個人情報保護士
名前はカッコいいけど役に立たないし実用性も低い民間の検定試験。
種類 | 学習期間 | 難易度 | 合格率 |
---|---|---|---|
民間資格 |
1か月 |
易しい |
35% |
活かし方 | 取得費用 | 受験資格 | おすすめ度 |
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自己満足 |
5~10万円 |
誰でも受験可 |
最終更新日:2022/12/20
個人情報保護士とは
大手のクレジットカード会社、学習教材の販売会社、通販会社など、本来鉄壁に情報を管理しているはずの会社でも、予期せぬ方法により社外へ情報が流出する事態が発生しています。
一旦情報が漏洩すると会社の信用が失墜するだけではなく、会社の存続に関わる重大な問題にまで発展します。
ほとんどの企業は個人情報をパソコンなどで管理しています。そのため、一旦情報が漏えいすると、あっという間にネット上にコピーが出回り、完全に消し去るのはもはや不可能となります。企業は常に社会的な信用を失うリスクと隣り合わせになっていると言えます。
1件でも個人情報を扱えば保護義務の対象に
以前は5,000件以上の個人情報を取り扱っている企業だけが個人情報の保護義務を負っていましたが、2017年春の法改正により個人情報を1件でも取り扱っていれば個人情報の保護義務が生じます。
簡単な例を上げると、住所・氏名・生年月日などを明記してアンケート書いてもらったら、個人情報保護法が適用されて個人情報の保護義務が発生するワケです。
さらに、マイナンバー制度の施行で、従業員の個人情報も社内で管理しなければなりません。個人情報を適切に管理する能力がある人材がますます社内では求められています。
個人情報の漏えいを防ぐのは、企業の存続に関わる重要なリスク回避の一つです。個人情報の扱いを管理・監督するための知識を身につけるための学習が個人情報保護士の検定試験といえます。
個人情報保護士試験を通して、個人情報保護法の知識を正しく身につけ、企業内のセキュリティに関するリスク分析など、個人情報の管理運用や対策をおこなう専門家を目指します。
主催者サイト:個人情報保護士認定試験 | 一般財団法人 全日本情報学習振興協会
役に立つ資格なのか?
企業が管理する個人情報には、生年月日・性別・年齢・住所などの基本的な情報から、国籍、勤務先情報、収入、過去の病歴、趣味・趣向などの情報、さらには過去に購入した商品や価格、カードの番号やマイナンバーなどの情報まで多くの重要な内容を含んでいます。
だからこそ、社員一人ひとりが正しい法知識と安全管理意識を持つ必要があります。個人情報保護士としての能力は、社員一人ひとりに求められているといえます。
しかし、個人情報保護士の資格を取得することが役立つかどうかというと話しは別です。
個人情報保護士と「士」がついていますが、国家資格ではなく民間資格です。なんら法的な裏付けがないため、この資格がないと出来ないという業務はありません。
個人情報保護士に合格したところで就職や転職が有利になることはありません。会社の中で評価がアップすることは多少あるかもしれませんが、まぁ社内で研修会をすれば誰でも短期間で到達できる知識内容です。
個人情報保護士の試験は最短で1週間程度でも合格できる試験です。企業では、その程度の知識のある人材がどうしても必要というわけではありません。
勉強するのであれば、他の国家資格や技能検定、例えば情報セキュリティマネジメントや知的財産管理技能検定の方がまだ役に立ちますし資格としての価値が高いです。
関連資格:情報セキュリティマネジメントとは、知的財産管理技能士とは
将来性を徹底研究
この資格の活かし方
個人情報保護士の試験に合格したからといって、社内で情報管理やセキュリティの仕事を任されることはまずありません。
企業の管理部門に従事している人が、他業務と併用して試験にチャレンジしてみるケースが多く占めます。
先程も書きましたが、就職・転職、昇給が有利になることはありません。取得してもあまり意味がないと言えます。
とは言うものの、多くの人が個人情報保護法を誤解している中で、その本当の意味を正しく理解できるので学習することには意味があると思います。
個人情報保護法とマイナンバー法との関係
個人情報保護法とは「個人情報の保護に関する法律」の通称です。個人情報を取り扱う民間事業者の遵守すべき義務等を定めています。
一方、マイナンバー法とは、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」の通称です。長ったらしい名称なので世間一般的にマイナンバー法でとおっています。
一般法である個人情報保護法の特別法がマイナンバー法はという位置付けです。つまり、個人情報保護法をまず最初に定め、その後になってマイナンバー法を例外規定として定めたということです。
マイナンバー法を理解していなければ個人情報保護法が理解できないワケではありません。仮に、マイナンバー法を正しく理解したいのであれば、まずは元となっている個人情報保護法を正しく理解する必要があります。
関連資格:マイナンバー検定とは
高い検定料と講習会で集金するのが目的?
個人情報保護士は、受験料(検定料)も11,000円、おまけに試験前の講習会費用も16,500円と、信じられないほど高い資格商法のような検定試験です(2022年12月)。
もちろんテキストだけで十分に理解できるので講習会は受講する必要はありません。
けれど受験生は藁をもつかむ思いで学習しているようで、講習会を受講している人は顔がみな真剣です。一体どこにこの検定試験に魅力を感じているのか疑ってしまいます。特にメリットもないのに…。
しかし、ウマいことやってますね。テキストを読めばほぼ理解できるようなことに大金を払わせて、そこまでやるかなぁ、って感じがします。
試験合格者には、IDカードのような「認定カード」が発行されます。これにも有効期限があって2年間です。更新講習会による認定カード更新の場合11,000円が必要です。
参照:個人情報保護士の定期講習とカード更新 | 個人情報保護士認定試験
ちなみに、個人情報保護士と個人情報保護実務検定は同じ団体が実施しています。どちらも取得しても特に意味はないと思えますけど・・・
個人情報保護実務検定1級合格者でマイナンバー実務検定2級以上の合格者は個人情報保護士として認定されるそうです。
個人情報保護士会という団体まで作って…
個人情報保護士試験合格者を対象に個人情報保護士会という法人まで設立したといいますから驚きです。
およそ「士」の付く国家資格には、法律で定められた組織が存在します。例えば、弁護士会、行政書士会、司法書士会、税理士会などです。その資格で業務をおこなうためには入会が強制されています。入会の登録をしてはじめて独占業務ができます。
しかし、個人情報保護士会に登録したところで、特別な業務ができるわけでもありません。単に商標登録した個人情報保護士という名称を使えるようにしているだけで名称独占資格でもありません。
そんな国家資格でもない民間資格に、「個人情報保護士会」なる団体まで設けて、2年ごとに有料で資格を更新させたりして、資格という名の元に利益を追求する団体なんだなと思ってしまいます。
会員になると、特典として名刺にロゴを印刷するのを許可されます。そしてなんと!立派なバッジがもらえます。
そのためだけに会員になるのもいかがと思います。法律上問題ないんでしょうけど、やっぱり怪しい団体です。
合格するには
同じような論点がよく出題されるので、過去問を繰り返し解いて理解すれば1か月以内でも十分合格できます。
合格率は35~50%前後ですが、過去問重視で学習すれば、それほど難しい試験ではありません。おそらく合格率以上に簡単に感じられるでしょう。
試験内容に課題Ⅰと課題Ⅱがあり、いずれも80%以上正解しなければなりません。正しく覚えていないと正解できない問題が多く、正確な暗記が要求されます。
テキストは全てを読む必要はなく、過去問題集でどうしてもわからない箇所があれば、そこを確認する程度で構いません。4回分の過去問をすらすらと解けるぐらいになるまで何回もやれば合格できます。
おすすめの講座
特におすすめの講座というのはありませんが、STUDYingスタディング(旧通勤講座)が比較的値段も安く良心的でおすすめです。
わかりやすいビデオ講座により、初学者でも無理なく学べます。試験対策に特化したオリジナルカリキュラムで構成しているため、合格に必要な知識を速習することができます。
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試験情報
試験日 |
お申込み |
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例年6月、9月、12月、3月の年4回 |
1か月ほど前までにホームページから申し込みます |
受験資格 |
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受験資格の制限は一切ありません。どなたでも受験できます。 |
試験内容 |
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筆記(マークシート方式)
【課題Ⅱ】個人情報保護の対策と情報セキュリティ(脅威と対策、組織的・人的セキュリティ、オフィスセキュリティ、情報システム
制限時間:課題Ⅰ・課題Ⅱ 合計150分 |
試験に関する詳しい情報は最新試験情報 | 個人情報保護士認定試験をご覧ください。
おすすめテキスト・基本書
改訂7版 個人情報保護士認定試験公式テキスト | |||||
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多くの受験生が使っている公式テキストです。
これを何度も繰り返し学習する必要はありません。過去問の解説を読んでもよく解らない内容を調べるのに使うぐらいでちょうど良いと思います。
基本的にこの主催者の公式テキストと下記で紹介する「個人情報保護士認定試験公式問題集」だけで十分です。 |
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おすすめ問題集
第7版 個人情報保護士認定試験 公式精選問題集 | |||||
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こちらはテキストと出版社は違っていますが公式問題集になります。試験の主催者である全日本情報学習振興協会が出版しています。
公式テキストと合わせて使えば合格できます。 |
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