産業カウンセラーって取得する意味やメリットはあるの?
種類 | 難易度 | 合格率 |
民間資格 | 普通 | 67% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
指定講座受講 | 30~50万円 | 6か月以上 |
活かし方 | 全国の求人数 | おすすめ度 |
スキルアップ | 183件 |
- 全国の求人数は、ハローワークの求人情報を基に2024年11月25日に集計しました。
試験の級 | - |
講座受講料 | 352,000円(教材費含む) |
受験料 | 学科・実技合わせて33,000円 |
その他費用 | 登録料(入会金)7,700円 年会費10,000円(毎年) 更新料3,000円(5年毎) 更新の際に4日間で52,500円の実習講座 ※その他講習の受講も義務付けられています。 |
※金額は2024年11月25日現在です。各種割引制度があります。
産業カウンセラーとは完全なる民間資格です。国家資格ではありません。
実は、企業などで需要があり、産業カウンセラー合格者を対象とした求人はいくつか見つかります。
ただし、カウンセラーとしての経験があることが採用条件となっているケースが多く、未経験者ではかなり難しいようです。
一般の人が産業カウンセラーを取得するには養成講座が必須です。取得費用も取得後の更新費用も安くありません。
取得する意味ないとまでは言いませんが、この民間資格だけで専門のカウンセラーにれるとは考えない方がいいでしょう。
産業カウンセラーとは
かつては旧労働省が認定する公的資格だった
産業カウンセラーとは、心理学的手法を用いて主に会社で働く人とその組織を支えるメンタルヘルスの専門家です。
主に企業内において、労働者が職場で日々感じる悩み事や心配事などのストレスを少しでも緩和して、良い方向へ導くための相談役です。
産業カウンセラーは、かつては旧労働省が認定する公的資格でした。そのため、需要があった時期もありました。
しかし、2001年からは法的な根拠のない完全なる民間資格になっています。今のところ国家資格になる可能性はありません。
もちろん勉強することが無駄とは言いません。
対面でのカウンセリングの実技指導などもあるので、通信講座だけで受講できる心理系検定試験と比べると内容は本格的です。
ただし、産業カウンセラーの民間資格だけで専任のカウンセラーとして採用される可能性はかなり低いです。
スクールカウンセラーなどのような公共性の高い仕事となると公認心理師や臨床心理士の資格が求められます。
産業カウンセラーの仕事の基本は「傾聴」
産業カウンセラーが行うカウンセリングの基本は「傾聴」です。
傾聴とは、カウンセリングの際のコミュニケーションスキルの一つで、人の話をただ聞くのではなく、注意を払ってより深く丁寧に耳を傾けることです。
相手が話したいこと、伝えたいことを受け入れ、共感しながら真摯に「聴く」行為や技法を指します。
産業カウンセラーが熱心に傾聴すると、相談者は自分を認めてくれたと感じ共感の意識が生まれます。
すると心を開いて何でも語るようになります。
産業カウンセラーは、企業内でのカウンセリングにおいてもまずは傾聴からはじめ問題解決へと導きます。
就職や転職に役立つのか?
少ないが就職や転職に役立つケースもある
産業カウンセラーの求人を探すと、全国で200件ほど見つかります。各都道府県当たり5件弱はあるので決して少ない数じゃないです。
かつて公的資格であったため、信頼性は今でも高いようです。
就業場所は、自治体や特定非営利活動法人(NPO法人)が運営する就労支援センターなどですが、中には公共職業安定所、刑務所、民間の人材派遣会社などもあります。
ただし、試験に合格すれば就職や転職がすぐに見つかるのかと言えばそう甘くはないようです。
採用する条件としては「就労支援(相談等)などの支援経験のある方(1~3年)」となっているケースが多く、カウンセラーとして一定の実務経験が求められます。
つまり、未経験者では難しいということです。
しかも、正社員としての採用は少なく正社員以外(パート、臨時職員)としての募集が目立ちます。
求人の内容から判断しても、大手企業への就職・転職に活かすとか、キャリアアップにつなげて収入アップといった民間資格ではないようです。
ボランティアに近い仕事であれば見つかるかもしれません。
将来性について徹底研究
役に立つ民間資格なのか・・・微妙です
産業カウンセラーの本来の目的である「企業内での社員のカウンセリング業務」という内容の求人はとても少ないです。
そういった求人は、臨床心理士あるいは公認心理師、精神保健福祉士の資格がほぼ必須となっているからです。
現在、日本で「カウンセラーの専門家」として活躍している人の多くは臨床心理士か公認心理師です。
臨床心理士と公認心理師は大学院まで進まないと取得できません。つまり6年以上の学習期間を要します。
産業カウンセラーの上位資格に該当する臨床心理士ですら正社員として十分稼ぐのは難しいと言われています。
半年~1年で取得できる産業カウンセラーの民間資格ではやはり就職につなげるのは難しいでしょう。
ただし、産業カウンセラーの資格を取得すればカウンセラーとしての知識が広まるので、間接的に役立つ機会はあります。
例えば、所属する企業で人事部の責任者になったとか、社員と定期的に面接をおこなう管理職になった場合などは学習で得た知識が仕事に活かせるでしょう。
あるいは、キャリアを積んで人事労務の専門家として転職するのであれば、自己アピールの材料として役に立つかもしれません。
産業カウンセラーになるには
産業カウンセラーになるための費用・更新料
産業カウンセラーの資格を取得するには、日本産業カウンセラー協会が開催する「産業カウンセラー養成講座」を修了して受験資格を得なければなりません。
しかし、この養成講座が安くありません。e-Learningの6か月コースあるいは10か月コースで352,000円(教材費含む、税込み2024年2月現在)です。
※主にe-Learningで学ぶスタイルで、以前まであった通学制・通信制は廃止になりました。面接(カウンセリング)の体験学習はこれまで通り104時間です。
参考:通学制と通信制の比較|一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
心理学について専門の教育を受けるワケですから、これが高いのか安いのかは一概には言えませんが、決して安くはない金額です。
そして、受験資格を得ると本試験に望みますが、受験料は学科・実技ともに受験すると33,000円の費用が必要です。
晴れて合格して、産業カウンセラーとして活動するとなると登録料(入会金)7,000円と年会費10,000円が必要です。その後は毎年会費が10,000円で、更新料は1回3,000円です。
産業カウンセラーほ資格は5年間有効です。
その5年の間に、いろんな研修を受けて、計30ポイント(ポイントは研修内容によって違う)を取得し、更新料及び会費を支払わなければ資格は喪失します。
4日間で52,500円の実習講座を受講しなければ試験を受けられません。
一旦合格しても、資格喪失しないように維持するには結構なお金も時間も必要です。
頑張って講座を受講して、なんとか取得したけれど仕事もなくってそのまま資格喪失・・・なんて人もいます。
取得を検討している方は、事前に費用対効果などをよく考えましょう。
せっかく取得しても「全く役に立ってない」なんて結果になります。
一般の人は養成講座受講が必須
産業カウンセラーの難易度や合格率を語る前に、まずは受験資格を得なければ試験にのぞめません。
下記の要件を満たして受験資格を得る必要があります。
- 20歳以上で、産業カウンセラー養成講座を修了している
- 大学および大学院で心理学関連の所定の専攻を修了し、所定の科目の単位を取得済み
大学や大学院で心理学について学んでいなければ養成講座を受講しなければなりません。
独学では受験できません。
その後、最終の試験に合格し、日本産業カウンセラー協会の会員になることで産業カウンセラーと名乗っての活動が可能になります。
養成講座は、インターネットを使ってWeb上で学習する「e-Learning」です(講座会場での実習もあります)。修了すれば、修了年度に関係なく受験が可能です。
ちなみに、以前まであった通学制と通信制は2019年頃に廃止になっています。
受験者の内訳は、産業カウンセラー養成講座等修了者が85.8%、大学および大学院卒業者が7.8%ですから、ほとんどの受験生が養成講座を修了して受験資格を得ています。
最終試験の合格率は67%ほどです。1月に筆記と演習実技の試験があります。
難易度は決して高くはなく、全くの知識ゼロからでも1年以内で合格できます。
過去問をしっかりと学習すれば合格できます。
テキスト・問題集・参考書
おすすめ参考書
産業カウンセラーが書いた、カウンセリングの現状とカウンセラーの選び方に関する本です。
カウンセラーといえばかつては臨床心理士でしたが、相談しても病気が悪化するだけ、単純に話しを聞くだけ、なんのアドバイスもなく助けにもならない・・・などなど評判は様々です。
産業カウンセラーとして臨床心理士とは違う現場での視点が参考になります。決して専門家が読む本ではなく一般の人向けに読みやすく書かれています。とはいえ、かなり骨のある入門書です。
種類 | 評価 |
参考書 |
「傾聴」と聞いても普通の人にはきっと馴染みはないでしょう。
傾聴とは、カウンセリングの際のコミュニケーションスキルの一つで、人の話をただ聞くのではなく、注意を払ってより深く丁寧に耳を傾けることです。
相手が話しを受け入れ、共感しながら真摯に「聴く」行為や技法を指します。
この本では、傾聴の大切さを、難しい内容をやさしく噛み砕いて親しみやすく説明しています。
丁寧で細かく傾聴を分析するだけで膨大な情報を得られます。傾聴についてはもちろん、人について理解ができるので日常や仕事にも大きく役立ちます。
種類 | 評価 |
参考書 |
試験情報
日程・出題内容・合格基準・その他
試験日
毎年1月に実施。2週にわたって学科試験と実技試験が行われます。
お申し込み
11月中旬~12月上旬
受験資格
大学および大学院にて所定の単位を取得している、または養成講座を修了していること。
※主催者のホームページを参照ください。
試験会場
千葉市、名古屋市、大阪市、広島市、高松市、福岡市
受験料
学科試験:11,000円
実技試験:22,000円
※その他、指定の講座を受講しなければなりません(当ページの冒頭参照)。
試験内容
試験は、学科試験と実技試験です。
【学科試験】5者択一によるマークシート方式
基礎的な学識:40題程度
- 産業カウンセリング概論
- カウンセリングの原理及び技法
- パーソナリティ理論
- 職場のメンタルヘルス
基本的な事例への対応能力、及び傾聴の技法の対話分析能力:20題程度
- カウンセリングの現場に即した実践的な知識・技能の理解
【実技試験】
受験者相互によるロールプレイ及び口述試験。時間は20分程度。
主催者
試験に関する詳しい情報は産業カウンセラー試験|一般社団法人 日本産業カウンセラー協会をご覧ください。