『試験に出るところだけ勉強』では何年たっても合格できない
資格ビジネスが盛況の今の時代、どこの通信講座も受講生集めに一生懸命です。
だいたいどこも自社のテキストや参考書、問題集の優位性を唱えています。
そんな中、私がいつも気になっているのが下記のような宣伝文句です。
- 試験に出るトコだけに絞ってテキストを編集
- 満点主義ではなく、合格点を取る勉強法
- 最低限覚えるべき箇所に絞って効率よく学習
- 合格に必要な60%の正解を最初から狙う学習法
なるほど・・・確かにその通りです。満点でもギリギリ合格点でも合格は合格です。
勉強時間を少しでも短くして楽して合格できれば言う事なしです。
しかし、残念ながら現実はそんなうまい具合にはいきません。
最初から60%の正解を狙っていたら40%程度しか正解できないんです。
その結果いつまで経っても合格できません。
『試験に出るとこ』以外からの出題が増えている
では、どうして「試験に出るところだけ勉強」をしていてはいつまでたっても合格できないのか?
それは、「試験に出るところ」以外からの出題が増えているからです。
人気の国家資格、社会保険労務士や行政書士ともなると毎年の受験生が5万人前後にのぼります。
しかし、必要以上に合格者を出さないよう、一定水準以下にとどめておく必要があります。
必要以上に合格者を増やすと社会保険労務士や行政書士に仕事が行き渡らなくなってしまうからです。
そこで、出題者側はあえて難易度の高い出題を増やして正解率を下げます。
見たこともないような難問、普通に勉強していては正答できないようないわゆる奇問・珍問ってヤツが一定の割合で出題されます。
こんな問題、当てずっぽうにマークシートを埋めて正解ならラッキーです。
さらに、過去に出題されたこともないような問題、よほど勉強していないと分からないような難問が何割かは出題されます。
結果として、予備校が言う「試験に出るところ」は概ね全出題の半分程度にしか該当しません。
つまり、「試験に出るところ」だけを勉強していては、よくても全体の50%程度の正解、実際はさらに低い40%程度の正解しかできないということです。
もちろんこれらは全て出題者側の意図です。
受験生数が増えれば増えるほど、こうした「試験の難化傾向」は続きます。
「試験に出るとこ」や「最低限覚えるべき箇所」だけ勉強していてはとても難関な試験には合格できません。
難関な試験など楽して合格できません
誰でも極力勉強時間は少なくして、最短で合格したいと思うのは当然でしょう。
まぁ、気持ちは十分理解できます。勉強を続けるのって大変ですからね。
短期間で合格できる民間資格や、過去問が繰り返し出題されるような一部の国家資格であれば試験に出るところだけの勉強で合格できるでしょう。
それなら『試験に出るところだけ勉強』をウリにしているような通信講座も利用価値はあります。
けれど、難関と言われる国家資格であれば、『試験に出るところだけ勉強』をウリにしているような通信講座は利用しない方がいいですね。
驚くほどペラペラで薄いテキストや問題集を平気で送ってきます。
全部を完璧に暗記したとしてもやはり全体の半分程度しか正解できません。
そもそも過去問だけでは到底対応できない
資格試験は過去問だけでなんとか合格できると誤解をしている人が多いんですけど、それは難易度の低い一部の民間資格と国家資格に限られます。
難関と言われる国家資格であれば、当然ですけど過去問だけ解いていては全く太刀打ちできません。
過去問は過去問、同じ問題は出題されません(多少表現を変えて出題されるケースはあります)。
合格に必要なのは、過去に出題された問題の周辺知識や、さらに一歩踏み込んだ知識です。
年々変わる出題傾向に対応するには過去の出題範囲だけの勉強では不足します。
学習する範囲は年々増加し、それに対応できるように準備する必要があります。
合格したいのであれば、最初から最低でも7~8割以上の正解を目指してください。
それくらい勉強してはじめて本試験で6割の正解にたどり着けます。
もう一度言います。
最初から6割の正解を狙っていては、4割程度しか正解できません。