不動産鑑定士とは?難関な国家資格、勉強方法などを解説
種類 | 難易度 | 合格率 |
国家資格 | 超難関 | 5% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
誰でも受験可 | 50万円以上 | 3年以上 |
活かし方 | 全国の求人数 | おすすめ度 |
スキルアップ | 28件 |
- 短答式の合格率36.3%、論文式の合格率16.4%で、最終的な合格率は5%ほどです(令和4年)。
- 全国の求人数は、ハローワークの情報を基に2024年8月20日に集計。
不動産鑑定士とは、法律的な知識に基づいて不動産の鑑定を行い適正な価格を決定する専門家です。
短答式の合格率36.3%、論文式の合格率16.4%、最終的な合格率は5%ほどと難易度は高い国家資格ですが取得するメリットは十分にあります。
今後も高い需要が見込まれます。
不動産鑑定士とは
不動産の適正価格を算出する専門家
家や土地といった不動産には、当然ですが金額で表せる「価値」が存在します。
不動産鑑定士は、住宅やマンション、店舗やオフィスといった不動産の鑑定をおこない、金額(適正な価格)を決定するプロフェッショナルです。
では、どんなときに不動産の適正な価格が必要になるのでしょうか?
真っ先に思い浮かぶのは不動産を売買するときです。
買う側は安く買いたいですし、売る側は当然ですが高く売りたいです。
そんな時に不動産鑑定士の出した評価額が両者の参考になります。
不動産を相続する場合もやはり適正な価格が必要になります。
例えば一軒家を遺産分割する場合、家を細かく分けて相続するワケにもいきません。
そんなときは家の適正な価格を出して、金額で相続分を算出します。
その場合もやはり不動産鑑定士の評価が参考になります。
その他にも、不動産を賃貸借するとき、不動産を担保にしてお金を借りるときまたは貸すとき、不動産を等価交換するとき、不動産を証券化する際の資産評価(後で詳しく説明します)をするときなど、不動産鑑定士のおこなう評価が重要になります。
法律的な知識に基づいて不動産の価値を公平に判断する
一言に「不動産」といっても、住宅やマンション、店舗、工場、農地、さら地など種類も価値もさまざまです。
土地だけならまだしも、その上に建物があれば所有者と使用者の権利が複雑になる場合もあります。
不動産鑑定士は、土地や建物に関連するさまざまな法律的な側面、さらに土地の価値や、周辺の利便性などの環境面、不動産市場等の経済的な条件面も考慮する必要があります。
不動産鑑定士は公平中立に不動産の鑑定評価を行い、適正価格を決定しなければなりません。
その根拠となるものが 「不動産の鑑定評価に関する理論」であって、不動産に関する法律、経済、税金等にわたる広範囲な専門知識を備えていなければなりません。
また、地価公示などの公的評価も不動産鑑定士の重要な仕事です。
不動産鑑定士の業務は「不動産の適正価格を決める」という鑑定評価だけではなく、不動産に関わるコンサルティング業務等にまで拡がっています。
関連団体:日本不動産鑑定士協会連合会
役に立つ資格なのか?
企業内でも活かせるのが最大の魅力
不動産鑑定士は、弁護士・公認会計士と並ぶ三大国家資格とかつては言われてました。
現在は、司法試験と並ぶどころか、実質的には名実共に弁護士・公認会計士に及びません。
しかし、現在は弁護士も公認会計士も数が増えすぎて、それらが必ずしも優位な資格であるとは言えないようです。
不動産鑑定士の資格の方が優位であるケースも大いにあり得ます。
不動産鑑定士は、独立して開業できるのはもちろんですが、企業内において不動産鑑定士として活躍できます。これが最大の魅力と言ってもいいでしょう。
不動産鑑定士は単に不動産の鑑定評価を行うだけではなく、不動産会社、金融機関、官公庁、商社、コンサルティング会社等々で専門知識を活かして活躍できます。
大手建設会社でマンション開発のプロジェクトや土地開発業務に参加したり、不動産の価値に基いて融資や投資事業をおこなう銀行や証券会社で活躍することもあります。
特に最近では、不動産の証券化が活発になってきており不動産鑑定士の需要が飛躍的に高まっています。
不動産鑑定士の活躍の場は社会的なニーズの高まりとともに拡大しています。
不動産鑑定士は独立して開業しなくても、さまざまな場面で活躍することができます。将来性もあって役立つ資格です。
関連資格:司法試験(予備試験)とは、公認会計士とは
将来性について徹底研究
この資格の活かし方
不動産鑑定士は、独立して事務所を開けるのはもちろんのこと、前述の通り企業内不動産鑑定士として活躍できるのも大きな特徴の1つです。
これは社会保険労務士と同じ制度です。
不動産関連の最高峰の資格と言われますが、難易度や実用性、開業者の収入という面でも実質的には司法書士に次いで2番めの資格と言っていいでしょう。
不動産関連の事務所に勤めながら学習して合格する人が多く、合格後は2~3年後に開業するか、もしくは銀行や保険会社などに転職する人も多いようです。
そこで担保価値としての不動産の評価を行います。
独立したら収入はその人の能力次第です。
銀行や保険会社に転職すると資格手当分は給料がアップしますが、他の人と比べて高給取りという訳にはいかないようです。
ただ、外資系の不動産投資会社などへ転職するとそれなりに給料がアップすることが多いようです。
不動産の証券化が盛んになり、活躍の場が急増
土地やビルなどには分割して切り売りできないような資産価値があります。
例えば、将来入ってくるであろう家賃収入などです。入居者がいれば毎月ある程度の売上が期待できます。
不動産の証券化とは、そういった将来見込まれる売上・収入を担保として(有価証券に替えて)資金を集める方法のことを指します。
従来不動産に抵当権を設定して銀行からお金を借りるのが主流でしたが、不動産の証券化により低コストで資金調達ができるようになりました。
ここ数年でかなりメジャーな手法となりました。
その際、不動産の価値を判断するのが不動産鑑定士です。
最近はこの業務が大幅に増えています。評価する不動産の金額も大きいため、不動産鑑定士の花形業務になっています。
不動産鑑定士の需要は今後も増加
不動産の価値を決めるのは、売買や不動産の証券化の時だけではありません。
相続の際にもっとも揉めるのは不動産です。
揉め事を減らすためにも相続人が納得いくように不動産鑑定士は公平に不動産の価値を判断し、金額を算出します。
マンションのローンが支払えなくなり、競売にかけられるときも不動産鑑定士が出した評価基準をもとに裁判所が公示します。
金利が上昇して、ローンが支払えない人が増えるとこういった業務が増えます。
地価公示などの公的な評価の際も不動産鑑定士の役割は非常に重要となります。
不動産鑑定士になるには
難関の国家資格、簡単には合格できません
不動産鑑定士試験は、かつては大卒などの受験資格が規定されていましたが2006年から撤廃されました。受験者数の減少などが主な理由です。
現在は受験資格はなく、年齢や学歴に関係なく誰でも受験できます。
不動産関係の仕事に従事していなくても、未経験で知識ゼロからでも十分に合格を狙える資格です。
不動産鑑定士試験は、一次試験に該当する短答式はここ5年ほど32%前後の合格率です。
二次試験に該当する論文式は14%ほどです。最終的な合格率は5%前後です。
ちなみに平成30年度の結果は、短答式33.4%、論文式14.8%、最終合格率は5.1%です。
ここ5年ほどはいずれの合格率も上昇傾向で、若干ですが合格しやすくなってます。
とはいえ弁護士や公認会計士、司法書士と並んで高い難易度です。
司法書士よりも取得するのは易しいようです。
資格取得の平均年齢は40歳前後のようで若いときから不動産鑑定士を目指す方は少数です。
もちろん短期合格などは稀です。
多くは勉強を始めてから合格するのに4年以上はかかっているようです。
それなりの勉強時間が求められます。
不動産関係の仕事に従事している人が受験するケースが多いようですが、将来の事を考え全くの異業種で受験する方も珍しくありません。
難関試験なので独学ではまず合格するのは無理でしょう。
それに受験生の数が少ないので、テキストを購入したくても本屋さんにほとんど並んでいません。
資格予備校に通うか、通信講座を受講することをおすすめします。
不動産鑑定士試験の本番は論文式試験
不動産鑑定士試験は①短答式試験、②論文式試験の2段階の選抜方式により合否を判定します。
短答式試験は五択式のマークシートによる回答で、比較的難易度の低い出題形式とされており、全体の7割程度が正解していれば合格できるようです。
短答式試験だけに限っていえば受験者のうち25%が合格できるとされており、難易度は高くありません。
この短答式試験に限っていえば独学でも十分合格することは可能です。
不動産鑑定士試験の本番は論文式試験にあるといわれています。
8月の暑い中、3日間連続して4時間以上延べ12時間の論文を書き続けるという試練とも言うべき過酷なスケジュールで試験は行われます。
この状況下での論文式試験では、途中で諦めて席を立つ受験生が多いようです。
最後まで書き続けた人であっても、9割は合格できないとされるほどの難関と呼ぶにふさわしい試験です。
難易度は想像以上に高いでしょう。
最終的に論文式試験を突破するには、独学だけでは必ずしも対応しきれない部分があります。
論文である以上、第三者に客観的に読んでもらい、内容を評価をしてもらう必要があります。
これから不動産鑑定士試験を受験しようと考えている方は、まず独学で学習して、結果次第で予備校に通うかどうかを判断してもよいでしょう。
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おすすめの通信講座
かつて動産鑑定士の受験講座といえばLECとTACが主流でしたが、現在はアガルートアカデミーの講座が人気です。
不動産鑑定士試験において民法の学習は合否を決める重要な要素ですが、一般的な予備校の参考書は民法が弱く、ポイントがずれた解説が少なくありません。
その点、アガルートアカデミーは民法の解説は得意としているようで基本的に初学者にとって読みやすい構成となっています。やはりその点においてもおすすめします。
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日程・出題内容・合格基準・その他
試験日
例年短答式試験は5月中旬の日曜日。論文式試験は8月上旬の3日間行われます。
お申し込み
2月下旬~3月上旬
受験資格
受験資格の要件はなくなりました。どなたでも受験できます。
試験会場
短答式試験:北海道、宮城県、東京都、新潟県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県
論文式試験:東京都、大阪府、福岡県
受験料
書面申請:13,000円
電子申請:12,800円
試験内容
【短答式試験】
- 行政法規(択一式40問/2時間/配点100点)
- 鑑定理論(択一式40問/2時間/配点100点)
【論文式試験】
- 民法(大問2問/2時間/配点100点)
- 会計学(大問2問/2時間/配点100点)
- 経済学(大問2問/2時間/配点100点)
- 鑑定理論(大問4問/4時間/配点100点・演習1問/2時間/配点100点)
短答式試験の合格率は20%を超えていますが、最終的な不動産鑑定士試験の合格率は2~3%程度と非常に低い水準になっています。
短答式試験については、一度合格するとその後3回まで論文式試験にチャレンジができます。短期で合格するプランやじっくりと計画を立て合格するプランなど、戦略的に合格を目指せる試験制度です。
合格基準
短答式試験:概ね70%以上の正答(難易度によって調整あり)、ただし、科目別に設定された必要最低得点比率を満たさない者は除く。
論文式試験:概ね63%程度以上の得点(調整あり)、ただし、科目別に設定された合格基準点あり。
合格発表
短答式試験:2023年6月28日
論文式試験:2023年10月20日
主催者情報
試験に関する詳しい情報は土地・建設産業:不動産鑑定士試験 – 国土交通省をご覧ください。