敷金診断士は意味ない?難易度・合格率・活かし方を徹底解説

| 種類 | 難易度 | 合格率 |
| 民間資格 | 易しい | 65% |
| 受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
| 誰でも受験可 | 5~10万円 | 2か月程度 |
| 活かし方 | 全国の求人数 | おすすめ度 |
| 要検討 | 0件 |
- 合格に必要な学習期間は、事前の知識でかなり差がでます。
- 全国の求人数は、ハローワークの情報を基に2026年7月18日に集計しました。
- 取得はおすすめしません。
| 試験の級 | - |
| 講座受講料 | - |
| 受験料 | ¥8,800 |
| 登録講習料 | ¥12,000 |
| 登録手数料 | ¥15,000 |
| 更新手数料(3年) | ¥5,000 |
※金額は2026年4月現在税込みです。
退去時の敷金や保証金の返還をめぐるトラブルの解決を間接的にサポートする専門家という名目ですが、民間資格なので特別にできる業務はありません。
ADR調停人の基礎資格といっても、返金される敷金の「金額の提案」程度はできますが、代理人として交渉はできません。
合格までには出費も少なくて済みますが、合格後に登録講習料・登録手数料・更新手数料などとイロイロと出費がかさみます(一応任意です)。
こういった難易度の低い民間資格を取得しても、就職や転職に活かせるとは考えない方がよいでしょう。
敷金診断士とは

敷金に関する民間資格
敷金診断士とは、退去時の敷金や保証金の返還をめぐるトラブルの解決を間接的にサポートするための民間資格です。
「士」となっていますから国家資格と誤解する人も多いようですが、日本住宅性能検査協会が認定する民間の検定試験です。
敷金診断士は、第三者としての立場から賃貸物件の適正な原状回復費の査定をおこない、入居者に敷金が法令に基づいて正しく返還されるようお手伝いします。
ただし、民間資格ですから特別にできる業務はありません。この民間資格を持っていても持っていなくてもできる内容は同じです。
「お手伝い」といってもできることは限られています。返金される敷金の「金額の提案」程度です。
主催者サイト:敷金診断士-日本住宅性能検査協会
合格後にお金が必要となる!
敷金診断士を受験して合格するまではそんなにお金はかかりません。
指定の通信講座や講習会受講の必要もなく、テキスト代金だけで済みます。
敷金診断士のテキスト・問題集は市販されていません。協会指定サイトで購入すると3,500円(税別)です。受験手数料は8,800円です。意外と安く済みます。
実は、ここから出費が増えます(※一応任意です)。
試験に合格後、「敷金診断士」と名乗るためには主催団体の認定を受けなければなりません。
そのために合格後、登録講習を必ず受講します。
この講習料は12,000円(テキスト代込み)、そして登録手数料15,000円が必要となります。登録手数料とは、名簿に記入するための費用です。
段々高くなってきた印象です!
免許証サイズの顔写真入りの認定証ももらえます。
そして、登録の有効期間は3年間です。3年毎に更新が必要となって、登録更新手数料が5,000円!
資格マニアが取得して、認定証を持っているだけであればちょっと高い出費です。
※金額は2026年7月現在です。
主催者サイト:資格認定の流れ-敷金診断士
役に立つ民間資格なのか?

取得する意味は・・・あまりない
こういった民間資格で敷金について勉強すれば多少なりとも基本的な知識は身に付くでしょう。完全に否定する気はありません。
けれど、敷金診断士は難易度も低く、合格しても特別にできる業務はありません。
履歴書に書いても就職や転職が有利になるとは期待しない方がいいでしょう。敷金診断士を対象とした求人などもまず見つかりません。
「独立すればどれくらいの収入を得られるのか?」と考える人もいるようですが、この民間資格だけで安定して収入を得られるとはちょっと考えづらいです。
管理会社や大家さんと交渉した場合、法律に触れる(非弁行為)のではないか・・・試験の勉強をはじめる前に、そのあたりから考えた方がいいでしょう。
ADR調停人の基礎資格とは言えできることは限定的
敷金診断士の主催者である日本住宅性能検査協会のホームページを見ると、しきりに法務大臣認証ADR調停人の基礎資格の認定を受けた「調停人基礎資格」であることをPRしています。
では、一体ADRってどういった制度なんでしょうか?
争い事が生じた場合、法律知識を備えた一定の専門家が間に入って(調停)、裁判などをせずに話し合いで手っ取り早く解決しましょう!という制度です。
文面だけで判断すると、敷金診断士は弁護士のような業務もできるんだ!って考えてしまいそうです。
しかし、そうではありません。
敷金診断士は、弁護士のようにお金をもらって代理人として交渉はできません。あくまでも中立的な立場での「交渉の提案」です。
退去時の立会いをしたとしても、適正な原状回復費の査定をするまでしかできません。
仮に、大家さんが敷金診断士の提案を断ったらそこまでです。敷金診断士はそれ以上何もできません。
話しが揉めて、敷金診断士が代理で交渉しようものなら非弁行為となって弁護士法違反になります。
お金をもらって法律相談に応じることもできません。
退去立ち会いに同席したとしても、交渉まではできないってどういうこと???
つまり、金額を提示するまでしかできないんです。
ADR調停人と言っても、敷金診断士がその資格を活かせる場面は極めて限定的です。
指定の講習を受け「ADR調停人」として登録されれば、「日本住宅性能検査協会」が実施するADR手続においてのみ、報酬を得て調停業務を行うことが法的に認められます。
けれど、現実的にはADR調停人としての活動ができるのは、数年に一度あるかないかというレベルなんです。
あくまで「当事者双方が合意してその指定ADR機関に調停を申し立てた場合」に限られます。そのため、一般的な退去現場で日常的に使えるものではありません。
「査定」や「立ち会い」であれば、月数件〜数十件こなす専門業者も存在しますが、ADRまでは発展させないのが一般的です。
実務上の実用性よりも、資格のステータスを高めるための肩書としての側面が強いと言えます。
そもそも、大家さん側にガイドラインに基づいた適正額を提示するだけであれば、資格を持たない入居者本人であっても当然行うことができます。
金額の提示程度なら本人だってできます。
敷金診断士は民間の検定試験です。できる業務の内容は非常に限定的です。
これは敷金鑑定士といった他の民間資格にも同じことが言えます。
退去立ち会いに同席するだけで効果がある?
敷金診断士あるいは敷金鑑定士と名乗る人が、退去時の立ち会いに同席してくれるだけで敷金が多く戻ってくるのでは?って考える人もきっと多いでしょう。
敷金鑑定士と名刺に印刷してあるだけで一定の効果がありそうです。果たして本当にそうなんでしょうか?
実はこれが諸刃の剣なんです。
「なにやら詳しい専門家がいる」と相手が判断すれば敷金返還の目的を達成できる可能性があります。これについては否定しません。一定の効果は期待できそうです。
けれど、一方で相手が賃貸実務に詳しい場合、「民間資格に過ぎず、法的な交渉権限はない」と見抜かれてしまい、かえって足元を見られて交渉が難しくなるリスクもあります。
相手次第・・・つまり、ガイドラインなどの知識があまりない相手であれば一定の効果は期待できるかもしれませんが、過度な過信は禁物です。
【注意】依頼者が直面するリアルなトラブルの実態
「専門家に立ち会ってもらえば、代わりに戦って敷金を取り返してくれる」と期待して敷金診断士などに対応を依頼する人もいますが、実際には次のようなトラブルに直面することが少なくありません。
以下に、代表的な失敗パターン、つまりトラブルを3つ紹介します。
「丸投げ」できず、結局は自分で戦う羽目になる
弁護士や司法書士と違って、民間資格である敷金診断士には代理交渉権がありません。現場でできるのは依頼者に対する「査定額の助言」程度です。
大家や管理会社への反論や交渉はすべて入居者自身が行わなければならず、「高い立ち会い料を払ったのに、結局自分でやり取りさせられた」という不満につながります。
作成された「査定書」を門前払いされる
業者が作成する「適正査定書」は、あくまで民間団体の独自基準による意見書に過ぎず、法的な強制力は一切ありません。
多くの大家さんは管理会社に不動産の管理を任せています。
相手が事情に詳しい管理会社であれば、「法的な根拠や強制力のない民間団体の書類」として受け取りを拒否され、相手にされない可能性が高いです。
結局、数万円の作成・査定費用が丸々無駄になってしまうケースもあります。
業者が越権行為をし、関係が泥沼化する
立ち会った業者が良かれと思って大家側に直接口出しや減額交渉を始めると、相手方から「非弁行為(弁護士法違反)だ」と見抜かれて強い反発を招きます。
大家側が態度を硬化させ、「違法な業者を連れてくるなら一切返還に応じない。不服なら弁護士を立てて裁判をしてくれ」と門前払いされ、自力で冷静に話し合えば戻ったはずの敷金すら回収困難になるリスクがあります。
このように、依頼者側から見ても敷金診断士は「代わりに戦ってくれる代理人」ではありません。
後ろからアドバイスをくれるだけの存在に数万円を支払うくらいなら、自身でガイドラインを把握し、毅然と直接交渉する方が余計なトラブルも出費も避けられます。
将来性について徹底研究

この民間資格の活かし方
この民間資格単独で仕事に活かすのではなく、他の国家資格を持っていれば知識を活かすことは可能です。
例えば、宅地建物取引士などです。
不動産取引の実務に関わる資格であれば独占業務があるため、賃貸管理や退去トラブル予防といった場面で、学習した知識を実務に活かせます。
※ただし、弁護士法により、弁護士以外の者が報酬を得て相手方と返還交渉を行うことは、行政書士などの国家資格者であっても非弁行為となるため注意が必要です。
宅地建物取引士の有資格者が、名刺に「敷金診断士」と印刷すれば、顧客からの信頼を得られるでしょう。
ただし、大家さんからはイヤがられるかもしれません。
敷金診断士に査定を依頼したら敷金が多く戻ってきたという事例も実際にあります。
いずれにせよ、他の知識があってはじめて活かせる民間資格です。
宅地建物取引士と比べるとかなり簡単
敷金診断士の難易度ですが、同じ不動産系の宅地建物取引士、管理業務主任者、マンション管理士に比べたらかなり簡単です。
合格率は60~70%ほどで、民法や不動産の基礎知識があれば短期間で合格できます。
そもそも宅地建物取引士が不動産の取引に重点を置いている資格であるのに対し、敷金診断士は建物自体の評価に重点を置いています。
宅建の試験範囲に含まれない賃貸物件の標準賃貸借契約書に関する知識、国土交通省のガイドライン等などについて学習しなければなりません。
敷金診断士と宅地建物取引士とでは学習する内容が違いますが、宅地建物取引士の方が断然難しいです。
敷金の返還は自分で交渉すれば大丈夫
敷金に関するトラブルは年間15,000件以上!
アパートやマンションなどの賃貸物件を借りている人にとって、退去時の原状回復費用や敷金の返還については気になるところです。
何事もなく部屋を引き渡して、預けた敷金が全額戻ってくれば問題ないのですが、過大な修繕費用を差し引かれ、手元に戻ってくるお金がほんのわずかであればトラブルにつながります。
現に年間15,000件もの相談が国民生活センターに寄せられていますから、円満に全額返金はほど遠いようです。
個人で交渉すれば適正な敷金は意外とスムーズに取り戻せます
素人が敷金返還の交渉をしても難しくて無理・・・なんて思っていませんか?
敷金を預けているため管理会社や大家に主導権を握られがちですが、根拠をもった交渉次第で不当な天引きはしっかり防げます。
あらかじめ敷金返還に関する法律や事例、国土交通省のガイドラインを勉強しておき、客観的な根拠を示して主張すれば、不当に引かれていた敷金は意外とすんなり戻ってくるケースが多いです。
もちろん当事者本人であれば、法的な代理権の問題もなく直接交渉が可能です。
マンションやアパートに普通に生活していれば、どうしても避けられない細かな傷や汚れなどは残ります。
けれど、いつまでも新品に近い状態で使い続けるのは無理です。
金属であれば錆びますし、プラスチックであればひび割れします。床や壁に傷は付きますし、壁紙は剥がれます。
これは経年劣化で使用者に責任はありません。原状回復の義務など存在しません。
こういったケースでは入居者は修繕義務を負わないと国土交通省の公示するガイドラインに明記されています。
2020年施行の改正民法でも明文化されています。
一般の人はこういった基準を詳しく知りません。
そのため、賃貸現場によっては入居者が無知である前提で、本来負担する必要のない費用まで差し引いた精算書が提示されるケースが後を絶ちません。
こちらから疑問点を指摘して見直しを求めなければ、そのまま敷金が差し引かれて終わってしまいます。
ネットで調べれば、ガイドライン以外にも敷金を全額取り戻すための方法について書かれたサイトはいくらでも出てきます。
例えば「敷金 返還交渉 方法」や「原状回復 費用 減額」、こんな感じで検索してみてください。
最終的な手段として、少額訴訟などの法的手続きも視野に入れて交渉に臨むと冷静に対処できます(実際にそこまで発展する可能性は低いです)。
少額訴訟は本人でも申立が可能で、費用も数千円程度で済み、訴状の書式も裁判所のサイトから入手できます。
貸主側(管理会社や大家さん)も、明確な根拠を示して指摘されれば、不当な請求を取り下げて合意に応じるケースがほとんどです。
敷金は担保として預けたお金であり、精算後の残金は当然自分のお金です。
業者任せにするより、自分でガイドラインや判例、関係法令を学び、それを材料に話し合う方が確実です。半日程度の時間があれば十分に知識を備えられます。
故意・過失による汚損がないのであれば、毅然とした態度で正当な返還を求めれば、当初の提示とは見違えるほど適正な金額が戻ってきます。
現に、当サイト運営者自身も、適切な根拠を提示して主張することで、差し引かれるはずだった敷金を全額取り戻した経験が2回あります。
敷金診断士になるには
日本住宅性能検査協会が実施する試験に合格し、かつ一定の講習を受講した者が敷金診断士として認定されます。
敷金診断士の試験問題は持ち帰りができません。
テキストや過去問題集、予想問題集など市販されておらず、公式テキスト&DVDが18,000円で販売されています。テキストだけなら3,500円(税別)です。
テキスト購入が受験には必須とはなっていないので、直近で宅地建物取引士の学習をした経験がある人なら、何も購入しなくても合格できます。
宅建に合格できるレベルであれば敷金診断士は十分得点できます。
敷金診断士独自の問題もありますが、ボリュームは少なめです。内容は賃貸契約書と、国土交通省の原状回復ガイドラインなどです。
試験は、全国約200ヵ所のCBT試験会場にて実施します。
CBT試験とは、パソコンの画面に問題が出題される方式です。
合格に必要な学習期間は2か月程度だと思われますが、宅地建物取引士試験の合格者であればプラス10時間あるいは何も勉強せずとも合格できます。
事前の知識によってかなり難易度は違ってきます。
試験情報
日程・出題内容・合格基準・その他
試験日
CBT方式で随時受験可能です。
お申し込み
試験を実施する(株)CBTソリューションズのHPから申し込みます。
受験資格
受験資格の制限は一切なく、どなたでも受験できます。
試験会場
全国200箇所のCBT試験会場
受験料
8,800円(2026年7月現在)
※合格後、講習料12,000円(テキスト代込)、登録料15,000円が別途必要
試験内容
【出題形式】CBT四肢択一式50問、90分
【試験内容】
《法令科目》:民法、借地借家法、消費者契約法、区分所有法、宅建業法、品確法、民事訴訟法、標準賃貸契約書、その他建物賃貸に関わる法令及び判例
《建築系科目》:建築物の構造及び概要、建築物に使用されている主な材料の概要、建築物の部位の名称等、建築設備の概要、建築物の維持保全に関する知識及びその関係法令、建築物の劣化、修繕工事の内容及びその実施の手続きに関する事項
合格基準
原則として、7割の正答をもって合格と判断
