競売不動産取扱主任者は何に活かせるの?メリットは?
種類 | 難易度 | 合格率 |
民間資格 | やや易しい | 40% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
誰でも受験可 | 5~10万円 | 2か月程度 |
活かし方 | 全国の求人数 | おすすめ度 |
自己満足 | 0件 |
- 全国の求人数は、ハローワークの情報を基に2024年11月26日に集計しました。
講座受講料 | 試験対策講座:19,800円(任意) |
受験料 | 10,900円 |
その他費用 (全て任意) | 登録手数料:33,000円 更新手数料/5年:19,800円 個人会員:入会金15,000円・月会費1,500円 |
- 試験対策講座の受講は任意です。
- 宅地建物取引士に合格していることが登録要件になっています。
- 全て税込、金額は2024年11月現在です。
競売不動産取扱主任者とは、競売不動産に関して専門家として一般の人に対してアドバイスすることを目指す民間資格です。
民間の検定試験ですから法律的に認められた業務は存在しません。
この民間資格を持っていなくてももちろん不動産の入札には参加できます。
合格後もいろいろと費用がかかるので、取得するのであれば費用対効果をよく考えましょう。
法務省・法務局の内部でも今のところ国家資格化する動きはありません。
名称はカッコいいけど取得するメリットは少ない検定試験です。
競売不動産取扱主任者とは
目指すは競売不動産のアドバイザー
競売不動産取扱主任者とは、競売不動産に関して、専門家として一般の人に対して競売に関するアドバイス及びサポートをするための民間資格です。
不動産競売流通協会が試験を実施し認定する民間の認定試験で、2011年にはじまりました。
試験の学習を通して競売不動産に関する一定の知識と能力を身に付け、競売不動産の購入を希望している人に対して助言・代行することを目指します。
また、自らが競売の落札者になる際に勉強した知識を活かせます。
※競売は誰でも参加できます。資格の有無は問いません。
主催者サイト:競売不動産取扱主任者資格|不動産競売流通協会(FKR)
「主任者」と付きますが単なる民間の検定試験
競売不動産取扱主任者は、旧宅地建物取引主任者(現在は宅地建物取引士)と同様に「主任者」と付きますから、何も知らない人が聞くと国家資格と勘違いするようです。
関連資格:宅地建物取引士とは
しかし、法律の裏付けのない単なる民間の検定試験です。
取得しても特別にできる業務は存在しません。
「競売不動産」といってもそうそう簡単には落札できません。
安全に落札できる良い物件であるかどうか、どの程度の入札額がふさわしくてどれくらいの金額であれば落札できるのかを予想するには高度な不動産の知識とさらには経験を必要とします。
不動産の取引にも精通していなければなりません。
海千山千の不動産業者じゃないとまともに落札などできません。
一応宅地建物取引士合格者という前提にはなっていますが、短期間で誰でも取得できる競売不動産取扱主任者の民間資格程度ではちょっと役不足のような・・・
役に立つ資格なのか?
今のところ取得する意味はない
前述の通り、競売不動産取扱主任者の資格は民間資格です。
法律的に認められた権限や独占的な業務はありません。つまり、合格してもしなくても同じです。
不動産の競売自体この民間資格がなくてももちろん誰でも参加できます。
そもそも試験に合格しても、前提として宅地建物取引士に合格していないと競売不動産取扱主任者として登録できず、名刺に印刷したり名乗ったりもできません。
登録後は有料の登録講習にも出席しなければなりません。
結局のところ、競売不動産取扱主任者だけの価値は微妙です。
宅地建物取引士に合格しておらず、競売不動産取扱主任者の試験にだけ合格しても就職や転職が有利になるとは考えない方がよいでしょう。
この試験で得た知識で何か特別な業務ができるワケでもなく必要性は低いです。
年間の受験者数もほぼ2000人程度と横ばいです。
目指すのであれば、賃貸不動産経営管理士の方がおすすめです。
国家資格になる可能性は非常に低い
競売不動産取扱主任の試験がはじまった2011年当時は、不動産投資が話題になっていた頃です。
話題性もあって一時は「競売不動産取扱主任者は国家資格になるのでは?」なんて言われました。
一部の資格予備校では、今でも「国家資格になる可能性がある」と宣伝しながら講座受講生を募っています。
しかし、この先も国家資格となる可能性は低いでしょう(2024年12月現在)。
もちろん、国家資格になる可能性がゼロだとは言いません。2021年に民間資格だった賃貸不動産経営管理士が国家資格化された例もあります。
ただ、賃貸不動産管経営理士の場合、2018年の時点で国土交通省令でその業務を規定していました。
これは法的な強制力のない任意の規定でしたが、国家資格化される3年前から国がその必要性を明文化していたわけです。
競売不動産取扱主任が国家資格化される可能性があるとすれば、何らかの形で国土交通省内で検討されているはずですが、今のところそういった動きは見当たりません。
国家資格化される動きは今のところありません。
不動産に関する民間資格には要注意!
不動産の流通に関する民間資格はたくさん世の中に存在します。下記は一例です。
敷金診断士、住宅ローンアドバイザー、空き家相談士、空き家再生診断士、空き家管理士、賃貸住宅メンテナンス主任者、賃貸生活マナー検定、マンションリフォームマネジャー、相続支援コンサルタント、土地活用プランナー、古民家鑑定士、投資不動産取引士・・・
どれも全てが怪しいとかインチキとはいいませんが、講座受講料と受験料を目的としただけの資格商法的な検定試験が多いのも事実です。
もちろん勉強すれば多少なりとも知識は身に付くでしょう。けれど、多くはお金さえ払って指定の講座を受講すれば短期間で取得できます。
そういった民間の検定試験にどれくらいの価値があるのか、意味がないのか・・・少し考えれば分かるはずです。
合格すればどう活かせるのかをよく考えないとお金と時間の無駄で終わります。
将来性について徹底研究
ハッタリには有効かも
不動産の競売は誰でも参加できるとはいえ、やはり最低限の知識や取引の実態について理解しておく必要があります。
試験の学習を通して競売不動産について体系的に学べるので、得た知識は不動産の競売に参加しようという際には活かせるかもしれません。知識と経験のない一般人もサポートできるでしょう。
一応不動産系の資格に分類されるので、登録して名刺に「競売不動産取扱主任者」と印刷しておけば、営業のネタ程度にはなります。
あまり不動産に詳しくない一般の人であれば、競売に関する専門的な国家資格と勘違いして絶大な信頼を寄せてくれるかもしれません。
競売不動産取扱主任者はハッタリに有効な民間資格です。
ADR調停人の基礎資格として一体何ができる?
競売不動産取扱主任者の主催者である不動産競売流通協会(FKR)のホームページを見ると、「不動産ADR調停人として、平成29年3月15日に法務大臣より裁判外紛争解決機関としての認証を受けた」とPRしています。
主催者サイト:不動産ADR調停人|不動産競売流通協会(FKR)
調停人になるには、日本不動産仲裁機構が指定する調停人研修(20時間、55,000円)を受講し、調停人として登録をしなければなりません。
では、一体「調停人」とはどういう制度なのか?何ができるのか?
簡単に説明すると・・・
争い事が生じた場合、法律知識を備えた一定の専門家(調停人)が間に入って、裁判などをせずに話し合いで手っ取り早く解決しましょう!(調停)という制度です。
参考:法律にかかわる様々なトラブルの相談・話し合いによる解決のサポートのかいけつサポート
この文言だけで判断すると、「競売不動産取扱主任者を取得すると弁護士のような業務もできるんだ!」って早とちりしてしまいそうですがそうではありません。
できるのはあくまでも中立的な立場での「交渉の提案」のみです。
仮に、落札後に退去などで揉めるようであれば、そこで話し合いは終了します。
競売不動産取扱主任者では「交渉の提案」以外は何もできません。競売不動産取扱主任者が代理人になって交渉するのは非弁行為となって弁護士法に違反します。
占有解除手続きの代行も弁護士法などに抵触するのでできません。
さらに、法律的な相談に有料で応じることもできません。
競売の相談が法律相談でなければ大丈夫ですが、通常、法律に触れない相談なんて考えられません。
つまり、ADRと言ってもできることは非常に限定的で限られています。
主催者の公式サイトでは、競売不動産取扱主任者について「競売不動産の取扱いに関する一定水準の知識、能力を証明するもの」と説明しています。
つまり、「一定水準の知識、能力を有してしている」だけであって、法律的なアドバイスや代理人になることはできない民間資格であるということです。
※単なる応札の代行は可能です。
「ADR調停人の基礎資格」とは、主催者側が特筆しているほど大げさな意味はないんです。
有料の講習会も必須!さらに更新費用もかかる!
試験合格後、不動産競売流通協会へ競売不動産取扱主任者として登録すれば主任者証の交付を受けられます。
登録手数料は、なんと!33,000円(税込)
※費用内訳(講習・講習教材費:16,500円 + 5年間登録料・主任者証発行手数料:16,500円)
その際、登録講習も受講しなければなりません。
手続きが完了すると、顔写真入のプラスチック製の主任者証をありがたく頂戴できます。
そして、主任者証の有効期限は交付日より5年間です。更新時には、再度更新時講習を受講しなければなりません。
講習と交付手数料:19,800円(税込)!
民間資格でこの金額、ちょっと高すぎやしませんか???
合格しても登録しない人が多い、あるいは一度登録しても更新する人が少ないのもうなずけます。
費用対効果があればもちろん決して高くはないでしょうけど、必要性についてよく考えてみましょう!
※金額は2024年4月現在です。
引用:試験合格後の主任者登録について|不動産競売流通協会(FKR)
合格するには
宅建士を持っていれば難易度は低い(はず)
競売不動産取扱主任者の試験は誰でも受験できますが、登録する際には宅地建物取引士の国家試験に合格していることが前提となっています。
宅地建物取引士の試験と比べると難易度は低いです。つまり簡単です。
まだ宅地建物取引士を取得して間もない人であれば、不足している競売に関する知識を1週間程度学習すれば合格できます。
試験は全てマークシート方式で、四択で50問出題されます。合格率は40%ほどです。
市販の教材でしっかりと対策をしておけば合格できるレベルです。
全くの初学者であれば、1日2時間程度の勉強で2か月あれば合格できます。
競売不動産取扱主任者の試験は、試験の問題用紙は持って帰れません。
そのため試験対策が立てずらいです。
試験対策講座を受講すれば合格できる???
試験の主催者である不動産競売流通協会は、試験対策用に毎年講座を開催しています。
オリジナルテキストを使用し、短期間で効率よく試験に出題される重要ポイントを押さえるのが目的の講座です。
講座の時間は6時間で、受講料は19,800円(税込)です。
これは確たる証拠はないのですが、講座を受講していれば優先的に合格になるとかならないとか・・・
試験はよくできたのに結果は不合格、一方で半分位しかできてなくても講座を受講していたから合格できたなんて話しも聞きます。
自宅で採点できないので、正確な点数はわかりません。
まずは無料の資料請求
テキスト・問題集・参考書
おすすめテキスト・基本書
こちらは一応公式のテキストになっています。
競売不動産取扱主任者の本試験の問題はその場で回収されて持ち帰れません。そのため、こうしたテキストと問題集で勉強するしかないようです。
内容としては、競売に関することがほとんどで、他の不動産系の資格を持っている人や初学者でも、なるほどと思う内容が多く書いてあります。
ただ、残念なのは、文章がわかりにくく、理解し難い点も多いことです。他の参考書も必要です。
※最新版についてはAmazonなどは販売されていないようです。公式ホームページより購入してください。
種類 | 評価 |
テキスト |
おすすめ参考書
競売不動産の購入方法とは少し違っていますが、空き家(古家)を購入して、資産を増やしながら活用していくためのノウハウが書かれた一冊です。
空き家不動産を再生し、長く不動産経営をすることによって、着実に資産を増や方法が書かれています。
分かりやすくて評判の良い入門書ですが、すでに投資している人や、具体的手法を知りたい人には不向きで、内容は薄く感じられると思います。
種類 | 評価 |
参考書 |
試験情報
日程・出題内容・合格基準・その他
試験日
12月上旬
お申し込み
8月上旬~10月下旬
受験資格
受験資格の制限は一切なく、どなたでも受験できます。
※試験はどなたでも受けられますが、宅地建物取引士試験の合格者のみ登録できます。
試験会場
札幌・仙台・新潟・金沢・埼玉・千葉・東京・横浜・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・那覇
受験料
10,900円(税込)
試験内容
【出題範囲】
- 不動産競売手続に関する基礎知識:競売不動産の特徴、不動産競売の全体像、裁判所資料、公法上の規制
- 不動産競売の法理論と実務:民事執行法の概要(申立手続、開始手続、売却手続、及びその進行、債権関係の調査、権利関係の調査、裁判手続の保全と売却条件の判断)、裁判所交付資料の理解(読み方と実務上の注意点)、滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律の概要
- 不動産競売を理解する前提となる法律知識:民法、借地借家法、建物区分所有法、不動産登記法、宅地建物取引業法、民事執行法、民事訴訟法、民事保全法、建築基準法、都市計画法等
- 競売不動産の移転、取得等に関する税金等:登録免許税、不動産取得税、固定資産税、都市計画税、印紙税等
【実施方法】50問4肢択一による筆記試験、マークシート方式
合格基準
主催者発表によると、合格ラインは7割(35点)程度が目安です。 2017年度の合格点は32点。
主催者情報
試験に関する詳しい情報は競売不動産取扱主任者試験|不動産競売流通協会(FKR)をご覧ください。