情報検定(J検)
情報系で最も簡単な高校生向けの検定試験、役立つ機会はあまりないかも。
種類 | 学習期間 | 難易度 | 合格率 |
---|---|---|---|
民間資格 |
1か月 |
易しい |
63% |
活かし方 | 取得費用 | 受験資格 | おすすめ度 |
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入試でPR |
~1万円 |
誰でも受験可 |
※2022年の情報活用試験3級についてです。
最終更新日:2022/11/12
情報検定(J検)とは
情報処理活用能力検定が実施されていた1994年から2006年6月の試験までは文部科学省認定の試験でしたから公的な資格という位置づけでした。
しかし、その後「認定」の制度は廃止され、現在は文部科学省後援の検定試験になっています。後援とはいえ完全な民間の検定試験です。
情報処理活用能力検定が廃止になった理由は受験者が極端に減ったからです。当時類似の資格として基本情報技術者の国家試験がありましたが、合格率の上昇などもあって人気がそちらに集中しました。
そのためJ検の存在意義が薄れ、基本情報技術者試験と差別化をはかるという目的で廃止になりました。
かつては社会人が対象だった試験ですが、情報検定(J検)と名称を変更するとともに、現在はどちらかというと高校生(商業科や情報科)・専門学校生などを対象としています。
情報処理活用能力検定を旧J検と呼び、現在のJ検と区別することもあります。
主催者サイト:情報検定:J検
役に立つ資格なのか?
情報検定検は、試験の内容を見ると、社会人というよりもどちらかというと高校の商業科や情報科の生徒向けの検定試験です。
高校生が新卒で就職する際や、あるいは情報系の大学や専門学校へ進学する際は多少評価されるかもしれません。
試験の難易度が低いため、大学生や社会人の就職・転職にはほとんど役立つことはありません。実際に社会に出てからも役立つ機会は少ないでしょう。
情報検定そのものは役立つ資格ではありません。検定に合格するために学習した内容は何かに使えるかもしれませんが、その程度です。
情報検定は、かつて情報処理活用能力検定だった頃に比べるとあまり評価されなくなりました。理由は制度の変更で難易度が大きく下がったからです。
2006年の制度変更前は、プログラマーやシステムエンジニアの登竜門的な資格であった第二種情報処理技術者(現在の基本情報技術者試験)とほぼ同レベルの難易度でした。
制度変更後は、公的な資格から完全な民間検定に格下げとなりました。大幅に難易度を下げて合格者数を増やし、それにともなって受験生が増えることを狙ったんですが全くの逆効果でした。
情報検定の現在の知名度は低く、取得する意義も低いといえます。
将来性を徹底研究
この資格の活かし方
これからIT業界を目指したい、Web関連の仕事につきたい、と考えている高校生が、まずは第一歩として学習するにはちょうど良いかもしれません。
学習する内容が超初心者レベルです。最も簡単な3級に合格すれば、これから先違う試験を目指すための自信につながるでしょう。
合格しても何かに活かせる可能性は低いといえます。一般的な評価も大して高くはなく、持っててもさほど有利にはなりません。何も持ってないよりはマシという程度です。
こういった情報・IT系の民間資格はいくつか種類がありますが、どれも大学生の就活や社会人の転職には役立ちません。
文部科学省後援情報検定(J検)という説明ですが・・・
情報検定を紹介する公式サイトを見ると、まず目につくのが「文部科学省後援 情報検定」という文字です。
省庁つまり国という権威が付ついている検定試験ですよ!という説明でイメージアップの効果を明らかに狙っています。
では、はたしてどれくらい「公的」であるのでしょうか。
以前は、簿記検定、秘書検定、漢字能力検定のように、関係省庁(国)から認定を受けている公益法人が実施する公的な検定試験制度がありました。
しかし、天下り団体と民間団体の癒着が問題になったため、現在はその制度は廃止されています。
したがって、制度が廃止された今は「元公的資格」は存在しますが、公的な価値を持つ民間資格は存在しません。民間団体が実施する検定試験には法的な根拠もなく、公共性を有するものはないということです。
情報検定は、文部科学省後援と称していますが「元公的な資格」であって、現在は公的な資格ではありません。
「後援」「公的資格」につきましては下記ページの後半で詳しく説明しています。参考にしてください。
関連情報:公的資格(旧認定資格)について
合格者は入学試験が優遇される大学・短大がある
情報検定の合格者は大学入試で優遇されるケースもあります。
情報検定の公式サイトを見ると、入学試験における優遇措置を導入している大学一覧と、どのような優遇措置を実施しているのかが詳しく書かれています。
111大学205学部444学科ということですが、一覧表に掲載されているのは99大学(2022年11月現在)です。学校名を公表していない大学・短大は12校あります。
ちなみに、(2014.8月調査)と明記されてますけど、ずいぶん古いデータを更新せずに載せてるものです。熱心に大学に協力を呼びかけている様子はありません。
この99の大学がどんなものか詳しく調べてみました。
99校の中には、なんと国公立の大学もあり、その数は6校です。あとは私立が93校です。残念なことにこの93校はほぼFランクと言われる大学・短大です。
多くは、AO入試・推薦入試の際に、「参考程度に評価する」「自己アピールの1つとして参考とする」という内容です。あくまでも参考程度ということが分かります。
「点数化で加点」「加点する場合がある」と明記している学校は5校ありました。そのうち1校は具体的に点数まで明記していました。
Fランクの大学で、推薦やAO入試の際に参考にされるという程度です。はたして役立つ資格かどうかはご自身で判断してください。
取得するならITパスポート、最終的には基本情報技術者
情報検定を目指すのであれば、国家資格でもあるITパスポートを目指す方がいいでしょう。試験の難易度・レベルは情報検定(J検)と同じくらいです。
関連資格:ITパスポートとは
そして、さらにその上の基本情報技術者を目指すべきです。情報検定の学習をするのであれば、基本情報技術者試験に進むためのステップと考えましょう。
関連資格:基本情報技術者とは
情報検定は民間試験、ITパスポート・基本情報技術者は国家試験です。その違いは大きいです。
情報処理技術者試験は、社会人であっても例え実務経験がなかったとしても比較的評価されます。
合格するには
情報検定では、情報を扱う人材に必要とされる能力を以下のとおり3種類に分けて試験を実施しています。それぞれの試験はさらにいくつかの試験科目に分類されます。
- 情報システム試験・・・基本スキル/プログラミングスキル/システムデザインスキル
- 情報活用試験・・・3級/2級/1級
- 情報デザイン試験・・・初級/上級
団体向けに情報活用基礎の試験も実施されますが、これは情報活用試験3級と同等の内容です。
情報検定は制度変更後に大幅に難易度が下がりました。情報活用試験の1級は難易度は高いのですが、それでもせいぜいITパスポートレベルです。
情報検定の情報活用試験は、数ある情報関係の検定の中でもかなり難易度の低い試験です。3級であれば初歩の初歩、これから情報処理の学習をはじめる人が手始めに受ける試験ですが、よほどのことがない限り不合格にはなりません。
2022年の情報活用試験3級の合格率は63.4%です。
情報検定は、いくつかの科目に分かれているため、いずれの試験科目も同日に受験できます。
情報検定の公式サイトには、過去問題と解答が掲載されていますので、それを数回学習すれば合格できるでしょう。
仮に市販のテキストを購入したとしても、驚くほど薄いので無理なく学習できるはずです。
試験情報
試験日 |
お申込み |
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【情報システム】9月上旬、翌年2月上旬 【情報活用3~1級】6月中旬、12月上旬 【情報デザイン】随時(CBT方式で実施) |
主催者のサイトを参照してください。 |
受験資格 |
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どなたでも受験できます。 |
試験内容 |
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情報検定(J検)には下記の3種類の試験があります。
それぞれの試験分野等は以下のとおりです。
[プログラミングスキル]
[システムデザインスキル]
【情報活用試験】
[2級]
[1級]
【情報デザイン試験】
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試験内容に関する詳しい案内はJ検の検定実施要項 | 情報検定:J検をご覧ください。
おすすめテキスト・基本書
改訂3版 J検情報活用3級完全対策公式テキスト |
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情報検定の試験制度に対応した公式のテキストです。情報活用3級の試験範囲を網羅しています。こういった検定試験は公式テキストに頼るのが一番確実です。
見開きで印刷されているため、見やすいのが特徴です。講義→確認問題→過去問題の3STEPで構成されています。知識習得と問題演習があわせてできる1冊です。 |
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情報検定 情報活用試験3級公式テキスト (J検) |
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情報検定(新J検)情報活用試験3級に対応した公式テキスト・問題集です。
パソコンの操作・利用と役割・機能、情報の利用、情報モラルなどに関する基礎知識を習得できます。
ただ、掲載されている内容がかなり古く実用的ではありません。 |
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