パティシエ」と、美味しい料理を提供する人を「職人」のように扱う風潮も高まり、社会的な立場も以前とは比べ物にならないくらい高まりました。
そんな職人気質の料理人、つまりは調理師を目指す若い人達も随分最近は増えているようです。
関連団体:日本調理師会
役に立つ資格なのか?

調理師の資格がなくても料理の仕事には就ける
時々勘違いする人がいますが、調理師の資格(免許)がなくても料理の仕事につくことは可能です。
調理師の資格がなくても日本料理の板長にもなれますし、ホテルの総料理長にもなれます。
板長や総料理長が独立して自分の店を持つ際も調理師の資格はいりません。
では、調理師の資格を持っている意味や将来性どう役立つのかというと、調理師試験に合格した人のみが「自分は調理師だ!」と名乗れるだけなんです。
名刺に、肩書として「調理師」と印刷できるだけの名称独占資格にすぎません。他には大きなメリットはありません。
つまり、調理師免許があるとできること、免許が無いとできないことに特に違いはないんです。
調理師の資格があれば、自分で独立して店を持つときに食品衛生責任者の資格がすぐ取れるというメリットがあります。
しかし、これも保健所の講習(1日)を受講すれば誰でもすぐに取れます。
関連資格:食品衛生責任者とは
調理師免許必須の求人も多い
調理師は国の法律である調理師法に基いて「調理師の名称を用いて調理の業務に従事することができる者として都道府県知事の免許を受けた者」とされています。
そのため、調理師は調理師法に基づき、飲食店やレストラン、学校、病院などの料理をする場所(厨房)で栄養や衛生管理のルールを守りながら仕事しなければなりません。
つまり調理師は調理の腕前が認められたプロの資格というワケではなく、安全に調理をするために国が認めた資格というワケです。
調理師資格(免許)を持っていることと料理の腕は全く別物といえます。料理店でも味の良し悪しと調理師資格とは全く関係ないといえます。
とはいうものの、調理師の資格を持っているということは何らかの料理の経験は必ずあるということです。求人を探すと、資格要件として「調理師免許必須」となっている場合が少なくありません。その場合無資格者は門前払いになります。
当然ですがその場合は調理師の資格を持っていると役立ちます。調理師の資格は「調理師です!」と名乗れることだけかもしれませんが持っていてマイナスにはなりません。
将来性について徹底研究

若い人なら専門学校進学がおすすめ
料理の道に進んでみたいと考えている中学生や高校生は、高校卒業後に専門学校へ進むのがおすすめです。
全国に調理師養成の専門学校がありますが、実は就職の実績がスゴいんです。就職率は確実に100%以上といえます。
求人の内容も悪くないです。名だたるホテルやレストランが並びます。
専門学校へ通うのであれば、1年間だけ調理師になるために勉強するのではなく、できたら2年間、調理師+(調理技術or製菓技術)を勉強するのが理想です。
大手のホテルや有名なレストランはほとんど専門学校からしか調理師を採用しません。有名なホテルやレストランで働きたいのなら、高校を卒業後に調理師の専門学校へ進学することをおすすめします。
もちろん下積みからはじまって辛い修行期間があるのは当然ですが、そこで腕を認められたら責任のある仕事にもつけて給料もあがります。将来独立して自分の店を持つことも夢ではありません。
専門学校を選ぶ際は、どんな企業から求人がきているのかをよく確認して就職先が充実している学校を選びましょう。
調理師の仕事はハード、ブラック企業にも要注意
最近の人手不足と相まって調理師の求人はかなり多いです。
年齢が高くてもそんなに苦労することもなく就職先は見つかります。
調理師は立ち仕事が多く、勤務が長時間におよぶこともあります。なかなかトイレに行けず膀胱炎や酷い便秘になることもあります。
調理師の仕事は常に水を扱います。厨房には大型の冷蔵庫もあり、おまけにコンクリートの床は冷たく室内は寒く感じられます。そんな場所でずっと作業を続けていると身体が冷えて体調を崩しがちです。
調理師の仕事は体力勝負の面もあります。ハードなので長く働ける人は思いの他少ないようです。火や刃物を使うので想像以上に神経を使います。口に入れる物なので食中毒の心配もしなければなりません。
おまけに、現実として給料もなかなか上がらないし・・・最低賃金でずっと働かされる職場もあります。
なんと言っても飲食店の関係はブラック系企業も多いので要注意です。残業代は全てカット、時給に換算したら最低賃金以下だったなんてこともあります。
働く場所には十分に注意したいものです。
飲食店をはじめるのに調理師の資格は必要ない。
前述した通り、調理師の資格がなくても飲食店の経営をはじめられます。その場合、調理師とは名乗れないだけです。
ちなみに、飲食店開業に必要な資格は食品衛生管理責任者ですが、この資格は1日の講習で習得できます。
30人以上を収容する大型の飲食店の場合のみ防火管理責任者の資格も必要になります。こちらも講習を受けるだけで習得できます。
調理師免許がなくても料理人にはなれますし、料理人として是が非でも必要というわけではありません。持っていても重宝がられることは少ないです。調理師の資格と料理とは全く関係ありません。
なお、そのほかの調理の資格としては、製菓衛生師、船舶料理士、ふぐ調理師などがあります。
関連資格:製菓衛生師とは
調理師の上位資格を取得してスキルアップも!
調理師として6年間実務経験を積むと、調理師よりもワンランク上の国家資格である専門調理師(調理技能士)にチャレンジすることができます。
試験の種類は、すし料理、中国料理、給食用特殊料理、日本料理、西洋料理、麺料理に分かれており、社団法人日本調理技術技能センターが実施する調理技術技能評価試験に合格すれば、それぞれの専門分野における高度な調理技術をもつ調理師として高く評価されるようになります。
筆記試験に加え実技試験までありますから、難易度も資格取得後の信頼度もかなりアップします。ちなみに専門調理師になると調理師専門学校の講師にもなれます。
専門調理師試験に関する詳しい情報は下記をご覧ください。
参考:調理技術技能センター
調理師になるには
実務経験等が必要
調理師試験の受験には受験資格があります。誰でも受験できるわけではないのでご注意ください。
原則として中学校卒業以上で、調理の現場で2年以上の経験があれば受験できます。また、調理の専門学校で必要な学習を修業し卒業することで調理師の資格を得ることもできます。
具体的には以下の通りです。それぞれについて詳細に説明しますので参考にしてください。
- 調理師専門学校に1年間通って卒業する(夜間なら1年半)
- 飲食店やレストランの調理場で原則2年以上の調理経験
調理師専門学校に1年間通って卒業する(夜間なら1年半)
中学卒業以上で調理師の専門学校へ通います。この場合、卒業すれば調理師国家試験の受験は免除となり調理師免許がもらえます。現場での実務経験は必要ないです。
専門学校は高校卒以上の条件がほとんどのようです。入学を希望する学校の募集情報・出願資格をご確認ください。
飲食店やレストランの調理場で原則2年以上の調理経験
日本国内で飲食店営業許可を取得した飲食店での調理実務経験が2年以上あれば受験資格を得ることができます。
パートやアルバイトでも大丈夫ですが、ウェイトレス・ウェイターとしての業務は実務経験に入りません。
具体的には「週4日以上かつ1日6時間以上」勤務していればOKです(一部の都道府県では例外があります)。受験の際に勤務先に証明書を発行してもらう必要があります。
なお、海外の飲食店での調理実務経験は含まれません。高校生のバイトに関しては原則実務経験にはなりませんが、定時制・通信制高校であれば、2年以上働けばバイトでも受験資格があります。
調理師試験は筆記試験のみで実技試験はありません。筆記試験は全てマークシートです。
試験は簡単な出題です。本屋に売っている参考書を一冊理解すれば、ほぼ誰でも合格できると言えます。金額の高い通信講座など受講する必要性はありません。比較的簡単な国家資格といえます。
過去問を解くことも重要です。参考書で理解を深めてから過去問題を数年分繰り返して解けば十分に合格は可能です。下記から過去3年分の過去問と解答を見ることができます。
参考:調理師試験問題及び解答‐公益社団法人調理技術技能センター
※ただし解説がないので、別途問題集を購入することをおすすめします。
まずは無料の資料請求
社会人でも入学できる大学・専門学校の資料請求
テキスト・問題集・参考書
おすすめテキスト・基本書
おすすめ問題集
おすすめ参考書
試験情報
試験日
例年1回、各都道府県で行われます。
※神奈川県では年2回行っています。
お申し込み
都道府県によります。
受験資格
調理師試験の受験には学歴と実務経験が必要になります。ご注意ください。
試験会場
青森県、宮城県、茨城県、埼玉県、東京都、新潟県、富山県、石川県、岐阜県、愛知県、三重県、鳥取県、島根県、岡山県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県
受験料
6,400円(東京都)
試験内容
【試験科目】
- 食文化概論
- 栄養学
- 衛生法規
- 食品学
- 公衆衛生学
- 調理理論
- 食品衛生学
7科目全60問です。
【試験形式】筆記試験(全て四肢択一のマークシート方式)
合格基準
全科目の合計で60%以上の得点が合格の目安です。
※1科目でもその平均点を大きく下回る場合は、不合格となる場合があります。
主催者情報
調理師試験に関する詳しい情報は調理師試験‐公益社団法人調理技術技能センターをご覧ください。